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08 CBF in Australia・二日目その2

2012.06.08 (Fri)
と言うわけで、現在地底に潜みながら、リガズィーとアルギュロスの戦いを眺めています。
いやぁ、何気に第三世代二機が予想よりも大分先に進んでて結構焦った。コアラ改? あの二機はリガズィーとアルギュロスの通った密度の薄い部分を全速力で突破してます。
うーん、本部から送られてくるバイタルデータを見るに、第三世代の二人は凄いね。トーレ姉は戦闘機人で、睡眠時間もそれほど要らないからほぼ平時のバイタルというのはまだ理解できる。
然し、なんだこのアルギュロスのパイロット。稼働状況はトーレ姉のリガズィーと大差ないというのに、殆どバイタルデータに異常が見られない。距離に差が無い以上、彼女の機動はトーレ姉とほぼ同じ、という事に成る。

――戦闘機人と同じレベルで行動できる人間って――。

ちょっと怖い。というか、ありえるのか?
あのコアラ改のパイロット二人のバイタルデータとて、初日の物に比べると目落ちしている。

――コアラ改のパイロット達は、自分達の第二世代だけでは、このレースを最後まで走破することは不可能であるという事を理解しているのだろう。
彼女達の挙動を見ればわかる。コアラ改はどうみても第三世代の背後を追走している。第三世代が通り過ぎて、包囲網が薄くなっているというか、包囲網が叩き潰されているところを、文字通り網の目をくぐるように飛行しているのだ。
うむ、こりゃ、最後の最後での逆転を狙ってるのかな?

まぁ、いい。今は問題ない。
私の役目は妨害役。むしろ逆転劇があったほうがゲーム的には面白いだろう。
となれば優先するのは第三世代2機の妨害かね。

「演算開始、アクセス要求――6-D地区、ガジェットドローン1型改」
『アクセス開始――伝播状況悪性。現状での方法伝達能率は12パーセント前後です』
「あちゃぁ、――えっと、それじゃ一番近くにあるガジェットを検索。そいつを中継して本局管理衛星にアクセス。其処からならいけるっしょ?」
『検索――実行可能』
「ならそれで」

表示されるCommpleteの文字。
うん、ちゃんと接続できたみたいだ。

「えっと、パッケージからC装備を実装」
『C装備――指揮官用装備マテリアライズ完了』

パッケージの中から、目的の代物を実装する。C装備はコマンダー装備。要するに指揮官型の、通信能力を若干強化してくれる装備だ。
本来はリガズィー用の装備なんだけども、C型はセンサー類がちょっと増えるだけで、大抵のISに装備可能な品だった為、予め用意してあったものを量子化して搭載しておいたのだ。

「高速指揮リンクシステム起動――おぉ、凄いね」

画面に映し出されるのは、地上の周辺地図と、その上を走る無数の青と赤の光点。赤の光点は4つ。つまり、赤が走者ということになる。
ターゲットは、一番東側に近い二機だ。

『接続――操作可能なガジェット・ドローン12機を確認。現在自動操縦中』
「操縦傾倒をセミ・オートへ。さぁ、やるぞぅ!!」

というわけで、改めて制御に集中する。






さて、そういうわけでガジェットの有人戦術である。

『コイツら、急に動きがっ!!』
『――敵無人機の行動パターンに変化を確認』

聞こえてくるのはトーレ姉とアルギュロスのパイロットの声。うーん、彼女の声は初めて聞いたなぁ。
幾ら通信がこちらにまるぎこえだといっても、四六時中通信を監視しているわけでもないし。

「えーと……コイツを上げようか」

従来の――オート操作によるがジェットの行動パターンと言うのは、基本的にサーチアンドデストロイ。見敵必殺という、行動パターンとしてはなんともシンプルな代物だ。
味方機との連携と言うのも殆ど無く、精々味方同士で同士討ちしないよう、FCSの反応によっては攻撃が中断される、とかそういうレベルだ。
第二世代型の二人が生き延びられたのは、この欠陥によるところが大きい。要するに、同士討ちしないようにとドローンが硬直したところを、近距離から大火力で叩き潰していたのだ。欠点を見抜いた見事な戦術といわざるを得ない。

