00-2 序章2
2012.06.08 (Fri)
「おめでとうございます! 貴方は人類誕生から×××番目の死亡者です!!」
「いや、お目出度くないから」
覚えているのは、仕事帰りにラノベを買って帰る帰り道の最中。
深夜の公園でなにやら物音がして、何だカップルかとデバガメ根性丸出しで覗きに行って。
で、何か血みどろで転がる女性と、それに今にも襲い掛かろうとしている狼男っぽい化物がいて。
「ファンタジーktkr!!」とかリアル絶叫して、偶々所持していたナイフで襲い掛かってきた狼男に斬りかかって。
狼男の喉笛を裂くのと、此方の喉元に噛み付かれたところまでは覚えている。
死んだ、という事はつまり、そういう事なのだろう。
あの女の人が助かることを願っておきます。
「因みに×××って?」
「あの世での数学記号です。えっと、地上表記では――スイマセン、地上の単位では表記できませんね。
無限の無限乗とかになっちゃいます。」
「わぉ」
まぁ、そんなことは如何でもいいのだ。
「因みに、特典とは?」
「転生時、好きな世界に好きな能力を持って転生できます。ただしSF世界に魔法を持っていくとか、ファンタジー世界に超科学を持っていくとかは制限させてもらいます」
「ふむ、なるほど」
内心パニックになりつつ、しかし表を必死に取り繕い、混乱を収めるついでに受付の向こう側に立つ女性に問い掛ける。
なるほどつまり此処はあの世で、この女性は……。
「カミサマ?」
「ええ、その末端の末端ですが、そんな感じです」
因みにカミサマの定義は、観察者のほうではなく、管理者のほうなのだそうだ。
うん、俺も意味分ってないんだ。
「因みに、どんなのがいいですか?」
「ISで頼む。ISがいい。ISがほしい」
で、気づいたら俺のオタク全開な部分が声を上げていた。
「ですか。なら、ついでにニュータイプスキルとか幸運Aとかつけといてあげます。頑張ってくださいね~」
「え、早いなおい」
「カミサマなんて所詮お役所仕事ですよ。では」
そういって手元のスイッチを押すカミサマ少女。
途端足元が無くなり、次いで浮遊感が襲い。
余りにもテンプレな展開にちょっとうんざりしつつ、俺の意識は闇に飲まれていったのだった。
さて、そうして転生した俺なのだが。
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!!
と言うテンプレを思わず俺がやってしまいそうになるほど衝撃的な話だ。
IS世界への転生を希望して、俺専用のISを希望したと思ったら、
IS世界に転生できたものの、何故かIS(インヒューレントスキル)振動破砕を所有するタイプゼロ・セカンドとして転生していた。
な、何を言ってるのかワカラナイと思うが、機動六課のナカジマさんで検索してくれればわかると思う。
―-テンプレ飽きた。
IS違いだって突っ込みを思わず一人で入れていたのは愛嬌だ。
さて、そういうわけで戦闘機人として生まれました俺改め私、戦闘機人タイプゼロ・セカンド。通称セカンド。
外見はまんまスバル・ナカジマですが、残念ながらクイントさんの救出とか無さそうなので、多分あの名前になることは無いでしょう。
まぁ、その辺り余り拘りませんが。
で、生まれてからかれこれ半年。
そもそも4歳児くらいの身体で生まれたので、まだ稼動年数1年未満という若輩者です。
先達にはタイプゼロ・ファースト。なのは式でいうギンガさんがいます。が、ギンガさんのほうは過酷なデータ取りのためか、なんだか気弱な6歳児といった感じてとても可愛いです。
さて、そんな我々ですが、今現在ジェイル・スカリエッティ率いるナンバーズと共に彼の秘密基地に潜伏しています。
一体どうしてこうなったのか。ウーノ姉さんに問うた所、なんでもドクターの研究に対して停止命令が出ていたとか。ソレを嫌がったドクターが、研究所ごと爆破して、自分のみを晦ませたのだそうだ。
うん、馬鹿す。
さすがスカリエッティと言うところか。IS世界である以上、あのスカリエッティとはまた別人なのだろうが。思い切りの良すぎるところは完全にスカリエッティだ。
まぁ、だからといって彼の傍を離れることも出来ない。
なにせ今の私は戦闘機人。骨格とか、ナノマシンで金属パーツに置き換えられているのだ。コレを調整できるのは、機人に対して一定以上の知識を持ち、尚且つ専用の設備が無ければ不可能。
