「次を決めずに辞めてもいい」実は英断な“あえて無職”=「キャリアブレイク」の活用を経験者に聞く
転職をする際に次なる職場を決めてから今の仕事を辞めるか、逆にあえて転職先を決めずにまず退職するかは、悩ましい問題である。 【図表】実は7割も!「離職期間」を経て転職する人【厚生労働省】 一般的には在職中に転職活動をして、次が決まってから今の職場を辞めるのが転職のプロセスとしては王道といえる。経済的なリスクもないし、履歴書の空白期間を作らずに済むので、社会人のキャリア形成としてはその方が良いとの考えは多いかもしれない。 しかし実際には次を決めずに、あえて「離職期間」を持つ人も多い。 厚生労働省の調査によると、転職した人の中で「離職期間なし」(次を決めてから退職した人)は全体の26.1%で、転職者全体の73.9%の人は、大なり小なりキャリアに離職期間をつくっている(厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」)。 離職期間を持つ理由は人によってさまざまだと思うが、最近自身の新たなキャリア形成のために意図的に仕事をしない「キャリアブレイク」を持つ人も増えている。
◆欧米では学生も社会人も「積極的空白期間」を大切にしている
日本人は世界的に見ると「休み下手」なのかもしれない。 実は欧米では学生、社会人問わず「空白期間」を持つことに寛容だ。高校を卒業してから大学に入学するまでの期間を「ギャップイヤー」、長期勤続者が取れる長期休暇のことを「サバティカル休暇」と呼び、社会的にも認知されている。 日本では若者が大学に入らずに翌年の入試に向けて受験勉強をしていれば「浪人生」、就職しなければ「ニート」などの用語があるが、呼ばれる側は決してポジティブには受け取れない言葉かもしれない。 それに対して「ギャップイヤー」や「サバティカル休暇」は若者や社会人に対して与えられている権利のような感覚で、それを当事者は意図的に活用しようとする空気がある。 実際に大学に入る前のギャップイヤーの期間を使って旅をするなど、在学中にはできない体験をする学生がいたり、サバティカル休暇を活用して在職中では難しい留学に行ったり、子どもがいる人は育休の代わりにしたりする。 このように海外では「長期休暇を積極的に取得し活用すること」が一般的であり、転職時もあえて次なる職場を決めずに離職する「キャリアブレイク」をとる人もいる。 また実は日本でも、教員に数年に一度サバティカル休暇を与える大学は多い。筆者が毎年教員研修に行く都内の私立大学でも「◯◯先生は今年サバティカル休暇で、家族でロンドンに留学されています」と言われ、羨ましいと感じたことがある。