この身はただ一人の穢れた血の為に   作:大きな庭

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五話目。


支配の座

「モンタギューが消えた」

 

 深夜のスリザリン談話室。

 ドラコ・マルフォイは僕の机の前の椅子に座り、そわそわとした様子を見せていた。

 しかし、彼は何時もと違って中々僕に話を切り出そうとはせず、三十分程待って談話室から他の人間が消えるのを見届けてから漸く、至極小さな声でそう言った。

 

 それは唐突に紡がれた言葉でもあったが、今更僕に驚きを与えるものでは無かった。

 一瞬だけドラコ・マルフォイを──魔法(マフリアート)の守護下でも安心出来ないのか、片手で口元を隠している彼を見た後、再度分厚い呪文学の本へと視線を戻し、経年劣化で端がボロボロになっているページを捲った。彼の発言に一々驚いてやる程、僕はドラコ・マルフォイに対する奉仕の精神を持っていないのだ。

 

「そうか。それで?」

「……それで、って」

「それがどうしたと言い変えても良い」

 

 自然と湧き出てきた欠伸を噛み殺しつつ言葉を継ぐ。

 

「今日君達が尋問官親衛隊として何をしていたかは聞き及んでいるし、その一員であるグラハム・モンタギューに『変なこと』が起こったのは今良く解った。が、その事実だけを伝えられても、君が僕にどうして欲しいかは解らない。個人的に興味を惹かれる事態でもないしな」

 

 気の抜けた返答に寄越されたのは怒声。

 先程まで不安そうだった彼は、僕の()()()()返答が大層不愉快になったらしい。

 しかし毎度毎度だが、この魔法(マフリアート)は本当に素晴らしい魔法だ。これを学んでなければ、ドラコ・マルフォイが今年何度スリザリン生に迷惑を掛けていたか解らない。

 

「……っ!? その程度!? 解っているのか……! 朝に寮生が一人消され、今もまだ見つかっていないんだぞ!? それをどうでも良い事のように君は──」

「──なあ、君はグリフィンドールから反撃を受けないと思っていたのか?」

「────」

 

 彼は今年、僕に反論をしない──非常に良くない傾向が有る。

 

 だから視線を合わせないまま、可能な限り優しく問うたつもりだが、その配慮は今回も無意味だったようだ。暫く待っても答えが返って来ないので、渋々ながら再度視線を上げる。ドラコ・マルフォイの淡い灰色の瞳は、脅えと恐怖によって揺れていた。

 

 実に意外な事だ。

 僕はもう少し長く持つと考えていたのだが、ドラコ・マルフォイは既に〝仕事〟に音を上げようとしているようだ。スリザリン生一人──親衛隊の仲間が消えた事は、彼にとっては余程衝撃を与える事態だったらしい。相も変わらず彼は楽観的というか、育ちが良過ぎるが故に最悪の事態を予想出来ない所が有る。臆病な(スリザリン)にしては割と珍しい。

 

「ちなみに聞いておきたいのだが」

 

 未だ動揺を治め切れていない彼に嘆息し、僕から話を続ける。

 

「今の反応から見るに、君はグラハム・モンタギューがグリフィンドールのせいで消えたと看做しているようだ。けれども、そう考えた理由は一体何処に在る? 現在彼の姿が見えなくなっているとしても、自分の意思で何処かに身を潜めたという事も有り得るだろう?」

「……スネイプ先生が教えて下さった」

「どういう形で?」

「……ウィーズリー二人がモンタギューをキャビネットに突っ込んで、それ以降はあいつの姿が見えないと。匿名の生徒による告発だそうだ」

「ほう?」

 

 その言葉には素直に感心した。

 感心の先は勿論、我が主や寮監殿に対してでは無かった。

 

「わざわざ匿名の告発と表現するとなれば、その証言者はグリフィンドールで、ミネルバ・マクゴナガル教授経由で寮監へと伝えられたという事か? まあ仮に違ったとしても、双子の行動を見ていた者達の中で、一人の人間が忽然と消え失せた事をヤバいと思える感性の持ち主は居たという訳か。まったく、ホグワーツの未来は明るいな」

「呑気な事を言っている場合か……!」

「そういう場合だろうに」

 

 ドラコ・マルフォイは一体どうして〝マグル〟的な事を言っているのか。

 

「グラハム・モンタギューは消え失せた。何処に飛ばされたかも、生きているかどうかも不明。つまり単純に見れば、今回の事件はセドリック・ディゴリー及びハリー・ポッターの消失と何も変わらない。その上で、彼の両親が新校長や寮監によってホグワーツに呼ばれた形跡は?」

「……僕が知る限りは無い」

「ならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 愕然とした表情を見せる彼を他所に、もう一度一人嘆息する。

 

 誰も彼も魔法族に幻想を抱き過ぎている。そしてその幻想による不利益が自分の身に降りかかって初めて、自分達の後進性を実感するらしい。

 

「君はもう少し、魔法界という物を理解していると思ったがな。三年前にホグワーツの休校が検討されるまで、一体何人の生徒の犠牲が必要だったと思っている? その事を念頭に置けば、たかが一人行方不明となっただけで〝ホグワーツ〟が動揺する筈も無いと解るだろうに」

 

 ホグワーツは依然平常運転。

 校長……前校長がアレだったのだから、この世界が変わる筈も無い。

 

「まあ、去年のハリー・ポッター達は例外中の例外。如何に内側からとはいえ、何重にも魔法が掛かったこの城から抜け出すのは簡単ではない。彼の転移先は校内である可能性が高く、そうでなくとも近場だろう。数日もすれば痕跡程度は見つかるさ」

 

 心配なら精々彼の魂の安息を祈ってやる事だと、雑に告げる。

 そして僕はグラハム・モンタギューにそうしてやる程、気の良い人間ではない。

 

「……君はまるでモンタギューが、し、死んでいても可笑しくないように言うんだな」

「実際そう言っている」

「────」

 

 惚けているのか、本気で気付いていないのか。

 本に視線を落としたまま、絞り出すような言葉を肯定する。

 

「ホグワーツ教授陣、屋敷しもべ妖精、ゴースト、肖像画、そして城外のケンタウルスや水中人等々。〝ホグワーツ〟には多くの眼が有る訳だが、グラハム・モンタギューが未だに見つかっていない時点で十分異常だ。億が一ホグワーツの敷地外に飛ばされたとしても、公然と魔法を使いでもすれば魔法省の方から見付けてくれるしな。しかし、そうなっていない。これで良い想像をしろという方が無理だろう」

 

 転移先が城内であっても、命の危険を齎す部屋は少なからず存在する。

 仮に危険な部屋に飛ばされた訳では無くとも、転移の過程で身体がバラけて大怪我しているという可能性も考えられる。運よくバラけるのを避けられたとしても、人目に付かない部屋に閉じ込められればその末路は餓死か衰弱死だ。

 更には城外に飛ばされる可能性も必ずしも零という訳ではなく、敷地内で有ったとしても飛んだ先が禁じられた森であれば最早手遅れである。

 

 我が寮監なんかは御悔やみの言葉でも考えている頃かもしれない。

 

