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子どもの成長発達⑨〜思春期の知的・情緒的・社会性発達〜

子どもの成長発達シリーズ第9段!思春期の知的・情緒的・社会性の発達を掘り下げます✏️
子どもの成長発達シリーズはこれで最後の予定です🌱

知的発達

基本的な情報処理を行う知的機能はほとんど完成し、論理的思考が可能になり、より抽象的な精神世界への欲求とともに批判的な傾向が強化されると言われています。これらの傾向により、より憧れや自己や他者・社会といったより広い世界への理想像を持つようになると言います。

認知:ピアジュによると「形式的操作の段階」に入り、具体的な状況に囚われず、頭の中だけで推論ができるようになります。目に見えない現象についても抽象的、論理的に思考できるようになります。

情報処理:脳の成長とともに、記憶力が高まり、物事を相対的に考えれるようになります。また、計画したことを実行するための手段も増えているため、より複雑な課題に取り組めるようになります。さらに、自分自身の思考過程についての認識も可能となります。そのため、自分の考え方や情報処理の過程について見つめ、客観的に批判したり、反省したりすることができるようになります。

思考:論理的記憶、抽象概念の理解、推理力・問題解決能力などのめざましい発達をします。理論的な思考の高まりによって、物事に筋道の通った合理性を求めるようになる一方で、この時期は自己中心的な思考と言われています。

知的興味:自分の属している社会に対する関心が高まるため、学校や地域の人々との関わりやマスメディアを通して、様々な価値観や考えがあることを知り、理想と比較しながら批判的・現実的に捉えることができるようになると言います。

情緒的発達

活動範囲も拡大し、インターネットの普及もあり、これまで以上に刺激に触れる機会が増加します。交友関係も遊び中心から気が合うなど、より内面的なものに変わっていきます。思考の発達も加わり、自己を客観的に見つめることができるようになります。一方で、自分自身の内面に目が向くようになるため、思春期の情緒は他の時期よりも強く激しく反応する時期となります。

複雑化:様々な刺激によって後悔・罪悪感・寂寥感(せきりょう感/ものさみしい)・孤独感などの複雑な情緒を持ちます。また他者に対しては、不満・不平・満足・愛情・嫉妬・優越感なども持ちます。

反応の引き起こし:複雑な情緒反応を持ちますが、情緒反応を引き起こす刺激に対して適切に反応するまで成熟していない時期です。そのため、客観的に見るとそれほど特別ではない刺激に対して、過敏に反応したりしてしまいます。逆に、重大な事柄も適切に反応できずに無視したり、過小に捉えてしまうことがあります。

表出:自己統制をする意志力や感情コントロールが未発達なため、喜怒哀楽が激しいと言います。ちょっとしたことで爆笑したり、大泣きしたりと、他人からは大袈裟に見えるような感情を表し、一日の中でも情緒が大きく変化します。

社会性の発達

精神的な自我に目覚めるため、自分を認めてもらいたいという強い承認欲求を持ちます。しかし、自分が求めているほど認められなかったり、思うように認められず圧迫がかかると、その圧迫を跳ね返そうとする傾向が強くなります。また、圧迫や干渉から逃れるために自分の殻に閉じ籠ったり、白昼夢や空想に耽ったり、一人になることで自身を守ろうとすることがあります。自己を客観視し、自分自身と向き合うことが必要な時期と言えます。

親との関係:親に対して反抗的な態度を取ったりと、第二反抗期に入ります。
これまで絶対的な存在であった親に対して批判的になったり、反抗や反発がみられます。親の理解不足や権威の押し付けがあると、それを鑑賞やプライバシーの侵害と感じ、関係は悪化してしまいます。一方で、依存心や甘えもあり、アンビバレントな感情を持ちます。このような子どもの態度は、親に苛立ちを感じさせ、親の子離れを促します。子どもはこれまで依存していた親から精神的に離れることによって、孤独感を感じるようになります。

友人関係:親密な友人関係を持つことは自分自身と向き合い、価値観や自己像をつくりあげるための重要な助けとなります。親密な友人関係を持てない場合は、反社会的な行動を取ったり、無為に時間を過ごしてしまうこともあると言われており、この時期の友人とのあり方は人格形成として重要な位置を占めます。

心理的離乳:人間関係は次第に友人や異性との関係が重要となり、親への依存的な関係が解消され、対等な関係に変化していきます。

異性との関係:異性への関心や興味が高まり、具体的な行動へと変化します。学童期は同性の集団でいることが多くなりますが、異性を交えたグループや異性との親密な関係を求めるようになります。

深堀り☺︎

親への愛着は親密な友人関係や異性関係が形成されることで弱まりますが、これを断ち切ることなく、自律性を獲得すること発達課題となります。
親を拒絶したり、親と敵対関係になるのではなく、親を親として認め、親の愛情を感じつつ、成長していくことが様々な面で不安定になりやすいにある思春期の子どもにとって重要となります。
思春期の逸脱行動や心身症の背景には、(その全てではないですが)乳幼児期からの親との十分な信頼関係が結ばれていないこと等があると指摘されています。いわゆる摂食障害などは親子や家族関係が背景にあることが多かったりもします。

思春期の知的・情緒的・社会性の発達についてまとめてみました😊
内容によってはママパパのプレッシャーとなってしまうようなものもあったかと思いますが、あまり気負いせず、みんなで一緒に子どもたちの成長を見守っていきたいですね🍀

(参考:小児看護学概論/医学書院、小児看護学/日総研 など)

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子ども病院に約8年勤務後、親子サロン開設に向けて準備中の小児科看護師🌸 病院を飛び出してフリーランスに。地域で育児を頑張るママパパとお子さんの心と体の健康をサポートできたらと思っています✨ 保有資格→看護師/保健師/NST専門療法士/ELNEC-J/養護教諭
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