子どもの成長発達④
子どもの成長発達シリーズ、第4段は幼児期の情緒や社会性の成長発達について触れてみたいと思います✏️
幼児期以降は「遊び」が特に子どもの情緒や社会性の発達に重要なものとなっていく特徴があります。遊びの方法も年齢発達によって変化していくこともなんとなくイメージできる方も多いのではないでしょうか。
幼児期の情緒・社会性の成長発達
2〜3歳:子どもの成長発達③の乳児期でも触れたように、乳児期にみられた愛着行動はこの頃まで見られると言われています。
母親という「安全基地」を確認することで、次の「探索行動」に向かうことができ、母親からの自立の願望と離れることへの不安(分離不安)が共存する時期となります。
3歳以降:3歳を過ぎる頃には、母親と自己が別の存在であることを知的にも情緒的にも受け入れ、内面的に安定した母親のイメージを確立すると言われています。
これらのことから、幼児期に入院などで長期間の母子分離を体験すると母子関係に深刻な問題が生じる可能性があると言われています。
そのため、親と子が相互の絆を確認できるような時間や場を設けること、家庭で使っている人形やおもちゃを持ち込むことで子どもが少しでも安心して過ごすことができるような環境を整える工夫をすることが大切です。
また、入院でない場合も、子どもが親や親しい人との絆を感じられ、安心して過ごすことができるような関わり、工夫をすることが周囲の大人に求められます。
自律性・自発性
母親との安定した愛着形成をすることができた子どもは、親や周囲の大人に教わりながら生活習慣を自律的に行うようになっていきます。
幼児は自分自身が意思を持つ独自の存在であることに気づく(自我の芽生え)とともに、親からの教えを主体的に受け入れて、外部と内部の調和を図ります。
さらに、周囲に対して興味や関心を持ち、目的のために自発的に動き、周りの子どもと積極的に遊ぶようになります。
幼児期に痛みなどの苦痛を伴う体験を重ねると、幼児は自分でコントロールできることの限界を知って、自尊感情に影響を受ける可能性があると言われています。
そのため、自分で遊びの内容を決めるなど、生活の中で自己決定できる機会をできるだけ増やすことで情緒や社会性の発達への影響を緩和していく必要があります。
感情の分化
感情の分化については、子どもの成長発達③で触れたように、
2歳までに著明な情緒の細分化がみられ、5歳くらいには大人と同等の情緒形成が出来上がると考えられていましたが、現在では、生後6ヶ月から1歳頃までに基本的な感情がそろうといった見解もあります。
幼児期の情緒の分化は言語や言語以外表現がの未分化の全体的なものから部分的で特殊なものに変化していくことで確認することができます。
情緒についていくつか行動の例とともにご紹介します。
怒り:幼児期初期には自我が芽生え、自分なりのやり方で物事を行いたいという自己主張が強くなります(所謂イヤイヤ期)。親の言うことに対して「いや」と言って拒絶し、自分の思い通りにならないと激しく泣く、叩く、押す、引っ張るなどの行動を示します。この幼児期の反抗は発達の現れですが、親のしつけや教えとの間に対立や緊張を引き起こし、関わりに戸惑う親も多いかと思います。
恐れ:突然予期しないことに直面したときに、心理的なバランスを欠き、身の危険を感じて生じる強い不安状態で、その原因は発達段階ごとに異なるとされます。1〜3歳は騒音、突然体を動かされること、暗闇、高い場所、水などに恐怖を感じて泣いたり、叫んだり、逃げ出そうとします。特に1〜2歳頃には洗顔や洗髪のときに水を怖がって大暴れすることがあります。
幼児前期には、母親から離れること、見慣れない人(人見知り)、見慣れない物、見慣れない場所(場所見知り)を怖がることがあります。
知的機能の発達によって恐怖は軽減し、幼児後期には虫や動物などの生き物、暴風や雷などの自然現象に対して恐怖を表すようになると言われています。
嫉妬:自分が得たいと思っている人の愛情や注目が他の人に向けられた時に、その向けられた人に対して生じる不快な感情です。幼児期では、母親の愛情が弟妹に向けられた時に生じやすく、1歳頃は泣いたり、暴れたり、相手を叩いたりして表現し、3歳頃からは少しの間であれば我慢して人に譲ることができるようになると言われています。
(不快の感情についての紹介になってしまいましたが、きっと生活の中のこのような状況でママパパがお子さんとの関わりで困っていることが多いのではないかと思い、ピックアップしてみました。)
性差の認識
幼児の性同一性は、幼児前期から始まると言われています。2歳頃には、男女の形態的な違いはわかりませんが、衣服や髪型といった外見から区別するようになり、3歳頃までに自分の性別を知り、性的に望ましいとされる行動に気づくことが多くなります。
家族との経験の中で、男女で異なる表現を繰り返すこと(女の子に「可愛い」「綺麗」、男の子に「強い」「たくましい」など)も自己の性を認識することにつながるとされています(性同一性)。
また、子ども自身がどちらかの親と性が一致していることを理解し、同性の親を模倣するようになると言われています。
性の多様性や性教育について、昨今様々な議論や意見が言われています。幼児期から「性」についての認識が始まることから、性教育も幼児期から始めることができると考えられます。また、その効果も様々述べられるようになってきています。
あくまで、形態的な違いから性を決めつけるのではなく、子ども自身が自らの身を守るため、自らを大切にするための性教育、認知発達に合わせて必要な情報を伝えることも、子どもの自己理解や自尊感情の発達につながっていくのではないかと思います。
「遊び」については、ボリュームが大きくなるため、次回以降に触れていきたいと思います🌱
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