「そう驚く事かね? 生徒の死体が挙がるなんぞこの古臭い世界では良く在った事だろうに。二年連続は割と快挙かもしれんが、さりとて前例が皆無だとも思わない」

 

 そして視線を向けずとも、彼がどんな反応をしているかは手に取るように解る。

 

 去年までは余り思わなかったのだが、今年に入って以降、彼は本当に死喰い人としてやっていけるのだろうかと思ってしまう事が多い。今回もまたそうだ。

 この点に限ってみれば、ドラコ・マルフォイはビンセント・クラッブやグレゴリー・ゴイルを見習うべきである。彼等にとっては一人の死など夕食のメニューより価値が低く、自分達を棚に上げてグラハム・モンタギューの愚かさを笑ってしまえる事だろう。

 

「しかし、てっきり僕は『変なこと』が起きた人間が続出すると思っていたのだがな」

 

 その水の向け方が嫌味に満ちているのは自覚していた。

 ただ、現状を招いてくれた事に何も感じるなというのは無理な話だった。

 

「例えば君は、ハリー・ポッターによって医務室送りにされるものだと考えていた。グラハム・モンタギューの代わりに第一の犠牲者になっていたとしても不思議に思わず、この手の話も医務室の中でするものだとすら想定していた」

「……しゅ、主人を主人と思わぬ事を言ってくれるんだな」

「ならば主人らしい振舞いを心掛ける事だ」

 

 単なる反抗心から向けられる敵意など何も怖くない。

 ドラコ・マルフォイが僕の皮肉を聞きたくなかったのなら、まずドローレス・アンブリッジ如きに踊らされるべきではなかった。

 

「君にとっての今年の最優先事項が何か、僕は口を酸っぱくして言っていた筈だ。それにも拘わらず、君は僕の知らない所で下らん御遊びに手を染めた。闇の帝王から受けた仕事の一環として行っているなら何の文句も無いのだが、やはりそうでも無いんだろう?」

「…………じゃあ、君は僕を止めるべきだったんじゃないか?」

「君が尋問官親衛隊に就く前であれば、当然止めたとも」

 

 恨みがましいというより、縋るような言葉を鼻で笑う。

 

「しかし、君達は杖より言葉で戦う者なのだ。吐いた言葉が安く見られて良い事はない。建前として上位に在るドローレス・アンブリッジ、そして何より他の〝純血〟の前で尋問官親衛隊に就くのを受諾した以上、それを君が撤回するなど有り得ない」

 

 何かの決定の際に一々僕に問い合わせる義務は存在しないが、それでも相談無しに己のみで決めるならば、その決定の責任を負う覚悟位はしておくべきである。

 

「勿論、面子や体面なんぞ言ってられない程の大事なら僕も介入はしただろう。が、少なくとも今回の件で君が死ぬ事はなさそうだったしな。君がまず最初に向かう場所はハリー・ポッターの所だと解り切っているが、ハリー・ポッターには君を殺せん」

「……でも、モンタギューは消えた」

「それは確かに僕の失敗だ。ハリー・ポッターがたった一度、ダンブルドア軍団の露見程度で怖じ気づくとは思わなかった。彼が君を()()()医務室送りにしなかった場合については、予め危険を想定して動いておくべきだった」

 

 まあ、痛い目に遭う方が君も学べるだろう。

 その考えが僕の眼を曇らせた事も否定しえない。

 

 やはり隠す必要も無いので、己の本心も最後に付け加えた。

 

「……君は、こうなると解っていたのか?」

 

 ポツリと呟かれた疑問へ、冷然と答えを返す。

 

「それはそうだろう。初めからすんなり行かないと考えていた」

「────」

 

 失敗するとまでは言わないが。

 大反発は必至であり、騒動も不可避だとは推測していた。

 

「新学期始め、スリザリンはドローレス・アンブリッジに不服従を示した。権威も権力も持たない地位、或いは人間に対し、その言う事を聞いてやる義理は無いとな」

 

 彼女はスリザリンが戴くべき王では無く、故に自分達が納得出来ない授業を強要されると知れば、当たり前のように反抗の意思を示した。

 

「その理屈は此度においても妥当する。尋問官親衛隊の命令なんぞに従ってやる義理などない。グリフィンドールを筆頭に、ホグワーツ生の大部分がそう考えた。そしてその結論が今回グラハム・モンタギューに降りかかった。ただそれだけの話に過ぎない」

「……っ。で、でも、ホグワーツ校長が決めたんだぞ!? 君はドローレス・アンブリッジを正式な校長だと言った。だったら彼女の、ひいては僕達の言う事を聞くのが筋だろう……!」

「理屈の上ではそうだな」

 

 ドラコ・マルフォイの言い分は何ら間違っていない。

 尋問官親衛隊が校内で如何に非道を為していても、そこに法的瑕疵自体は無い。

 

 ホグワーツ校長の決定は、この校内において絶対だ。法律と校則はそう規定している。

 

「だがな、君達〝純血〟は魔法大臣の言う事をどれだけ聞くのだ? 魔法大臣は(“All matters relating )この魔法界に関する(to the magical community in Britain)全ての事項を( are managed solely by )管轄する訳(the Minister for Magic”)だが、彼ないし彼女に命令されたとして、はいそうですかと君達は黙って受け容れるのかね?」

「────」

「違うだろうに。君達は魔法大臣にそれ程の力を認めない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考えており、魔法界の頂点などとは更々認識していない」

 

 法律が何と決めているかなんぞ関係無い。

 〝純血〟達はそれとは別の論理の下に、従うべきか否かを考えている。

 

「……でも、全く命令を聞かない訳じゃない」

「そうだな。例えばオッタリン・ギャンボル魔法大臣は君達に言う事を聞かせたものな」

 

 ホグワーツ特急の利用を拒絶する〝純血〟達に、かの魔法大臣は従うかホグワーツを去るか(“either rode the train or did not attend school”)と脅して受け容れさせた。

 

 まあ、やはり魔法省がホグワーツ生の停学・退学権限を持っているどうかという点は微妙なので、その脅迫はホグワーツ校長との協力が前提であった事だろう。ただ魔法大臣が〝純血〟に要求を通したという点においては変わらず、その点で彼女は地位の上下を誇示するのに成功したと言えるのだが──けれども今回も同じように考えて貰っては困る。

 

「君は権力機構の……支配の本質を勘違いしている。人間は立派な肩書が付いてる者に従うべきだ、そんな勘違いをな。魔法大臣などという不自然な玉座を念頭に置くからそうなるのであり、ドローレス・アンブリッジは見ての通りで、君ですらも完全に逃れられていない」

 

 つくづくあの玉座は歪で仕方ない。

 そして一番の問題は、それを意識している人間が稀だと言う事だ。

 この部分に関してはコーネリウス・ファッジ、そして歴代魔法大臣に深く同情を覚える。特にアルバス・ダンブルドアが事実上頂点に座っていたこの数十年間は、さぞかし肩身が狭かった事だろう。

 

「だが、他の()()()()大人の行動を見れば解らないか? アルバス・ダンブルドアは魔法大臣を平然と叩きのめして出て行ったし、ルシウス・マルフォイ氏とて内心どう考えているかは明らかだ。彼等は魔法大臣なんぞ軽んじており、軽蔑すらしている。真の魔法族にとってアレらの振舞いこそが良心であり、模範であり、理想像だ」

