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川口市は「共生」のモデルになり得る 3月にトルコを訪れ、その調査旅行について政治社会学会で報告した。その報告が産経新聞に掲載され、日本維新の会の衆議院議員、高橋英明氏から声がかかった。先日に議員会館を訪問し、川口市のクルド人に関する問題についても意見交換した。僕自身も川口市を訪れ、報道で話題になっている公園や「ヤード」などを見た。 現状では、一部のクルド人の迷惑行為やルール違反と、それに対する地域住民の強い不満が問題となっている。しかし、問題の根本を探ると、もっと深い絡み合った原因が見えてくる。 まず、経済面では、過去30年の外国人労働者政策の歪みがある。日本の労働力不足を背景に、ビザ不要で入国できるトルコ(クルド)人がオーバーステイで不法就労し、解体業などに従事してきた。政府による統合支援策がない中で、川口市が先進的な共生政策を採りながら負担を担ってきた。 難民認定制度にも問題があった。2000年頃まで、日本の難民認定制度は非常に厳格で、クルド人を含め認定者はごく少数だった。支援団体の活動により、2004年に入管法に「送還停止効」が導入され、難民申請中の送還が一律で禁止された。しかし、後になって犯罪を犯した者などが難民申請を利用して送還を免れる想定外のケースが増えた。 2010年には難民申請後6か月で就労が許可され、難民申請を繰り返すことで長期間働けるようになった。2~3万人が働いていたと思われ、「外国人労働者は受け入れない」という政府の政策の裏に穴が開いた。 その結果、難民性がなくても難民申請を繰り返すことで「送還停止効」により送還されず、長期の収容や「仮放免」が行われるようになった。「仮放免」では就労が認められないが、「不法就労」や仮放免中に「逃亡」するケースが増えた。親が不安定な生活を続ける中、日本で生まれ育った子供たちの中には不修学だったり、帰国しても適応が難しい状況にある者が生まれた。 一部のメディアは「クルド人は今もトルコで迫害されている」という前提の上で報道するが、昨年のトルコ人(クルド人)2400人の難民申請者のうち、500人近くが自発的に帰国している。今では「迫害論」は根拠がない。メディアは「日本育ちで帰国できない可哀そうな子供たち」も取り上げるが、子供たち100数十人には親と共に日本で暮らせる在留特別許可が出されている。しかし法遵守意識の強い日本では子供を盾に取った帰国拒否は非難の対象となり、「ヘイト」や反難民の動きすら生んでいる。秩序維持と人道配慮の両立はさらに難しくなった。 こうした状況の中、政府は昨年6月に入管法を改正し、「送還停止効」に例外を設けた。3回以上の難民申請は原則として認められず、申請者は送還対象となる。来たる6月10日以降、強制送還が始まり、これに対する支援団体の反発も予想される。事態はいずれ落ち着くだろうが、時間はかかるだろう。 「川口問題」を解決するためには、クルド人の経済的貢献を認め、政府による統合支援策を強化し、文化的多様性を尊重することが必要だ。法的社会的ルールの遵守は当然だ。メディアにはトルコ本国での取材を含む俯瞰的でバランスの取れた報道姿勢が求められる。 これらが実現できれば、川口市は「外国人との共生」のモデル都市となり得る。 ♯クルド人 ♯川口市 #難民制度 ♯強制送還
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東洋英和女学院大学名誉教授/元UNHCR本部財務官・同駐日代表、ケア・ジャパン副理事長 Professor Emeritus, Toyo Eiwa University, Former UNHCR Japan Representative, Vice Chair CARE/Japan.
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