然し、此処で行動パターンが変化する。要するに、私の駆る有人操作に。
私が好む戦術は、基本囲み撃ちだ。相手と一定距離を開けながら、常に砲撃を叩き込む。
相手が痺れを切らして突撃してくれば、即座にターゲットとなった機を後退させ、背後を取る形で他の機体を前へと押し出す。
味方機が楯にされても、有人操作であれば撃つことは可能。というか半ば使い捨てを想定されているがジェットだ。むしろ同士討ちでも敵に手傷を与えられたほうが本望だろう。

『く、まさかこれは――』
『――有人操作?』

どうやら二方とも気づいたらしい。
さて、それではお二方がどういった行動を取るのか見学させていただきますかね。


Side Other



地底、日の光も届かぬ奥深く。
砂の大地を球形に抉った空の空間がポツリと一つ。
その中に展開されたIS、RAYに搭乗するスバル・スカリエッティーは静かに、けれども異様な速度で目の前の仮想ブラウザに情報を入力していく。

それど同時刻、地上。

「くそ、セカンドめ!! クアットロ仕込のいやらしい戦術だ!!」

四方から迫るガジェットドローン1型改に向けてミサイルで牽制を放つトーレ。だが、そのミサイルの大半は微細な回避運動により誘導を外され、残り正しいトレースを行えたミサイルは、ソレのみを正確に狙い打たれ、どれ一つとして1型改にとどく事は無い。
そうしてミサイルの弾幕に紛れてその場から離脱しようとしたトーレは、然しその弾幕の影から放たれるビームを回避する為に、再びその場に釘付けにされてしまう。

「ちぃっ!!」

――鬱陶しい、あぁ鬱陶しい!!
内心でそう呟くトーレ。ガジェットドローン1型改。トーレの生みの親であるジェイル・スカリエッティーがセカンド――スバルの意見を採用して作り上げた、対IS用迎撃浮遊砲台。機動力こそ乗用車に劣るコレだが、固定砲台としての性能は中々の物を誇る。
ISの理論の一部を応用して製造されたコレは、また対IS用の迎撃へ行きとしても十分な性能を持つ。

その事は、実用テストのテスターの一人であったトーレは誰よりも知っていた。

「ええい、忌々しい!!」

そうして、だからこそトーレは1型改の弱点を知るが故に、現状、1型改に此処まで梃子摺る事に言い表し難い不快感を覚えていた。
トーレにしてみれば、1型改は所詮過渡期の防衛兵器。だというのに、現状トーレは1型改に良い様に翻弄されてしまっている。
一端の兵士を名乗るトーレにしてみれば、コレは不快以外のなんでもなかった。

「くっ!!」

真上への回避機動。三次元機動こそがISの本領。人間は地上で生きる生物である以上、如何しても上下のある三次元機動と言うものが苦手だ。
トーレの戦術も、最速最適の行動で、死角から最強の一撃を叩き込む、と言うのが基本だ。

――従来兵器であれば、この機動性の前に十分撃墜可能だ。

然し、此処にあるのは従来兵器ではなく、IS理論を取り込んだ最新兵器だ。
カチカチカチッと点滅するガジェットドローン1型改のメインカメラ。それが光通信による物だとトーレが理解するや否や、四方八方から格子状に放たれるビームの網。
それは気づけばトーレの行く手を阻むかのように、空中に見事な牢獄を描き出していた。

「なっ!!――ぐあっ!!」

慌てて空中で急停止するトーレ。だが、そこをガジェットに搭載されていたミサイルに狙い打たれる。
直接的なダメージこそ無いものの、ミサイルの爆発によって起こった振動は機体を揺すり、それは同時にパイロットであるトーレにも大きな負荷を与える。

