52 知られざるバタフライのメカニズム
[お知らせ]
7 STNRの項目に、水泳界の問題点について述べさせて頂いた。 また、他の項目にも手を加えているので、一度読まれた方も、再度目を通して頂けたらと思う。
そして、49記事の最後にバタフライの呼吸についても述べているので、より知識を深める為に、併せてご覧頂ければ と思う。
今年初となる今回は、『フラットバタフライ』。とても長い記事であることをはじめにおことわりする。記事後半には、クロールを極めるヒントがいくつか転がっている。 尚、当記事では、通常の(競泳ルールに基いた)バタフライを紹介する。
長距離については、『グライドバタフライ』として45記事で紹介しているので、映像のみとさせて頂く。
A ラクに速く泳ぐ『フラットバタフライ』
ある程度の距離を泳げるようになった。そこそこスピードも出せるようになった。レべルで言えば、初級を脱した中級者である。しかし・・より速く泳ごうとするとすぐ疲れる。レベルを引き上げるには何が足りないのか?・・わからない・・
では、そのヒントを探っていこう。
1 バタフライの先入観
競泳のイメージからか、バタフライは力で速く泳ぐイメージが強い。その為、真似して必死に腕を回そうとする。必死にキックしようとする。なぜラクではないんだうう?そして皆バタフライを泳がなくなる・・。
バタフライはとても疲れる。速くなんてとてもじゃない!これがあなたの感想だろう。でも実は、バタフライはとてもラクな泳法である。ええっ?冗談でしょ??いや、ラクである。
あなたは、バタフライの本当のメカニズムをまだ知らないのである。メカニズムさえ理解すればラクになる。腕力や脚力も要らない。タイミングとリズムさえ揃えば、筋力のない私でもラクに速く泳げる。 ↓
2 うねり
皆さんはうねりと聞いて何をイメージするだううか?イルカ?海へビ?周波数の波形?要するに体幹をくねらせて泳ぐんでしょ?
残念ながらこの認識は合っているようで誤りである。えっ?意味わからん!
実は、バタフライの体幹はフラットが基本。お腹を凹ましたストリームラインである。
はい?うねらないのか?バタフライの選手はうねってるではないか!
見た目は確かにうねっているように見える。
うねるとは、
フラットな体が、水面の際を上下することを言う。
身体の 通 り 道 がうねっているのである。
さらに言うならば、腰(注:ウェストのこと。ヒップではない)を支点に上半身と下半身がシーソーをするのである。つまり、腰は上下せず、上半身のみ水上に出たり入ったりするのだ。わかりやすいイメージとして競泳の平泳ぎがある。あれはまさに上半身だけが上下動している。
バタフライも平泳ぎと同じなのでである。
腰を大きく上下させ、体をくねらせで泳ぐのではない。
ちょっと待って!水中から見ると体幹自体もうねってるよ?
落ち着いて晟後まで聞いてほしい。体幹自体のうねりは、上半身を水面下に沈めると浮力が生じる。それにより上半身は浮いてくる。なぜなら胸郭(きょうかくと読む。肋骨、胸骨、胸椎がなすカゴ)には肺が入っているからだ。
その浮き沈みする胸郭の動きが、腰から足先にまで波及する。身体(特に胸郭)が柔らかい選手は、よくしなる為あたかもくねらせているように見えるだけだ。
また、その上半身の動きに合わせて腕を動かせばラクにストロークもでき、息つぎも出来る。推進力はあくまで上半身の上下動から。これがバタフライの正体だ。
さて、現在のバタフライの主流はフラットな泳ぎである。要するに、うねり幅を小さくしたほうが抵抗が少なくスビードが出るということだ。
しかし、全くうねらないで泳いだほうがよいと言う人もいる。これは大きな誤解を生む表現だ。以下、真相を述べる。
私の泳ぎは、腕の入水後体が完全に一直線になる 瞬間がある。もちろん水面に対し平行である。水泳の最も抵抗の少ない姿勢は何であっただろうか?そう、ストリームラインだ。これがバタフライの基本姿勢となる。この姿勢を保つ意識で
上半身だけを上下させるのだ。
ところで私には、お手本とするスィマーがいる。かつて美しいバタフライを泳いだ『ミスターバタフライ』。そう、山本貴司氏である。
彼は上半身のうねりがとても大きく、そして美しかった。しかし、下半身に目を移すと・・ほとんど腰が上下しない(ヒップはわずかに上下する)のである。上下と言うより前後に動く。前後の体重移動なのだ。うねりをよく観察すると、やはり腰を支点にシーソーしている。その体幹の動きはまるで平泳ぎのようだ。これがフラットバタフライの真相である。ミスターバタフライをご存知でない人は、ぜひ彼の泳ぎを見てほしい。
そもそも、バタフライはなぜ上半身を上下させる必要があるのか?それは両手同時に水上でリカバリーするからだ。その為には肩が水面上に出ないとならない。
肩を水面上に出す為に上半身が上下するのだ。
私ね、肩が固いから上に上がらんのよ!
ご心配無用。幸い人間は上半身に肺がある。水中で息を止め、浮き袋を大きくしておくのだ。この浮き袋を沈めることにより、大きな反発力(浮力)が生じ水面上に肩を出すことが可能なのだ。この浮き袋が小さいと、上半身は沈みやすくなり反発力も小さい為、溺れたバタフライになる。
ちなみに息を大きく吸って止めておくと、泳速が上がるにつれ、ホバークラフトのようにボディポジションが上がる。
念の為であるが、上下させる必要があるのは上半身のみ。下半身は上下させる必要がない。
え?キックを打つには腰が上下に動かないと・・?
いや、キックは意識して打たなくてもよい。なぜなら、上半身が沈み込んでいれば、勝手にキックが入るからである。
沈み込む? そう、具体的には胸を沈めることが大切である。
しかし、水面にふし浮きになってどうやって胸を沈めるんだい? これは胸郭の動きが理解できないと確かに難しい。
では・・
イスに座って、まずは真正面を見てほしい。真正面がプール底で、天井が進行方向である。そのままだらんと上半身の力を抜いてみる。すると、みぞおちが凹んでねこ背になるだろう。もちろんアゴは上がる。
次に、ねこ背の状熊から姿勢を正してほしい。背中がビンと伸び、みぞおちが斜め上方に引き上げられ、助骨が広がるだろう。しかし、ここでアゴも引いてしまうのがわかる。実は、アゴを引いてしまうと肺の入っている胸は水中にうまく沈まない。頭だけが水中に突っ込んでいくのだ。
次に、やや進行方向に目線を移し、アゴを上げる。そして、先程のようにねこ背と胸張りをくり返してほしい。目線は固定したまま。
この動きがバタフライにおける胸郭の動きだ。私はこれを上半身のシメとゆると呼んでいる。
さらに、万歳して同じようにくり返してみると、進行方向に体が伸びたり綰んだりするのが分かるだろうか?この体の伸縮に合わせて肩も伸縮させる。
ちなみに、胸を張る(シメ)時が沈み込みである。そして、背中の力を抜いた(ゆる)時が浮き上がりである。
この様子は、以下のビデオでよくわかるだろう。↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm25377190
※実際は、水中では重力がかからない為、座っている時程ねこ背にはならない。私の言う水泳時のねこ背とは、自然にまっすぐ立っている時の背骨の状態であり、前かがみの姿勢とは意味が違う。
というわけで・・私のうねりの意識は、水面に対し上下ではなく前後なのである。
一般のうねり練習は、上下させる意識だからうまくいかないのだ。
誤解のないようにして頂きたいが、バタフライの上半身は、スタートやターン時の水中ドルフィン(バサロも含めて)のように完全に固めるのではない。
腰からの意識では、バタフライは泳げない。胸郭が柔らかく伸縮して初めてバタフライは泳げる。
そして、バタフライのキックというのは・・
胸郭の動きそのものなのだ。
上半身の上下動がキックに直接繋がっている。次のビデオはそれが分かり易いよう、わざと力(腹圧)を抜いて泳いでいる。↓
これを、腹圧を入れて前へ前へまっすぐの意識で泳ぐと、冒頭のフラットバタフライになる。
うねりとはどんなものなのか、少しはイメージできたであろうか?
3 グライド~キャッチ~プル
さて、私のバタフライである。私がスピードを上げる時は、前へ前へ体重をかけることを意識する。また後半バテてきた時は、胸をしっかり沈めることを意識する。
グライドの瞬間(本当に瞬間)水の滑り台をスーパーマンのごとくY字万歳で滑り上がるイメージである。は?
もう一度言おう。滑るように上がるのである。下るのではない。冒頭の水中映像からもわかるように顔と胸元がしゃくり上げるように動いているのがわかる。
具体的には、両腕を水面にキープし、やや前を見て、みぞおちをつき出すのである。むろん、息を止めるからすぐ浮き上がる。注意すべきは前に伸ばす腕の方向。
決してななめ上や下に伸ばさないこと。
必ず水面と平行に伸ばす。そうでないと、プレーキになるもしくは、勢いよく潜水してしまう。
特にななめ下へ伸ばすと、腰が大きく上下する原因になる。
もう一つ。ななめ下へ伸ばしてはならない理由、あなたは答えられるだろうか?