あの施設が爆破され、機人研究が停止した以上、私たちが生き残る道はドクターの傍以外にはありえない。
まぁ、幸いタイプゼロボディーのスペックは凄い。さすがは訓練校主席ボディー。頭の回転は物凄く速いし、身体の学習速度も素晴らしい。きっと元のスバル・ナカジマは、性格が能天気でなければパーペキガールだったんだろうなぁ。
いざとなれば一人で生きる覚悟はある。元々独り身、何時だって世界に特攻する覚悟はある。
まぁ、出来るだけ自分に有利な環境を形作る。
人って言うのは、そういうものだ。
「これからどうするの、ドクター?」
「おや、セカンドかい。……さて、どうしたものかね?」
ドクターに問い掛けてみた所、そんな返答が帰ってきた。
「何も考えてなかったのか」
「生憎、思い立ったらすぐ行動が私のモットーでね。逃げた後は適当に自分の研究を続けようか、くらいしか考えていなかったのさ」
「ふーん」
やべぇ、さすが天才。自分の好きな事以外何にも考えてない。
思わず手で額を押さえてしまったのだが、そんなところで不意に背後から声が響いた。
「ドクター、インフィニット・ストラトスに関するデータが集まりました」
「あぁ、ご苦労ウーノ。早速モニターに表示してくれ」
「はい」
そういってモニターに表示されるインフィニット・ストラトス。
映し出されるのは、一機の純白の機体。
四方八方から迫り来るミサイルを、その驚異的な3次元機動をもってして尽く切り裂いた。
「インフィニット・ストラトスって、射撃武器が無い?」
「ふむ、この機体に限ったことか、それともIS全体がそうなのか」
「この機体が接近格闘に特化した機体の様子です。因みに発表されているペットネームは『白騎士』です」
「うわぁ……何か痛い」
だって、白騎士だぞ? 一体何時の時代の命名センスだよと、思わず突っ込みを入れてしまいそうになる。
まぁ、光の騎士とか闇の騎士とかじゃないだけましか?
「ふむ、そうかね? 中々いいセンスだと思うが……」
「ネーミングセンスに関して、ドクターに発言権は無いと思う」
言った途端にorzするドクター。でも、自分の娘と可愛がる彼女達に、数字の名前を付ける様な輩に反論は許されないと思うんだ。
「ま、まぁ、いい。然し、なるほど。コレを見ればご老人達の予想も頷けるというものだ」
そういって映し出される画面。
白騎士の脅威を見て、ソレを捕獲しようと各国が送り込んだ戦力。
ありとあらゆる種類の戦闘機が、限界一杯まで空を覆いつくし――それら全てを、立った一騎のISが駆逐していく。
余りにもふざけた、まるでアメリカンコミックのヒーローのような活躍に、思わず口元が引きつるのを自覚した。
いや、前世で知識としてこの事件のことは知っていたけど、実際に見ると相当馬鹿げているなぁ……。
「ドクター」
「何だね、セカンド」
「会社作ろう」
画面を見ながらドクターに言う。
「――キミはまた、唐突だね」
「そう?」
「それで、その心は?」
うん、なんと言うか、ドクターも言い回しが日本くさくなった。
IS普及と共に日本語がかなり普及した所為で、ドクターも日本語を勉強していたのだが――その折、調子に乗って色々日本語的言い回しとか、慣用句とか、比喩的表現とか色々教えたからなぁ。
因みに、日本語が普及した原因は篠ノ之博士が原因だ。彼女、説明書、解説書、技術書、果てはISのシステム表示まで全部日本語にしちゃったらしい。なんでも、「お前らが使うんだからお前達が此方にあわせろ」だそうだ。1から10まで全部日本語で言語部分の調整もISコアの分野で手が出せず、そういう由来で日本語がIS関連の言葉、と言う理由から普及したのだそうだ。
「ISに乗りたい」
「シンプルな意見だ。が、素直な欲望はいい」
「多分、ISは世界にばら撒かれるだろうし、その時企業って隠れ蓑があったほうが自由に研究できるよ。――それに、博士だって研究してみたいって顔してる」
「――おや」
うん、さっきから映像資料を見ている博士の顔が、いかにも「これを分解したい」って顔してるんだもんなぁ。
「どうせ分解(バラ)すならさ、分解(バラ)して組み立てて、それからもっかい分解(バラ)してってすればいいんじゃない? ソッチのほうが利もあるし」