「……魔法大臣に従う義理は無いと、君は言うのか」

「力のない人間に、だな」

 

 苦々しさを噛み締めた言葉に、少し違うと付け加える。

 

「魔法大臣云々ですらない。いいか、支配の根源となる権威と権力は、宝石で飾られた椅子から自然に湧いて出て来るモノでは無い。ましてや彼等は偉いですと法律や約束により決められて偉くなる場合なんぞ、本質的には有り得ないのだよ」

 

 何処の歴史を見てもそんなモノは存在しない。

 そう見える場合は、更に偉い人間から──皇帝や教皇、もしくは偉大な親などに代表される他の権力装置から借りているだけだ。そして借り物に過ぎない以上、侮られれば当然のように容易く転覆し、座っている椅子ごと滅ぼされてきた。

 

「君達〝純血〟の家系。或いはホグワーツ校長。それらが魔法界で大きな顔を出来るのは、法律に決められているからか? 違うだろう。まあホグワーツ校長の方は、現在においては一定程度法的裏付けが有るが、やはり昔はそうでは無かった。〝純血〟の方は今でも法規定は無い。〝聖なる二十八〟にしても公的な物ではなく、その枠組みは現在政財界で権勢を振るっている家々とは必ずしも一致しないからな」

「…………」

「であるのに、それらが何故地位を保っているか。別に難しい事ではない。君達は時に杖で、時に金で、そして時に交渉で、何より結果と実績をもって力を誇示し、その立場を確立し、現在進行形でそれを維持する為に努力しているからだ。今でこそ単にその肩書だけで──たとえば、君が〝マルフォイ〟だというだけで偉そうな顔を出来るが、誤解を招く事を承知で言えば、それは本来の支配の構造として不自然なのだ」

 

 〝純血〟達の血みどろの抗争は言わずもがな。

 彼等の多くは姻戚関係にあり共闘体制を敷く事も多いが、決して一枚岩ではないし、歴史的には普通に殺し合って来た関係でもある。

 

 またホグワーツ校長とて、権力闘争と無関係ではいられなかった。

 中世以来の旧き魔法の牙城。城内に貯め込まれた数々の強力な魔法具。ケンタウルスや水中人、屋敷しもべ妖精に代表されるヒト族。深き森林に棲まうユニコーンなどの稀少な魔法生物。そして何より、私兵ないし人質として利用しうる幼き魔法族達。悪意を持つ者にとって、それらが魅力的に映らない事は有り得ない。

 

 『ホグワーツの歴史』は余り語りたがらないが、魔法史を丹念に見て行けば〝ホグワーツ〟が抱えてきた暗部は容易に読み取れる。〝純血〟達ならば、それらの直接的な記録や証拠を持ってすらいるかもしれない。

 

「支配の成立には、何処かの分野で相手を凌駕する力を所持し──この力は崇敬や愛情に代表される個人的魅力、富や知識など他人に提供可能な資力、腕力や軍隊といった単純な暴力、そして行政や裁判権による制裁力等々、何でも良い──且つ、それをもって上位者としての関係を構築する事が必要となる。強制と合意、矛盾めいた二要素が併さって初めて成立すると言っても過言では無く、どちらかが著しく均衡を喪えば支配は崩壊する。個人であれ、社会であれ、な」

「…………」

「或る社会の頂点に据えようとする椅子、支配の座と呼ぶべき地位では、特にこれが顕著に現れるし、問題となる」

 

 ここではホグワーツ校長だな、と言葉を繋ぐ。

 

「確かに校長の椅子は、この魔法界で最高位の格式を有する。だが、それに座っただけで誰もが従ってくれる──下位の立場に降りる事を認めてくれるとは限らない。ホグワーツ教授やホグワーツ生がそれを認めない事は現実的に可能であり、事実、今そうなっている。ドローレス・アンブリッジは関係性を構築するどころか、そもそも力すら持っていないからな」

 

 手続的に正当な校長だろうと、実態として校長でないという事は有り得る。

 だからホグワーツが統制を喪い、無秩序状態に陥るのは初めから眼に見えていた。

 

「尋問官親衛隊も一緒だ。それはホグワーツ監督生制度への挑戦であり、一部分においてはホグワーツ教授の権威に対しても挑戦している。そしてホグワーツ生は君達の力を受け容れる事を承服していないし、上下関係についても合意していない。その事を示すように、ウィーズリーの双子はアルバス・ダンブルドアに倣いグラハム・モンタギューを叩きのめした」

 

 彼等は正に人間の、そして魔法族の鑑だな、と粗略に褒め称える。

 グリフィンドールを賞賛するのは鳥肌が立ってくるものの、腑抜けばかりのホグワーツの現状を見るに、率先して動いた彼等は認めざるを得ないだろう。

 

「こんな事例は何時の時代、何処の歴史でもよく有る事だ。非常に雑で簡略的な表現をしてしまうならば、勝利なくして支配なぞ成立しない。そう、勝利だ。ここ魔法界において──」

「……マグルの世界ではどうなんだ?」

「──ん?」

「何処の歴史でも、と君は言っただろう。マグルも変わらないのか?」

「…………嗚呼、そうだな」

 

 突如差し込まれた疑問には思わず目を瞠り、返答が遅れた。

 

 非魔法界においてどうか。

 

 その事は僕が意図して触れようとしなかった内容であり、触れなくても説明出来ると踏んでいた内容でもある。

 そしてはっきり言って、彼から質問してくるのは予想外だった。まさかドラコ・マルフォイがそこまで()()の影響を受けているとは思ってもみなかったのだ。

 

 〝マグル〟に対して偏見を持たない聖二十八族というのは非常に珍しい。

 魔法族は基本的に自分が魔法族である事を──己に流れる魔法の血を誇りに考えており、だから魔法族の極点である聖なる二十八は、(マグル)の血が混ざる半純血を侮蔑するし、人知れず魔法族らしくない(バーテミウス・クラウチ氏のような)人間を葬って来た。

 

 しかし彼女は、他の聖二十八族のように()()()()育つ事が出来なかった。

 何故なら彼女が死の宿命を背負わされたのはまさに魔法族の血が原因で、彼女にとって血とは呪いであり、幻想を抱く事など不可能であったからだ。

 

「君の質問に答えるが、非魔法界でも変わりない」

 

 彼女について触れればドラコ・マルフォイの逆鱗にも触れる。

 その事は今年度を過ごす内に薄々察していたから、何事も無いように回答を続けた。

 

「最も顕著なのが〝王家(Royal family)〟だ。魔法界では大勝ちする〝純血〟は出なかったが、非魔法界では違った。そしてそれらの家ですら基本的に有力な封建領主の一つ、力有る一族の一つ以上のものではなく、臣下により下剋上を受けたり、滅ぼされたりした。絶対王政期には強大な権力を握ったが、歴史的に見れば非常に短期間の事だ。その後に平民に引き摺り降ろされた家は数知れない。伝統や良血、称号は、負けた彼等を救ってくれなかったな」

 