バタフライは潜水してはならないからである。
余談だが・・
2016年日本選手権200mバタフライ準決勝で、矢島優也選手(私個人的にはひいきにしている。なぜなら、他がやらない新しいことをする人が好きだからだ)が泳法失格となったことは記憶に新しい。彼は独特の大きな泳ぎが特徴だが、『体全体が完全に水没してはならない』というルール違反すれすれで泳いでいた。今回の失格はとても残念だった。
しかし、厳密に言うと、潜りが深いだけならば失格にはならない。『意図的に潜水で進もう!』としている・・ように見なされると失格だ。
具体的には・・
グライドするとき、腕をYの字(アウトスカル)に開かずIの字のまま、第2キックを打つと失格である。Iの字は明らかに潜水行為で、Yの字は浮上行為だからだ。矢島選手は、Iの字で第2キックを打っているように見える。だから失格となった。もっと早めにアウトスカルすればよかったのだ・・
というわけで矢島選手は、即アウトスカルをせず、平泳ぎのようにIの字で斜め下へ伸ばしている為、潜りが深くなる。だから重力と浮力を最大限に利用できるのだが・・
実は、完全水没したほうがトップスピードは出しやすい。このスタイルは、私もよく真似ており、フラット泳法よりも速いことを実感している。もし、水没が認められるようルール改正されたならば、矢島式のバタフライが主流となり、世界記録が次々と更新されるだろう。潜水泳法は、それ程に可能性を秘めている。
しかし現在は、水没は認められていない為、今回のような悲劇を招かぬよう、入水後は必ず水面に平行に伸ばすことである。
次にキャッチ。ズバリ、スカーリングをする。
理由は、先に述べたように水没を防ぐ為。スカーリングは上半身を浮かせる働きがある。フラットバタフライには欠かせない技術だ。もちろん息つぎもラクになる。スカーリングを入れるだけでも上体は上がるが、バックボーンとして、大きく息を吸って止める(つまり腹圧を入れる)ことでよりいっそう相乗効果を生む。息を止めスカーリングを入れて泳ぐと、驚くほどボディポジションが上がり安定する。ムダな上下動がなくなり、酸素消費も抑えられとてもラクになる。
私の泳いだ感想は、まるでアメンボになった気分である。ビデオを見ると、背中がとても大きく見えるのがわかる。よく水面上に浮く為、背中も軽く感じる。
では、スカーリングについて。
スカーリングは手首を固定し、手先から前腕全体で水を捕らえること。
入水と同時に胸を張り、脇の下を伸はしてYの字万歳する。腕は内側に捻っていて(内旋回内位)手の平は外を向いている。なぜこうするか?それはその後に続くキャッチに繋げるため。これがアウトスカルである。もちろん両手を広げすぎると大きな抵抗になる。
そしてインスカルは・・グッとみぞおちを出してうでを伸ばしている状熊からフッと上半身の力を抜く。先程椅子に座って行ったねこ背である。(あくまで背中の力を抜くこと。力を入れて背中を丸めない)すると肘が緩むのだ。これがキャッチ。そしてこのままお腹に力を入れ、まっすぐ広背筋(→詳しくは47記事参照)で引くだけだ。この時腹圧により、自然に息は出ていく。
※初級者や中級者は、プルで背中の力を抜けない(お腹に力を入れない)為、自然なうねりが作れず水没するのである。
[注]
あくまでお腹を絞る。腹直筋を緊張させ、肋骨を下げ体幹を固くしてはならない。これを実現するには、第2キックをプル前半に打つことである。タイミングについては後述する。
なお、プルの軌跡(カギ穴、S字など)は、クロール同様、論ずることそのものが無意味である。なぜならば、体力、関節可動域、力加減により個人差があって当たり前だからだ。スカーリングするから、ストレートにはならないだけのことである。
ならば・・
バタフライでスカーリングするなら、クロールも同様にスカーリング(S字プル)してよさそうなのだが・・
クロールの場合、ローリングが入る為、アウトスカルは背中の面を超える動きになる。関節運動学上、なり得ない動作であり、確実に肩を壊す。え?壊さない人もいるよ?それは、ローリング角度が小さいからである。従来よく見られた1軸クロールはローリング角度が大きい為(オーバーローリング)、故障が続出したのだ。どうしてもS字にこだわるならばロール角は小さくすることである。そのかわりに、体幹の回転カをフル活用出来なくなるが念のため。
ハイエルボーも同様である。ロール角が大きいと肩を壊す。そもそも、ロール角が大きいままハイエルボーにすること自体ナンセンスである。ハイエルボーの目的は、より速く泳ぐ為に、プル前半にピークを持っていくことにある。競泳は速さを競う為、ハイェルボーで泳ぐが、ロール角も小さくすることを忘れてはならない。
[補足]
私の言うキャッチとは、フッと力が抜ける瞬間である。
一般の泳者は、キャッチは力を入れて水を捉えることだと勘違いしている。その証拠に、インスカルするとそのまま後方に引いてしまう。その為、第2キックが入るのはフィニッシュになる。
本来の力を抜いたキャッチを行えば、一瞬その場に手が留まるはずだ。これをタメと呼ぶ。タメてからプルするのである。すると第2キックは、フィニッシュより手前に打ち下ろされる。
キャッチとは、一瞬腕を休ませるということだ。一般にいうスカーリングは外と内へ両方に力を入れる為、これが疲労を招くことになる。シメとゆる。これも後で詳しく述べる。
4 リカバリー~エントリー
私がバタフライのストロークで最も重視するのは、実はリカバリー。
皆さんは延々泳ぎ続けると肩や腕がとてもつらくなるだろう。それはなぜなのか考えたことはあるだろうか?それは、リカバリーでリラックスしていないからである。リカバリーというのは、腕を休めることの出来る局面なのだ。なのに脱力が出来ていない。これでは長くは泳げない。
よく水泳では肩甲骨を使って大きく回せ!と言われる。が、肩まわりの硬い大人は子供とは違う。よく誤解されるが、バタフライ(クロールも)のリカバリーに際しては肩甲骨に力を使ってはならない(意識してはならない)。むしろ肩甲骨は捨てるのである。
どういうことか説明しよう。肩甲骨というのは閉じたり開いたりの動作以外に、挙上、回旋などといった様々な動きをする。なめらかに動くには、肩甲間部(肩甲骨周り)がある程度、緩んだ状態にする必要がある。それを目一杯筋収縮させたらロックしてしまうのだ。
試しに気をつけの状態から、大きく息を吸って肋骨を広げて、親指を上にし(外旋させ)両腕を横へ(外転方向に)上げてみてほしい。肩甲骨を意識し、背中に力を入れる。すると、Yの字万歳でロックがかかるのだ。なにも背中に力を入れなければスッと真上まで上がる。よく混同しがちな現象だが、肩関節の内旋によるロックとはまた違う。
背中に力を入れるから腕が上がらないのだ。
この実験からわかるように、肩甲骨を意識して力を入れてはならないのである。
リラックスしたリカバリーには、先程の胸郭の動きで述べたが、背中をリラックスさせることである。私のリカバリー時の背中をよく観察してほしい。ねこ背である。念の為だが、背中は意図的に丸めるのではない。上半身をリラックスすると必ずねこ背になる。
これは先に述べた肩甲骨と深く関わっている。ねこ背になることで肩甲骨が開くのだ。ムダな力みがなくなるのである。ちなみに、上半身が力んでいると(背中と腰が反っていると)ジッタンバッタンと、上半身が沈んだ不格好なバタフライになる。もちろん、腰を痛めるので必ずリラックスするようにしたい。
もう一つリカバリーをスムーズにするコツがある。それは、真横に抜き上げること。
一般的にバタフライのフィニッシュは、後ろに押しきると認識されているが、これをやるとリカバリーの手は空中高く飛んでいく。泳ぎを真正面から見れば、Vの字に腕が跳ね上がるのがわかる。文字通りバタフライ(蝶が羽ばたいている)になっている。これは肩の柔らかい女性や子供に多く見られるが、これを肩が硬い大人がやると水泳肩の原因となる。なぜなら、肩関節の伸展を行っているからだ。
肩の伸展は基本的に、かなり可動域が狭い為、リカバリーは必ず外転方向(背中の面を越えないよう、脇を開くよう)にすべきである。一流選手、特に男子のリカバリーをよく観察してほしい。必ず手が水面すれすれでリカバリーしている(外転している)はずだ。なぜそういうフォームなのか?それは、男子の腕は女子に比べ重い為、水面高く上げるとかなり疲労するからだ。なにせストレートアームなのだ。肩まわりの硬い大人、筋力のない人は、肩の柔らかい女子選手やジュニア選手の真似をしてはならない。
抜き上げは真横へ!