「ふむ、オリジナルISか。それはまた心躍る。――まぁ、他人の舞台で踊るという点が若干アレだが」
「まぁ、ドクターの本分は私たちっしょ? それに、私がISに乗ると成ると、付いてこれる様なISってドクターぐらいにしか作れないだろうし」
「ふむ――単純に君が乗りたい、と言う理由に肉付けしてるだけだろう?」
「ドクター(の技術力)を信頼してるんだよ」
括弧の中は無論言わない。最低限の良心というものだ。
「ふむ、何か表になってない言葉があったような気がするが――まぁ、そんなことは如何でもいい」
「いいのか」
「ああ。ソレよりも、君の意見――会社の設立は面白そうだな」
そういうと、ドクターは早速キーボードをカタカタと叩き始めた。
見た限り、ドクターの知人のメールアドレス、何処の文字だろうか、ぐにゃぐにゃとうねる文字の記述されたサイトと、おいちょっと待て戸籍情報とか何してんだアンタ。
「流石にジェイル・スカリエッティーの本名で活動を続けるのは拙いのでね」
「あぁ……因みに、なんて名前にする心算?」
「トニー・スターク。私の憧れた、大昔のフィルム・ヒーローだ。」
「却下」
いやさドクターがソレでいいならいいのだが、流石にそんなネタ臭い名前を名乗るのは問題だろう。
いや、格好いい人だとは思うけどさ。心臓に刺さった破片を引っ張る為に胸に動力源なリアクター仕込むとか。その前に心臓移植しろよと言いたい。金持ちなんだし、そんな爆弾抱えたままヒーローするなと。
とりあえず、もうちょいマシそうな名前をネット上から検索してみる。
えーっと、こういう場合アナグラムとか組んだら格好いいんだろうけど、面倒くさいし、第一ドクターにそんな手間をかけるのがもったいない。
「ジェイク・スキャパレッリとか」
「ふむ、何だがまとまりの無い名前だな」
「姓にイタリア語を仕込んだくらいで勘弁」
Jake・Schiaparelli と。
「ふむ、まぁどうせ滅多に名乗ることも無いだろう」
「というか、ふと思ったんだけどさ。同姓同名で戸籍つくっても、テレビとか出ない限り大丈夫なんじゃない?」
「確かに」
とか言ってたら、いつの間にか更にもう一つ戸籍を偽造するドクター。
うん、わかってるんだ。言っても仕方ないって。
「それじゃ、我が娘達の名前はどうする?」
「それは自分で――あー、ドクターが考え……無理か、ウーノ姉さんに考えてもらうか、寧ろそのままいくか」
「人権保護団体に訴えられそうな気がするんだが」
「なら最初からまともな名前を考えようよ……」
解ってるなら何故最初からそうしないのかと思う。
まぁ、ドクターだからなのだろうが。普通理由にならないものが理由になる時点で色々アウトだと思う。
「まぁ、なら最初に君の名前から聞こうじゃないか」
「私?」
「ああ。ISに乗りたいといっただろう。あれはどうも、個数が管理されていて、とてもではないが戸籍の無い人間に許されることは無いだろう」
言うドクター。ふむ、なるほど確かに。
後に創設されるであろうIS学園。あれに入学するにしても、名前は確かに必要だろう。
「セカンド」なんて名前は、流石に拙いだろうし。如何考えてもペットネームないし開発コードなんだから。
「んじゃ、ついでに姉さんの名前もいい?」
「ん? そちらも考えていたのかい」
「うん。私がスバルで、姉さんがギンガ」
ぶっちゃけ原作通りの名前。ただ、前世の自分の名前が偶々スバルだったりしたもので、丁度良いと言えば丁度いいのだ。
姉さんはギンガそのままで。
「ギンガにスバル――ふむ、どちらも日本語で宇宙関連の言葉だな」
「IS狙いにしてはいい皮肉じゃない?」
うん、銀河も昴も、共にソラに関する名前だ。いい感じに皮肉が利いていると思う。
「ふむ、それでは社名は私が――ナンバーズコーポなんて如何だい?」
「いいんじゃない? シンプルで」
「では、こんな感じで纏めようか」
そういってドクターが紙にまとめ出したのは――。
■社名:ナンバーズコーポ
所属国家:オーストラリア
代表取締役社長:ジェイク・スキャパレッリ(ジェイル・スカリエッティ)
ウーノ・スカリエッティ
ドゥーエ・スカリエッティ
トーレ・スカリエッティ
クアットロ・スカリエッティ
ギンガ・スカリエッティ
スバル・スカリエッティ
……あれ?