 古代で言えばユリウス=クラウディウス朝。

 カエサルともオクタウィアヌスとも全く関係を持たない者が、果たして〝Caesar〟や〝Augustus〟の称号を掲げる事が許されるのか。そんな疑問は〝ローマ皇帝〟という概念が存在しない当時には間違いなく在った筈である。

 支配者としての正統性をネロ以上に持つ者は有り得ず、しかしかの暴君は考え無しに元老院と近衛隊を敵に回した事で叛乱の正当性をくれてやり、彼とその血族のみが受け継ぐべきであった称号をむざむざと他家に奪われてしまった。

 

 中世で言えばメロヴィング家やウェセックス家。

 メロヴィングが堕ちたのは彼等が弱かったからだというより、単純にカロリングが強過ぎた。ピピン二世、カール・マルテル、ピピン三世、そしてカール大帝。連続して英傑を輩出した一家は、極めつけに教皇の権威を借りる事によって主君を平和的に幽閉し、自分達の王位を確立する所まで辿り着いた。

 ウェセックスは今も血を残すものの、アングロサクソン系の実質的な最後の王エドワード懺悔王は、ノルマンという征服者の前に膝を屈し、家としては滅亡を迎えた。元々ウェセックス家は、後に北海帝国を建設する事になるデーンによって既に一度王座を奪われていた。エグバートやアルフレッド大王の下で繁栄を謳歌した王国は最早斜陽であり、最後に滅ぼしたのが単にノルマンだったに過ぎない。

 

 敢えて逆の例、近代の特異点を挙げるならばベルナドッテ家か。

 スウェーデン王家に招かれたフランスの平民軍人は、1789年に始まる革命戦争の勝者として、そして法律と国民の擁護者として王位に昇った。誰もが直ぐに潰えると考えていた家は、しかし苦難に喘ぐ国を建て直した立役者となり、血筋を残す事に成功した。そして欧州の多くの国で旧い血を持つ家系が追放・廃絶された中、現在においても玉座を守り続けている。

 

 勝者で居続ける事なくしては君臨出来ないし、逆に勝利し続ければ新たに君臨出来る。

 王ですら例外無いと歴史は語る。

 

「そして現在の非魔法界における実質的な頂点、〝Prime Minister〟。その役職は、法律によって生み出された椅子では無い。首相という椅子は自然に──というには人為的過ぎるが、政争の勝者が既成事実として造り上げた椅子だ。支配、もしくは権力が如何なるものかを学ぶ教材としては、魔法大臣よりも遥かに適切な教材だと言えるかもしれない」

 

 先を続けるか、と視線でドラコ・マルフォイに問う。

 

 彼は顔を大きく背けたが、話の内容が内容であるだけに、その反応は先を促したも同然だった。ローブの中の杖を軽く弄り、魔法の守護が変わらず維持されている事を確認した上で、僕は話を続けた。

 

「君の反応を見る限り、どうやら首相の方を堀り下げた方が良さそうだ。……まあ、そうだな。数百年前の非魔法界の歴史を語っても、カスバート・ビンズの話以上に眠くなる事請け合いだ。何より今に繋がるそちらの方が君の将来にも役立ち得るかもしれない」

 

 歴史の成り行き次第では、ドラコ・マルフォイが首相に会う未来も有り得る。

 折角彼から持ち掛けてくれた以上、話はしておくべきなのだろう。

 

「では、首相(Prime Minister)。これは魔法界における魔法大臣と対比される事が多いが、実際は似ている部分の方が少ない。成立経緯も違うしな。同一視出来るのは額面の説明だけで、実際は権威も権力も比べ物にならん。非魔法界の首相は正しく統治機構の頂点であり、最も強力な政治的権力を有し、非魔法界の未来を決める地位に在る」

 

 首相と魔法大臣を並べるのは、騎士とサムライが同一であると語るような暴論だ。

 文化も社会も違う職位を同じように語る事は決して出来ず、そして同じブリテンに在ろうが魔法界と非魔法界は〝異国〟なのだ。特にハーマイオニーのような〝マグル生まれ〟はその事を失念し、軽視し過ぎているように思える。

 

「しかしながら、現在の政府において首相が占める存在感に反し、その椅子が法的に用意されたのは極々最近だ。国家の根源法(Constitution)によって首相の地位が承認されたのはほんの九十年前。議会法では更に後。言うまでもなくアルバス・ダンブルドアよりも若い」

「……待て。おかしくないか。僕も良く知っている訳じゃないが、首相と呼ばれる奴はそれ以前にも居た筈だぞ。だって、マルフォイ家の歴史に拠れば──」

 

 そこまで口にして、失言に気付いたドラコ・マルフォイは黙り込んだ。

 彼をそうせしめた理由は……まあ、単にそれが在ってはならない歴史だからだ。国際機密保持法以降は特に、そして保持法以前ですらも、マルフォイ家は下等生物(〝マグル〟)から距離を置いてきた。それが彼等の現在における公的見解である。

 

「初代首相として挙げられる人物は、大抵の場合、サー・ロバート・ウォルポールだ」

 

 故に僕は礼儀或いは忠誠として、その失言を聞かなかった事にした。

 

「彼は十八世紀前半に活躍した人物であり、君にも伝わる表現をすれば、秘密保持法の成果たる魔法法(Witchcraft Act 1735)が非魔法界の議会で通った時に権力を握っていた人物だ。しかし多少注意深い人間は、彼を()()()()首相だったと表現する」

「……事実上?」

「ああ。何故なら、サー・ロバート・ウォルポールは首相(〝Prime Minister〟)なる地位に就いた事なんぞ一度も無かったし、他人からそう呼ばれる事に対して明確に嫌悪と反対の意を示したからな。だから彼を首相と呼ぶべきでないという意見には一理有るのだ」

 

 互いの視線が交錯する。

 彼の瞳の奥底には、疑問と混乱が透けて見えた。

 

「……何で、そいつは首相にならなかったんだ?」

「簡単に言えば、当時は〝首相〟の椅子など存在しなかったし、当然ながら支配を正当化する座でも無かったからだ」

 

 他人との上下を規定する立場ではなく、権力が付随する称号でも無かった。

 

「…………そいつには他の地位や肩書は無かったのか」

「いや。彼は財務第一卿(First Lord of the Treasury)という地位を持っていた。まあ財務大臣(Chancellor of the Exchequer)も一応そうか。それらこそが当時の彼の立場を保証し、大きな権力を振るう事を許した政府の公的役職ではある。そして彼の地位──王の金庫番が弱い役職だったという事は、口が裂けても言えないな」

 

 カネが無ければ統治は出来ない。

 何時の時代、何処の国家でも通用する理屈である。

 

「しかし重要なのは、財務第一卿が〝首相〟の別名では無いという事だ。現在の非魔法界の法もその事を裏付けている。現行法は首相が必ず財務第一卿を兼職すると規定しているが、同じ職の別名に過ぎないのならばこのような規定が生まれる筈もないからな」

 

 それらが同一であるなら、首相という憲政外の地位を事後追認する必要は無い。

 財務第一卿の仕事としては区分しきれない仕事──閣議の主宰、王への優先的謁見や助言、広範な行政権の行使等の特権的地位を認めざるを得なかったからこそ、〝首相〟の地位は公式化され、創設された。