最後に入水。
バタフライはクロールと違い、入水時はストレートアームだ。それは上半身が簡単に深く潜り込んでしまわないようにする役目もある。
一般スイマーの泳ぎというのは、上から落下するようにバシャーンと、腕全体でわざわざ入水抵抗を大きくし、腕を水面直下にキープさせて上体が潜るのを防いでいる。そして、入水した腕は斜め上を向いている。もちろん、グライドなどできやしない。
私のリカバリーに注目すると・・後ろに向いていた手の平が、反動で自然に下向きになり外旋しながら戻っていく。決して意識して外旋しない。そして腕は完全に脱力したまま(見た目はピンと伸びているが、これは遠心力が強くかかる為)エントリーへと向かう。この一連の動きを見ると、手先は水面すれすれだ。だから落下という動作自体が生じない。スムーズに着水できるのだ。
さらに見落としてはならないのが肩の高さである。私のクロール、背泳ぎ、バタフライの共通点なのだが、手先が入水しても肩はまだ水面上にある。これは上体が高いからだが、それを可能にするのが止息である。
リカバリーはわきの下を開き、わきの下を伸ばしていく行為だ。つまり、体が前に伸びていくのである。わきの下を大きく伸ばすとあばらが広がる。だから止息が可能なのである。ここがあなたと私の違いだ。
というわけで着水は、脇を伸ばすとうまくいく。↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30476938
※このビデオのように、ストレートアームクロールを練習することにより、バタフライの着水を上違させることが出来る。ぜひお勧めする。
しっかりわきの下を伸ばせば肩関節の負担が大幅に下がる。背泳ぎやバタフライといった、ストレートアームの場合は伸びをするから、水面に平行になり抵抗が少なくなる。
蛇足だが、手先の入水位置は、胸郭と肩甲骨の柔軟性が高い人ほど、前方遠くになる。もちろん、スピードも出しやすくなる為、胸郭のストレッチ(46記事万歳ドローイン参照)は欠かさず行いたい。
5 疲れない人は上手に力を抜いている
『締める』と『緩める 』
人間、力を入れっぱなしではすぐ疲れる。筋肉が収縮した(締めた)状熊だと、力も十分に発揮されない。筋肉は、脱力した(緩めた)状態が最もパワーが出る。
でも・・その脱力が難しい・・。しかし・・筋肉は、思いっきり力を入れることにより必ず弛緩する。ここで筋弛緩法をやってみよう。
座ったままでいい。思いっきり肩をすくめて(肩を上げて=肩甲骨の挙上)みてほしい。そして、パッと肩の力を抜いてみる。肩はストンと下に落ちるだろう。いかがだろうか?こうすると肩甲骨は自然なニュートラルポジションになる。
もう一つ、筋肉は最大に引き延ばすと、筋膜の弾力で元の長さに戻ろうとする。さらに、腱のセンサーにより、反射的に収縮力も増加する。
思いっきりYの字万歳(胸を張る)しながら、腕を内へ捻り(内旋回内)、力を抜く(もちろん肩の力も)と必ず元に戻る(外旋回外)。筋膜の弾力がある為、晟大に引き伸ばすと反動でバネのように元に戻るのだ。スカーリングに応用できる。
ここで重要なことは、脇の下を伸ばすということ。
ここからが、私の一番解説したいところ。
胸を張って万歳するというのは(脇の下を伸ばすというのは)、大胸筋と広背筋を引き伸ばす行為だ。
先程うねりで話した上半身のシメとゆる(胸張りとねこ背)をもっと詳しくいうと・・
上半身(胸郭)のうねりは、水中では凹、水上では凸になるが、この動きには腕の万歳が必要だ。万歳で胸とお腹を伸ばし、その後力を抜くのだ。
すると・・大胸筋と広背筋が反射的に力を入れなくとも弾力で元に戻るのである。だから、上半身のシメとゆると呼ぶのだ。この弾力で戻るカを最大に活かしてプルすれば、ラクに速く泳げる。見た目にも、背中が反らない(ねこ背の)美しいうねりになる。
筋肉を締めると緩める(シメとゆる)とは、こうした要素をうまく使いこなすことである。これが出来れば、あなたは疲れ知らずの上級スイマーになれる。
まずエントリーからグライド。
肩幅で着水(前へ伸びる)し、胸を張り脇の下を伸ばす(上腕内旋、肩甲骨挙上)。お腹から脇の下にかけての皮膚を伸ばすイメージだ。手の平は外を向く。これがグライド(アウトスカル)。
次に上半身の力を抜く。すると上半身全体の関節が緩む。もちろん肩甲骨も上腕もニュートラルポジションになる。バランスボールに乗っかる感じである。これがキャッチ(インスカル)。
その後お腹にカを入れ、脇の下の筋肉で『内旋しながら引く』。すると肩甲骨が固定され(下制と言う)、肘から先はリラックスしたまま体の下を手が移動し、そのまま脇を閉めずに体の横までプルしていく。
そして再び上半身を緩める。すると息が吸える。このまま手は遠心力によってストレートアームになりリカバリーしていく。もちろん上腕は勝手に外旋する。
以上、バタフライストロークの流れであるが、リズムは、シメ・ゆる・シメ・ゆるであることがわかる。カを入れる局面は、グライドとプルの2ヵ所である。その間にあるキャッチとリカバリーは脱力している。いわゆるタメと呼ぶ。
タメておいてグーンと力を入れるのだ。これが疲れ知らずの秘密である。
これをクロールに当てはめると・・右手が入水(グライド)時は、左手はどうなっているだろうか?そう、プルなのだ。これがシメ。力を入れるタイミングもバタフライと全く同じなのだ。
※いまいち分からない人は23の動画を参照されたい。
では、バタフライキックのタイミングは?もう気付いている人もいると思う。シメが2回あるということは?そう、ファーストキツクとセカンドキックだ。このシメの時にキックが入るのである。
※キックについて。
22の2ビートでも紹介したように、バタフライも関節を緩めてから、トンと力を入れて伸ばす。このトンと伸ばす時がストロークで述べたシメに当たる。キックもシメゆるシメゆる~になる。
冒頭の水中ピデオで、トンとキックを打った時、ストロークはどのステージになっているかよく観察してみてほしい。必ず体全体でシメゆるシメゆるとなっているのがわかるはずだ。
実際のキックは、スビードが速い為瞬間に鋭く打ち下ろす。後は反動で戻るのだ。反動については後述する。
では、クロールは?入水時にキックが入る。反対の手がプル時である。左右合わせて2回、2ビートキックになる。
まとめ。
入水~グライド(アウトスカル)→背中 シメ。上腕内旋
キャッチ(インスカル)→ゆる。上腕外旋
プル→お腹 シメ。上腕内旋
リカバリー→ゆる。 上腕外旋
となる。
[補足]従来型の教本には、エントリー→キャッチ→プル→プッシュ→フィニッシュ→リカバリーというように、かなり細かく分けられている。
ここで水中の動作について
従来型(左)と私(右)のストロークを対比させてみる。
キャッチ (アウト) ↔ グライド
プル (イン) ↔ キャッチ
プッシュ (アウト) ↔ プル
従来型は3ステージすべてに力が入っている。典型的なS字である。対し私は、前半のアウトからインにかけては瞬時にカが入り抜ける。インの時点でまだ手は後方に移動しない。だから長後のアウトの開始が、ゼロポジションがら『引く』すなわちプルとなる。従来型と私の呼称の違いは、インで力を抜くか入れるかの違いから生じている。
ところであなたは、従来型の6ステージすべてを意識できるだろうか?
私はまず意識できない。
このような意識は、特に速く泳ぐ時は邪魔になるだけだ。
水泳というのは、リズムで泳ぐものだ。
そのリズムが『シメとゆる=筋の収縮と弛緩』なのである。だから、グライド→キャッチ→プル→リカバリーの4ステージなのだ。これ以上細かく分けたらリズムが作れない。
というわけで、
ストロークの動きを文章にするとこうなるわけだが、あ~頭が混乱する!もっと簡単にイメージできないか?
私の掲合、実際こんな細かいことは考えない。もっとシンプルに以下の意識で泳ぐ。
前! フッ! 前! フッ!
胸を張って前にグッと伸びる(背中は凹)。そしてお腹に力を入れてプルする(背中は凸)。
なぜフッ!なのか?それは・・お腹に力が入れば息がフッと漏れるからである。このくり返しで泳ぐと、浮き袋(肺)が水中へ沈む・・水上へ出る・・凹凸凹凸と自然なうねりが生じる。
体幹だけに注目すると・・背中、お腹、背中、お腹、と交互に力を入れている。 別の表現をするならば、体を伸ばす!縮める!伸はす!縮める!である。
※長軸系のクロールや背泳ぎは体幹は伸縮しない。常に伸はす。
短軸系のバタフライや平泳ぎは文字通り伸び縮みする。
要は、シメ(力を入れる)だけを意識するのだ。
ゆるは?
瞬間的にシメれば自然に力が抜ける。そういうことだ。
これが速く泳ぐ時のリズムである。
バタフライはリズムで泳ぐとラクになる。ただし、勘違いしてほしくない。今まで述べたように、リズムは上半身の動きから生まれる。
私はキックでリズムを取らない。その為、トントーントントーンのように、完全均一の間隔にはならない。キックで完全均一に、トントントントンとリズムを取ると、ジッタンバッタンと、不自然な泳ぎになる。
最後に・・従来型のスイマーは、インスカルもシメてしまっている。すると何が起こるか?
それは・・自然なうねりによる第2キックが入らなくなるのだ。第2キックが入らないとプルに頼る為、大変疲れる。なので意識して打たざるを得なくなる。
第2キックは、第1キック後に関節が緩まないと打てない。つまり、グライド後に緩まないと打でない。まさにキャッチのステージだ。
バタフライをラクに速く泳ぐ。極論すれば、キャッチ(インスカル)で力を抜けるかどうか。これにかかっている。
6 フィニッシュ
プル(シメ)からリカバリー(ゆる)の切り返し部分、一般にプッシュあるいはリリースと呼ばれるフィニッシュのことであるが・・
水泳動作の中で呼吸と並んで様々な情報が氾濫しているが、ここでは私の実証したフィニッシュのメカニズムについて述べる。
その前に・・
従来のプルのイメージは、後半に力を入れる『後方に押す』動作である。これを終動負荷型と言う。その証拠に、エントリー→キャッチ→プル→プッシュ→リリース→リカバリーと後半重視の説明がなされてきた。
対し、私の実践しているバタフライやクロールは、前半に力を入れる『前方から引く』動作である。これを初動負荷型と言う。グライド→キャッチ→プル→リカバリーのように、フィニッシュ(プッシュとリリース)は意識しない。だってそうだろう?フィニッシュとは、『終わり』を意味する言葉だ。『終わり』と意識してどうするのか?止めるのだろうか?区切るのだろうか?