「いや、お目出度くないから」
覚えているのは、仕事帰りにラノベを買って帰る帰り道の最中。
深夜の公園でなにやら物音がして、何だカップルかとデバガメ根性丸出しで覗きに行って。
で、何か血みどろで転がる女性と、それに今にも襲い掛かろうとしている狼男っぽい化物がいて。
「ファンタジーktkr!!」とかリアル絶叫して、偶々所持していたナイフで襲い掛かってきた狼男に斬りかかって。
狼男の喉笛を裂くのと、此方の喉元に噛み付かれたところまでは覚えている。
死んだ、という事はつまり、そういう事なのだろう。
あの女の人が助かることを願っておきます。
「因みに×××って?」
「あの世での数学記号です。えっと、地上表記では――スイマセン、地上の単位では表記できませんね。
無限の無限乗とかになっちゃいます。」
「わぉ」
まぁ、そんなことは如何でもいいのだ。
「因みに、特典とは?」
「転生時、好きな世界に好きな能力を持って転生できます。ただしSF世界に魔法を持っていくとか、ファンタジー世界に超科学を持っていくとかは制限させてもらいます」
「ふむ、なるほど」
内心パニックになりつつ、しかし表を必死に取り繕い、混乱を収めるついでに受付の向こう側に立つ女性に問い掛ける。
なるほどつまり此処はあの世で、この女性は……。
「カミサマ?」
「ええ、その末端の末端ですが、そんな感じです」
因みにカミサマの定義は、観察者のほうではなく、管理者のほうなのだそうだ。
うん、俺も意味分ってないんだ。
「因みに、どんなのがいいですか?」
「ISで頼む。ISがいい。ISがほしい」
で、気づいたら俺のオタク全開な部分が声を上げていた。
「ですか。なら、ついでにニュータイプスキルとか幸運Aとかつけといてあげます。頑張ってくださいね~」
「え、早いなおい」
「カミサマなんて所詮お役所仕事ですよ。では」
そういって手元のスイッチを押すカミサマ少女。
途端足元が無くなり、次いで浮遊感が襲い。
余りにもテンプレな展開にちょっとうんざりしつつ、俺の意識は闇に飲まれていったのだった。
さて、そうして転生した俺なのだが。
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!!
と言うテンプレを思わず俺がやってしまいそうになるほど衝撃的な話だ。
IS世界への転生を希望して、俺専用のISを希望したと思ったら、
IS世界に転生できたものの、何故かIS(インヒューレントスキル)振動破砕を所有するタイプゼロ・セカンドとして転生していた。
な、何を言ってるのかワカラナイと思うが、機動六課のナカジマさんで検索してくれればわかると思う。
―-テンプレ飽きた。
IS違いだって突っ込みを思わず一人で入れていたのは愛嬌だ。
さて、そういうわけで戦闘機人として生まれました俺改め私、戦闘機人タイプゼロ・セカンド。通称セカンド。
外見はまんまスバル・ナカジマですが、残念ながらクイントさんの救出とか無さそうなので、多分あの名前になることは無いでしょう。
まぁ、その辺り余り拘りませんが。
で、生まれてからかれこれ半年。
そもそも4歳児くらいの身体で生まれたので、まだ稼動年数1年未満という若輩者です。
先達にはタイプゼロ・ファースト。なのは式でいうギンガさんがいます。が、ギンガさんのほうは過酷なデータ取りのためか、なんだか気弱な6歳児といった感じてとても可愛いです。
さて、そんな我々ですが、今現在ジェイル・スカリエッティ率いるナンバーズと共に彼の秘密基地に潜伏しています。
一体どうしてこうなったのか。ウーノ姉さんに問うた所、なんでもドクターの研究に対して停止命令が出ていたとか。ソレを嫌がったドクターが、研究所ごと爆破して、自分のみを晦ませたのだそうだ。
うん、馬鹿す。
さすがスカリエッティと言うところか。IS世界である以上、あのスカリエッティとはまた別人なのだろうが。思い切りの良すぎるところは完全にスカリエッティだ。
まぁ、だからといって彼の傍を離れることも出来ない。
なにせ今の私は戦闘機人。骨格とか、ナノマシンで金属パーツに置き換えられているのだ。コレを調整できるのは、機人に対して一定以上の知識を持ち、尚且つ専用の設備が無ければ不可能。
