困惑・5
「この夏に随分筋トレ積んだんですが、思ったほど筋肉付かなくて…ウエイトも殆ど…。
鬼先輩はいい体してるから…」

「あはは、鬼の筋肉が羨ましいんだ(笑)」

「お前、まだ中3だろ。そんだけ体できてりゃ充分だ。まだ成長期なのに無理しすぎっと筋肉傷めるぞ」

「だから今は負荷は上げずに同じペースで続けてます」
「うん。いいと思うよ。じゃあ、鬼の体じゃなくて性格とか態度とかはどう?」

「…粗野すぎるとも思いますが、人間的に真っ直ぐでいい人だとは思いますよ。俺はにっこり笑って毒を吐くタイプは苦手なんで、それに較べたらまあ…全然いいですよ」

明らかに入江の事を言っている。
あまりにもストレートすぎて、入江の怖さを知っている近くの席の下位コートの高校生達は一様に青ざめているほどだ。

「そうなんだ? キミなら毒でもなんでも来いって感じかと思ったのに」

「これで結構繊細なもんで、そういう人は怖いんですよ。俺は所詮まだ中学生ですから」


プッ!


いけしゃあしゃあと言う跡部に、今度は入江が吹き出す。


「あはは。やっぱり可愛いね、キミは。ねえ、鬼?」
「はぁ…;あんまりガキをイジメんじゃねえぞ、入江」

「失礼だね。でも、じゃあ僕はお先に失礼するよ。2人とも、ごゆっくり」

「…お疲れ様です」

元々お茶を飲みに来ただけの入江は、食事中の2人を残してまたトレイ片手に立ち去った。


(6に続く)
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