資産数億円の兼業投資家 個人大株主の保有株をヒントに
実力者に学ぶ 有望株発掘の実践テク(5)
「有望株が見つかるだけでなく、投資スキルも向上する」
御発注さんがこう指摘する有望株の発掘テクニックがある。複数の上場企業の大株主になっている個人投資家の保有銘柄を調べることだ。
投資スキルも向上するのは、個人大株主がその銘柄で描いている投資ストーリーを想像して、それに納得したら買うという作業を行っているから。例えばコロナ禍以降の業績回復や経営者の交代、MBO(経営陣が参加する買収)などのストーリーを描いて買っていると推測して、個人大株主の保有銘柄を購入したという。
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銘柄の分析ツールで調べる
大株主の保有銘柄を調べる際に利用しているのが、日米の上場企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)や財務を分析できる個人投資家向けのツール「バフェット・コード」だ。
銘柄のスクリーニングやM&A(合併・買収)案件の検索、企業比較など、多様な機能を備える。「株主検索」もその一つ。株主名を入力して検索すると、保有銘柄のリストが表示される。
御発注さんは数人の個人大株主に注目し、日頃から保有銘柄をチェックしている。気になる銘柄があれば、事業内容や業績、関連ニュースなどを調べて、投資ストーリーを組み立てる。
この方法で個人大株主として知られるY氏が保有するビーアンドピーに着目した。同社は、業務用の大判インクジェットプリンターでポスターや屋外広告などの販促ツールを制作するサービスを展開している。
コロナ禍が収束に向かって人流が回復すれば、同社の事業には追い風になるという投資ストーリーを推測。これに納得して2023年6月に同社株を購入した。
同社の23年10月期の売上高は前期比8.9%増の31億円。純利益は同25%増の3億円。24年10月期も増収増益の見込みだ。23年6月に1300円前後だった同社の株価は、24年4月2日には1926円まで上昇。御発注さんの期待通りの推移を示している。
(太田憲一郎)
[日経マネー2024年6月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
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