あの施設が爆破され、機人研究が停止した以上、私たちが生き残る道はドクターの傍以外にはありえない。
まぁ、幸いタイプゼロボディーのスペックは凄い。さすがは訓練校主席ボディー。頭の回転は物凄く速いし、身体の学習速度も素晴らしい。きっと元のスバル・ナカジマは、性格が能天気でなければパーペキガールだったんだろうなぁ。
いざとなれば一人で生きる覚悟はある。元々独り身、何時だって世界に特攻する覚悟はある。
まぁ、出来るだけ自分に有利な環境を形作る。
人って言うのは、そういうものだ。
「これからどうするの、ドクター?」
「おや、セカンドかい。……さて、どうしたものかね?」
ドクターに問い掛けてみた所、そんな返答が帰ってきた。
「何も考えてなかったのか」
「生憎、思い立ったらすぐ行動が私のモットーでね。逃げた後は適当に自分の研究を続けようか、くらいしか考えていなかったのさ」
「ふーん」
やべぇ、さすが天才。自分の好きな事以外何にも考えてない。
思わず手で額を押さえてしまったのだが、そんなところで不意に背後から声が響いた。
「ドクター、インフィニット・ストラトスに関するデータが集まりました」
「あぁ、ご苦労ウーノ。早速モニターに表示してくれ」
「はい」
そういってモニターに表示されるインフィニット・ストラトス。
映し出されるのは、一機の純白の機体。
四方八方から迫り来るミサイルを、その驚異的な3次元機動をもってして尽く切り裂いた。
「インフィニット・ストラトスって、射撃武器が無い?」
「ふむ、この機体に限ったことか、それともIS全体がそうなのか」
「この機体が接近格闘に特化した機体の様子です。因みに発表されているペットネームは『白騎士』です」
「うわぁ……何か痛い」
だって、白騎士だぞ? 一体何時の時代の命名センスだよと、思わず突っ込みを入れてしまいそうになる。
まぁ、光の騎士とか闇の騎士とかじゃないだけましか?
「ふむ、そうかね? 中々いいセンスだと思うが……」
「ネーミングセンスに関して、ドクターに発言権は無いと思う」
言った途端にorzするドクター。でも、自分の娘と可愛がる彼女達に、数字の名前を付ける様な輩に反論は許されないと思うんだ。
「ま、まぁ、いい。然し、なるほど。コレを見ればご老人達の予想も頷けるというものだ」
そういって映し出される画面。
白騎士の脅威を見て、ソレを捕獲しようと各国が送り込んだ戦力。
ありとあらゆる種類の戦闘機が、限界一杯まで空を覆いつくし――それら全てを、立った一騎のISが駆逐していく。
余りにもふざけた、まるでアメリカンコミックのヒーローのような活躍に、思わず口元が引きつるのを自覚した。
いや、前世で知識としてこの事件のことは知っていたけど、実際に見ると相当馬鹿げているなぁ……。
「ドクター」
「何だね、セカンド」
「会社作ろう」
画面を見ながらドクターに言う。
「――キミはまた、唐突だね」
「そう?」
「それで、その心は?」
うん、なんと言うか、ドクターも言い回しが日本くさくなった。
IS普及と共に日本語がかなり普及した所為で、ドクターも日本語を勉強していたのだが――その折、調子に乗って色々日本語的言い回しとか、慣用句とか、比喩的表現とか色々教えたからなぁ。
因みに、日本語が普及した原因は篠ノ之博士が原因だ。彼女、説明書、解説書、技術書、果てはISのシステム表示まで全部日本語にしちゃったらしい。なんでも、「お前らが使うんだからお前達が此方にあわせろ」だそうだ。1から10まで全部日本語で言語部分の調整もISコアの分野で手が出せず、そういう由来で日本語がIS関連の言葉、と言う理由から普及したのだそうだ。
「ISに乗りたい」
「シンプルな意見だ。が、素直な欲望はいい」
「多分、ISは世界にばら撒かれるだろうし、その時企業って隠れ蓑があったほうが自由に研究できるよ。――それに、博士だって研究してみたいって顔してる」
「――おや」
うん、さっきから映像資料を見ている博士の顔が、いかにも「これを分解したい」って顔してるんだもんなぁ。
「どうせ分解(バラ)すならさ、分解(バラ)して組み立てて、それからもっかい分解(バラ)してってすればいいんじゃない? ソッチのほうが利もあるし」
「ふむ、オリジナルISか。それはまた心躍る。――まぁ、他人の舞台で踊るという点が若干アレだが」
