06 CBF in Australia・⑨
2012.06.08 (Fri)
「ちょ、んな、きゃああっ!!!」
正直に言おう。舐めていた。舐めざるを得まい。
何せ、此方は第三世代。例え陸戦型肉体強化レベルSの自分専用機で、PICが従来性能しかなくて一つ一つの行動に凄まじい過負荷が掛かろうが、イメージ・インターフェイスが機体操作の延長にしか使えず、またそのほかに使えるのは精々FCSの補助くらいにしか仕えなかったとしても。一応衝撃砲とか付いてるけど、ぶっちゃけ威力はハンドガン程度しかなく、だというのに連射速度はショットガンに劣り、距離による威力減衰で有効射程は精々100メートル。そもそも威力が足りず、かといって振動砲ならばと言うと此方は威力が高すぎ、尚且つ公開できない部分の情報が絡む為使用禁止。どちらにしても対人戦では威力が高すぎる。私は見たくないぞ、パイロットパーン! とか。例えセカンドシフトしていなくても、IS戦をしようと思うと絶対的に火力が足りずに量で補うしか出来ない上に、その癖イコライザの容量は演算処理にまわしているから火器は量子化する分は最低限しか積めず、なら情報処理能力は良いのかと言うとぶっちゃけ演算の三分の一ぐらいをコッチで受け持たなければいけなかったりという凄まじいまでの欠陥機であるRAYなのだが、それでもコイツは腐っても第三世代機なのだ。
この第二世代が主流の現代。まだ漸くラファール・リヴァイヴがデュノア社から発売されたような時期だ。まさか、ドクターの発明以外でまともに動く第三世代が存在するとは、まさか思うまい。
くそぅ、舐めてたぜアルギュロス――。
事の起こりは、二機のコアラ改を引き離して少し跳んだくらいの頃だ。
前方に、派手に砂塵を巻き上げながら滑空する、鉛色の丸っこい機体を見つけ、即座に召喚したショットガンを構え、即座に距離を詰めて。
そのままスラグ一発、一気にバリアを削ってやろうという目論見だったのだが――。
――バチッ!!
――へぁ!?
思わず零れそうになる驚愕の声をかみ殺し、此方の銃撃に反応したアルギュロスに対して即座に回避行動に移る。
と、アルギュロスはその両腕から轟音と共に、眩い“白”を解き放った。
「にぎゃああ!!?」
慌てて回避。もうQBではなく最初から二段QBだ。
大慌ての咄嗟の回避だったのだが、どうやらソレが功を奏したらしい。白い光――光線らしきその光は、オレの予想以上の直径を持って、オーストラリアの砂漠の空を焼いた。
「な、なっ――びーむぅ!?」
――ARGYROS, 種別:第三世代型,開発:トーラス社。超重量級高火力高出力型IS。
主に対要塞兵器を想定して建造(・・)された、ISながら宇宙戦艦なみの大艦巨砲主義を実現した一品。その機動性は第二世代程度でしかないが、その出力は全IS中トップ。秘密はその内側に内蔵された特殊ジェネレーター。コレにより、並みのISを圧倒する出力を誇る。また、第三世代機の特徴としてイメージ・インターフェイスを搭載。コレによる粒子制御技術を実装しており、この粒子操作技術による粒子障壁――通称プライマル・アーマー――と、粒子系兵装――ビーム――を実装している。世界初の粒子系防御/攻撃兵装を装備した機体である。尚、開発に当たりイメージ・インターフェイスは、同国ナンバーズコーポ社からの技術提携による。
――ジェイル……スカリエッティィィィィイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!
確かに。確かに私は聞いた。あのマッドが「ふむ、私に並ぶ天才(ヘンタイ)だな彼等は」とか零してるのを聞いてたさ。それに「どれ、少し手をかすか」とか言ってたのも知ってるし、実際何だか小難しそうなイメージ・インターフェイス系の干渉方法に関する論文とか書いてたのも知ってるけどさ!!
だからって、何でこんな化物を完成させるかな!?
――敵機のエネルギー充填開始を確認。
その警告文を確認して、即座に機体をロールさせる。
楕円軌道を描いて空に逃れると、即座にロックオン反応を検知。うーむ、凄まじいまでの鈍重さながら、どうにも迫力がある。
こう、寄らば轢き殺す、っていう重量級の重機みたいな迫力。
とか考えていたら、アルギュロスの背中の何かがガチコンと音を立てて動き出した。
何事かと視線を下ろすと、なんだか見覚えのある四連装チェインガンが二機。
――あれ? なんだか、見覚えのある兵器なんですけど。というか、何でトーラスがアレを持ってるの!?
