跡部の悩み・3
「ああ? 徳川が実は皆に親切だ?; それはねえぞ;」
「うん、無いね。…ねえ?」
急に話を振られた隣のテーブルの高校生達は、それでも思い切り頷いた。
「はい! 無いっス!;」
「あるわけねえだろ。誰だよ、そんな寝言言うのは;」
「…だそうだよ?」
「そうですか。じゃあ、嫌われてはないですか…ね?」
「むしろ好かれてると思わないの? この合宿所で徳川に親切にしてもらった人なんていないよ?」
「そうですか?」
「うん、たぶんね」
跡部はホッとしつつも、また眉を寄せた。
「じゃあ…なんで名前を呼ばないんだろう;」
「なんだ、名前を呼んでほしいのか? 俺から言ってやってもいいぞ」
「それはやめてください! 徳川さんに悪いし、それに強制で変わっても意味ないし…;」
言ってる事は「私のこと好きでもないのに誰かに強制されてデートして貰っても意味ないわ」と言ってる女子のようである…。
「ふぅん。まあ、たまたまだろうけどね。でもさ、じゃあ跡部くんは徳川に何て呼んで欲しいの?」
「え…普通に『跡部』って」
「『跡部くん』は?(笑)」
「アイツのキャラじゃねえだろうが;」
想像するだけで寒い。
「でもさあ、跡部くんだって呼び方分けてるじゃない?」
「え?」
「鬼だけ『先輩』で他は『さん』付けでしょ?」
「ああ?そうか? 俺だけだったか?」
「うん。ね、なんで?」
跡部は即答した。
「コートが一緒だから」
「分かりやす…っ;」
「それが理由かよ;」
聞き耳を立てていた近くの跡部ファンの高校生が脱力した。
(4に続く)
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