ビッグモーター、社名「WECARS」に 伊藤忠など事業承継
伊藤忠商事は1日、中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)から事業を継承した新会社、WECARS(ウィーカーズ)を同日設立したと発表した。運営する中古車販売店の名前も新社名と同じにする予定だ。企業再生ファンドなどとの共同出資で運営し、自動車保険金の水増し請求などの不祥事で傷ついたブランドの再建が課題となる。
新会社の社長には元伊藤忠執行役員の田中慎二郎氏が就いた。新会社には企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と伊藤忠、伊藤忠エネクスが出資する。新会社への出資と借入金の引き受けなどを含めた買収総額は約600億円となる。
店舗や従業員も新会社が引き継いだ。当面は店舗の看板は「ビッグモーター」を維持するが、数カ月かけて新社名と同じ店名に変えていく。
旧ビッグモーター創業者の兼重宏行前社長らは新会社の経営には関与しない。主要な事業を切り出した後の旧会社は全国で相次ぐ訴訟の対応のほか、もともと抱えていた債務の返済などに専念する。
田中社長は同日開いた記者会見で、「各種改革を実施し、お客様や地域、取引先、行政から変わったという実感をもってもらえるようにする」と述べた。
旧ビッグモーターでは2023年7月、自動車保険金の水増し請求などの不祥事が発覚した。23年11月には財務当局から保険代理店の登録を取り消された。一時、中古車販売が大きく減るなど業績が悪化していた。
伊藤忠グループなどの支援のもとで資金繰りを改善させながら、法令順守など企業風土の刷新につなげたい考えだ。不祥事が再発しないよう企業体質を改め、顧客からの信頼回復にも努める。
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(更新)- 中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト今後の展望
ウィーカーズ。いよいよ中古車事業近代化2.0の時代に入ります。中古販売、買い取り、オークションに大手が台頭し、トヨタなどのメーカーも参入したのが近代化1.0なら、データ連携し、価格形成の一段の公正さを高め、エネルギーマネジメントと連携するのが近代化2.0となります。再エネが拡大し電動車が増加してくると、車両はエネルギーマネジメントの重要な社会インフラとなります。モビリティとエネルギーが融合するエコシステム作りを伊藤忠は狙っているのだと言えます。BEVとSDVは厳密に紐づいていきます。SDVはエネマネと紐づく未来図の中で、中古車の概念は大きく変化するでしょう。
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(更新)
中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)が事故車の修理に伴う保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていたことが分かりました。外部弁護士がまとめた調査報告書によると、同社の従業員はゴルフボールを靴下に入れてふりまわすなど意図的に車両に傷をつけて損傷範囲を広げ、損害保険会社に過大な修理費を請求していました。兼重宏行社長らが辞任、国交省が聴取に乗りだすなど全貌解明がすすめられています。
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