ズガガガッガガガガガガガガ!!!!!!!!!!
両肩から発射される4連装チェインガン。即座に更新される敵機スペックを確認。――XCG-B050――って、うそぉ!!
「ひ、ひぃぃ!!」
あれはダメだ。拙い。拙すぎる。
凄まじい勢いで、凄まじい数の弾幕を撒き散らすチェインガン。何故アスピナ製武装をトーラスがっ!!
あれは所謂対バリア武装。バリアに対して小刻みに衝撃を与え続ける事で、凄まじい勢いでエネルギー防壁を削る、寧ろバリアを削る事に特化した背部武装。
正直、攻撃力に欠ける軽量級の私では、あれは落せない。どう考えても無理。というか近寄るのも無理臭い。
凄まじい勢いのビームを滅多矢鱈に打ちまくるアルギュロス。エネルギー切れを期待したいところなのだが、残念ながらソレは期待できそうに無い。説明書曰く、兵装用のエネルギーは別口らしいし。
ええい落ち着け私! やつの攻撃はエネルギー系とチェインガンの二つ。対する此方は、マイクロミサイルと近距離用ショットガンの二つ。条件は同じ何だから、どこかに勝機が――あるはずも無い。
「無理じゃん!!」
だってさ、先ずショットガンは近距離用武装。接近できない時点で無用の長物。
ならミサイルでも撃ち込んで見るかと言うと、あいつにはチェインガンがある。あれがあれば、大抵のミサイルは迎撃できる。弾数? 馬鹿言っちゃいけない。あいつ、多分イコライザに相当余裕があるはずだ。その余裕の半分は別動力とやらで、もう半分は弾薬庫になっていると見るべき。多分、あれはそもそも固定砲台なのだろう。弾切れ対策は万全の筈だ。
――うん、詰んだ。
だってショットガンとかこの距離届かないんだもん!!仕方ないじゃんか!!
と言うわけで、おまけとばかりに後付のマイクロミサイルランチャーから盛大に弾幕を開く。その大半は打ち落とされたが、どうやら“ミサイル同士の空中衝突を回避する機能”により、ミサイルが空中で大きく蛇行、その所為でチェインガンの範囲からズレたミサイルの一群が、アルギュロスに直撃してくれたらしい。良くやったミサイル!!
で、ついでにマイクロミサイル、どうやらアルギュロスのプライマル・アーマーを少し貫通したらしく、若干だが向うのバリア・エネルギーを削っていた。
うん、よし。手傷を負わせるっていう本来のお仕事は果たした。なんだか破れかぶれの結果だった気もするけど、結果よければ全てよし。
と言うわけで、即座に曲がれ右して、一気にその場から離脱した。
「ちょ、射程1000メートル超えてる!? あぎゃっ!!」
命辛々逃げ出したのは、言うまでも無い。
さて、そういうわけで次のターゲットは、我が姉、トーレ姉の駆るリガズィーである。
リガズィー。リファインド・ガンダム・ゼータ。要するにガン○ムである。
オレのデザインで、要望書と機体に関する意見とかをいろいろまとめたレポートを元にドクターに製作してもらった一品だ。
一応生産性にも優れている、見た目はMS少女っぽい機体。
特徴は全身に仕込まれたミサイルと、左の楯、右手のビームライフル、そしてなんと言ってもアレ。追加パックによる簡易可変機構の実装だ。
高速追加パックを実装すると、普通のISならばそれほど大きく姿形が変化するわけではない。のだが、アレは、リガズィーは違う。
あれは追加パックを装備すると、巨大な追加装備を召喚できるようになる。あれを召喚することで、リガズィーはウェイブライダー形態へと可変する事が出来るのだっ!!