実際には、プル~リカバリーは『連続』している。フィニッシュは通過点でしかない。私の概念には『終わり』『区切る』つまり、フィニッシュなどないのだ。ここで途切れることなどあり得ない。この連続した一瞬の出来事をどうやって意識しろと言うのだろうか?意識すればするほど滑らかな動きから遠ざかる。
結論から言うと、フィニッシュは本能に任せ無意識で行うということである。重要なことは意識すべきではないのだ。意識すべきはもっと前の段階、『内旋しながら引く』というプル動作だ。
え?フィニッシュを意識しなきゃあかんでしょ!
まあまあ、詳しくはこれから述べる。
自動車のエンジン内のシリンダーは反動で往復する。蒸気機関車の動輪も。また、自転車のペダリング、そしてプル~リカバリーも。
列記した動きのすべての共通点は円運動だ。
この円運動つまり、回す動作には必ず『戻る』という局面がある。その『戻る』局面は力を加えない。それは、惰性のカを利用するということだ。
さてフィニッシュだが・・
プル(内旋時)にしか力を加えない。
リカバリー(外旋時)は脱力している。
これを可能にするのが前述の円運動だ。(注;背中方向に回すのではない。体の横方向へ回すこと=脇の下を開いていく。)
この円運動を滑らかに行うためには、どうしても『かわし動作=ドッジムーブメント』という、『上腕の内旋』が必要である。
私の泳ぎのフィニッシュとは、『かわし動作』そのものである。だから前の段階で『内旋しながら引く』のだ。その内旋しきった局面がフィニッシュだ。
内旋しながら引いた結果、フィニッシュで腕が内旋しきるのである。
よく誤解されるが(過去の私もそうだった)、内旋『してから』引くのではない。内旋『し な が ら 』引くのである。プルの段階から内旋しきっていたら、フィニッシュでこれ以上内旋されない。つまり反動が起こらない。だから、戻し(リカバリー)も力を入れてせねばならなくなる。見た目にもギクシャクする。
フィニッシュとは、切り返しを行う局面である。
これは肩関節に遊びがないと出来ない。
フィニッシュは、上腕三頭筋に力を入れて脇を閉める(上腕の外旋になる)ように、直線的に肘を伸ばしてロックしないのだ。ロックすれば、文字通り『終わり』になってしまう。次のリカバリーと分断されてしまう。
さらに直線的に伸ばすと、肘頭は上を向き、背中の面を超えて(肩の伸展)リリースしてしまう。→上半身が胸を張るように反っているとこうなる。
上半身が反る原因は・・
肩甲骨を背骨に寄せて大きく背中方向に回す意識が強いからだ。
すると、肩関節を痛めるのみならず、ニの腕がかなり疲労する。
リリースは、正しく行えばどんな人であろうと、上腕の内旋が必ず入る(肩の外転になる)。その為、リリースは肘頭がやや外向きになり、肘は水面で伸びることになる。→背中をリラックスさせるとこうなる。
背中がリラックスできるのは・・
脇の下を開く意識だからだ。
これはクロールも(特にストレートアームは)全く同じだ。
ここで、ふと疑問に思った人もいるかも知れない。クロールのリカバリーはなぜ、エルボーアップ形とストレートアーム形の2種類あるのだろうか?
その秘密は、肩のローリング角度にある。
肩がローリングするというのは、首を左右に捻ることを意味する。ロール角が大きい、すなわち首を大きく捻ると、ATNR(非対称性緊張性頸反射)が強く出現する。つまり、後頭部側(リカバリー)の腕が屈曲する。これが、私の実践しているクロールの正体だ。
逆に、ロール角が小さいとATNRは働かない為、ストレートアームになりやすい。理由は、最大に腕を内側に捻ると肘は伸びやすくなるからだ。もちろん、遠心力によっても肘は伸びる。短距離にストレートアームが多いのは、ボディポジションが上がり、ロール角が小さくなるからである。もちろん、バタフライもATNRが働かない為、ストレートアームになる。
もう1つある。
それは、肩関節の内旋可動域である。内旋域が広い人は、ストレートアームになりやすい。その理由は、フィニッシュ時の内旋域に余裕がある為、リリース後も内旋が継続され、水面上で最大内旋される。結果、肘が伸びるように翻るのだ。
だからストレートになる。
私の場合、内旋域が狭い為、ストレートアームにならない。 なぜなら、フィニッシュで既に最大内旋されているからだ。つまり、肘の伸びしろがないのである。ただし、テンポを上げると遠心力が強く働く為、ストレートぎみになる。
私は、短距離に限ってストレートアームで泳ぐようになったが、プッシュは行っていない。つまり、フィニッシュで上腕三頭筋を使っていない。あくまで着水直前に上腕三頭筋にカを使って腕を前へ伸ばしている。その為、前方への遠心力が強く働く。そして着水の勢いにて生じた、体幹の回転力を使ってプルしている。ただし、長く泳ぐとニの腕が疲労する。だ か ら、短距離限定なのだ。
余談だが、皆さんはリカバリーがまっすぐなのがストレートアームクロールだと思うだろう。確かにそうである。(念の為だが、リカバリーは遠心力と上腕の内旋によってストレートになる)
しかし、本来のストレートアームの意味は、着水時にストレートであることだ。着水時に上腕三頭筋に力を使う。着水側の腕がピンピンになる。逆にフィニッシュ側の腕はリラックスしている。だから体幹の回転による遠心力でぶんぶん振り回せるのである。これがストレートアームクロールの真髄だ。
ストレートアームの目的は、遠心力の活用、そして早めに腕を伸ばすことによる早めのキャッチだ。腕をピンピンに伸ばすから、直後肘がゆるむ(すなわちキャッチのこと)のだ。
ちなみにハイエルボーの場合、曲がった肘を入水後いったん伸ばす必要がある為、キャッチが遅れる。テンポアップはどちらが容易か?これで理解できるだろう。ストレートアームの本来のメリットは、ピンピンに伸ばす着水にある。
というわけで
いくらリカバリーがストレートであっても、着水で肘が曲がるのはストレートアームとは呼ばない。念の為。
では、フィニッシュを掘り下げてみる。
※ここではクロールを例に述べているが、バタフライも基本的に同じである。 念を押したいが、スイムではフィニッシュは意識しない(ドリルは除く)。あくまで、無意識下でどう動いているのかを述べている。
押し切る!と言う表現をよく耳にするが、私は『払う』がしっくりくる。なぜかというと、横方向に回す(脇の下を開く)円運動だからだ。水中で直線的に(意識して)肘を伸ばすのではなく、水面際で手を『払う』のである。
『払う』を正確に言えば、上腕が内旋した結果、手首も内側に返る(回内する)のである。すると、手の平は足先を向くことになる。↓
フィニツシュのメカニズム
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29992220
これは選手もよく練習するスカーリングドリルだ。このドリルは非常に奥が深いが、本質を知らないまま形だけを真似ている人が多いのではないだろうか?
そもそもスカーリングはなぜ、あのような8の字を描くのだろうか?
それは、上腕が内旋外旋するからだ。手首だけを動かしても(回内回外だけしても)上手くいかない。この内旋動作に特化すると、フィニッシュとはなんぞや? の答えが見つかる。それは、スカルによる揚力の活用だ。『押し切る』フィニッシュでは、わずかな抗カしか生み出せない。『払う』というのは、結果的に外へスカーリングしていることになる。このフィニッシュでのスカーリングドリルをぜひお勧めしたい。
[補足]従来のスカーリングのアウトインは、イッチニッのニ拍子であるが、私のスカルはイッチの一拍子である。
ではなぜ、『押し切る』とよく言われるのだろうか?
これは、リリースまで手の平を足先に向ける必要があるからだ。
もう1つ。結果として回内されるからだ。
これは私の解釈だが、本当の意味での『押し切る』とは、
水中で腕を伸ばしきりなさい!ではない。
最後まで手の平を足先に向けなさい!最後まで水を押さえなさい!である。
もし、水中で完全に伸ばしきったら、前腕の面と手の平は上を向いてしまう。押さえる方向はあくまで足先である。その為、肘がある程度曲がっていないと、前腕で水を後方へ押さえられない。
『フィニッシュできていない』とは、手 の 平 が 足 先 を 向 い て い な い すなわち、払っていない(回内していない)ことを意味する。見た目には、手の平が体側に向いている状態だ。
フィニッシュは反動を生じる局面だ。先程触れたが、
関節をロックすると、切り返しは起こらない。
皆さんは『押し切る』と聞いて、肘を伸ばし切ることだと思うのではないだろうか?
私も、過去は『押し切る』という表現に本当に泣かされた。実際、複数の指導者に『上腕三頭筋を使って肘を伸ばし切れ!』と言われたことがある。
しかも、伸ばしきるのは水中なのか、水面際なのか言われた記憶がない。
今でこそよく解るのだが、『腕を内に捻り切れ!』つまり、水面際で払う!が正確な表現だったのだ。ただし前に断っているように、スイムではフィニッシュは意識しない。『内旋しながら』プルした結果、外へスカルされるのである。
意識して上腕三頭筋に力を入れて水中で押しきるのがフィニッシュではない。かわし動作(内旋回内)をしながらリリースに入る動作がフィニッシュだ。結果、水面際で肘が無意識に伸びる。 ↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30476938
上のビデオのように、ストレートアームで泳ぐと、よりフィニッシュの肘使いが明確になる。
要は、水中で肘をピンピンに伸ばしてロックしない(終動負荷で行なわない)ということである。
これが未だに知られていないフィニッシュの正体である。
念の為だが・・
『楽に=楽しく』速く泳ぎたい!とは、どういうことだろうか?
