高校生のその事情・13
「ちなみに僕と徳川も不参加だからね。あと、当然コーチも無関係。君が来る直前に見回りに来ただけだから」
さすがにコーチまで巻き添えにする訳にはいかない。
お遊びで師弟関係まで壊すのはやりすぎだと、高校生全員が分かっている。
「だけどさ、跡部くんこういう話にちょっと疎すぎるんじゃない?」
「…いけませんか」
「いけないっていうか、君自身が困ると思うよ。いくら嫌がっても、実際君はそういう目で見られやすい方だから、自覚しといた方がいい」
「そんな事言われても…」
「無知は罪って言葉があるでしょ。もう中3なんだから、少しはそういう事にも興味持ったら? あんまり知らなすぎるのも恥ずかしいよ」
「………っ」
跡部はキュッと唇を噛んで俯いた。
今まで無知だと責められた事など、ただの一度も無い。
しかもテニスでも一般教養でもなくこんな事で、それもこんな大勢の前で…と、ただ悔しくて、自然と目の奥が熱くなった。
ポタッ…。
小さな音を立てて、床に一つ染みができた。
「あー、入江が泣かせた~!」
「カワイソー」
囃し立てる声に煽られて、余計に涙が溢れてきて止まらなくなる。
見かねた両コーチが何か言いかけた時、入江の隣でガタンと立ち上がる音がした。
ツカツカと真っ直ぐに跡部に歩み寄り、彼はそっと頭に手を置いた。
(14に続く)
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