子どもの成長発達⑦〜学童期の社会性〜
子どもの生長発達シリーズ第7段!
看護の視点から学童期の社会的機能の発達について触れてみたいと思います😊
ご自分の幼少期やお子さんの成長を思い浮かべながら見ていただけると想像しやすいと思います。
学童期の社会的機能の発達
みなさんもご存知の通り、それまで保育園や幼稚園に通園しているお子さんも多いと思いますが、小学校に入学することで多くのお子さんの関心は、家族や家庭内のことから学校生活や学校の友人のことが中心となっていきます。
エリクソンによると学童期の発達課題は、「勤勉性」対「劣等感」の段階となり
勤勉性を獲得し、劣等感を克服することが最も重要な課題とされています。
例えば、努力したことや熱心に取り組んだことで成果があがることを認識して、大きな喜びを感じるようになります。
はたまたこれは、親や学校の先生などに褒められるなど、大人の期待に応えることに喜びを感じ、言いつけや与えられた課題などに従順に従い、またできたことを褒められることで自尊感情を高め、勤勉に取り組もうとするといった一連の行動になっていきます。
できたこと⇨褒められる⇨嬉しい!⇨自尊感情アップ↑⇨取り組む⇨褒められる…
⇒勤勉性の獲得につながる😄✨
一方で、学校生活の中で同年齢の子どもと自分を比較して劣等感を感じることもあります。
この劣等感によって、もっと頑張ろう!という意欲になり、「勤勉性」対「劣等感」の対立を自分の中で統合して解決していきます。
劣等感と聞くと、一見悪いことのように思いますが、学校などの同年代の子どもとの集団生活の中で、時には劣等感も体験しながらも、友達と学んだり遊んだりすることで身体的、知的機能を向上させ、勤勉性を獲得していくと言われています。
学童期の社会生活の特徴
友人関係や学級集団を通して、社会生活の原型が形成されます。大まかにまとめると、
小学校1〜2年生:仲間を求め合いながらも個々がバラバラに行動している。
小学校2〜3年生:同級生同士での横の関係が拡大。男女に分裂していたり、互いの小集団は閉鎖的であることが多い。
小学校3〜4年生:何人かの子どもを中心に一部がまとまり始める。この頃に社会意識が発達し、学級社会が形成され始めるが、孤立者も多くなる。
小学校5〜6年生:少数のリーダーを中心としてクラス全体が集団としてまとまる。
とされています。
各側面での学童期の社会性の特徴
承認欲求:学童期前期は、尊敬している大人や学校の先生など家族以外の重要他者から認めてもらいたいという欲求が強い特徴があります。学童期後期に入ってくると、仲間同士の信条や約束を重視するようになり、仲間から認められようとする傾向が強くなってきます。また、仲間同士で目的に向かって協力しようとする傾向も見られます。
道徳性:学校生活の中で、他人の行為を観察したり、模倣したり、他人に合わせた行動をすることで自己の行動基準を設定するようになります。これによって規範意識、道徳性はみんなが行っていることが善と認識され、さらに結果がよければ全て良いという結果論的道徳律になると言われています。
性差:学童期前期では性による遊びの被害はあまりなく、異性を交えた集団で遊ぶことができ、お互いの性の分化意識は少なく、性的に中性の時期と言われています。学童期後期に入ると、性意識が芽生えたり、同性同士で結束したり、異性グループに対して対抗意識を抱くことが見られると言います。学校生活などの集団生活では、異性をはっきり意識するようになるが、性的潔癖感から異性に対して嫌悪感もおきると言います。一方で、異性に対する興味や恋慕の気持ちもあり、からかったり、悪戯や意地悪をするといった幼稚な求愛行動が見られると言われています。
仲間意識と喧嘩
学童期後半の交友関係では、親しい友達は生活時間をより多く過ごす同級生の同性の友達から選ばれることが多く、それぞれの個性や好みにあった行動特性を持った仲間の中から選択されるようになっていきます。
学童期前半よりも安定した交友関係になり、場面(クラス替えなど)が変わっても、接触度が高ければ継続されることも多くなります。このように、家族以外の人と親密な関係を結ぶことは対人関係の発達上重要なこととされています。
一方で、仲間の間で些細なことをきっかけに分離したり、反発しあったりすることが多く、「絶交」と「仲直り」を繰り返すこともあります。
喧嘩の原因は、自分の物を壊される・勝手に使われるといった所有侵害、叩いた・押したなどの身体攻撃、遊んでくれない・一緒に行ってくれない・バカと言われたなどの社交の侵害、弱い者いじめをする・嘘をつく・約束を守らないなどの道徳的侵害があり、年齢が高くなるにつれて、社交の侵害や道徳的侵害が多くなっていきます。
社会性の発達
上記のように、特定の友人や仲間との関係や集団行動を通して、学童期の子どもは、社会性を発達させていきます。
他人の中に自分と同じ部分を見出したり、違う意見や行動を見ながら、
①自分の感情をコントロールする方法
②仲間との付き合い方、他人を思いやること
③性役割
④他者と協力すること
⑤集団に属しているという帰属意識を持つこと
⑥道徳性
などについて学びながら、次第に両親や家族から独立していく過程を辿ります。
学校という社会に入り、家族という安全基地から離れて生活をするようになると、子どもは葛藤や感情の揺れを感じることがあります。学童期の子どもは、こういった感情を的確に言語で表現することが難しいことがあり、自分の感情をコントロールできなくなったり、状況に適応できなかったりすると、身体症状や不適応行動として現れることがあります。
そういった時は、一見、怠けているように見えることがあるかもしれませんが、子どもの思いに寄り添い、見守るといったことをしてもいいかもしれません。不登校もはっきりとしたきっかけがわからないというケースも増えてきており、問題が複雑化、多様化していると言われています。正解は一つではないので、子どもの思いを尊重しながら、家族だけで抱えこまずに、学校やスクールカウンセラーなど周囲に相談して見るのもいいかもしれません。
(あくまでケースバイケースかと思うので、ここでの明記は避けます💦)
家族が主な世界であった子どもたちが学校という社会に飛び出し、様々な経験をしていきます。家族の中では気づかなかったこともあるでしょう。時には、心が折れそうになっていることもあるかもしれません。子どもたちを見守り、励まし、応援していきたいですね🌱
(参考:小児看護学概論/医学書院、小児看護学/日総研 など)
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