🌓🎾

5/13 後日談追加済み

※幻覚・キャラ崩壊・なんか色々注意

※持ち出し禁止

※22年ﾀﾞﾋﾞ2着🌓×1着🎾

※受付の金色さん視点

「……また面白い組み合わせだな」

暇を持て余してルームキーで手遊びを始めて数十分。

寂れたホテルのドアをくぐってやってきたのは何かと話題が多いフタリだった。

片や世界一と称された男、もう片方は飯ネタが有名なダービーバ。

まさかそういう関係だったとはなぁ。

だがこのホテルを選んだのは正解だ。

このシマにはパパラッチなんぞ来れねえだろうからな。

「ここ？」

「そうだよ」

「へー、なんか看板派手だったね」

「ホテルだからね」

「ホテル？　ふーん、美味しいご飯あるかなぁ」

……その会話に俺はふと手を止める。何だか話がおかしいように思えたからだ。

世界一の男、イクイノックスはこう言った。

「すみません、宿泊でお願いしたいのですが」

「え？　お泊まりするの？　ホテル飯は？」

「ご飯はどうだろう。ルームサービスあるかな？　無かったら明日おどう君が行きたがっていたご飯屋さん行こうか」

「やったー！」

連れのドウデュースの反応に更に嫌な予感がする。

流石に受付をやってそれなりの経験はある。ここに来る奴らは多少なりともそういう雰囲気を醸し出しているものだ。

だが、明らかにこのフタリは……というかドウデュースにはムードが全く無かった。

まさか、と俺は思わず口を出す。

「なあ、騙して連れて来てねえか？」

「何のことですか？」

「……オイ、お前なんて言われたんだよ」

「え？」

ドウデュースを指差すと、彼はきょとんとした顔の後に笑顔で言った。

「イクイにいっぱい遊べて楽しく仲を深める場所に行こうって言われた！」

「アウトだバカヤロー！　ここはラブホだ！」

「らぶほ？？」

チッとイクイノックスが舌打ちをした。

コイツ……確かにチョロいドウデュースもどうかと思うがやっていい事と悪い事があるだろ。親父が泣くぞ。

ドウデュースは流石に理解したのか顔を真っ赤にして見るからに慌てふためいている。

「……ら、ラブホ……」

「おどう君、嫌？　入りたくない？　帰る？」

「あぅ……」

照れながらふにゃふにゃ笑うその反応におっ、と思った。どうやら一方通行かと思ったが一応通じてはいるらしい。

暫く沈黙が続き、ボソリとドウデュースは言った。

「…………入る」

「じゃあ一泊お願いします」

「良いのか？おフタリさん」

「大丈夫ですよ。ね？」

うんうんとドウデュースは大袈裟に頷く。

……同意があるならまあいいか。何かしらのトラブルにはならないだろう。

ふぅ、と俺はため息をついた。

「……優しくしてやれよ」

「もちろん。あ、部屋はプライベートプール付きのやつで。空いてますよね？」

「空いてる」

料金を支払い、ルームキーを受け取ったイクイノックスはドウデュースの手を引いてエレベーターに向かっていった。

……まあ、あの表情見るに手加減はしないんだろうな。

「……あの部屋、清掃員からめんどくさいって毎回言われるんだよなぁ」

今でも相当高額の部屋だが、もうちょっと値上げしようかと思う夜だった。

――――――

「楽しめたようだな」

「ふふ、もちろんです。また来ますね」

受付のステイゴールドさんにそう返しながら、僕はおどう君と共にホテルを出た。

清々しい朝だ。ふと横にいる彼を見ると、ふにゃふにゃの寝惚け顔で少し身体をゆらゆらと揺らしていた。

大通りに出た所で、おどう君が僕の服の裾を引っ張る。

「おなかすいたぁ……」

「うん、朝ごはんにしよっか。何が食べたい？　まだ朝だから行きたかったお店は後で行くとして……」

「んー」

首を傾げるおどう君は同い年だというのに幼く見える。

少し考えてから彼は眉をへにゃりと落とし、遠慮がちに言った。

「あのね、イクイの作ったご飯食べたいなー……だめ？」

「僕の？」

予想外の変化球だった。

……実を言うと今、僕は身体の節々が痛くて仕方がない。

格好をつけてすました顔に努めていたが出来ればあまり動きたくは無いのだ。

というか何で僕より辛いであろうおどう君はケロッとしてるんだろうね。

まあ騙してラブホに連れ込んで初めてを盛大に頂いた手前、なるべくおどう君のお願いは聞いてあげたいし甘やかしたい気持ちもある。

「……頑張るね」

「やったぁ！　イクイだいすき〜」

「！」

だいすき、その言葉で何でも出来る気になるくらい僕もチョロかったりするんだ。

とりあえず冷蔵庫に何が残っていたかを考えるところから始めよう。