 

 裏を返せば、それまで〝首相〟の政治的行為に根拠などなかった。

 

「この島における〝首相〟は約百五十年以上、概念上の存在に過ぎなかった。対岸で人民の皇帝や共和制が生まれても、合衆国が大統領を生んでも、この国は例に倣わなかった。しかしその一方、第一の臣下という曖昧な存在は暗黙の内に存在し続け、今や我が物顔で行政府を牛耳っている。頂点が女王陛下であるのは今も不変だが、最早形式的なものに過ぎない」

 

 政府行為の合法性を担保するのは、現在においても大半が女王大権のままだ。

 だがどんなに熱心な王室崇拝者であろうと、現在の女王陛下が政治の実権を握っていると認める者は居ないだろう。

 

 理論上無限である大権は、既に臣下が政治を壟断する道具に堕している。

 

「……どうして、どうしてそんな事になっているんだ? 前から僕は不思議だったんだ。王様とは一番偉い存在なんじゃないのか? 何で首相とやらが権力を振るっているんだ? 他のやつらは、それを止めようとはしなかったのか?」

「止めようとしたとも」

 

 寧ろ、抵抗しない理が何処に在ろう。

 

「財務第一卿が優越するという法慣習(ルール)が存在しなかった以上、他の国務大臣(Secretary of State)は規定上では同格だった。だから彼等は財務第一卿の〝独裁〟を止めようしたし、また、他の国務大臣とて〝首相〟になろうとした。その結果、過去には首相と第一財務卿の職が別人によって兼ねられていたり、首相と呼べるような人間が同時期に二人存在したりする。後は国務大官(Great Officer of State)あたりも一応抵抗したかもな。時代の変化により権限が奪われつつあったとはいえ、大法官や枢密院議長あたりは一時代を築いた程の伝統有る地位では有った」

 

 地位は権威と権力を直接担保しない。

 ロバート・ウォルポールは特異点であり、当時の権力者が偶々財務第一卿という地位を握って国政を恣にしていたに過ぎない。

 そう解釈する者が圧倒的多数だったからこそ、権力への挑戦を受けた。

 

「何より忘れてはならないのは王権だ。君臨すれども統治せず。その題目は財務卿を含む臣下が都合良く創出したもので、臣下の〝独裁〟を真に受け容れる王なんぞ居なかった。現代ですら、本質的に未だ認めていないと言って良いかもしれない」

 

 立憲君主制の歴史は、王とそれ以外の闘争の歴史だ。

 ジョージ一世は英語を喋れなかったと言われるが、当時の貴族は知識階級の頂点である。多言語話者である事など左程珍しくもなく、王と臣下で意思疎通に問題が生ずる事は有り得ない。必然、臣下に政治の全てを任せる事も無い。

 そしてジョージ一世以降の王は当然ながら英語話者である。

 君臨するだけの御飾で居るのが伝統であるなんぞ、軽々しく成立する訳が無い。

 

「しかし戦って来たのは──自身の権益拡大の為に進み続けて来たのは財務第一卿の方も同じ。そして歴史の勝者となったのは財務第一卿だ。その椅子は他の国務大臣や国務大官に対する優越性を確立した。流石に王の権威までは上回る事は出来なかったが、権力の面については凌駕した。誰もが財務第一卿の〝独裁〟を認めざるを得なくなった。その結果が〝首相〟の誕生だ」

 

 臣下は二百年をかけて漸く、〝Prime〟の称号を王から奪い取った。

 臣下一人が国王大権を濫用する為には、曖昧な地位の方が都合が良かった。

 そもそも臣下が近代社会で権力を振るうには、王の権力など本質的に不要だった。

 

 何れと解釈するかは個々の立場によりそうが、何にせよ、〝首相〟の地位は創設される事となった。ロバート・ウォルポールを初代に擬制し、そして現代まで続いている。

 

「まあ、今のはざっくりとした大枠の説明だ。多少省いた部分も有るし、更に詳しく説明しようと思えば長くなる。だから最後に現状の事実だけを述べよう」

「…………」

「今では首相を頂点とする国務大臣の序列が確定し、国務大官の多くは廃絶され、枢密院は殆ど儀礼的存在と化し、そして女王陛下ですら権力に枷を嵌められた。非魔法界の国家の舵取りをする人間は、誰がどう見ても〝首相〟だ。その椅子こそが歴史の勝利者であり、支配の座であり、しかし今後もそうであるかどうかは解らない」

 

 支配の座は、決して永遠では無い。

 創設された首相の椅子は、ロバート・ウォルポールから数えてもたった二百五十年だ。更に二百五十年後には存在しなくなっていたとしても何ら不思議な事ではない。

 

「話を魔法界に戻そうか」

 

 ここは立憲君主制について語る場では無い。

 ドラコ・マルフォイは混乱した顔をしたままだったが、文句はないようだった。

 

「魔法界で支配の本質を顕著に体現している例は、言わずもがな闇の帝王だ。アルバス・ダンブルドアですらホグワーツ校長という玉座に座ったが、彼は公的な地位や身分を一切持たなかった。が、君達〝純血〟達は逆らおうとしていないだろう? 彼が彼である。唯一その理由のみで、闇の帝王は君達の上に君臨している」

 

 叛逆を禁ずる法など無い。

 けれども、そうする者は殆ど居ない。

 

 闇の側に立たんとする者は当然のように頭を垂れ、光の側に親和性を持つ者ですら彼に敵意を示す事は稀だった。特に魔法戦争後期において闇の帝王に表立って抵抗したのは、魔法省の一部と不死鳥の騎士団──ほんの一握りの変わり者達だけだった。

 

「……嗚呼、確かに彼はサラザール・スリザリンの子孫だと言われては居る」

 

 ドラコ・マルフォイの眼から反論を読み取り、そう付け加える。

 

「しかし、その子孫を称する人間は闇の帝王が唯一無二だったか? そしてスリザリンの子孫全てが例外無く魔法界の王として相応しいと、そう〝純血〟から広く認められて来たか?」

「────」

「違うだろう?」

 

 事実、〝ゴーント〟は滅んだ。

 血筋だけ見ればアレ以上に純粋な家系は無かったというのに、他の家が手を差し伸べようとする事もなく、男系の血が牢獄の中で絶たれる事は看過された。

 

「闇の帝王が正当な支配者の血を引く事は、彼の権力と権威を語る上で欠かせないのも事実である。しかし、闇の帝王が君達の上に立っている決定的な理由は別だ。……まあ、〝戦争〟が有ったのだろう。実際に血が流れたか否かに拘らず、僕達の知らない所で、互いの上下関係を決しようとする衝突が幾度と無く起きた筈だ」

 

 闇の帝王に従いたがらない〝純血〟は間違いなく居た筈である。

 彼の主張に賛同出来る部分が存在しようとも、彼が半純血──劣った者(〝マグル〟)の血が流れる人間だとすれば、拒否反応の存在は絶対だ。

 

