ニューカレドニア暴動受け、仏政府がTikTok禁止 扇動を阻止 外国の干渉への懸念も

15日、ニューカレドニアの暴動で燃やされた車庫(ロイター)
15日、ニューカレドニアの暴動で燃やされた車庫(ロイター)

南太平洋にあるフランスの特別自治体ニューカレドニアの暴動で、仏政府は15日夜(現地時間16日朝)、非常事態を宣言し、中国系動画投稿サイトTikTok(ティックトック)の使用禁止を発表した。交流サイト(SNS)遮断という異例の措置に、法的問題を指摘する声も出ている。

TikTokの禁止は暴力映像の流布を防ぎ、暴動参加者の連絡を絶つ狙いがある。政府は刺激的な映像を拡散しないよう呼びかけ、見つけたら政府のサイトに通知するよう呼び掛けている。ニューカレドニアの通信当局は、携帯電話によるTikTokアクセスの遮断作業に着手したという。

ルモンド紙(電子版)によると、治安関係筋はTikTokを遮断する背景として、外国が緊張を煽るために介入し、偽情報を流す懸念があると打ち明けた。中国やアゼルバイジャンに言及したという。アゼルバイジャンは対仏関係が悪化した昨年秋、パリ五輪開催に反対する偽情報を流したと報じられていた。

一方で、非常事態法は、政府による通信網の遮断は「テロ行為やテロ擁護」につながる場合だと定めていることから、法学者から「適法かどうかは疑わしい」という指摘も出ている。

仏ではマクロン大統領が昨年7月、本土に広がった若者暴動を受け、「SNSの制限や遮断を考えるべき」と表明。「表現の自由」との兼ね合いから、論議が続いていた。2020年には、SNSでの憎悪発言を取り締まる法案について、裁判所が「行き過ぎた規制」だとして違憲判断を示している。

ニューカレドニアの暴動は13日から続き、憲兵を1人を含めて4人が死亡した。地方選挙権をめぐる仏議会の動きに対し、分離独立派が起こした抗議デモが引き金となった。(三井美奈)

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