「そしてあの速度である。正直、私でも追いつくのが辛い!」
何せ、形が完全に飛行機になっている。
幾らISがPICの所為で航空力学上の空力関係をガン無視できるからといって、それに則っている物と則っていない物、どちらのほうがその恩恵を得られるかと言うと、当然その法則に則っているほうが恩恵を得られるに決まっている。
で、実際どうかと言うと、軽量化はした物の、後は現行技術によるごり押しで、足りない部分は戦闘機人である私によるマニュアル操作なRAYと、その後RAYによる稼動試験と大量の実動データを下に最新技術をふんだんに取り込んで製作され、量産型をも目途にしている汎用型万能機であるリガズィー。どちらが優れているかと問われれば、普通にリガズィーを指差す。
というか、普通に後発機であるリガズィーのほうが性能がいいに決まっている。
何せ、例えるならば、此方は原動機つき自転車(但しモンスターエンジン付き)。対してあちらはアメリカントラック・コンボイの類だ。
幾ら此方がパッソル=Γに相当する機体であろうが、相手は大統領御用達のスーパーシェルターリムジンだ。いや、ソレは流石に言い過ぎかもしれないが、まぁオフロードレース用に調整されたパワーマシンであるのは間違いない。
まぁ、如何いうことかと言うと要するに、アッチのほうが操作がかなり簡単であり、私がRAYを得た当時よりも安定した技術により製造されている、という事だ。
「ぬ、うわっ!!」
『どうした、その程度の機動では先が知れるぞ!!』
言ってビスビスビームを撃って来るトーレ姉。トーレ姉は基本的に空中格闘が得意なのだが、必要と有れば普通に射撃もこなす。基本的に万能選手なのだ、トーレ姉は。
しかも普段から訓練に付き合っている所為で、此方の機動の癖とかも普通に読まれてしまっている。
ちくせう! やっぱりISの機動じゃ勝ってても、戦術機動じゃトーレ姉には及ばないかっ!!
ウェイブライダー形態から、追加パーツを量子化し一時的に通常形態へと変形したリガズィー。即座に此方と格闘戦を演じ、此方が格闘で敵わぬと距離を開くと、途端にビームを乱射してくる。
回避に必死になっていると、その隙に此方に接近してくる。くそ、偏差射撃とか目じゃない。此方の回避先を予想して、一手一手逃げ道を塞ぐ、まるで詰め将棋で追い込まれていくような感覚。
せめて複雑思考――収束思考が使えればまだ戦えるのだろうけど、何せ殆どの処理はRAYの制御にまわしている。おかげでトーレ姉との先頭で使える思考は一つ分。辛うじて高速思考は使えるが、見えるのは追い詰められていく未来のみ。
ぬあああ!!! ちくせう!!
『ぬっ!?』
ヤケクソになって、ミサイルを乱射しながらその場でPICをカット。自由落下を開始する。
即座に追撃がくるが、ソレをスラスターとAMBACで回避。そのまま地面付近まで最低限の挙動で落下し、地面直前で真下に向かってスラスターを全開。途端に舞い上がる砂塵は、渇いた砂漠では良い目晦ましになる。
何せ、砂塵自体が結構な熱量を持っているのだ。強風に吹かれた砂塵は、そのままスモークの如く各種センサーに対するデコイとなる。
――折角なので私ぁこの隙に逃げるぜ!!
と言うわけで、その隙を突いて真逆の方向にOB。イコライザから実体化したVOBも装備して、そのままスタート地点であるパースに向かう。正直VOBを使えば、此処からでも一時間は掛からないだろう。
『ぬっ、ス――セカンド、貴様逃げるなっ!!』
「無茶言わないでよ!! あたしゃ逃げるぜぃ!!」
トーレ姉とガチンコとか、普通に自殺行為以外のなんでもない。
此方は妨害役以外にも、緊急救護班とか色々な役割を受け持っているのだ。そうそう無駄に体力を使うわけには行かないのだ。
「VOBスタート!!」
『くっ、追いつけん――っ!!』
流石に追いつかれてしまうと困る。
砂塵を突き破って飛び出してきたトーレ姉を尻目に、私は大慌てでその場を離脱した。
「ふひゃぁ、ちかれた~……」
とりあえず第二世代相手には無双出来たけど、第三世代相手には速度以外では勝てないことは理解した。
うーん、ドクターに頼んで改造してもらうかな?