「しかし闇の帝王は、その殆どに勝ち続けて来た。だからこそ彼は歴史上初めて名誉称号以外を持たないまま〝純血〟を一つに纏め上げられたのであり、その身でもって支配や権力とは何かを体現した。だがそんな不世出の傑物ですら、一度負ければそっぽを向かれてしまった。この辺りは地位や肩書を全く持たなかった事が悪い方向に働いたな」

 

 勿論、敗北は世間の勘違いだったのだが。

 父親にも関する事だからか。居心地悪そうに身を縮めた青年に笑う。

 

「けれども、彼の考えは明らかだ。過去も、現在も」

 

 魔法界から弾き出された半純血は、ただ一点を見つめている。

 

「己が勝てば変わる。他が何を言ってこようが、勝者こそが正義であると。その思想の下に彼は魔法戦争を引き起こし、そして今も尚、戦い続けている。もしくは、歴史上類を見ない程強力な闇の魔法使いですら、闘争を余儀なくさせられていると言うべきか」

「────」

「それなのに、だ。なあ、ドラコ・マルフォイ。君は尋問官親衛隊という肩書だけで、それもドローレス・アンブリッジ如きから任命された地位を見せびらかすだけで、或いは〝マルフォイ〟というだけで他の人間達が従ってくれるとでも思っていたのか? まさか君は、自分が闇の帝王よりも遥かに上等な存在であると考えていたのか?」

 

 だとすれば、酷い自惚れも有ったものだ。

 

「すんなり行く筈が無いのだ、支配の座が如何なるモノか理解していたのならば」

 

 この世に絶対など無い。

 全ては相対であり、疑問を抱かれれば抵抗と挑戦を受ける。

 

「新校長も。高等尋問官や尋問官親衛隊も。呑気に座ったまま地位を承認されるなど決して有り得ない。自身の権力と権威を万人に認めさせたいならば戦わねばならないのだ。特にそれが既存権力と相容れないならば、大量の血を流す事すらも覚悟した上でな」

 

 ただ──覚悟不足。

 今のスリザリンはそれに尽きる。

 今回のドラコ・マルフォイも、ドローレス・アンブリッジも例外でなく。

 

 もっとも、ホグワーツでは政治・社会学等の教養を詳細に教えない以上、こうなっているのは必然なのだろうが。

 しかし、呆れない訳では無い。確かにそれらの科目はホグワーツの設立理念の射程外だが、歴史の何処かで教え始めるべきだったろうに。アルバス・ダンブルドアも含め、歴代のホグワーツ校長は余程教育改革という物に興味が無かったらしい。

 

「何にせよ、ホグワーツ生の抵抗は自然であり、当然の権利だ」

 

 立場上支持出来ないにしても、僕の心情は明確に彼等へ賛同する側に立つ。

 

「僕のように一々理屈を持ち出さずとも、ホグワーツ生の大部分は既に直感的に気付いている。新校長や尋問官親衛隊の権威や権力は絶対でなく、自分達が挑戦するのは可能であり、そして戦ってしまえば当然のように勝ち得るだろうと自惚れている。

 

 ──何せ君達は、闇の帝王でもアルバス・ダンブルドアでもないからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 ふと気になって時計を見れば、既に十二時を回っている。

 

 単純に話が長くなったのか。それともドラコ・マルフォイが僕と会話している場面を他人に見られたくないと思っていたのか。どちらも正しいのだろう。

 

「更に苦言を呈したい部分は在る。が、きりがないから止めだ。既に時間も遅いしな。だから今ここで聞いておかねばならない事だけ聞いておく」

 

 ──つまり、君は今後どうしたいのだ?

 

 その問いに、直ぐには返答が戻って来なかった。

 

 自分に質問を投げ掛けられたと彼が気付くには数秒を要し、気付いてからは驚愕の表情を浮かべていた。このまま話を聞いているだけで終わると思っていたのか明らかで、非常に残念な反応でもある。折を見てルシウス・マルフォイ氏にも相談すべきかもしれない。

 

「……ぼ、僕の意見を聞いているのか」

「意見ではない。意思であり、決定だ」

 

 それらは見逃せない程に大きく異なる。

 

「君は僕の主だからな。決めるのは君で、そしてそれをする為の最低限……とすら言えないが、まあ今回の判断を下せる程度の知識は与えたつもりだ。今の長話にしても、何の意図も無しに行う程に暇ではない」

 

 可能な範囲では最大限ドラコ・マルフォイを尊重する。

 その基本方針は変わらない。

 

「先の話の意図は、まず君に学んで欲しかったからだ。法律や肩書等は絶対では無い──という事に加え、臣下が王の権限を奪い、侵し、超える事は可能だという事をな。今この場で王が指す対象とは当然闇の帝王だ。そして勿論そうしろと言っている訳では無い。そのような疑念を抱かれれば殺されるから気を付けろ。そういう警告だ」

 

 そのつもりがなかろうと、上に危険視されてしまえば末路は決まる。

 ロバート・ウォルポールや小ピットのように、注意深く振る舞わねばならない。

 

「更にもう一つの意図は、現時点で尋問官親衛隊が大した事はなくとも、将来的に強力な組織へと変貌させる事は可能だと示唆する事だ。君は当然知り得ないが、小さな党内親衛隊(シュッツシュタッフェル)も突撃隊や警察、軍隊を喰い散らかして巨大化した。尋問官親衛隊が同様の事を為し得ない理屈も無いし、魔法界に限ってすら死喰い人という前例が在る。ただこれまでの話で解っただろうが、何の努力や苦労も無しにとは行かない」

 

 闘争と勝利無しの権力確立など有り得ない。

 

「繰り返すが、尋問官親衛隊は監督生やホグワーツ教授といった既存権力への挑戦だ。まして君達がその力を用いて本日……昨日何をやっていたかを思えば大反発は必至。敵はホグワーツ教授の殆どと、スリザリン以外の三寮の生徒全て。そして、校外も少なからずか」

 

 旧い〝ホグワーツ〟に郷愁を抱く者は必ずや抵抗する。

 卒業生達が校内に行使出来る影響力は限定的とは言っても、無視出来るものではない。

 

「確かにアルバス・ダンブルドアは去ったし、校長の椅子もこちらに在る。条件さえ揃えれば魔法大臣ですらも利用できるだろう。しかし抵抗勢力全てを叩きのめし、こちらの言う事を聞かせる存在へと貶めるのは骨だ。帝王在学時代の死喰い人予備軍ですらスリザリン以外への影響力は限定的だったようだしな。それでも尚、尋問官親衛隊として校内に君臨したいと君が言うのなら、当然二ヶ月後のO.W.L.試験も無いものだと思って欲しい訳だが──」

 

 何時の間にか殆ど俯いてしまったドラコ・マルフォイの灰眼を覗き込む。

 

「──まあ、そこまでの覚悟は無さそうか。……気の迷いめいた反発も無しだ」

 

 彼は口を開こうとしたが、人差し指で机を叩けば即座に口を閉じた。

 そして他人に止められて辞める程度の覚悟しかないなら、最初から試みるべきではない。

 

「ならば、今後の君の方針は決まりだ。尋問官親衛隊には可能な限り関わるな」

 

 O.W.L.試験が最優先。

 その当初の路線を維持するなら、やはりドラコ・マルフォイは遊んでいる暇は無い。

 

