跡部の悩み・5
「あの…何ですか?;」
「それは俺のだ」
徳川が視線で跡部の右手を示す。
視線の先…右手にはグラス…。続いてテーブルの上を見ると、跡部の前にはしっかり別のグラスがあった…。
「すっ…すみません…!;」
間違えて他人の物を飲食するなど、跡部とってはかなりのマナー違反。真っ青になって謝った。
「すみません、代わりのグラスを持ってきます…!;」
「いや…構わない」
「あれ、いいの? 間接キスしちゃったでしょ?(笑)」
「男同士で間接キスもくそもあるか;」
すかさず茶化す入江に呆れた顔でツッコむ鬼。
しかし跡部は真っ赤になって立ち上がった。
「やっぱり代わりを持ってきます…!」
だが、走りだそうとする跡部の手首を徳川が掴んだ。
「いい。そんな状態でいけば水をこぼすか、悪くすればグラスを落として割る」
座ってろ、と言って、徳川は自分でグラスを取りに行った。
跡部は可哀想なくらいにしょげ返り、さすがに鬼が「気にするな、アイツも怒ってやしねえから」とフォローしてやった。
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戻ってきた徳川は跡部の様子に気づき、入江と鬼に視線を向けた。
「徳川が冷たい言い方したから気にしてしょげてるんだよ」
入江が苦笑混じりに答えた。
「なぜ? 俺は自分のグラスを自分で取りに行っただけだ。その方が危なげない。そう言ったと思うが?」
徳川は直接跡部に疑問を投げかけた。
(6に続く)
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