落とし物・4
それからしばらくして、跡部のトレイに夕食が一式乗せられた時には、食堂は超満員で空席を探すのは一苦労の状態だった。
誰もがそうだろうが、跡部は特に満員のゴミゴミした状態が嫌いだ。
自宅の広いダイニングルームやレストランでも貸切やら特別席やらのゆったりした空間で食事するのに慣れた跡部にとって、「席を探す」ということ自体が既に苦痛なのだ。
跡部「確か橘のとこが神尾と2人だったな…」
視線を向けたが、そこには既に石田と千歳が座っていた。
跡部「ちっ…!」
再び苛つきだした跡部。
その肩を「おい」と掴む者がいた。
跡部「ぁあ?」
不機嫌さを隠しもせずに眉間に皺を寄せたまま振り向く。するとそこにいたのは…。
鬼「お? なんだ、機嫌が悪いな」
跡部「お…鬼先輩!;すみません!;」
鬼「席が見つからんなら、こっちに来いや。空いとるぞ」
この食堂は四人掛けのテーブルが置かれているが、リーダートリオが座った席はまず満席にならない。
跡部「ありがとうございます。助かります」
鬼「いいってことよ」
席も見つかり、慕っている鬼との同席でもあり、跡部にとっては一石二鳥というところだ。
席につくと入江は「やあ」と小さく手を挙げ、徳川はチラリと見ただけですぐに食事を続けた。
このあたりは相変わらずだ。
(4に続く)
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