「く――」

即座にダメージをチェックするトーレ。当然続く攻撃を回避しながらのチェックだが、その挙動にブレは無い。
そうしてIS――リガズィーのステータスをチェックして、トーレの表情は苦虫を噛み潰したかのように歪んだ。

「――さすがクアットロ仕込み。スバルめ、此方を嬲り殺しにする心算かっ!!」

ISのエネルギー残量。トーレがチェックしたその数値は、驚いた事に全くといって良い程に数値を減らしていなかった。殆どダメージを食らっていなかったのである。

――ミサイルは直撃していなかった。

多分、近接信管か何かで、ミサイルは直撃する前、リガズィーに近付いた時点で爆発していたのだろう。
直撃では無い以上、ISにかかるダメージはほぼ皆無に近付く。
――が、ダメージは皆無ではない。バリアにも確かにダメージは来る。しかし、本当に問題なのはISではなく、そのパイロットに有る。
ISは無敵にして従来兵器を圧倒する最強の兵器だ。だが、ソレを運用するのは所詮人間。人間が運用する兵器である以上、必ず欠点と言うものは存在する。

いや、人間が操縦する以上、その人間こそが最大の弱点なのだ。

ミサイルの爆風によってシェイクされるIS。当然パイロットもシェイクされる。
ちょっとした地震でも立っていられない人間と言うのが存在するように、人間と言うものは案外振動と言うものに弱い。
まして、空中なんて不安定な、足場も無いような場所で盛大に揺すられるのだ。如何に三半規管が強かろうと、溜まった物ではないだろう。
トーレは戦闘機人。人間としての弱点を減らそうという思想の元開発された存在であるが故、まだなんとか平常運行は可能だ。――が、それでもダメージと言うものは有る。
実際、平常運用しているように見えるトーレだが、その顔色は若干青ざめていた。

「此方リガズィーパイロット!! アルギュロス、聞こえるか、この場を離脱するまでの協力を申し込みたい!!」

その瞬間、無理だと判断したのだろう。
トーレは素早く行動を決定すると、即座に通信機に向かって怒鳴り声を上げた。
単機でダメならば複数機で。他よりも速くというレースにおいて協力と言うのは避けたい事態ではあるが、その前にこんな所で有人操作とはいえ、無人機相手にエンストを起こすなどと言う事態は絶対に避けるべき事態だ。そう判断したトーレは、同じく苦戦している様子のアルギュロスに通信を入れた。

『――了解。申し出を受け入れる』

その一言と共に、アルギュロスの野太いビームが空を焼く。
そのビームはガジェットドローン1型改の一機を巻き込むと、その向うにいたリガズィーの背後のガジェットを巻き込んで空の彼方を照らした。

「協力に感謝する!!」

そうして即座に連射されたリガズィーのビームライフル。
即座に回避するガジェットの脇を抜け、少し離れたところでアルギュロスを包囲していたがジェットに命中。直撃したがジェットのバリアを貫き、空中に小さな爆音を響かせた。

「突破する!!」
『了解』

そうして合流した二機のISは、互いに背を向けあい、タイミングを見計らって一気にその場の離脱を図ったのだった。


Other Side End






というわけで、突破されてしまいました。
うん、さすがトーレ姉。柔軟に敵と手を組むという選択肢を取って、早々にこの激戦区を離脱してしまった。
トーレ姉とアルギュロスのパイロットには拍手を送らざるを得ない。

「――さて」

改めて俯瞰MAPに視線を移す。
現状戦力が集結していたポイントから離脱した二機。
ソレとは別に、揃ってオーストラリアの大地を滑空する機影が二つ。

どうにもこの戦力結集ポイントを迂回しているらしい二機の機影。

「ちょっと弄ってやるか」

次のターゲットはコアラ改ときめ、即座にデータ入力。周辺のガジェットを指定ポイントへと移動させるのだった。



――でも、そういえばの話。
地下で黒幕やってたら、目立てないよね――?
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