それは、ハアハアと、息を上げずに泳ぐ状態だ。息がハアハアいうのは、酸素が大量に必要だからだ。私の言う、『ラクに!』とは、無駄な酸素摂取を減らすということ。具体的には、フィニッシュで上腕三頭筋を『意識的に』使わないことである。
ちょっと待って!三頭筋使うのは無駄な行為じゃないと思うよ?最近トップスイマーは、プッシュもしっかりやってるんじゃない?
あなたは、トップスピードで泳ぎたいのだろうか?ラクに泳ぎたいのだろうか?
トップスイマーは、お互いスキルは極まっている。年々、スキルだけで記録を伸ばすのも厳しくなっている。残るは筋力勝負だ。
競泳は、疲れて当たり前の世界である。ラクに!と言う世界ではない。
あなたは、疲れてでもトップスピードで泳ぎたいのならば、余力があるならば、遠慮なく三頭筋を使えばいい。しかし、一般人は、スキルにまだまだ改善の余地がある。私も含め、三頭筋うんぬんを言うレベルではないのだ。
というわけで、私は筋力に頼らず、スキルをとことん追求しているだけだ。
三頭筋など小さな筋肉を使わなくとも、体重移動と内旋というスカルによって、ラクに速く泳ぐことは可能だ。
ちなみに私は、プルで押す(プッシュ)という言葉は使わない。押さえる(プレス)を使う。押すは、グライド時に『前に水を押す』と言うことはあっても、プルで『後ろに水を押す』とは言わない。
なぜなら、水泳は前に水を押して進む(体を前に進める)行為だからだ。バウウエーブ(船首波)が生じることからも明らかである。
確認したいが、プル後半で『押す』とは、上腕三頭筋を使って肘を伸ばし、手の平のみで押し出す行為である。
私の言う『押さえる』とは、前腕と手の平で水を押さえる行為である。
以前にも述べているが、肘から先は一枚の板(パドルでもいい)のごとく、手首は固定する。つまり、手首に余計な動きをさせないこと。末端意識にしないこと。
手首を固定し、前腕で押さえるのだから、肘を伸ばし切らないのは言うまでもないだろう。
※従来よく使われたプレスダウン(=入水後下へ押さえる)とは意味が違う。押さえは、あくまで足先方向だ。
私の言うプレスは、イコールプルである。
『プル=プレス』とは、前腕で水を押さえながら(水を動かす意識は持たずに)体を前に進める行為である。対し『プッシュ』とは、水を後方に動かす行為である。プッシュがいかに無駄な行為であるかよくわかるだろう。
それは違う!無駄ではないよ。だって最後まで水を重く感じるのに、押さないなんてもったいないじゃん。
ならば、明快な答えを出そう。
水を重く感じるのは(力感があるのは)、惰性のカで体が前に進んでいないからである。これが、終動負荷になる理由だ。
初動負荷(負荷が減少していくという意味)。
ストローク速度が落ちるキャッチ直後、つまり、プル開始時に『すばやく』プルすれは゛重く感じるはずだ。この時の感覚は『漕ぐ』になる。そして、漕いで体が一旦前に動き出すと軽くなる。なぜなら、反対側の入水した腕が前方へ伸ばされ、惰性のカが生じるからだ。だ か ら、後方へ上腕三頭筋に力を入れて押さなくとも良いのだ。この時の感覚が『払う』である。 このように、力感が減少する動作が初動負荷である。
つまるところ、上腕三頭筋で押す!というのは、体重移動出来ず、あるいは体重移動が遅れて、惰性で体が進まないから生じる行為なのだ。これが終動負荷の正体である。
〔補足〕
初動負荷型プルの開始部分は、力む程の負荷はかからない。なぜなら、腕の落下(重心移動)が先行するからだ。これが初動負荷型の大前提である。これを踏まえた上で以下述べる。
体幹意識(体幹の筋に着目)であれば必ず初動負荷となる。なぜなら、筋は体幹部から手先へ(遠心性)順次収縮するからである。プル開始時は広背筋大胸筋が『意識的に』収縮し、フィニッシュ時は上腕三頭筋が『無意識的に』収縮する。つまり、フィニッシュ時、体 幹 部の筋はすでに力が抜けているのだ。これが初動負荷たる所以である。
ある指導者が、水泳は終動負荷である。と主張しているが、であるならば、プル開始は負荷が軽いまたはゼロであり、負荷のピークがフィニッシュであると言うことになる。わかりやすく言えば、筋トレのゴムチューブ引きである。これはつまり、プル開始時、キャッチできていないことを意味する。なぜなら、『すばやく』引かないからである。すばやく引くには、最大筋力が必要だ。それを行わないのが終動負荷である。
何の為に前でキャッチするのか、根本的に理解していないことになる。今一度、14記事の動画を参照されたい。
もう1つ。終動負荷型は、体幹の回転力を有効利用でさないという欠陥がある。これについては47記事を参照されたい。
さらにもう1つ。2ビートキックは、プル開始直後に打たれる。決してフィニッシュには打たれない。これは何を意味するだろうか?そう、プル開始時に力を入れているからだ。私の2ビートキックを見れば明らかだろう。
水泳が終動負荷だと思う要因は、『プルはゆっくり動かし始め、だんだん速く動かしていくこと』つまり、『加速させること』という理論の影響がある。確かに理論は正しい。
よく誤解されるが、初動負荷であってもプル前半から後半に向けて手先は加速していく。しかも『惰性』にてだ。プル開始でいきなり手先の速度がピークにはならない。その理由は、末端に力は入っていない(→水をやんわりとらえることができる)からだ。あくまで末端をリラックスさせる体幹意識である。その為、体幹の筋出力から実際に手先へ力が伝わるのにはタイムラグが生じる。なぜなら、水は空気より密度が高いからだ。もし末端に力が入っていればズレは生じず、ダイレクトに伝わる。その為水を壊すことになる。
念を押すが、初動負荷及ぴ終動負荷とは、筋力発揮の仕方つまり、力の入れどころを言っているのであり、動作のスピードを言っているのではない。
あまり意識しないでいると、動作のスピードが速くなればなるほど筋力も大きくなるように錯覚しがちだ。これがゴムチューブを使った上腕三頭筋の筋トレという都市伝説である。
フィニッシュというのは、見かけのスピードは最速だ。しかし、必ずしも筋力は最大とは限らないのである。少なくとも体幹の筋肉は力は抜けている。以上、終動負荷については再考願いたい。
脱線したが、
ラクに速く!の究極は、カ感がないのにグングン前に進む状態だ。つまり、力を入れて押さない泳ぎということになる。これが、初動負荷型の特徴である。
注)『漕ぐ』と『払う』という表現は、田中育子コーチからお借りした言葉である。
というわけで、
フィニッシュ動作を言葉で表現するのは、本当に難しいのだ・・。
話が随分飛躍したが
内旋による反動(ドッジムーブメント)を使えば、最もラクに最もスピードを出せる。これがフィニッシュなのだ。
[切り返しの補足]
切り返しが起きる時には、必ず瞬間の入力がある。そして入力後即座にカは抜ける。また、入力と作用は必ず時間的なズレがあり、逆の動きを生ずる。
バタフライの第一キックや6ビートキックは必ず、股関節→膝関節→足関節へと力が伝達される。そして、股関節が屈曲する(膝が下へ移動する)時、足首は上へ移動する。逆に、伸展する(膝が上へ移動する)時、足首は下がり水を押し出す。ちょうどスネの真ん中に支点があり、膝と足部がシーソーしていることになる。下へ入力した時点ではまだ、足部は打ち下ろされない。入力を終了させた(力が技けた)時、初めて水を押すことが出来る。
私のバタフライ、クロールのフィニッシュは、この原理に基づいている。私がよく押し切るな!と言うのは、入力と作用のズレを生じさせる為である。入力はプル前半のことであり、主役は広背筋だ。プル後半の水を押さえるフィニッシュの時点で、既に広背筋の力は抜けているようにする。見た目には、手先が大腿付け根にある時、既に肘はリリースに入っているということである。つまり、前腕の真ん中辺りに支点があり、肘と手部がシーソーするわけである。この前腕がシーソーするには、肩の内旋+肘の軽度屈曲が必要になる。これは、ドッジムーブメントを生む必須動作とも言える。
ここで、内旋による反動の意味を述べる。
幾度も触れたが、フィニッシュとは、かわし動作でリリースに入る局面である。
