破竹の7連勝清水を止めた横浜FC、1年でJ1復帰なるか “上昇気流”が期待できる「3つのポイント」【コラム】
四方田イズムでハードワーク「ここ一番で力の発揮できるチーム」
3つ目はブラジル人選手を含めたハードワークだろう。今季の横浜FCには最終ラインに陣取るカブリエウ、ボランチのユーリ・ララ、アタッカーのカプリーニら複数の外国人選手がいるが、彼らが総じて献身的にプレーできるのだ。 「清水戦はブラジル人選手含めて守備の意思統一が90分間できていた。みんな最後まで体を張ってゼロに抑えることができたし、ピンチもあったけど粘り強く戦えた」と福森もポジティブな発言をしていたが、これだけの一体感が持続できれば、自ずと結果もついてくるはず。総失点9というリーグ最少失点の守備は最大のストロングに違いない。 「自分は『このサッカーしかやらない』という監督ではなく、『目の前にいる選手の良さを引き出していこう』と考えるタイプ。チームの一体感や戦う姿勢を非常に大事にしていますし、ここ一番で力を発揮できるようなチームを目指しています。昨季の戦い方から『守備的なサッカー』のイメージが強いかもしれませんが、守備で重視しているのは、いかに組織的にボールを奪うか、いい守りをするか。そのうえで、素早く攻めることをテーマにしていて、奪った後の速攻は特に大事にしています」 四方田監督も今季開幕前に自身のポリシーをこう語っていたが、そのコンセプトが浸透しつつあるのは確か。清水戦では堅守速攻が大いに光っていた。それを研ぎ澄ませ、どういった相手に対してもしっかり守って鋭く一刺しができるようになれば、清水や長崎に肩を並べる日も近そうだ。期待を持っていいだろう。 今後の横浜FCは、5月22日のYBCルヴァンカップ・名古屋グランパス戦を挟んで、ヴァンフォーレ甲府、愛媛FC、徳島ヴォルティスといった負けられない相手との試合が続く。ここで連勝し、6月末の22節終了時点でJ1昇格圏の2位以内に到達している状況が理想的。彼らの中盤戦以降の動向から目が離せない。 [著者プロフィール] 元川悦子(もとかわ・えつこ)/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。
元川悦子 / Etsuko Motokawa