困惑・4
「ねえ跡部くん、鬼の事どう思う?」
「どう…とは?」

「テニスでも性格でもご自由に。だって、5番コートでは唯一の高校生でしょ。どんな風に思ってんのかな、と思ってさ」

跡部は相変わらずニコニコと笑う入江に胡散臭げな目を向けてから、座ってもまだ高い位置にある鬼の顔を見上げる。

「率直に?」
「構わんぞ」

鬼は苦笑する。元々、この目の前の中学生の口からお世辞が出るなど思っていない。

「…どんな馬鹿でも見て分かる通り、パワーは物凄いと思います。でもパワーだけでなく、テクニックもやはりずば抜けて、今まで倒してきた下位コートの連中とは較べ物にならない。
やや直線的すぎますが、パワーとスピードに特化して、小手先の技が必要ないだけの破壊力があるから問題ないでしょう」

「はい。良くできました。じゃあ、君から見て羨ましい所とかは?」
「別に。確かにパワーじゃ確実に負けるが、俺はパワー型じゃねぇし。ただ…あえて言えば」

「なんだ?」
「…カラダ。いい体してるから、いいな…って」


ぶふぉっ!!


ポツリと呟かれた言葉に、思わず、鬼が吹き出した。

「もう、汚いなぁ。鬼」
「ゲホゲホッ、す、すまん;」


(5に続く)
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