合宿風呂・4
あちこちジロジロ見られたあげくに感想まで述べられて、恥ずかしいやら情けないやら…。
柘植コーチが立ち去った後、跡部は急いで体を洗って、結局湯船には浸からずに部屋に逃げ帰った。
すぐにベッドに入って布団をかぶって寝てしまったので、同室の者が訝しんだが、跡部には明日からの練習のため心身を休める必要があった。…特にかなり弱った精神面の方を。
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(鬼先輩…ストレートにも程があるだろ; 明日もコートで必ず顔合わすってのに一体どんな顔で会えばいいんだ、くそ;)
でも…
他の高校生に絡まれていた時に不意に視界を遮った広い背中に感じた安心感とか。
食堂で頭を撫でられた大きな手の温かさとか。
あの不思議な…どうしていいのか分からないような気持ちは、それでも嫌な思い出にはならなくて。
(…上に行くには必ず倒さなければいけない人だけど…)
それでも。
同じコートにいる間だけは互いに潰し合う事はないから。
だから彼が言ったように、同じ部の先輩と後輩のような…そんなほんの少しだけ優しい気持ちがあってもいいのだろうか…。
そんな願いにも似た気持ちに胸を小さく締めつけられながら、跡部は浅い眠りに落ちていった。
(おわり)
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