まぁ、なんにしても。
「……南無」
このレース、コアラ改のお二人では到底勝てないだろう。
何せ相手は第三世代中期型が二機に、妨害用ドロイドは私が訓練用に使っていた超大型ガジェットドローン1型改だ。アレ、防御フィールド展開してるし、第一世代型の劣化版程度の防御性能と攻撃性能を持ち合わせている。
数も用意していたはずだし、第三世代型の二機はともかく第二世代型では突破は不可能――とは言わないが、限りなく無理に近いだろう。
と言うわけで
「ナムナム」
とりあえずパースに帰ったら、早速シャワー浴びたいな~、とか内心考えつつ、適当に手を合わせて二人の善戦を拝んでおいたのだった。
寧ろ冥福? 知らないけどさ。
正直に言おう。舐めていた。舐めざるを得まい。
何せ、此方は第三世代。例え陸戦型肉体強化レベルSの自分専用機で、PICが従来性能しかなくて一つ一つの行動に凄まじい過負荷が掛かろうが、イメージ・インターフェイスが機体操作の延長にしか使えず、またそのほかに使えるのは精々FCSの補助くらいにしか仕えなかったとしても。一応衝撃砲とか付いてるけど、ぶっちゃけ威力はハンドガン程度しかなく、だというのに連射速度はショットガンに劣り、距離による威力減衰で有効射程は精々100メートル。そもそも威力が足りず、かといって振動砲ならばと言うと此方は威力が高すぎ、尚且つ公開できない部分の情報が絡む為使用禁止。どちらにしても対人戦では威力が高すぎる。私は見たくないぞ、パイロットパーン! とか。例えセカンドシフトしていなくても、IS戦をしようと思うと絶対的に火力が足りずに量で補うしか出来ない上に、その癖イコライザの容量は演算処理にまわしているから火器は量子化する分は最低限しか積めず、なら情報処理能力は良いのかと言うとぶっちゃけ演算の三分の一ぐらいをコッチで受け持たなければいけなかったりという凄まじいまでの欠陥機であるRAYなのだが、それでもコイツは腐っても第三世代機なのだ。
この第二世代が主流の現代。まだ漸くラファール・リヴァイヴがデュノア社から発売されたような時期だ。まさか、ドクターの発明以外でまともに動く第三世代が存在するとは、まさか思うまい。
くそぅ、舐めてたぜアルギュロス――。
事の起こりは、二機のコアラ改を引き離して少し跳んだくらいの頃だ。
前方に、派手に砂塵を巻き上げながら滑空する、鉛色の丸っこい機体を見つけ、即座に召喚したショットガンを構え、即座に距離を詰めて。
そのままスラグ一発、一気にバリアを削ってやろうという目論見だったのだが――。
――バチッ!!
――へぁ!?
思わず零れそうになる驚愕の声をかみ殺し、此方の銃撃に反応したアルギュロスに対して即座に回避行動に移る。
と、アルギュロスはその両腕から轟音と共に、眩い“白”を解き放った。
「にぎゃああ!!?」
慌てて回避。もうQBではなく最初から二段QBだ。
大慌ての咄嗟の回避だったのだが、どうやらソレが功を奏したらしい。白い光――光線らしきその光は、オレの予想以上の直径を持って、オーストラリアの砂漠の空を焼いた。
「な、なっ――びーむぅ!?」
――ARGYROS, 種別:第三世代型,開発:トーラス社。超重量級高火力高出力型IS。
主に対要塞兵器を想定して建造(・・)された、ISながら宇宙戦艦なみの大艦巨砲主義を実現した一品。その機動性は第二世代程度でしかないが、その出力は全IS中トップ。秘密はその内側に内蔵された特殊ジェネレーター。コレにより、並みのISを圧倒する出力を誇る。また、第三世代機の特徴としてイメージ・インターフェイスを搭載。コレによる粒子制御技術を実装しており、この粒子操作技術による粒子障壁――通称プライマル・アーマー――と、粒子系兵装――ビーム――を実装している。世界初の粒子系防御/攻撃兵装を装備した機体である。尚、開発に当たりイメージ・インターフェイスは、同国ナンバーズコーポ社からの技術提携による。
――ジェイル……スカリエッティィィィィイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!
確かに。確かに私は聞いた。あのマッドが「ふむ、私に並ぶ天才(ヘンタイ)だな彼等は」とか零してるのを聞いてたさ。それに「どれ、少し手をかすか」とか言ってたのも知ってるし、実際何だか小難しそうなイメージ・インターフェイス系の干渉方法に関する論文とか書いてたのも知ってるけどさ!!
だからって、何でこんな化物を完成させるかな!?
――敵機のエネルギー充填開始を確認。
その警告文を確認して、即座に機体をロールさせる。
楕円軌道を描いて空に逃れると、即座にロックオン反応を検知。うーむ、凄まじいまでの鈍重さながら、どうにも迫力がある。
こう、寄らば轢き殺す、っていう重量級の重機みたいな迫力。
とか考えていたら、アルギュロスの背中の何かがガチコンと音を立てて動き出した。
何事かと視線を下ろすと、なんだか見覚えのある四連装チェインガンが二機。
――あれ? なんだか、見覚えのある兵器なんですけど。というか、何でトーラスがアレを持ってるの!?
