23 Intermission 9 引越し
2012.06.12 (Tue)
と、言うわけで、我々タイプゼロシスターズはこのたびオーストラリアの大地を離れ、魂の故郷である日本の大地へと足を踏み入れたのでした。
「誰に向かって話してるのスバル?」
「うん? 何か電波がお約束を守れって」
「……そう?」
うん、ギン姉はちょっと大人び出して、途端に綺麗になってきた。
その豊満な胸元も、正直たまりませんなぁ。
「……えっち」
「はっ、アタシは一体何をっ!! いや、ギン姉、そのポーズは拙いからっ!!」
気づけばギン姉の胸元を凝視していた。それに気づいたギン姉が胸元を隠すように両腕で……。
その結果、より強調されたその豊満なお胸様。四方を見れば……あーあー、被害者らしき前かがみ男児が。
まぁ、幸い今の時代は女権主義だ。こういう無防備な女の子二人な現状だけど、私の知ってる時代みたいなナンパは……
「ヒュー、ネェネェ彼女達、俺達とお茶シネェー?」
なんなんだよ! フラグが!! 私がネーヨって言ったら有る有るなのかっ!! じゃネーヨって言ったら消えるのかっ!!
「あ、あのっ、困ります」
「イージャンイージャン、俺美味しいピザ屋知ってるからサァ!」
いや、女の子お茶に誘ってピザ屋って如何よ? というかそもそもお茶しないかって何時の時代の誘い文句なんだか。「こういう連中って、時代が変わっても居るのねぇ」
「ちょ、スバル」
「はぇ? って、あ」
「おいおいジョーちゃん、そりゃ如何いう意味だよ」
「いや、女の子の誘い方を知らない御仁だなー、と」
「なっ」
拙い。口から思わず出てしまっていた。ら、此方に声を掛けてきていたパツキンは口元を引きつらせ、その隣に居たグラサンがなにやら驚いたような顔をしていた。
「……こ、この百戦錬磨の東吾君に向かって、センス無いだとっ!!」
「確かに雌犬に“梓”とかわかれた彼女の名前を付けるような、正直どうかと思うセンスの持ち主の東吾君に向かってセンス悪いだとブルアァァァァァァァァアアアアァツ!!!!!」
「手前等おちょくってんのかあ”あ”っ!!」
うーん、見事な突っ込み。と言うか、手首のスナップが素人のそれじゃないね。
このパツキン、何か武術でもやってたんだろうか。
「――けほん。それで、彼女達、ちょっと付き合ってくれよ」
「なかった事にする気か」
「な、いいだろ? 美味しいカフェ知ってるんだ」
おや、ちょっと学習したみたいだ。
まぁ、これ以上私が前に出るのも何か違う気がする。折角なのでここは、ナンパ君に絡まれて困惑するギン姉の可愛らしいお顔を観察……。
「なぁなぁ」
「っ」
ギン姉に向かって手を伸ばしたナンパ君の腕を、咄嗟に掴み取る。
流石にそういう直接的な接触をするのは止めて欲しいんだけど。
「いててっ、手前、何しやがる!」
「あっ……」
とか思ってたら、ちょっと加減を間違ったらしい。
ついつい姉妹内でのやり取りでの出力でやっちゃった所為で、対人には少し威力が過剰だったらしい。
振り払うようにしたパツキンの腕。ついつい気を抜いていた私の体が流れるように飛ばされた。
あー、私の体、新素材開発のついでに、素材交換で軽量化して軽くなってるから……。
ドンッ、という衝撃が背中から走る。
「スバルっ!!」
慌てたようなギン姉に抱き起こされる。いや、私戦闘機人だから。この程度じゃ動作に問題は無いから。
でも拙い。今すぐに立ち上がるのは、ちょっといや。いや、動けなくは無いんだけど、今急に動いちゃうとダメージが残る気がする。でも、そうなるとこのナンパ君は……。
「オマワリさーん!! こっち!! 女の子が襲われてマース!!」
とか思ったら、突如として何処かから聞こえてくるそんな声。
女の子が襲われてる……うーん、表現は何かエロいけど、まぁ間違っては居ない……し?
