恐怖の対象だった父親 「共同親権で危ない生活になってしまう」

離れた親に会いたいと願う子どもたちの新たな選択肢となり得る共同親権ですが一方で、導入に不安を募らせる子どももいます。

高校生Bさん「食事のときに父がものすごくフライパンを叩いていたという記憶がある」

そう話すのは、東日本に住む16歳の高校生です。小学生の頃、父親の家庭内暴力が原因で両親が離婚しました。当時の様子を絵に描いてもらうと、テーブルよりも父親の姿が大きく表現されています。

高校生Bさん「本来の縮尺ではないのですが、気持ち的にも恐怖の対象だった。テーブルとかよりも遥かに大きく(父親が)見えていた。真顔でカンカンカンカンって。一言発したら、そこから暴言のオンパレード」

離婚する際、父親から「数時間だけ」と言われ、会いに行くとそのまま数週間帰らせてもらえなくなったことも。こうした経験がトラウマになり、しばらくは“父親の影”に怯えていたといいます。

高校生Bさん「(離婚後)2~3年ぐらいはずっと思い出して、1人でトイレに行けなくなったり、ずっと母親にべったりくっついていないといけないみたいな。思い出すと手とか足とかが、話しているうちに震えてきて、もう二度と父親に会いたくない

今回の法案では、父母が協議離婚で折り合えなかった際にも、共同親権にするかどうか、家庭裁判所が判断するとしています。一方、円満に離婚しなかったケースについて、適切に共同親権を行使できるのか不安の声が上がったため、親権を選択する際に「父母の双方の真意」を確認する措置を検討することなどを、法案の附則に盛り込みました。

しかし、DVや虐待、さらには言葉による精神的なDVのようなケースにも、裁判所が単独親権か共同親権にするか、適切な判断ができるのか懸念も残ります。

Bさんの母親「私たちはモラハラが強かったので、診断書とかがあるわけでもない。心に負った傷を誰が証明してくれて、誰が判断してくれるのか。そういう判断基準も曖昧なまま

高校生Bさん「共同親権になると、学校の書類とかに、親2人のサインが必要になってくる。『書類にサインしてほしかったら俺に従え』みたいな危ない生活を強いられるのか、このまま安全な生活ができるのか、自分ではわからない」