FC2ブログ

18 Intermission 4

2012.06.12 (Tue)
「ですから、Nextと既存のIS……まぁ、本社ではNormalとされてるんですけど、このNormalとNextの最大の相違点は、粒子ジェネレーターの有無です」
「その粒子ジェネレーターってのが今一わからんのよな。所謂一種の粒子加速器を小型化したもので、其処からエネルギーを取り出せる、って言うのはわかるんだが」
「小難しい理論は流石に此処では勘弁を。まぁ、電力を粒子出力としてチャージできる蓄電池、見たいなものです」

実際には、スターターから一瞬莫大な起電力を得、起動した粒子ジェネレーターが少しずつ減衰しながら稼動し続けると言うものだ。
起電力に比べ、粒子から得られるエネルギー利率が圧倒的であるとか。
電力で粒子をチャージしているわけではないので、蓄電器というのも少し違う気はするけれど。

「それ、ジェネレーターって名前は変じゃないか?」
「変ですよねぇ。変えよう、って言ったんですけど、私が言い出したときには既にジェネレーターで定着しちゃってたんですよ」



訪れたAMI本社。
オーストラリア政府から直接的な経済支援を受けていたこの会社は、今や独立した一つの会社ではなく、その利権の半分をNC、半分をトーラスに握られるまでに落ちぶれてしまったらしい。
私が宇宙と地上を往復している間に一体何があったのかと言うと、コレがまた情け無い話で、AMIは新型ISの開発に失敗したのだそうだ。

なんでもCBFinオーストラリアの結果を見たAMIの運営陣が「コアラは未だいける!」とか判断してしまったらしく、その結果「コアラ2式」の開発が計画。その結果できたのはガラクタ。結局、次期オーストラリア軍主力候補を競うコンペ、その第一段階で蹴落とされてしまったのだとか。

簡単に言うと、「貴様等の頑張りすぎだ!」ったのですね。コアラ1とコアラ2哀れ。

そういうわけでトーラスとNCの両者に経営権を握られ、ほぼ両者の共同出資子会社のような扱いのAMIだが、此処は何せ国営だ。それでもやっぱりしぶとく生き残る。
ISコアラの生産ラインを完全に破棄し、コンペで最優秀に選ばれた機体を量産する事になった。

――IS、Next A-10だ。

因みに製造はNC。つまりウチだ。
ドクターがネタで作り上げた渾身の一品。ジョークの心算でコンペに参加させたら、何故か採用されてしまったのだとか。
ドクターが真剣にorzしているところなんて初めて見た。

因みにコレが受かった理由だけど、
・安い
・落ちない
・バカみたいな攻撃力
の三点が最も力強かったらしい。
安くて硬くて強ーいのだ。まさに無敵である。

因みにコレが採用されるに当たってドクターが米国の某企業に連絡を取ったところ、
「版権料? 流石に請求できないね。寧ろよく此処まで見事に仕上げてくれた!」
と感謝されたらしい。うーん、世界各国に存在する変態企業。

因みにメインウェポンは30ミリガトリングガン「アヴェンジャー」だ。
まるで何処かのサーヴァントみたい……いや、そういえばセイバーって戦闘機もあったような……。

更に因みに、トーラスからはNext化されたアルギュロス改が出品されていた。ジェネレーター周りと機動性が向上したトーラスは、某管理局の白い魔王様化していた。
残念ながらコストが馬鹿げているという点が拙かったらしく、正式採用には至らなかった。
但し、その優れた技術力は認められ、技術開発に関してはちゃんと報酬が出ているらしい。
Nextも一機売れるごとに基幹技術の使用料が入るしそもそもあの会社技術者以外殆ど居ない少人数制だから、あの会社はあれで黒字運営だ。

閑話休題。

「つまり、別口の電池、って解釈はそのままなわけ。因みにコレの充電はISコアから出来るよ。ただ、シールドエネルギーの回復にプラスアルファされるから、時間が無いときは業務用コンセントをブッ挿す事をオススメするね」
「業務用コンセント……って、挿せるの?」
「規格の共通化は既に」
「完璧だ」
「光栄の極み」

何やってんだ私は。

とりあえず一通りA-10の説明を終え、コアラ2――マリアさんの下へと脚を進める。

「もう説明は終わったのか?」
「うん。といっても、技術的なところはやっぱり触ってナンボだからね」
「ふん――そんじゃ、俺の方に付き合ってもらうぞ?」
「おkおk」

言いつつ、マリアさんから少しだけ距離を置く。
マリアさん――CBFinオーストラリアで、コアラ改二号機を操っていた超絶技能持ち操縦者だ。
彼女はAMI所属のパイロットであると同時に、国家代表でもあるのだとか。
リーリン――一号機のパイロットの方はというと、マリアさんのお師匠様的な存在で、先代の国家代表だったのだそうだ。
うーん、やっぱり只者ではないと思ってたけど。

「――おい、セカンド。ちゃんと見てるか?」
「っ、あ、ゴメン。すぐ見る」

そうしていつの間にか展開されていたIS、Next A-10を前に、慌てて機体に手を接触させる。
然し、赤茶色のカラーリングって如何よ?