と、泡を食ったように逃げ出すナンパ君達。
いや、捨て台詞に「覚えてやがれ」は無いと想います。もう会う事も無いと思うし。
とりあえず、コレでこの騒動は一件落着なんだろう。
そう思って、思わず小さく吐息を吐いた。
の、だけれども。
「おい、お前ら大丈夫か?」
そんな声と共に駆けつけてきたのは、シャツにジーパンとラフな格好をしたひとりの青年――いや、少年か。
中学生くらいの男の子が一人、此方を心配した様子で駆け寄ってきた。
「す、スバルが……!!」
「大丈夫だって、ギン姉」
「いや、頭打ったのか? なら無理に動かないほうがいい」
そういって、自然に私の頭に手を置いてくるその少年。
……うん? 何か、私のセンサーに反応してる……?
「おうイチカ、そっちは如何だ?」
「うん、この子のほうが頭打ったみたいで……」
「なぬっ、そりゃ拙い……ふむ、此処なら、病院よりもうちの店のが近いか」
「いいのかダン?」
「怪我した女の子を見捨てるなんて、俺の矜持に反するからな!!」
……あれぇ?
そうして気づいたときには、私は見知らぬ少年の家にお邪魔する事が確定していた。
何でもその少年……ええい、ダン君の家は食堂をやっているらしく、昼も過ぎてひと気も疎らだったため、畳の一角を貸してもらえたのだとか。
「ダン、手前女の子を助けてくるとはやるじゃねーか!」
「心残りは、女の子を突き飛ばした糞ヤローに報復できなかった事なんだけどな」
「けっ、そんなのぁ次あったときに握り拳を叩き込んでやりゃいいのよ!!」
私は突っ込まない。入れないったら入れない。
「織斑一夏クンっていうの」
「ああ。そっちは?」
「私はギンガで、コッチがスバル。ギンガ・スカリエッティとスバル・スカリエッティよ」
つ、突っ込んじゃ駄目だ。突っ込むな私!!
「い、一夏さん……女の子を連れ込んで……」
「ファイトよ蘭、コレを持っていって母性をアピールするのよ!!」
「お母さん……解った、私頑張る!!」
(プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル)
「? スバルどうかした?」
「なんでもないよ。――ふぅ、もう大丈夫」
そういいながら身を起こす。一応全身にスキャンをかけてみたけれども、何処にも異常は無い。うん、既に平常稼動は十二分に可能だ。
「えっと、織斑君だっけ? 助けてくれてアリガトね」
「おう、でも頑張ったのはダンだし、礼はアッチに頼む。それと俺のことは一夏でいいから」
「うん、一夏。ダンくん? にもお礼言っとくよ」
……織斑……一夏……。
何でこんな所で本編主人公と邂逅してしまうのか。
コレも世界の補正か。それとも一種の恋愛原子核性質の影響か。
いや、私が魅かれることは無いと思うけど、ギン姉を確りガードしなきゃ……。
ふとギン姉に視線を向けてみる。
キョトンとした表情で首をかしげるギン姉。
……ふむ。天然のギン姉には耐性があるみたいだ。
「あ、ダン! もう大丈夫みたいだぞ」
「おっ、そうか、ちょっと待ってろよ~」
まぁ、ギン姉が取られなければなんでもいいのだけれども。
なんてぼんやり思いつつ、一夏が弾にむけて声を掛けているのを、やはりぼんやりと眺めているのだった。
そうして、その翌日。
転校した街の公立中学校にて。
「それじゃ、今日は転校生を紹介しまーす。スバルちゃん、どうぞ~」
ガラガラガラ、と音を立てて開く引き戸。
渡されたチョークでカツカツと黒板に名前を書いて、と。
--Subaru Scaglietti
「スバル・スカリエッティです。よろしくお願いします」
言葉と共に一礼。うん、私ながら見事な挨拶だったと思う。
「それじゃ、スバルさんは後ろの「「あ”あ”あ”------!!!」」ひゃうっ」
「って、ぁあっ!?」
大声を上げた馬鹿二人を見て、私も思わず声を漏らしてしまう。
なんとまた陳腐な……。
「何? 何々!? また女なのっ!?」
呆れたように妙な声を漏らす私の傍ら、なにやら妙にパニックを起こすツインテールの少女が居たり。
「誰に向かって話してるのスバル?」
「うん? 何か電波がお約束を守れって」
「……そう?」
うん、ギン姉はちょっと大人び出して、途端に綺麗になってきた。
その豊満な胸元も、正直たまりませんなぁ。
「……えっち」
「はっ、アタシは一体何をっ!! いや、ギン姉、そのポーズは拙いからっ!!」
気づけばギン姉の胸元を凝視していた。それに気づいたギン姉が胸元を隠すように両腕で……。
その結果、より強調されたその豊満なお胸様。四方を見れば……あーあー、被害者らしき前かがみ男児が。
まぁ、幸い今の時代は女権主義だ。こういう無防備な女の子二人な現状だけど、私の知ってる時代みたいなナンパは……
「ヒュー、ネェネェ彼女達、俺達とお茶シネェー?」
なんなんだよ! フラグが!! 私がネーヨって言ったら有る有るなのかっ!! じゃネーヨって言ったら消えるのかっ!!