「今の所犠牲者はグラハム・モンタギューだけのようだが、グリフィンドールの甘さも長くは続くまい。同じ目に遭いたくないならば余計な刺激をするな。後から贖いをさせる事は可能だとしても、君が行方不明になる事で喪った時間は戻って来ないのだから」

「……一度吐いた言葉は撤回すべきじゃない。そう言ったのは君じゃないのか」

「だから、生贄として僕が居るんだろう?」

「────」

 

 相変わらず。

 ドラコ・マルフォイは〝純血〟らしくない事を言う。

 何でも自分でやる〝生き残った男の子〟は悪い手本だとそろそろ学んで欲しい所だ。

 

「非常に好都合な事に、僕は尋問官親衛隊ではない。ドローレス・アンブリッジは僕に直接の命令権を持たず、君が僕へと仕事を下請けさせても何の問題もない。まあ部外者を関わらせるなと言うのは可能だが、そんな煩い事を言う気は彼女に無いようだしな」

 

 今日のドローレス・アンブリッジの様子を見る限りは有り得まい。

 

「結果、君は尋問親衛隊に纏わる面倒の一切を僕に任せ、公然と義務から逃れる事が出来る。沈むと解っている泥船に乗るのはやはり一人だけで良い」

「……ま、まさか」

「何だ?」

「そ、その為に君は親衛隊にならなかったのか?」

「……嗚呼、僕が気分で断ったとでも?」

 

 バツの悪そうに視線を逸らすドラコ・マルフォイに、笑みが漏れる。

 

「くくく、半分はそうだ。けれども〝純血〟である君と違い、僕は何の権力も持たない、か弱いか弱い半純血なのだ。他人に命令権を委ねる危険なんぞ可能な限り負いたくもない。まして相手がドローレス・アンブリッジ、品が良いとは決して呼べない人間ならば猶更だ」

「…………」

「勿論、今の事態になっているのは君の御蔭でもある。君が僕を強制的に親衛隊に入れていれば、こんな見え見えの言い訳すら為し得なかったからな」

 

 ドラコ・マルフォイは非常に良い主人だ。

 ドローレス・アンブリッジで無くとも、ビンセント・クラッブやグレゴリー・ゴイルが主だった場合でもこうは行かなかっただろう。

 

「既にドローレス・アンブリッジから聞いたかもしれないが、彼女は今日僕に対して〝御願い〟しに来た。ウィーズリー達がバラ撒いた花火の処理、更には今後予期される叛乱の鎮圧を手伝って欲しいとな。勿論その場では断ったが、受ける事になるだろうとも伝えて居る。断ったのは君の命令が存在しないからに過ぎず、しかしそれが下るのは解り切っているからだ」

「……君が断った際、アンブリッジは何か言わなかったのか」

「言って来たとも。自分は防衛術教授だとか、それも今では新校長だとか、他にもゴニョニョと呟いていた。だが彼女の眼には、スリザリンがアルバス・ダンブルドア校長に従っているように見えたのかね? だとすれば節穴も良い所だな」

 

 確かにホグワーツ校長は権威と権力を認めるべき存在であり、一定の敬意も払いはするが、無条件の支配や服従を認める対象では断じてない。何より僕が敬意を払うか否かを決めるのは相手が如何なる人間であるかであって、相手がどんな椅子に座っているかでは無い。

 

「兎も角、君の指揮下で僕が関わるのは決定事項だ。元々親衛隊の仕事に協力するとは言っていたしな。但し今日と違うのは、全て僕に任せていると言って逃げろという事だ。そして臣下の成果は主人の成果である。君は何の批難を受ける事ではないし、恥じる必要も無い」

 

 適材適所。

 ウィーズリー達と遊んでやるのは、ドラコ・マルフォイの仕事ではない。

 

「他の親衛隊員が何かしら言って来るかもしれんが、それも暫くの辛抱だろう。グラハム・モンタギューのような不幸が自分の身にも降りかかれば、彼等は直ぐに尋問官親衛隊への幻想を喪う。ドローレス・アンブリッジの側としても、君達がO.W.L.をパス出来なかったとなれば逆に困る。アレは直ぐに名前のみの組織に堕するとも」

「……じゃあ、君が親衛隊になっていたとしても同じだったんじゃないのか」

「君が一抜けする意味──他の親衛隊員よりほんの数時間程、下手すれば数日以上余分に勉強出来る事に価値はないというならば、確かに全く同じだな」

「…………」

 

 五年や七年の生徒は、この時期一分一秒が惜しい人間の方が多いだろう。

 

 パンジー・パーキンソンやミリセント・ブルストロードとて、女性は男より成績が軽視される傾向が有るものの、決してO.W.L.を蔑ろにして良い身分ではない。

 それよりもビンセント・クラッブとグレゴリー・ゴイルは良いのだろうか。彼等の成績の向上はドローレス・アンブリッジが匙を投げ、それを他のスリザリンが納得と共に受け容れる程だ。魔法族として最低限の成績──五ふくろうすらも取れない気がしてならないのだが。

 

 まあ彼等が実家の反対を無視してまで仕事に身を捧げ、親衛隊の地位をホグワーツで盤石な物と変えられるならば、それはそれで意味を見出し得るだろう。万一それを叶えられたのならば、O.W.L.試験で全科目優を取るより遥かに評価されると言っても良い。

 

 もっとも、ドラコ・マルフォイと同様、彼等がそのような努力を早々に放棄するのは明らかのように思える。彼等もまた、五年間同じ寮で過ごして来た同期であるからだ。

 

「き、君は大丈夫なのか」

「何が?」

 

 不意のドラコ・マルフォイの言葉に、思索から引き戻される。

 

「…………O.W.L.試験なのは君も一緒だろう」

「──嗚呼。何かと思えば、その事か」

 

 らしくもない心配の言葉に何か見落としが有ったかと思えば、何という事は無い。非常に平凡で、既に思考を巡らせた後の問題についての言及だった。

 

「まあ、君と違って五年間真面目に勉強はしてきたからな。点数が下がる事は避けられんだろうが、たかが一ヶ月半を台無しにされた所で酷い事にはならんよ」

 

 成績が悪くても済む口実を用意してくれて寧ろ助かると思える位だ……とはいうものの、僕が休み時間以外にまで校内を駆けずり回る羽目にもならないだろう。

 

 臣下が王を凌駕する。

 有力な後ろ盾を持たないまま出世競争に勝ち残った人間は、その危険を経験則的に理解している筈だ。彼女は僕、というよりもドラコ・マルフォイを頼り過ぎてはならない。或る事項において協力出来るのだとしても、両者は本質的に、利害が一致しない他人なのだから。

 

「君が心配する事などなにも無い。マルフォイ夫妻の希望(オーダー)は今も変わらず、君が滞りなくO.W.L.試験を終わらせる事だ。万が一僕が酷い成績をとったとしてもそれは僕が責を負うべき事であり、君は自分の事だけを心配しておけば良い」

 

 闇の帝王が何かを企んでいるとしても、僕への依頼は何も変更されていない。

 〝生き残った男の子〟とは違い、ドラコ・マルフォイは普通のホグワーツ生である事を広く望まれている。

 

