「PTA会費ゼロ」の学校増加の裏で、「それでは困る!」と圧力をかける“意外な抵抗勢力”とは?
● 会費集めは 運動会の「募金箱」で十分だった! さて、こんなふうに削れる支出をどんどん削っていっても、やはり「どうしても必要なお金」がちょっとだけ残ってしまうことはあります。 たとえば、PTA活動の保険のお金。会費ゼロに踏み切る際、自治体の「ボランティア保険」に切り替えるところや、割り切って「保険ナシ」にするところも多いのですが、保険会社と契約をするところもあり、そうするとやはり年に数万円は必要となります。 あるいは、PTAでスマホやWi-Fiの契約をする、有料アプリを使用するなど、連絡手段を確保するための費用がかかってくる場合もあるでしょう。 そういったお金はどうするのか? というと、まずひとつには「募金箱」で寄付を募るという方法があります。たとえば、松戸市立栗ケ沢小学校の保護者会は2023年の運動会の際、開始・終了時刻にあわせて校門近くに「募金箱」を設置。すると、なんと一日で10万円を超える寄付が集まったそうです。 ただし同保護者会・会計の竹内幸枝さんによると「今後はさらに支出を削れそうなので、今年(2024年)の運動会は募金箱を設置しない予定」だとのこと。なお、もし今後寄付を募る場合は「キャッシュレスの集金方法も検討したい」と話していました。 ほかには「自治体の助成金の一部が地域団体からまわってくるので、そのお金でまかなっている」「資源回収の収益金をあてている(保護者は家から持参するのみ)」などの例も取材したことがあります。 ● 「お金がかからない活動」をしていれば 会費をなくしても支障なし! 会費ゼロを実現した会長たちは、こんなふうに話します。 「『予算ありき』の考え方がPTAの柔軟性を奪っていると感じてきたので、会費徴収をやめたかったんです。本当に必要なものだったらPTA予算ではなく、税金を使うよう行政に話をする必要がある。実際に会費を集めるのをやめてみた結果、それなりにまわっています。お金が必要なときは、賛同者からカンパを募ります」(山口晃一郎さん/柏市立大津第二小PTA会長) 「会費をなくして、お金がかからない活動をしています。そこは学校にも伝えてあって、学校側も『(お金が)ないならないなりに頑張る』みたいな感じで協力してくれている。ここまでくるのに3、4年はかかりました。徐々に理解してもらった感じですね。会費をやめて支障はなかったし、いまも特に目立った問題はありません」(田頭佳代さん/川西市立東谷小元PTA会長/現「ココスクール」代表) とまあこんな感じで、会費ゼロでも、意外となんとかなるようです。さすがに「どこのPTAでも実現できる!」とまでは言えませんが、これだけ実例が出てくると、「絶対ムリ」とも言えなくなります。今後も増えていくのか? 気になるところです。
大塚玲子