「あ、あのっ、困ります」
「イージャンイージャン、俺美味しいピザ屋知ってるからサァ!」
いや、女の子お茶に誘ってピザ屋って如何よ? というかそもそもお茶しないかって何時の時代の誘い文句なんだか。「こういう連中って、時代が変わっても居るのねぇ」
「ちょ、スバル」
「はぇ? って、あ」
「おいおいジョーちゃん、そりゃ如何いう意味だよ」
「いや、女の子の誘い方を知らない御仁だなー、と」
「なっ」
拙い。口から思わず出てしまっていた。ら、此方に声を掛けてきていたパツキンは口元を引きつらせ、その隣に居たグラサンがなにやら驚いたような顔をしていた。
「……こ、この百戦錬磨の東吾君に向かって、センス無いだとっ!!」
「確かに雌犬に“梓”とかわかれた彼女の名前を付けるような、正直どうかと思うセンスの持ち主の東吾君に向かってセンス悪いだとブルアァァァァァァァァアアアアァツ!!!!!」
「手前等おちょくってんのかあ”あ”っ!!」
うーん、見事な突っ込み。と言うか、手首のスナップが素人のそれじゃないね。
このパツキン、何か武術でもやってたんだろうか。
「――けほん。それで、彼女達、ちょっと付き合ってくれよ」
「なかった事にする気か」
「な、いいだろ? 美味しいカフェ知ってるんだ」
おや、ちょっと学習したみたいだ。
まぁ、これ以上私が前に出るのも何か違う気がする。折角なのでここは、ナンパ君に絡まれて困惑するギン姉の可愛らしいお顔を観察……。
「なぁなぁ」
「っ」
ギン姉に向かって手を伸ばしたナンパ君の腕を、咄嗟に掴み取る。
流石にそういう直接的な接触をするのは止めて欲しいんだけど。
「いててっ、手前、何しやがる!」
「あっ……」
とか思ってたら、ちょっと加減を間違ったらしい。
ついつい姉妹内でのやり取りでの出力でやっちゃった所為で、対人には少し威力が過剰だったらしい。
振り払うようにしたパツキンの腕。ついつい気を抜いていた私の体が流れるように飛ばされた。
あー、私の体、新素材開発のついでに、素材交換で軽量化して軽くなってるから……。
ドンッ、という衝撃が背中から走る。
「スバルっ!!」
慌てたようなギン姉に抱き起こされる。いや、私戦闘機人だから。この程度じゃ動作に問題は無いから。
でも拙い。今すぐに立ち上がるのは、ちょっといや。いや、動けなくは無いんだけど、今急に動いちゃうとダメージが残る気がする。でも、そうなるとこのナンパ君は……。
「オマワリさーん!! こっち!! 女の子が襲われてマース!!」
とか思ったら、突如として何処かから聞こえてくるそんな声。
女の子が襲われてる……うーん、表現は何かエロいけど、まぁ間違っては居ない……し?