「他に質問は有るか? 無いならベッドに向かっても構わないぞ」

 

 話は済んだと、手を頭の上に組み、大きく伸びをしながら伝える。

 

「今日は珍しく寮監がやって来ていないが、何時見回りに来るかは解らない。君に対しては甘いとは言え、余り小言を言われても面白くないだろう?」

 

 再度湧いて来た欠伸をもう一度噛み殺す。

 夜はまだ長いというのに、既に眠気に抗えなくなってきている。屋敷しもべ妖精に新たな珈琲でも頼むべきかもしれない。試した事は無いが、適当に呼べば多分来るだろう。

 

「……その口振りだと、君の方はまだ寝ないのか?」

「ん? 嗚呼、そうだな。今日は限界まで粘るつもりだ」

 

 何の気無しに答えたが、ドラコ・マルフォイには引っ掛かる所が有ったらしい。

 彼の視線の先には僕の手許の呪文学の本。もしくは、ミネルバ・マクゴナガル教授の許可を得て禁書棚から分捕って来た本の山か。

 

「…………O.W.L.の勉強をしているようには見えないが」

「ははは。何時ぞやの寮監の真似か?」

「何時も何時も茶化すんじゃない……! 僕じゃなかったら杖を抜いているぞ!」

「解っているとも。君の寛大さには何時も感謝している。勿論皮肉抜きでな」

 

 予想外に愉快な気分にさせられたのは紛れも無い事実だったが、あくまで冗談ではあると、大きな苛立ちを見せた彼に弁解する。

 

「今僕がやっているのはな、ウィーズリー共がバラ撒いた花火の対処法探しだ」

 

 瞬間、どういう訳かドラコ・マルフォイは意表を突かれたような顔をした。

 その反応を多少意外に思ったものの、心を読むまでの内容では無いし、そもそも読めるか微妙な性質の内容でもある。だから構わず説明を続けた。

 

「ドローレス・アンブリッジは今日アレに対処出来ず、わざわざ彼女の方から〝御願い〟をしに来てくれたのだ。それを僕が対処出来たならば恩を着せられるだろう? そのような真似が実際に可能かどうかは不明であり、もしかしたら既に彼女が対処法を見付けている可能性は有るが、それでも放課後一日と丸一晩を捧げる程度の価値は有る」

「……方法は見つかったのか?」

「君に隠しても無意味だから言うが、全く無いな」

 

 ボソリと紡がれた質問へ素直に回答する。

 

「燃焼作用の原理上、燃料か酸素か温度を奪えば火は消える。どれか一つのみを全て奪わなければならないという道理は勿論無く、その三つを全て減らすのが当然望ましい。しかしそれらに干渉される可能性はウィーズリー達も想定済みの筈であり、そもそもその程度で解決出来るなら、アレらは簡単な消失呪文で消してしまえただろう」

 

 純粋な杖の腕前では、ドローレス・アンブリッジは僕より遥かに格上である。その彼女が消せなかったのだからそう簡単な事ではない。

 

 教授陣に聞くという手段も今回ばかりは取る事が出来ない。

 生徒の頼みだとしても、ミネルバ・マクゴナガル教授はドローレス・アンブリッジに助力するような真似を望むまい。他の教授も似たり寄ったりだ。そして唯一味方に成り得るかもしれないスリザリン寮監は、僕が苦労している姿を眺める方が御好きだろう。

 

 そして未だに手がかりすら見付かっていない。

 現在一番見込みが有りそうなのが、何とかして非魔法界の消火剤を取り寄せ、花火の真ん中に叩き込んでやる事だと言うのが救えない。魔法使いである僕も大した事は無いものだ。

 

「また当然ながら、花火を止めるだけでは不十分だ。ウィーズリー共が校内に放ったのは単なる花火では無く、花火のドラゴンやロケット花火、ネズミ花火等だからな。火を消すだけでなく、どうにかして運動量ごと殺す必要が有り、そしてそれで終わりではない。ウィーズリー達は色々玩具を発明していると聞いているし、こちらが対処したのなら新手を出してくるだろう」

「…………」

 

 今回の騒動は所詮始まりでしかない。

 

 しかし、ミネルバ・マクゴナガル教授達は着地点をどう考えているのだろうか。

 

 慣例からすれば確かにドローレス・アンブリッジは今年で消えるが、それがアルバス・ダンブルドアの帰還と一致するとは限らない。

 コーネリウス・ファッジの任期は未だ後二年弱残っている。あの大臣の支持率は急激に低下しているが、強制解任する所まで行けるかは微妙だ。つまりドローレス・アンブリッジが居なくなったとしても、来年度は代わりの高等尋問官がホグワーツに送られてくるだけの事に過ぎない。それともまさか、以降ずっと無秩序状態を続ける気なのだろうか?

 

「まあ、気楽にやるさ」

 

 相変わらず、僕が未来予測をすると悲観的にしかならない。

 そんな想いを押し殺すように溜息を吐き、再度無言となったドラコ・マルフォイに続ける。

 

「僕がその方法を見付けられず、彼女が既に消し方を見付けているとしても、それはそれで悪くない。対処の為の人員、つまり僕や他の親衛隊の手を必要とするであろう事は変わりないからな。恩を着せられないのは少々惜しいが──」

 

 と、話の途中でドラコ・マルフォイは突然立ち上がった。

 態とらしく椅子の音を立てようとしたような、大袈裟な動作だった。

 

「──寝る」

「そうか。おやすみ」

 

 したかった話は既に終わっている。

 彼を止める気も必要も無いので、僕はそれだけを答える。

 けれども彼は反応を返す事もなく、静かに寮室へと引っ込んで行った。

 

 何処と無く肩が落ち、気が沈んでいるようにも見えたが、不可解な理由で彼が機嫌を害するのはやはり何時もの事でもある。翌日──十二時を回っているからもう今日か──の朝まで引き摺っていない限りは、別段気に留める事でも無いだろう。

 

 その後、結局懸念に反し、我等が寮監殿が談話室に見回りに来る事は無かった。

 

 態度と言葉とは裏腹に面倒見が良いスネイプ教授の事だから、もしかしたら消えたグラハム・モンタギューを夜通し捜索でもしていたのかもしれない。

 

 何れにせよ、ドローレス・アンブリッジから主導権を握るという理由の為だけにあの便利な部屋を試す〝必要〟は生じなかった。一晩中談話室を抜け出す事も無く、黴臭い本の山の前に座っているだけで眠れぬ僕の夜は更けて行った。




・尋問官親衛隊となって以降のモンタギュー
 ダンブルドア軍団が露見した翌日の朝、尋問官親衛隊の権限を用いてフレッドとジョージを減点しようとした際、キャビネットに突っ込まれた後に行方不明となった。更に翌日の夕方から夜にかけてようやく、五階のトイレで詰まっている所を発見されている(五巻第二十八章)。

 その後もモンタギューの混乱と錯乱は長らく続いたようで、フレッドとジョージの『卒業』後=イースター休暇後になっても回復しておらず(同・第三十章)、六月のO.W.L.試験後においてもマダム・ポンフリーから処方を受けている光景をハリーが目撃している(同第三十二章)。

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