ズガガガッガガガガガガガガ!!!!!!!!!!
両肩から発射される4連装チェインガン。即座に更新される敵機スペックを確認。――XCG-B050――って、うそぉ!!
「ひ、ひぃぃ!!」
あれはダメだ。拙い。拙すぎる。
凄まじい勢いで、凄まじい数の弾幕を撒き散らすチェインガン。何故アスピナ製武装をトーラスがっ!!
あれは所謂対バリア武装。バリアに対して小刻みに衝撃を与え続ける事で、凄まじい勢いでエネルギー防壁を削る、寧ろバリアを削る事に特化した背部武装。
正直、攻撃力に欠ける軽量級の私では、あれは落せない。どう考えても無理。というか近寄るのも無理臭い。
凄まじい勢いのビームを滅多矢鱈に打ちまくるアルギュロス。エネルギー切れを期待したいところなのだが、残念ながらソレは期待できそうに無い。説明書曰く、兵装用のエネルギーは別口らしいし。
ええい落ち着け私! やつの攻撃はエネルギー系とチェインガンの二つ。対する此方は、マイクロミサイルと近距離用ショットガンの二つ。条件は同じ何だから、どこかに勝機が――あるはずも無い。
「無理じゃん!!」
だってさ、先ずショットガンは近距離用武装。接近できない時点で無用の長物。
ならミサイルでも撃ち込んで見るかと言うと、あいつにはチェインガンがある。あれがあれば、大抵のミサイルは迎撃できる。弾数? 馬鹿言っちゃいけない。あいつ、多分イコライザに相当余裕があるはずだ。その余裕の半分は別動力とやらで、もう半分は弾薬庫になっていると見るべき。多分、あれはそもそも固定砲台なのだろう。弾切れ対策は万全の筈だ。
――うん、詰んだ。
だってショットガンとかこの距離届かないんだもん!!仕方ないじゃんか!!
と言うわけで、おまけとばかりに後付のマイクロミサイルランチャーから盛大に弾幕を開く。その大半は打ち落とされたが、どうやら“ミサイル同士の空中衝突を回避する機能”により、ミサイルが空中で大きく蛇行、その所為でチェインガンの範囲からズレたミサイルの一群が、アルギュロスに直撃してくれたらしい。良くやったミサイル!!
で、ついでにマイクロミサイル、どうやらアルギュロスのプライマル・アーマーを少し貫通したらしく、若干だが向うのバリア・エネルギーを削っていた。
うん、よし。手傷を負わせるっていう本来のお仕事は果たした。なんだか破れかぶれの結果だった気もするけど、結果よければ全てよし。
と言うわけで、即座に曲がれ右して、一気にその場から離脱した。
「ちょ、射程1000メートル超えてる!? あぎゃっ!!」
命辛々逃げ出したのは、言うまでも無い。
さて、そういうわけで次のターゲットは、我が姉、トーレ姉の駆るリガズィーである。
リガズィー。リファインド・ガンダム・ゼータ。要するにガン○ムである。
オレのデザインで、要望書と機体に関する意見とかをいろいろまとめたレポートを元にドクターに製作してもらった一品だ。
一応生産性にも優れている、見た目はMS少女っぽい機体。
特徴は全身に仕込まれたミサイルと、左の楯、右手のビームライフル、そしてなんと言ってもアレ。追加パックによる簡易可変機構の実装だ。
高速追加パックを実装すると、普通のISならばそれほど大きく姿形が変化するわけではない。のだが、アレは、リガズィーは違う。
あれは追加パックを装備すると、巨大な追加装備を召喚できるようになる。あれを召喚することで、リガズィーはウェイブライダー形態へと可変する事が出来るのだっ!!