と、泡を食ったように逃げ出すナンパ君達。
いや、捨て台詞に「覚えてやがれ」は無いと想います。もう会う事も無いと思うし。
とりあえず、コレでこの騒動は一件落着なんだろう。
そう思って、思わず小さく吐息を吐いた。
の、だけれども。
「おい、お前ら大丈夫か?」
そんな声と共に駆けつけてきたのは、シャツにジーパンとラフな格好をしたひとりの青年――いや、少年か。
中学生くらいの男の子が一人、此方を心配した様子で駆け寄ってきた。
「す、スバルが……!!」
「大丈夫だって、ギン姉」
「いや、頭打ったのか? なら無理に動かないほうがいい」
そういって、自然に私の頭に手を置いてくるその少年。
……うん? 何か、私のセンサーに反応してる……?
「おうイチカ、そっちは如何だ?」
「うん、この子のほうが頭打ったみたいで……」
「なぬっ、そりゃ拙い……ふむ、此処なら、病院よりもうちの店のが近いか」
「いいのかダン?」
「怪我した女の子を見捨てるなんて、俺の矜持に反するからな!!」
……あれぇ?
そうして気づいたときには、私は見知らぬ少年の家にお邪魔する事が確定していた。
何でもその少年……ええい、ダン君の家は食堂をやっているらしく、昼も過ぎてひと気も疎らだったため、畳の一角を貸してもらえたのだとか。
「ダン、手前女の子を助けてくるとはやるじゃねーか!」
「心残りは、女の子を突き飛ばした糞ヤローに報復できなかった事なんだけどな」
「けっ、そんなのぁ次あったときに握り拳を叩き込んでやりゃいいのよ!!」
私は突っ込まない。入れないったら入れない。
「織斑一夏クンっていうの」
「ああ。そっちは?」
「私はギンガで、コッチがスバル。ギンガ・スカリエッティとスバル・スカリエッティよ」
つ、突っ込んじゃ駄目だ。突っ込むな私!!
「い、一夏さん……女の子を連れ込んで……」
「ファイトよ蘭、コレを持っていって母性をアピールするのよ!!」
「お母さん……解った、私頑張る!!」
(プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル)
「? スバルどうかした?」
「なんでもないよ。――ふぅ、もう大丈夫」
そういいながら身を起こす。一応全身にスキャンをかけてみたけれども、何処にも異常は無い。うん、既に平常稼動は十二分に可能だ。
「えっと、織斑君だっけ? 助けてくれてアリガトね」
「おう、でも頑張ったのはダンだし、礼はアッチに頼む。それと俺のことは一夏でいいから」
「うん、一夏。ダンくん? にもお礼言っとくよ」
……織斑……一夏……。
何でこんな所で本編主人公と邂逅してしまうのか。
コレも世界の補正か。それとも一種の恋愛原子核性質の影響か。
いや、私が魅かれることは無いと思うけど、ギン姉を確りガードしなきゃ……。
ふとギン姉に視線を向けてみる。
キョトンとした表情で首をかしげるギン姉。
……ふむ。天然のギン姉には耐性があるみたいだ。
「あ、ダン! もう大丈夫みたいだぞ」
「おっ、そうか、ちょっと待ってろよ~」
まぁ、ギン姉が取られなければなんでもいいのだけれども。
なんてぼんやり思いつつ、一夏が弾にむけて声を掛けているのを、やはりぼんやりと眺めているのだった。
そうして、その翌日。
転校した街の公立中学校にて。
「それじゃ、今日は転校生を紹介しまーす。スバルちゃん、どうぞ~」
ガラガラガラ、と音を立てて開く引き戸。
渡されたチョークでカツカツと黒板に名前を書いて、と。
--Subaru Scaglietti
「スバル・スカリエッティです。よろしくお願いします」
言葉と共に一礼。うん、私ながら見事な挨拶だったと思う。
「それじゃ、スバルさんは後ろの「「あ”あ”あ”------!!!」」ひゃうっ」
「って、ぁあっ!?」
大声を上げた馬鹿二人を見て、私も思わず声を漏らしてしまう。
なんとまた陳腐な……。
「何? 何々!? また女なのっ!?」
呆れたように妙な声を漏らす私の傍ら、なにやら妙にパニックを起こすツインテールの少女が居たり。
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