子どもの成長発達⑥〜学童期の情緒・知的発達〜
子どもの成長発達シリーズ第6段は、学童期の情緒や社会性の発達について触れていきたいと思います✏️
学童期とは
学童期とは、小学校入学から第二次性徴の現れる前までをさし、一般的にはは、6〜12歳までの小学生の時期が当たります。
しかし、第二次性徴の開始は個人差が大きく、近年低年齢化してきていることから、学童期の後半は思春期と重なることもあります。
学童期では罹患率なども他の年齢層に比較して少なく、対人関係や親子関係などでも比較的安定した時期と言われています。
一方で、近年では心身症などのストレスを発端とした疾患や肥満などの生活習慣病のリスクは大きくなってきています。
知的・情緒機能
情緒の発達についてみるとき、知的機能の側面も一緒に見ていくと解りやすいので、まずは学童期の知的機能について触れてみます。
知的発達
ピアジュによって表されているのは
学童前期:具体的操作の段階→具体的な事物を見て、ものの結合、分離、連合、同一視などの関係を理解します。また、幼児的な自己中心性を残します。
学童後期:形式的操作の段階→より抽象的な思考が可能となり、自己中心性は7〜11歳頃に解消されます。
記憶:機械的であり、外観が変わったとしても一定の属性は恒常的であるという理解する能力である、保存の概念が発達します。学童後期に向かうにつれ、具体的な事物に頼らなくても、記号や符号、概念を使って抽象的に考えることができるようになります。
注意:努力して意識的に心を一つのことに集中するといった、有意的な注意は学童期に本格的に発達します。学童前期は幼児的な傾向があるため、短い単純な事から始めていく必要があります。
思考:低学年では、具体性思考が残るため、図や道具、人形などを用いて物事を教える方が効果であると言われています。9歳以降になると、数や計算力などの抽象的思考が可能となります。いろいろなものから共通なものを引き出す抽象作用や、自分の心の中にある概念を言葉にして説明する定義作用、いろいろなものの関係をもとにして、1つの結論を導き出す推理作用などの思考が発達します。批判力、問題解決能力、創造的思考力も9〜12歳頃に著しい発達をしていきます。・知識欲:大脳が著しく発達し、知的好奇心や知識欲の旺盛な時期で、テレビやアニメ映像、漫画、読書の中で、空想物語を好む傾向にあります。科学や文芸、スポーツや歴史上の偉人、スターに関する知識欲が旺盛な傾向も見られます。
情緒の発達
大脳の著しい発達により、言語を使って思考や行動を展開することができるようになったり、知的好奇心や知識欲が高まります。同時に、情緒をおこす対象の種類や数の増加も起こり、豊かな内的世界を持つようになります。
学童期前期には、幼児的な情緒の特徴を残しますが、次第に抑制がきくようになっていき、啼泣するなどの情緒の表出は少なくなると言われています。
ここでは、怒り・恐怖・嫉妬・愛情・喜びいった情緒を糸口にして見ていきます。
怒り:自分で行いたいという独立の欲求が強く、達成しようと努力をします。それが妨げられたり、失敗するような場面では幼児期よりも怒りを引き起こす多くなります。消極的形式(強情、嫌悪、黙殺など)と積極的形式(反抗、喧嘩など)であらわされます。
恐怖:幼児のときの恐怖の対象には恐怖を示さなくなってきます。具体的な人や物、音、場面よりも、お化けや宇宙人のような空想や物語上の人物などによって恐怖が引き起こされます。同時に、心配や苦悩といった情緒が現れるようになり、学校や社会、家庭、健康などに関心が高まり、不安も起こりやすくなってきます。
嫉妬:幼児期のようにきょうだいに対する嫉妬が続く場合もあります。友人関係や仲間や教師などの大人から認められたいという欲求や運動や学業などの学校生活や所有物で、仲間に勝りたいという欲求が強くなってきます。これが満たされないと嫉妬が起こり、告げ口、悪口、喧嘩などにつながります。
愛情:学校生活が始まり、教師などの尊敬する大人や友人に対する愛情が育っていきます。
喜び:友人を中心とした対人関係をめぐる満足が、主な喜びのもととなっていきます。また、言語の理解が増すにつれてユーモアを理解し、それを喜んだり、作り笑いやから笑いなども現れてきます。
少し長くなってしまったので、学童期の社会的機能の発達については次回触れていきます🌱
参照:小児看護学概論 医学書院 など
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