塾選び(?)情報
TOMAS
個別指導のみ、直営教室のみ、東京神奈川千葉埼玉のみに出店するが、関東では圧倒的にその名を轟かせる個別指導塾。
会社名は株式会社リソー教育。リソー教育が展開する別ブランドの塾は関東以外にも存在する。ここでは主にTOMASに限定して解説を行う。
大きい駅には必ずあるし駅看板も大体良い位置を取る。早稲田アカデミーくらいには派手に大きく看板を取り付けるので都内においても知名度はかなりある。
最近ヒューリックに買収された。ヒューリックは不動産業であるが「社員の時給が高い会社」ランキングTOP100社(東洋経済調査)において、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事などの総合商社を抑え、1位となる企業である。
なぜリソー教育(TOMAS)を買収したのか真相はもちろんヒューリックとリソー教育の2社間でしかわからないが、以下仮説。
リソー教育が買収した伸芽会の本社がヒューリックのビルに入っており何かの関係がそこで作られた。塾と不動産は切っても切れない関係であり、塾と不動産業は切っても切れない関係。テナント料のせいで塾は損益分岐点が大きく変わってしまい、生徒が増えたら増床してもまた多額のテナント料が飛んでいく。そのため塾からすれば、不動産と塾の経営はうまくやらないといけないのは至って普通の話である。塾は人が増えるとテナント面積が足りなくなり、増床すると売上は上がるが利益率が下がったりする。自社ビルを多く持ち不動産経営に乗り出す塾があるのはこのせいである。よって自分たちで不動産経営に乗り出さない場合は、不動産会社の力を借りる必要があり、不動産業のヒューリックが東証プライムの優良企業であるリソーを買収してもおかしくはない流れではある。
買収もいきなりの話ではなく、2020年に業務提携、2021年にはヒューリックが筆頭株主になっており、そこからの歳月を経て、買収し子会社にふさわしい企業であるとヒューリック側は考えたかと思われる。
こんな順調そうなTOMASであるが過去には粉飾決算が発覚し、6年以上に渡って売上高を水増ししていた。当時、東証一部(現東証プライム)だったが、売上の水増しは当然、その上場企業として模範的でない勤務体系なども問題視され、いろいろと悪質だったため上場廃止一歩手前まで追い込まれた。身から出た錆とはいえ、とんでもない事件をやらかした塾だった。
なお売上高を水増しした理由としては、水増ししていたというよりは水増しが起こりやすい文化だったの方が表現として正しく、「過酷すぎる営業ノルマ」が一因だったとされている。営業が厳しいとされる早稲アカや臨海など眼中にないレベルの過酷さだったとされている。
その営業スタイルは凄まじい。各教室の売上高の合計金額の○%が教室長やその上の役職にボーナスとして支給されるという、社員からすると明瞭な基準で賞与を得られたため、講座を売って売って売りまくる、自分の給料を増やすためには部下に何がなんでも売上を上げさせるという文化が強く根付き、売上至上主義が完成された。超がつくほどの資本主義的な考えを持ち、お荷物社員を優秀な社員が支えるなどという社会主義的な文化のない会社。
しかも教室長は授業を担当しないことが原則のため、教育業界未経験者が中途採用で大量に入社してくるなど、ある意味塾業界においては異色だった。教室長で年収1000万円オーバーがゴロゴロおり、入社したい企業ランキングでも常に上位にいるリクルートや大手保険会社からの転職者が多かったことでも有名である。稼げればなんでもいい精鋭営業マンが教室長以上の役職を務める会社だった。
なお教室長の年収は相場感があまりないが上場企業で500〜700万円程度、500万円に到達しない企業も大量にある中で、1000万円プレイヤーがゴロゴロいたTOMASは異常だったと言える。ただし今のTOMASはセコムによって厳しく勤怠管理が行われ、別の会社にでもなったかというほど勤務状況も給料もおとなしくなった。ただしおとなしくなったといえあくまでも当社比である。TOMASの顧客単価は地域によっては月20万円程度あり、売上至上主義にあまり変わりはない。
その授業料はサービスに転化されており、生徒1人に1ブース(狭いが個室)が与えられ、講師は授業時間そのブースから出てはいけないルールが存在する。子供を放置される心配がない。個別で自分の子供だけを見てほしいと思う親からすれば、先生は絶対に目を離さないし、1対1しか授業形態が存在しないため、授業料が高かろうがお構いなしに教育費を突っ込む家庭が顧客層として多い。
講師の指名もできる。講師の男女指名も可能。成績が上がらない、子供が先生を気に入ってない、親が先生を気に入ってない場合など、いくらでも講師の変更が可能である。指名料はないし、講師の変更に料金はかからない。