腕を『伸ばし切る』のではなく『瞬間的に内旋し切る=払う』ことである。これが切り返しの極意だ。
TIスイムでは、反動でリカバリーするとよく指導するのだが、実際に反動が使えているスイマーは少ない。その証拠に意識してリカバリーしている。私から見れば不自然なのだが・・。
ではなぜ反動でリカバリーできないのか?それは、ドッジムーブメントを理解できていないからだ。ドッジムーブメントとはUの字形の円運動であることを理解していないからである。
Vの字のごとく直線で跳ね返るのだと思っているのだ。言いかえれば、意識的に『押して戻すのだ!』と。2拍子になっている。要するに手先意識なのだ。
私の場合、『体幹の回転カで漕ぐ!』と体幹を意識している。フィニッシュは意識していない。手は勝手に払われて戻っていく。リカバリーは、フォロースルーの結果生じるのである。
冒頭で述べたが、体幹意識で行う円運動は、惰性で腕が回っている。だからスムーズに戻れる。回し始めにカを加えれば(初動負荷)、後半は力が抜け、後は惰性で戻ればいいのだ。これがフィニッシュ(プッシュ)不要論である。
TIスイムは、スイムの動作を局面ごとに分解し、ドリル化してゆっくり動作で学習する。つまり、スイムで無意識で動く局面をすべて意識するのだ。そして、再度つなぎ合わせて完成させる。なぜわざわざ意識するのか?それは、今までに染み付いたクセを取るためだ。
誤解されるが、スイムではすべてを意識して動かすのではない。言いかえれば、すべての動作をゆっくり行うのではない。
ドリルはあくまでドリルだ。意識して繰り返し体に記憶させる。つまり、無意識でもその動きができるようにする。自動化するのだ。
スイムは自動化される局面が必ず存在する。それがフィニッシュである。
ジッパー(現在はTIスイムではスイングスケートと言う)も誤解されるが、『完成形』ではない。あくまで『ドリル』だ。このプル~リカバリーのつなぎ目がフィニッシュだが、ここを直線運動(終動負荷)にするか、円運動(初動負荷)にするかで違ってしまうのだ。要するに、『押し切る』か、『払う』かの違いである。どちらが自動化しやすいか?どちらが滑らかな自然な動きか?再考願いたい。
さて前述の自動化であるが、人間に備わっている本能である、『伸張反射』を利用することだ。
反動という行為は、伸張反射の活用も兼ねている。
腕を瞬間的に内へ捻ると、拮抗する外旋筋群は引き伸ばされる。すると無意識に外旋筋群が収縮し、リカバリー(外旋行為)に移行出来る。何も、意識してリカバリー行為をしなくともいいのである。↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm26541116
上腕を内へ捻るからスムーズに反動が使える。
ただし、この本能を引き出すには条件がある。ゆっくり動作ではなく、
すばやい動作が必要である。
内旋しながら『すばやく』プルした結果、自動的にリカバリーされるのである。これがドッジムーブメントを最大に引き出すコツである。
このように、フィニッシュというのは、円運動の通過点であり、無意識に外へスカルされる。これさえ理解すれば十分だ。
ここに、内旋による反動を学習する、とっておきの体操がある。
07記事でも紹介したサークルスクラッチ。あなたは知っているだろうか?大リーグへ羽ばたいたマエケンでおなじみの体操である。まだ見ていない人は必見だ。私のクロールにおける、フィニッシュ~リカバリーは、この動きをそっくりそのまま行っている。※入水~プルは参考にならない。あくまでフィニッシュ~リカバリーを真似ること。
この体操をマスターすれば解るが、反動をスムーズにするには、体幹の回転+肩甲骨の滑らかな動きが必須である(※注参照)。クロールをきれいに泳ぎたい人は、ぜひサークルスクラッチをお勧めする。
(※注)
意外と知られていないが、ATNRには2つの作用がある。一般に知られているのは、後頭部側にある腕の肘が曲がることだ。ではもう1つ。
後頭部側の肩甲骨が挙上する。
先程行った、肩の上げ下げ(肩をすくめる動作)だが、これが無意識で起こるのである。
例えば、首を右に回せば左の肩甲挙筋と僧帽筋上部が伸ばされる。すると、両者は反射的に収縮し、結果的に肩のすくめが起こる。
さらに見落としてならないのは、前方へ肩甲骨が巻き込むように挙上する点だ。
この肩甲骨の前方へのスライド(肩甲骨が肋骨から浮き上がる)と、内旋という行為はとてもマッチする。これが実は、テンポを上げた時、ラクに高速リリース及びリカバリーを行うドッジムーブメントの正体である。
じゃあ、バタフライは?内旋しきればいい。その為に外側へリリースする。内旋すると肩甲骨がとても動きやすくなる。つまり、抜き上げがラクになる。間違っても、外旋させて肩甲骨を背骨に寄せてはならない。
よく、リリースは小指から!と言われないだろうか?注意せねばならないが、背中方向に小指から抜き上げると外旋して肩甲骨が寄ってしまう。外側へ小指から抜き上げれば内旋されて脇の下が開き、リカバリーしやすくなる。
あのマイケルフェルプスのバタフライを覚えているだろうか?彼のフィニッシュ時、肩甲骨はぐわっと浮き上がるだろう。これがまさにドッジムーブメントによって生じた結果だ。
手先はフィニッシュ(後方へ移動)していても、肩は既に前へ移動している。
プル後半から既に抜き上げが始まっている。
なぜなら、プル後半には肩と肘(上腕)が水面上に出るからだ。
これも意外と気付かない事だが、水面上に出た物体には重力がかかる。この水面上へ出た上腕がその場にとどまるというのは、ボディが下へ堕ちるということだ。
特に後方へプッシュすると、留まるどころか後方へ体重が移動する。その理由は、プッシュというのは、肩甲骨の下制により上肢全体がバックするからだ。さらに脇が閉まり肋骨が下がる。結果、体幹自体の重心もバックするのだ。
そうならぬよう、プル後半に水面に出た上腕を前に移動させるのだが・・
その為には、広背筋の力を抜いて(肩甲骨の下制を解除して)上腕を内旋させる必要がある。
つまり、プル前半にのみ(広背筋による)肩甲骨の下制がかかるようにする。するとプル後半(フィニッシュ時)に、下制から開放された肩は前へ移動しやすくなる。そして、手先だけを後方へ動かすことができる。ちなみに、走動作の腕振り(後ろに振る動き)も全く同じことが言える。
まっすぐプッシュするだけより明らかに効率がよくなる。このように、後半に無駄な力を抜き、内旋を有効活用できるか(初動負荷のプルができるか=ドッジムーブメントを起こせるか)がラクに速く泳げるか否かの別れ目となる。
乱暴な言い方だが、見方を変えればプルそのものがリリース動作なのである。先に述べたように、プルと同時に肩が水面上に出るからだ。続いて肘、手先がリリースされる。これは、体幹が移動するからだ。バタフライは特にそう。初動負荷にてプルを開始すると、即座に肩から順次リリースが始まる。その結果、リカバリーもラクになる。
再びクロールに戻ろう。
私のフィニッシュは、体幹の回転+内旋しながら引くという、2つの回旋動作中に起こる、2つの伸張反射を活用しているのである。だから、筋力のない私でも息を上げず速くストロークできる。
念の為であるが、ATNRというのは首の回旋中に起こるのではなく、回旋し終える時に出現する。つまり、ローリング終盤すなわち、フィニッシュ時だ。もしこの時、後方へ押し切ると、せっかく肩甲骨が挙上しようとしているのに(浮き上がろうとしているのに)、
リリースにブレーキをかけていることになる。
脇を締めて押し切ると、上腕が外旋し二の腕が疲労する。肩甲骨もロックされる。
フィニッシュ(反動でリリースに入る動作すなわち、ドッジムーブメント)は、脇を締めずに、内旋させて肩甲骨をフリーにすること。外に開くこと。決して背骨に寄せないこと。二の腕に力を入れないことである。
これがラクに速く泳ぐコツである。
要は、体幹意識で泳ぐということだ。
手を後ろへ!後ろへ!(プッシュ!プッシュ!)ではなく、肩を前へ!前へ!である。
念の為だが、プル開始は肩を足元へ下制することを忘れないように!