「そしてあの速度である。正直、私でも追いつくのが辛い!」
何せ、形が完全に飛行機になっている。
幾らISがPICの所為で航空力学上の空力関係をガン無視できるからといって、それに則っている物と則っていない物、どちらのほうがその恩恵を得られるかと言うと、当然その法則に則っているほうが恩恵を得られるに決まっている。
で、実際どうかと言うと、軽量化はした物の、後は現行技術によるごり押しで、足りない部分は戦闘機人である私によるマニュアル操作なRAYと、その後RAYによる稼動試験と大量の実動データを下に最新技術をふんだんに取り込んで製作され、量産型をも目途にしている汎用型万能機であるリガズィー。どちらが優れているかと問われれば、普通にリガズィーを指差す。
というか、普通に後発機であるリガズィーのほうが性能がいいに決まっている。
何せ、例えるならば、此方は原動機つき自転車(但しモンスターエンジン付き)。対してあちらはアメリカントラック・コンボイの類だ。
幾ら此方がパッソル=Γに相当する機体であろうが、相手は大統領御用達のスーパーシェルターリムジンだ。いや、ソレは流石に言い過ぎかもしれないが、まぁオフロードレース用に調整されたパワーマシンであるのは間違いない。
まぁ、如何いうことかと言うと要するに、アッチのほうが操作がかなり簡単であり、私がRAYを得た当時よりも安定した技術により製造されている、という事だ。
「ぬ、うわっ!!」
『どうした、その程度の機動では先が知れるぞ!!』
言ってビスビスビームを撃って来るトーレ姉。トーレ姉は基本的に空中格闘が得意なのだが、必要と有れば普通に射撃もこなす。基本的に万能選手なのだ、トーレ姉は。
しかも普段から訓練に付き合っている所為で、此方の機動の癖とかも普通に読まれてしまっている。
ちくせう! やっぱりISの機動じゃ勝ってても、戦術機動じゃトーレ姉には及ばないかっ!!
ウェイブライダー形態から、追加パーツを量子化し一時的に通常形態へと変形したリガズィー。即座に此方と格闘戦を演じ、此方が格闘で敵わぬと距離を開くと、途端にビームを乱射してくる。
回避に必死になっていると、その隙に此方に接近してくる。くそ、偏差射撃とか目じゃない。此方の回避先を予想して、一手一手逃げ道を塞ぐ、まるで詰め将棋で追い込まれていくような感覚。
せめて複雑思考――収束思考が使えればまだ戦えるのだろうけど、何せ殆どの処理はRAYの制御にまわしている。おかげでトーレ姉との先頭で使える思考は一つ分。辛うじて高速思考は使えるが、見えるのは追い詰められていく未来のみ。
ぬあああ!!! ちくせう!!
『ぬっ!?』
ヤケクソになって、ミサイルを乱射しながらその場でPICをカット。自由落下を開始する。
即座に追撃がくるが、ソレをスラスターとAMBACで回避。そのまま地面付近まで最低限の挙動で落下し、地面直前で真下に向かってスラスターを全開。途端に舞い上がる砂塵は、渇いた砂漠では良い目晦ましになる。
何せ、砂塵自体が結構な熱量を持っているのだ。強風に吹かれた砂塵は、そのままスモークの如く各種センサーに対するデコイとなる。
――折角なので私ぁこの隙に逃げるぜ!!
と言うわけで、その隙を突いて真逆の方向にOB。イコライザから実体化したVOBも装備して、そのままスタート地点であるパースに向かう。正直VOBを使えば、此処からでも一時間は掛からないだろう。
『ぬっ、ス――セカンド、貴様逃げるなっ!!』
「無茶言わないでよ!! あたしゃ逃げるぜぃ!!」
トーレ姉とガチンコとか、普通に自殺行為以外のなんでもない。
此方は妨害役以外にも、緊急救護班とか色々な役割を受け持っているのだ。そうそう無駄に体力を使うわけには行かないのだ。
「VOBスタート!!」
『くっ、追いつけん――っ!!』
流石に追いつかれてしまうと困る。
砂塵を突き破って飛び出してきたトーレ姉を尻目に、私は大慌てでその場を離脱した。
「ふひゃぁ、ちかれた~……」
とりあえず第二世代相手には無双出来たけど、第三世代相手には速度以外では勝てないことは理解した。
うーん、ドクターに頼んで改造してもらうかな?
まぁ、なんにしても。
「……南無」
このレース、コアラ改のお二人では到底勝てないだろう。
何せ相手は第三世代中期型が二機に、妨害用ドロイドは私が訓練用に使っていた超大型ガジェットドローン1型改だ。アレ、防御フィールド展開してるし、第一世代型の劣化版程度の防御性能と攻撃性能を持ち合わせている。
数も用意していたはずだし、第三世代型の二機はともかく第二世代型では突破は不可能――とは言わないが、限りなく無理に近いだろう。
と言うわけで
「ナムナム」
とりあえずパースに帰ったら、早速シャワー浴びたいな~、とか内心考えつつ、適当に手を合わせて二人の善戦を拝んでおいたのだった。
寧ろ冥福? 知らないけどさ。
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