困惑・7
「入学したその日に部長以下レギュラー全員倒して、無理矢理自分が部長になったんで。そんな掟破りな後輩を可愛がる先輩もいないでしょう」
「…入学式当日にか; 顔に似合わず、すげえことするな、お前;」
豪胆な鬼も思わず唸る。
周りで聞き耳を立てている他の連中も「ありえねえ~;」などと囁いている。
「だから、何があっても先輩には頼れないし、いつも自分でどうにかしてきた。それは今回も同じです。俺達は高校生の中に無理矢理割り込んだ訳だし、なのに…まさか高校生側の人が庇ってくれるとは思ってもみなかったんです。今まで先輩に助けて貰うなんて一度もなかったから…正直、嬉しかった」
自分でもあまりに馬鹿正直に本心を語っていると思う、その気恥ずかしさに跡部は頬を赤らめた。
「別にそんなに感激されるような事はしてねえんだがなぁ」
鬼はいつになく素直で可愛らしい様子の跡部に苦笑した。
そこへ…。
「…おいおい、お前!鬼のアニキに気があんのかよ!?」
「食堂で告白タイムじゃねえっつーの!」微妙に甘い空気に耐えかね、近くにいた高校生2人が、絡んできた。
「あーん? なんだよ、アンタら」
跡部はついさっきとは打って変わって、冷たい目つきで2人を眺めた。
(8に続く)
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