「まぁ、ドクターの本分は私たちっしょ? それに、私がISに乗ると成ると、付いてこれる様なISってドクターぐらいにしか作れないだろうし」
「ふむ――単純に君が乗りたい、と言う理由に肉付けしてるだけだろう?」
「ドクター(の技術力)を信頼してるんだよ」
括弧の中は無論言わない。最低限の良心というものだ。
「ふむ、何か表になってない言葉があったような気がするが――まぁ、そんなことは如何でもいい」
「いいのか」
「ああ。ソレよりも、君の意見――会社の設立は面白そうだな」
そういうと、ドクターは早速キーボードをカタカタと叩き始めた。
見た限り、ドクターの知人のメールアドレス、何処の文字だろうか、ぐにゃぐにゃとうねる文字の記述されたサイトと、おいちょっと待て戸籍情報とか何してんだアンタ。
「流石にジェイル・スカリエッティーの本名で活動を続けるのは拙いのでね」
「あぁ……因みに、なんて名前にする心算?」
「トニー・スターク。私の憧れた、大昔のフィルム・ヒーローだ。」
「却下」
いやさドクターがソレでいいならいいのだが、流石にそんなネタ臭い名前を名乗るのは問題だろう。
いや、格好いい人だとは思うけどさ。心臓に刺さった破片を引っ張る為に胸に動力源なリアクター仕込むとか。その前に心臓移植しろよと言いたい。金持ちなんだし、そんな爆弾抱えたままヒーローするなと。
とりあえず、もうちょいマシそうな名前をネット上から検索してみる。
えーっと、こういう場合アナグラムとか組んだら格好いいんだろうけど、面倒くさいし、第一ドクターにそんな手間をかけるのがもったいない。
「ジェイク・スキャパレッリとか」
「ふむ、何だがまとまりの無い名前だな」
「姓にイタリア語を仕込んだくらいで勘弁」
Jake・Schiaparelli と。
「ふむ、まぁどうせ滅多に名乗ることも無いだろう」
「というか、ふと思ったんだけどさ。同姓同名で戸籍つくっても、テレビとか出ない限り大丈夫なんじゃない?」
「確かに」
とか言ってたら、いつの間にか更にもう一つ戸籍を偽造するドクター。
うん、わかってるんだ。言っても仕方ないって。
「それじゃ、我が娘達の名前はどうする?」
「それは自分で――あー、ドクターが考え……無理か、ウーノ姉さんに考えてもらうか、寧ろそのままいくか」
「人権保護団体に訴えられそうな気がするんだが」
「なら最初からまともな名前を考えようよ……」
解ってるなら何故最初からそうしないのかと思う。
まぁ、ドクターだからなのだろうが。普通理由にならないものが理由になる時点で色々アウトだと思う。
「まぁ、なら最初に君の名前から聞こうじゃないか」
「私?」
「ああ。ISに乗りたいといっただろう。あれはどうも、個数が管理されていて、とてもではないが戸籍の無い人間に許されることは無いだろう」
言うドクター。ふむ、なるほど確かに。
後に創設されるであろうIS学園。あれに入学するにしても、名前は確かに必要だろう。
「セカンド」なんて名前は、流石に拙いだろうし。如何考えてもペットネームないし開発コードなんだから。
「んじゃ、ついでに姉さんの名前もいい?」
「ん? そちらも考えていたのかい」
「うん。私がスバルで、姉さんがギンガ」
ぶっちゃけ原作通りの名前。ただ、前世の自分の名前が偶々スバルだったりしたもので、丁度良いと言えば丁度いいのだ。
姉さんはギンガそのままで。
「ギンガにスバル――ふむ、どちらも日本語で宇宙関連の言葉だな」
「IS狙いにしてはいい皮肉じゃない?」
うん、銀河も昴も、共にソラに関する名前だ。いい感じに皮肉が利いていると思う。
「ふむ、それでは社名は私が――ナンバーズコーポなんて如何だい?」
「いいんじゃない? シンプルで」
「では、こんな感じで纏めようか」
そういってドクターが紙にまとめ出したのは――。
■社名:ナンバーズコーポ
所属国家:オーストラリア
代表取締役社長:ジェイク・スキャパレッリ(ジェイル・スカリエッティ)
ウーノ・スカリエッティ
ドゥーエ・スカリエッティ
トーレ・スカリエッティ
クアットロ・スカリエッティ
ギンガ・スカリエッティ
スバル・スカリエッティ
……あれ?
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