というわけで、反動というのは伸張反射を引き出すとうまくいく。
再度、[反動]という文字をよく見てほしい。
筋肉が瞬間的に反対の動きをするのである。
く追記>
今までに述べたドッジムーブメントは、走動作の腕振りでも生じる。クロールやバタフライのフィニッシュは、走動作の『斜め後ろへ腕を振る』のと何ら変わりはないことを強調しておく。
トライアスリートであれば、ランの腕振りから、クロールのフィニッシュに応用するのも1つの方法である。
7 STNR
バタフライというのは、動物的な本能が最も発揮される泳法である。
人間は、アゴが上がると首と背筋が緊張し、上肢は伸展、下肢は屈曲しやすい。逆にアゴを引くと腹筋が緊張、上肢は屈曲、下肢は伸展しやすくなる。
前回の記事にも登場した対称性緊張性頸反射 (STNR)である。これをうまく利用して推進力を上げるのだ。
グライド時は、やや前を見て(アゴが上がる)腕を伸ばす。もちろん胸を張る。(※背中が反る。腰は反らせない)そしてキャッチで、首を緩めると背中がリラックスし、肘が曲がり、プルしやすくなる。そのままフィニッシュまでアゴを引いていると、とても力が入りやすいのである。 なぜか? それは腹圧が入るからである。しかも腹圧というのは、息を止めたほうが最もかかる。要するにノーブレがプルに力が入るのである。なぜバタフライ選手は、毎回息つぎではなく、2ストローク1ブレスなのか?本当の秘密が実はここにある。
このプル時、アゴが上がると力があまり入らなくなる。息つぎを入れると、どうしてもアゴが上がったプルに陥りやすいのである。
しかし、この本能を理解すれば何をすべきかが見えてくる。
そう、首をリラックスすればよい。
ついでに・・
私の場合、短距離でも2ストローク1ブレスは行わない。その理由は頭の重みを推進力として利用するからだ。頭を水面上に出すと重力が使える。
クロールで言えば、入水時45°に肘を構えるサメのポーズである。あれは腕の重みを最大限に推進力として利用しているのだ。
さて、
呼吸時に力を入れて頭を起こすとプルに力が入らない。そこでで私は、首をリラックスすることを心がける。というより、背中をリラックスさせる。くり返し述べているが、背中をリラックスさせるのだ。すると、自然な動きが出てくる。そう、ねこ背になるのである。
ねこ背になるとボディポジションは上がりやすくなる。
その為、頭を持ち上げなくともラクに息つぎできる。
再びマイケル フェルプスのバタフライである。彼の泳ぎの特徴は、息つぎ時に背中が大きく上がることである。それなのに、アゴは水面すれすれだ。もちろん、リカバリーアームもすれすれだ。
なぜこのように″這う”ことができるのだろうか?それは、完全に背中をリラックスしているからである。彼もまた、ねこ背なのだ。
ねこ背になると、自然にアゴが上がる。
意外と気づきにくいが、陸上で背中をリラックスさせていると、ねこ背ぎみになりアゴは上がるだろう。実はこれが彼の息つぎのフォームなのである。彼は、うなじに力を入れて頭をもち上げてはいないのだ。軽くアゴを突き出しているのである。一見、かなり疲れそうだが、実はムダな力を一切使わない合理的なフォームなのである。
STNR。正確にはアゴを上げると背中が緊張するのではなく、頭を持ち上げるから緊張するのだ。だからリラックスが重要なのである。
では、
冒頭のうねりで述ぺた『上半身のシメとゆる』。すなわち胸張りと猫背だが・・
胸を張るとは、背中の筋肉に力を入れる行為である。前を見ればうなじに力が入り、自然に背中は力む。対し猫背は・・背中の筋肉を緩める行為である。だから、首をリラックスすれば、背中もリラックスする。
冒頭のビデオと同じで申し訳ないが、息を吸う時は背中がとてもリラックスしていることがわかる。さらによく観察すると、プル~フィニッシュ時も猫背であることが解るだろうか?
あっ!
プルというのは、『背中の筋肉を緩めて』すべきなのだ。
この時、肩甲骨はどうであろうか?外へ開いていないだろうか?外へ開くと、ゼロポジションになり、とても力が入りやすくなる。私は、プルでは体を前に乗り出す意識で泳いでいる。だから反らない。
バタフライがあまり得意でない人は、胸を張ったまま(背中をリラックスせずに)プルしている。肩甲骨はというと、背骨に寄せてしまっている。これではプルに力が入らない。これは、水上へ上がる意識が強すぎるからだ。
バタフライというのは、上へ上がるのではない。前へ飛び出すのだ。
では、体幹の動きをまとめる。
水中で伸びる時は胸を張る=肩甲骨を寄せる。
水上に出る(プル)時は猫背になる=肩甲骨を外に開く。
これが自然なうねりにも繋がるのだ。
もう1つ。初級者が水中へスムーズに潜れない原因は、水上で胸を張ってしまうことにある。
余談だが、水泳コーチの教本に『コブラ』というエクササイズが掲載されている。肩甲骨の柔軟性を高めて肩の障害を予防するのが狙いだ。
うつ伏せで気をつけになり、胸を張り肩甲骨を背中に寄せる(上腕は外旋、小指が上になる)ポーズなのだが、一見すると反るバタフライのフィニッシュに見える。
某クラブの指導者が、立位にてシャドースイムしていたのだが、フィニッシュが『コブラ』なのである。これは、スイミングスクール全般にも言える。
なぜこのようなことが起こるのか?
それは、シャドー時の背骨の向きに起因する。
立位のシャドーには、進行方向を天井とする型(背骨を立てる)と、前方とする型(背骨を寝かせるつまりお辞儀をする)の2タイプある。
大概のスクールで行うシャドーは、背骨の向きがあいまいだ。どちらかと言えば立っている。それだけではない。進行方向もあいまいだ。習う側の意識は、特に何も言われない限り、進行方向は前方である。ここが問題だ。背骨が立った状態でバタフライのストロークを行うと、体の前後(腹~背中)に動かすことになる。このまま 後 方 へ かききるつまり、背 中 方 向へ押しきると?フィニッシュは、背中が反って(肩甲骨を寄せて)しまう。しかも・・
体幹の動きも逆になるのだ!!
これで背中の反ったバタフライが完成する。
背骨を立てるなら、天井を進行方向とし、上下(天井~床)へと動かすことである。こうすると、フィニッシュは当然 足 先 方 向 になる。肩甲骨を寄せる動きもなく、背中がリラックスできる。これが本来のラクなバタフライの動きてある。
もう1度おさらいする。
背中方向(肩の伸展)へプッシュすると、肩甲骨が背骨に寄ってロックされる。結果、惰性を利用できなくなりリカバリーが遅れる。
足元方向へ内旋していけば、自然と肩の外転となり、肩甲骨が外へ開いてフリーになる。だから惰性ですばやくリカバリーできる。
バタフライは、とにもかくも、すばやく前に戻せるかが、非常に重要なのである。このような細かい説明は、いかなる指導書にも載っていない。
現在私は、4泳法全て天井を進行方向とする(直立する)シャドーを行うようになった。理由は、前方を進行方向とすると(お辞儀をすると)腰がつらいからだ。また、下半身との連動を重視する為でもある。さらにバタフライのうねりを再現できるメリットもあるからだ。
というわけで、水泳界の都市伝説は、あいまいなシャドースイムが生み出すのである。
だから、バタフライの指導理論もあいまいなのである。 これでは大概の生徒さんが誤解するのも仕方のないことだ。いつまで生徒さんにつらい思いをさせているのか・・心当たりのある指導者はぜひこのことに留意されたい。
ついでに・・ストリームライン時の背骨は、立位同様、緩いS字である。背中は決してまっ平らではない。カーブを描いている。私は、まっ平らに対比し、便宜上ねこ背と言っているのだ。
さらに、立位で重心線上に自然にまっすぐ背骨を伸ばせば、肩甲骨は軽く外に開くはずである。軍隊行進のごとく力を入れて背骨に寄せないこと。
えっ?そんなこと言ったら、両肩が前に出るじゃん!ダメでしょうが!
それは、肋骨が下がっているからだ。ドローインすれば、適正な位置に肩甲骨はおさまる。
本当は、肩の障害予防には、『コブラ』よりも、肋骨を広げる『ドローイン』が効果的である。肩甲骨の土台である胸椎が適正位置になければ、いくら肩甲骨をいじくっても無駄である。
というわけで、背中をリラックスすれば、頭を持ち上げる必要がなくなる。
さて・・対称性緊張性頸反射。ここで気付いた人もいると思う。
クロールも、自然にアゴを引いていたほうが(プール底を見たほうが)プルに力が入るのだ!
私は、バタフライを泳いで初めてこのことに気が付いた。
余談だが、小学生の子供を持っている方は、体育に関する悩みを持ってないだろうか?悩みに多いのが逆上がり。これが出来ない理由。ズバリ、アゴが上がっているからだ。対称性緊張性頸反射。
逆上がりは、腕を曲げ、腹筋に力を入れないと出来ない。アゴを引けば必ず出来るようになる。また、腕相撲も、アゴを上げると負ける。逆に、逆立ちは後ろを見ると(アゴを引くと)出来ない。まあ、必ず地面を見て(アゴを上げて)歩くとは思うが・・念の為。
8 バタフライキック②
45記事のバタフライキック①続編である。
私のバタフライを見ていると、第1第2の両キックが入っている。そのせいか、普通のバタフライと違いはないように思われる。しかし、私は意識してキックは打っていない。ウソだ!そう思うかもしれないが本当だ。先程のビデオと同じで申し訳ないが↓
うねりに注目してほしい。よく観察すると、肩、腰、足先の三拍子でリズムよく入水しているのが分かる。特に立位から水中に潜るところに注目するとさらに分かりやすい。これはバタフライ独特の動きでもあるが(45記亊のドルフィンキックも同様)気付いた人もいると思う。
第2キックというのは、上半身が入水した結果生じるのだ。つまり意識しなくとも勝手にキックが入る。これを理解すると、とてもラクに泳げるのだ。
プルとのタイミングも自然に決まる。実は、第2キックが入る時はフィニッシュではない。キャッチ直後なのだ。ここが、一般の泳ぎとの違いである。
では、プルとキックと息継ぎのタイミングについて。
一般的な泳ぎは、フィニッシュにキックを合わせるとよく言うが、これでは遅すぎる。別の見方をすると、プルが速すぎるのだ。
大抵のスイマーは、入水した腕を斜め上方に向けて伸ばしている。入水即キャッチ、つまりグライドをしていないのである。これは、クロールでも同じことが言えるが、『がまんの手』が出来ていない。それと同時に背中に力が入っている。つまりタメを作っていない(リラックスしていない)ということだ。
すると肩や背中が水面に出にくくなり、ボディポジションの低いバタフライになりやすい。だから息継ぎで無理やりアゴをつき出すことになるのだ。首が疲れる為、長く泳げないのである。
は?バタフライ選手はフィニッシュでキックしてるよ?