個別指導の中では珍しく難関中学高校大学への進学実績も強い。開成も筑駒も桜蔭も早慶附属も東大も京大も出す。 生徒の親は経営者、医者、弁護士が多く、高い授業料を全く気にしていない。一般家庭が全科目取るにはハードルが高いが週1で1科目(約4万円)だけみたいな受講の仕方なら通えないこともなく、そういう家庭もいる。
ただし同じお客様とはいえTOMASサイドからすると1科目約4万円を必死に捻り出す家庭は細客であり、5科目全部受講して追加受講まで平気でする月に20万円も30万円も授業料を出す家庭が太客なのである。TOMASの売上至上主義は昔より緩くなったとはいえ、いまだに直っていないしそのスタイルを貫き続けたからこそ、この個別指導戦国時代においてTOMASは全直営で生き残ってきたとも言える。
学習塾をメイン事業にする上場企業17社において集団と個別の両方を抱える塾は多く、またフランチャイズ展開する個別指導塾もあるが、全直営個別はTOMASと東京個別指導学院だけである。TKGも世間では高いと言われるがTOMASと比較したら可愛いものである。
※17社(成学社、市進、明光、秀英、クリップ、早稲アカ、城南、京進、東京個別、スプリックス、ウィザス、ナガセ、進学会、学究社、昴、ステップ、リソー)
なおTOMASの講師は学生アルバイトか入社1年目の新卒であるが、東大一橋東工大医学部早慶上位学部などの高学歴集団である。ベテランの社会人講師もいる。当然授業料が高いので高時給である。ただしアルバイトとはいえ責任は重い。成績が上がってなかったり、生徒から気に入られないとすぐに交代させられる。学生アルバイト講師ですら人気商売の現実を突きつけられる昔の予備校のような厳しい競争を強いられる。学力、指導力は当然のこと、コミュニケーション能力や、教室長からの信頼を得なければアルバイトでもTOMASでは勝ち残っていけない。
この学歴食物連鎖の頂点に立つ講師かつ優秀な人間を統率し、スタッフとして部下におく教室長に求められるビジネススキルは異常なまでに高い。
多くの塾が「うちの塾は面倒見が良いですよ」なんていうが、ある意味本当に面倒見が良いのはTOMASであり、それに対する高額授業料なのである。別に面倒見なんてよくないなどのGoogle口コミを書かれている教室も見かけるが、面倒見の求められている次元が圧倒的に違う。
なお医学部専門のメディックTOMASは学年によるが1科目約8万円する。8万円1科目受講など細客も細客であり、国立医学部を目指し共通テストに必要な科目を全科目受講し、2次試験で必要な科目や苦手科目は追加受講する月に100万円支払う家庭が太客である。
何度も言っておくがTOMASは残業規制が強くなっただけで、売上至上主義は直っていない。
一応これでも特待生制度は存在するが、基準がかなり厳しく、まず東大志望に限る。京大も医科歯科も難関国立医学部も適用外。医学部志望で特待を適用して欲しかったら東大理Ⅲしか進路がない。その上、河合塾の全統模試の判定は特待生審査として適用されず、駿台模試か冠模試(オープンか実戦のみ。東進は適用外。)でB判定以上必要である。
中学受験での特待生適用は開成、麻布、桜蔭、女子学院志望しか認めないという徹底ぶり。御三家なのに武蔵と雙葉は適用外。筑駒も渋幕も聖光学院も志望するのは自由だが特待の対象とはならない。これだけ厳しい関門を突破しても30%オフ。もはやTOMASで特待生だったら受かるレベル。
今や勤怠管理が厳しくなり残業ができなくなったため、人気講師、人気教室長からすれば昔ほどではないが高給で天国。 不人気講師は淘汰され、不人気教室長はノルマ未達で出世不可能で地獄。年功序列なんてものは存在しない。完全実力主義。不人気教室長は当然給料が高いとはいえない。
また世間がコロナ禍で三密回避ステイホームで大混乱していたあの時まさに、速攻で営業を再開し世間から非難を浴びたが、完全無視を決め込んで売上を立てまくった。
マスク不足でマスク入手するのが困難だったにも関わらず、どこから仕入れたのか不明だが、医療用の透明マスクまで仕入れて、それを広告にして安心安全アピールして強行営業再開。この強靭メンタル企業で教室長になり、ノルマを達成させるのは並大抵のことではない。
授業料なんていくらでも突っ込める家庭からすれば天国のような塾であり、一般家庭にはハードルが高すぎる塾。あまりにも優秀な教室長に授業を担当してほしい場合、年間で600万円以上の授業料支払いが発生すると1科目だけ可能になる教室もあるとかないとか。教室長の判断っぽいが、原則授業は持たない。売上を立てるのが教室長の仕事である。
これが塾なのにも関わらず東証プライムであり続けられるリソー教育の大黒柱、TOMASである。
1.2万
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