「栗橋関所」 の歴史的資料を収録した書籍を刊行 埼玉県
埼玉県は、江戸時代に現在の久喜市にあった「栗橋関所」に関する歴史的資料を収録した「栗橋関所史料七」を刊行した。2002年に始まったシリーズが完結した。関所番を務めた武家に伝わる資料が、歴史の一端を生々しく伝える。
同書に収録したのは、1800(寛政12)年から関所番を代々務めた足立家に伝わる資料。7代目の十右衛門が様々な情報をつづった1840年代後半の「雑事聞書(ざつじききがき)」16冊のほか、明治になって関所が廃止された後、千葉県北西部付近に一時置かれた葛飾県で働いた10代目・柔兵衛の1969(明治2)年の「雑書(ざっしょ)」1冊など計20点。
県立文書館によると、収録した資料の中で、十右衛門は、幕府の老中として天保の改革に取り組み失脚した水野忠邦について、多くの人々が非難していると指摘する一方で、自身は水野を「御才発之御方」と評価し、改革についても好意的な見方を示している。水野家が浜松から山形に転封となる際に栗橋関所を通過した記録も収録した。
同書の解説によると、十右衛門は、琉球(沖縄県)や浦賀(神奈川県横須賀市)への外国船の来航、水害を始めとした自然災害にもしばしば言及している。
柔兵衛の記録は、葛飾県での…