これは本当によく誤解されるので、詳しく解説する。
選手は泳ぐスピードがとても速い。その為、キャッチしてプルする前に、体がすでに前へ移動している。つまり、プルに力を入れる前に手が後方へ移動してしまうのだ。キャッチ直後にキックを入れているつもりでも、実際にキックが入るのはフィニッシュになる。結果的にフィニッシュにキックが入るのだ。
このことは冒頭の水中映像を見てもわかる。フィニッシュに近い局面にキックが入っている。念を押すが私のキック意識はキャッチ直後だ。その証拠に『うねりのバタフライ』はゆっくりの為、キックはキャッチ直後に入っている。意識は同じでも、泳速によってかなりタイミングが変化するということ。速く泳ぐ時は、体が前に移動することを計算に入れないとならないのである。
さらに・・選手がフィニッシュで押し切っているように見えるのも、泳速が上がって体が前に移動しているからである。力を入れる意識はキャッチ直後だとしてもフィニッシュになる。
ついでに・・
選手のキャッチはなぜ、ハイエルボーになるのか知っているだろうか?
これは、上腕三頭筋の力を抜くからであるが・・泳速が上がっている為、力を抜いた途端に前方からの水圧により前腕が後方に押されるのだ。決して力を入れて曲げているのではない。上腕三頭筋を緩めた結果、肘が曲がるのである。後はそのまま、肘をリラックスしたまま広背筋で引くだけでよい。
しかし、泳速が低いのに力を入れ、形だけハイエルボーにすると何が起こるか?広背筋でプルした途端、肘が落ちるのだ。
ハイエルボープルは、泳速が上がるから可能なのである。
このように、泳いだことのない第三者がビデオ分析をすると、とんでもない解釈をしてしまう。真相は、実際に泳いでいる人にしかわからないのだ。
話が飛躍したが、
跳び箱を思い出してほしい。飛び越える時、出来るだけ前(プル前半に該当)に手をついて力を加えるだろう。これが初動負荷だ。
後ろ(フィニッシュに該当)に手をついていたらつんのめるだけで前に体が進まない。これが終動負荷だ。
力のピークを前に持っていけばすばやく水面に顔を出すことが可能になり、戻しも速くなる。
冒頭の泳ぎを見ると、プル前半で頭が上がり始め、フィニッシュ時に息を吸っている。(注 私の場合、力のピークは前半にもっていく為、フィニッシュは力がすでに抜けている。だから息が吸える。力を入れるフィニッシュでは息は吸えない。呼吸の詳しいことについては49記事参照)
手先がリリースする瞬間、息継ぎはすでに終えており、スムーズに頭が戻っていくのが見て取れる。常に前重心意識なのである。
でもさ、選手はリリースやリカバリー中もアゴを突き出して息吸っているじゃんね?これでは遅いの?
これは先程述ぺたように、泳速がとても上がっている為、フィニッシュで押し切る形となるからだ。もちろんフィニッシュでお腹に力が入っている為、どうしても息が漏れていく。つまり息を吸えない。結果的に力を抜くリカバリーで息を吸うことになる。だからアゴをつき出すのである。泳速の遅い一般スイマーのつき出しとは意味が違うのだ。選手のタイミングは決して間違いではない。筋力を使って速く泳げば必ず選手のようなタイミシグになる。
じゃ、結局どっちが正しいの?
あなたは、選手のように力を使ってトップスピードで泳ぎたいのだろうか?それとも私のようにラクに泳ぎたいのだろうか?その違いである。
先程のグライドに話を戻そう。グライドとは前重心になる瞬間なのである。バタフライは前後の重心移動を使って泳ぐ。しかし、このグライドがないと後重心のまま、つまり下半身が沈んだ泳ぎとなり、ちっとも進まなくなる。
では、ここで注意点を1つ。
スムーズに前重心にするには・・
頭と腕の入水は同時であること。
頭が先に入ると、重心移動がバラバラになってしまう。いくら頭を先に入れても、腕が入水しないことには前重心にはならない。
というわけで、どんなに短距離でも一瞬のグライドは必要だ。これがないとラクに泳げない。
『うねりのバタフライ』を、もう一度観察してほしい。第2キックはキャッチ直後である。つまり、プル開始時にダウンキツクが打ち下ろされる。このタイミングに打つと、跳び箱のごとく、グーンと前方への推進力が増加する。そして、打ち下ろした後は体がまっすぐになり抵抗が少なくなる。
プル全工程において、体が一直線になる。
だから、プルは力を必要とせず、ラクなのである。
第2キックは、バランスを取る為というより、
プルを助ける為に打つのだ。
これを実現させるには、グライドするまを取ることである。
このタイミングは、クロールも全く同様。キャッチ直後に2ビートキツクが入る。だから、力を入れてかかなくてもラクに進む。
さらに入水の勢い(惰性の力)が合わされば、
文字通りか か な く て も泳げるのである。
バタフライのプルが疲れる知られざる原因。実はフィニッシュ(プル後半=終動負荷)でキックを打つからだったのだ。常識通りにやっている限り、ラクにはならない。
[補足]本来のフィニッシユとは、プルの終わりを意味する。一般的な指導では、プル後半の、上腕三頭筋での『押し』を指すことが多い。プッシュとも言う。
さらに・・第2キックを、フィニッシュに合わせて意識的に打つと自然なうねりにブレーキがかかる。つんのめって勢いよくリカバリーの腕が空中を舞う。第2キックは意識せず自然に流せばいい。要は、末端意識(キック)ではなく体幹意識(上半身)で泳ぐのである。
そして・・もっとラクに速く泳ぐには・・
胸をしっかり沈めることにより第2キックの推進力も増加させることができる。調子がどうも良くないなと思う時は、間違いなく胸の沈み込みが不足している。ぜひ沈めることを試みてほしい。他の泳法にはない、この『沈み込み』がバタフライの原動力である。
次に第1キック。これも実は意識せずとも勝手に打たれる。しかも鋭く。なぜかわかるだろうか?それは、冒頭で述べたように、シーソーするからだ。腰を支点に上半身が上がり、下半身が下がる(この点は平泳ぎも全く同様)。上半身が水面上に出れば、下半身は必ず沈む。これにつられ、膝も必ず曲がる。
身体というのは無意識にバランスを取ろうとするのだ。これも本能なのだろう。そして入水直後、膝は必ず伸びる。動かすまいとしても勝手にキックが入る。ちなみに、第1キック直前に膝が曲がるのは、全身の力を抜いているから。タメているのである。
第1キックは、重心を前に移動させるすなわち、グライド=沈み込みをする為に打たれるのだ。
以上が、バタフライの知られざるメカニズムである。
今回は、競泳のバタフライについて述べてきた。
キックなしでもバタフライは泳げる!
45記事でもこのタイトルを書いたが、その根拠を述べたつもりである。
バタフライは、胸郭が動かせるようになればなるほど、とてもラクに速く泳げるようになる。このことは、以前胸郭が固まっていた私が実証している。
胸郭が動かせるつまり、胸椎の伸展が出来るようになれば、沈み込みもラクになる。その為には肋骨が広がらなければならない。バタフライをラクに泳ぐコツ(骨)も肋骨なのだ。
競泳のバタフライ選手が、何kmも延々泳ぎ続けられるのは、胸郭がよく動いているからである!ことを改めて実感させられた。除々に胸郭が動くようになってきた私は、ついに 競 泳 のバタフライで1500mを泳げるようになった。ちなみに『グライドバタフライ』は、胸郭がまだ固かった頃に編み出した泳ぎである。
というわけで
胸郭の動き(型)こそがバタフライのフォーム(形)を生み出しているのである。胸郭の動き(型)こそがバタフライキック(形)の正体なのだ。そして、4泳法中最も動物的な動きが色濃く出るのがバタフライだ。私がバタフライの虜になった理由は、このように本能のままに泳げるからだ。人間の本能が生み出した泳法とも言える。
だから皆さんの目には、バタフライはカッコイイ泳ぎに映るのかも知れない・・。
B ラクに長く泳ぐ『グライドバタフライ』
注)この動画では、あくまでデモとして最少ストローク数で泳いでいる。実際の長距離では水中ビデオのテンポで7ストロークで泳ぐ。↓
これは、超距離に特化させたバタフライである。文字通りグライド(潜水)を長くとる。このまっすぐなグライド姿勢が、最もラクに進む為に重要である。前回45記事で紹介したように、筋力を使わず、浮力と重力だけで泳ぐ。
そもそもバタフライというものは、競泳ルールの『体の一部が常に水面上に出ていなければならない』に乗っ取った、水没せずに泳ぐ泳法だ。しかし、初心者や高齢者は泳速が遅い為、必ず水没してしまう。実は、常に水面にキープして泳ぐには、泳速を上げる必要がある。もちろん体力を必要とする為、きつく感じてしまうのだ。ならば、積極的に水没(潜水)すればよい。
競泳が目的ではないのだから。
もし、平泳ぎのように、水没が許されたならば、バタフライフリークは格段に増加することだろう。筋力のない私が2000m泳げるということは、それだけ初心者や高齢者に向いているという証拠でもある。バタフライの常識(ルール)にとらわれているから、長く泳げないのである。
バタフライとひとロに言っても、目的によりかなり違うことをご理解頂けただろうか?
速くならばアメンボのように水上を這うように泳ぐ。
長くならば潜水艦のように水中を潜るように泳ぐ。
しかし、どちらにも共通することが一つだけある。
フラットであること。
バタフライの基本姿勢はフラットであることだ。
見た目に囚われてはならない。
意識はまっすぐなストリームライン。
上へ泳ぐのではない。
下へ泳ぐのでもない。
前へ伸びて泳ぐのだ!