「――っ」

Next A-10との疑似接続を開始。
NMSS、νGによる中継、接続補助。
――リンク形成完了。ステータスチェックを開始。

「――ふむ。なるほど、確かに少しズレが有る」
「だろ? 多分だけど、ISコアのほうが追加されたジェネレーターをちゃんと認識できてないんじゃないかと思うんだが」
「ふむ?」

――ISを経由してフォトンジェネレーターへアクセス要求。
――アクセス要求の拒否を確認。ブラックウォールを確認。

「あちゃぁ」
「解ったのか?」
「多分ですけど、ジェネレーターの方に設置されてるブラックボックスですね。コレに引っかかったのかと」

量子ジェネレーターは、いわばNextの基幹技術の一つだ。
量産する以上機密確保は難しくなる。そのため当然ブラックボックスの設置は必須。
然しまさか……ISコアにすら読み解けないブラックボックスを設けるとか。トーラスは何考えてるんだか。
アレか? 篠ノ之博士対策かな?

科学者達の御伽噺。ISコアの解析、進みすぎた技術の開示、篠ノ之一派へのチョッカイ。以上の行動を取った、ないし取ろうとした存在は、謎の魔手により社会から物理的に抹殺される。
――業界の御伽噺ですよ……。
とか。如何考えても某兎の仕業です。
アレに臆したか、または兎側に情報が抜ける事を恐れたか。まぁ、どちらにしても面倒極まりない事態であることには変わりない。

さて、どうした物か。
セキュリティを外す――のは少し問題がある。流石に此処まで隠しているものを、私の一存で公開してしまうのは拙いだろう。

それじゃ、どうするか。ISコアを誤魔化すしかあるまい。

リンクを通してISコアに語りかける。
――コレは異物ではなく、新しいあなたのパーツ。中は理解できないかもしれないけど、効果はわかるでしょう。つまりコレはそういうものなのだと理解出来ればいいのだから。

理解しようとして出来ないから、ISはジェネレーターに対して拒絶反応を示す。
なら、そもそも理解しなければいい。それだけの話。

「よし、コレでなんとか。後は回数こなしてやれば、ISのほうも次第に馴染んでくるかと」

なんとかISコアを説得して、ジェネレーターへの異物感を堪えてもらう。
まぁ、コレでも駄目ならそのうちジェネレーターの問題に関してトーラスに相談しなけりゃならないんだけど。
うん、でも不思議だ。今までジェネレーター搭載型に関して、こういったトラブルは報告されて無いんだけどなぁ?

――――――、――――。
「――あぁ、なるほど」

考えていたら、νGから思わぬ返事が返ってきた。
なるほど、あの超絶的な細やかな操縦者と共に有ったISコアだ。その操縦者同様細やかな技術に傾倒しているのは理解できる。
ましてマリアさんは前衛職。自分の体に違和感があれば、その原因は確りと調べるべきだ。そしてそれは彼女のISも――。つまり、そういう事なのだろう。


「うん、なるほど。ちょっと違和感がマシに成ってきたな」
「ですか。まぁ、その子は貴女に似てとてもいい子です。良く馴染ませれば、きっと凄い子になりますよ」
「い、いい子て……まぁ、いいさ。そうだセカンド、折角だから模擬戦していかないかい?」

この子の慣らし運転に丁度いいだろう? とマリアさん。
うーん、地上での性能試験はそういえばやってなかったなぁ、と。
現在のISの主戦場は、やはり地上。一度くらいはちゃんと地上でもやっとくべきか。

「よし、それじゃやりましょうか」

言って、IS νGを展開する。
モノクロの装甲に、顔を覆うバイザー。何より特徴的なのは、額から伸びる金色のV字アンテナ。

「――なんか、前のと大分違うな」
「うん。RAYは前のあれで大破したからね。今回のはうちの――特に、私の持てる技術と知識と発想を全てつぎ込んだ、汎用型の第三世代IS、規格名はNMSS。νG!!」
「――あぁ、νガンか。Nextじゃないのか?」
「うん。NMSSって規格で、こじんまりとやってます」

どうやら知っているらしい。オーストラリアのジャパニメーション汚染は結構酷いのかもしれない。

「然し、FF(フィン・ファンネル)が無い様だけど……?」
「現在イギリスと交渉中。BT兵器を入手次第、調整してとっつけようかな~って」
「ふむ。あの国は溜め込みはするけど、放出は滅多に……。まぁ、期待してるよ」

そうして、二機揃ってゆっくりと試験用アリーナの中央へと移動する。
ワクテカする研究者達は空気を読んだらしく、資材一式をガラガラと引きずりバックヤードへ。

それを確認しつつ、アリーナの中央で滞空して互いに構える。
此方の手にはSLMk.Ⅱと楯。
相手の手には、30mmガトリングガン一丁。

『それでは、コレよりIS、Next A-10対、IS、NMSS νGの試験戦闘を開始します』

そうしていつの間にか司会席に座った研究者の一人が、威勢よく声を上げる。
全く、こういう時だけノリノリになる。いいんだけどさぁ。

『ISファイト、レディィィィィィィィ、ゴオオオオオオオオオォォォォオォォォオオウウウ!!!!!!!』

「まって、それなんか違う!!」
「おぉぉぉぉお!!!!」
「ちょ、えええ!!??」

思わず司会に突っ込みを入れて、けれど問答無用で攻撃を開始するマリアさんに圧されて。

「ええい、もう知らん!!」

とりあえず、試合に集中すべくライフルを撃ち放つのだった。

スポンサーサイト




トラックバックURL
http://amane0130.blog.fc2.com/tb.php/41-92927fc7
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top