「PTA会費ゼロ」の学校増加の裏で、「それでは困る!」と圧力をかける“意外な抵抗勢力”とは?
● 削りやすいのは印刷費用 削りづらいのは… 筆者がこの1年で「PTA会費ゼロ」の取材をしたのは、全部で5人。千葉県柏市、同松戸市、兵庫県川西市の、PTA会長や元会長さんたちです。 ほかに、新設校で会費ゼロの保護者組織を立ち上げた会長(千葉県船橋市)や、同じく新設校で会費ゼロのPTCA(CはCommunity=地域)をつくった校長(愛知県豊田市)、議員として市内の学校にまわす予算を増額して会費ゼロを実現したPTA会長(埼玉県草加市)なども、以前取材したことがあります。 会費ゼロへの第一歩は、どのPTAも共通していました(新設校以外)。まずはこれまでの予算の用途を一つひとつチェックして、削れるものから削っていくのです。 最も「削りやすかった」と聞くのは、トナーや紙代、リース代などの印刷関連費用や、広報紙の制作費など。プリントを配布するのをやめ、LINEやアプリ、ホームページなどデジタルな連絡ツールに移行すれば、自ずと印刷費用はカットされます。 子どもたちに配る記念品・プレゼント代も、役員さんたちのなかで配布をやめる合意ができれば、比較的簡単に削れるようです。 逆に「削りづらかった」とよく聞くのは、卒業時や離任時に先生たちに渡す「花束代」など。こういった「先生へのお礼」の要素が強いものは手をつけづらいものですが、話し合いのうえ最終的にはなくした、という結論はほぼ共通していました。 ● 会費ゼロに難色を示す 意外な抵抗勢力とは? P連(PTAのネットワーク組織)ついては、筆者が取材したほとんどのPTAは、退会することで分担金の支出をカットしていました。ただし最近は、P連のなかでも会費(分担金)をとらないところが出てきました(東京都PTA協議会など)。もし今後そういうP連が増えていけば、会費ゼロのPTAもP連をやめずに済むかもしれません。 ※P連についての詳細は、本連載の前回記事『PTA「上部組織」の謎すぎる実態…保険事業のもうけで使途不明金がウン千万円!?』を参照。 最もカットが難しいのは、おそらく学校への「寄付」に関する支出でしょう。筆者が取材したPTAは、いずれも「今後はPTAから『寄付』はしない」という旨を校長に伝え、会費なしを実現していましたが、そうはいかないケースも多そうです。 というのは、校長や教育委員会が「寄付がないのは困る」と考え、会費ゼロに難色を示すことは多いからです(寄付をするかどうかPTAが単独で決められない時点で、もはや寄付とは言い難いのですが)。結局は校長・教委次第のところが大きいですが、会長が「それらの圧力とどう向き合うか」を試される部分でもあります。 逆に考えると、会費ゼロを実現できたところの校長先生や教育委員会、PTA会長(保護者代表)はエラかったな、ということもしみじみ感じます。