高校生のその事情・10
「実は最近悩みがあって…その悩みというのが、こちらにいる高校生の事なんです」
「はぁ。どんな事ですか?」
「それが、なんだか合宿所に来てからやたらとジロジロ見られて…。いや俺は他人に見られるのは割と慣れてるんですけど、でもちょっと気持ち悪い目つきの人とかいて…;」
「…そうですか」
「何ていうか、生意気だから痛めつけてやろうとかそういう感じの目じゃなくて…よく分からないんですけど、とにかく気持ち悪い感じで…嫌なんです;
齋藤コーチはメンタルコーチだし、それで相談をと思って来たんですけど…。
…っていうかよ!アンタら何で俺の事やたらとジロジロ見んだよ!? ああ!?#」
既にコーチへの相談でなく当人達への抗議になっている。
103人の高校生を相手に睨みつける跡部はやはりそれなりにいい度胸をしていると言えた。
しかし、コーチ達は何と言っていいか困った。
真実を告げれば別の理由で更に跡部を悩ます事になるからだ。
内容が内容だけに、本当に「健全なテニス少年」である跡部に告げるのはあまりにあまりといえた。
だが、跡部がふと足元に落ちている紙に気づいた。
「…あ。何か落ちてますが、コーチの資料ですか?」
それは、さっき急いで片付ける時に一枚取り落としたアンケート用紙だった。
「ま、待て!跡部っ!;」
屈んでそれを拾う跡部に、ほぼ全員が真っ青になった
(11に続く)
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