発達障害=実年齢より若く見える説、の理由について考える

 しばしば発達障害に関する定説の1つに「発達障害の人は実年齢よりも若く見える」というものがある。実年齢の3分の2とか、10歳下など色々言われているようだ。若いことと幼いことは表裏一体であり、それ自体はプラスともマイナスとも言えないが、発達障害の人間にありがちな特徴の1つだと思う。ただし、発達障害の人間が社会生活から学ばないというのは間違いであり、むしろ人生経験によって発達障害の問題が緩和されることが多い。他の人間と同様に人生経験を積んでいるのに発達障害の人間が幼く見えるというのは少し不思議である。今回は発達障害傾向の人間が実年齢よりも下に見られがちな理由について考えてみよう。

特徴が強い

 ADHDにも当てはまるが、ASDの人間の方が良く当てはまると思う。あまりにも発達障害傾向から来るキャラが濃いので、他の情報が希薄化してしまうのだ。

 例えばこんな話がある。銀行強盗の面が割れない方法に「付け髭」がある。日本社会で髭を蓄えている人間は少ないので、付け髭をしている人間は目立つし、関心がそこに向かってしまう。お陰で目鼻立ちに注目する人間が少なくなり、強盗は人相を覚えられないで済むという訳である。

 ASDやADHDの特徴は年齢によって変わりうるが、それでも一般人に比べて大きく乖離しているので、年齢に関わらず「変なやつ」という印象を抱いてしまい、実年齢が良くわからない感覚になるのだろう。ASD傾向の強そうな有名人、例えばイチローや羽生善治を見ても一般的な尺度で精神年齢を測りようがないと思う。

意欲・興味・行動力

 これは主にADHDの人間に当てはまる項目である。定型発達の人間はある程度の年齢になると物事への意欲や興味が薄れ、落ち着いた感じになることが多い。感情表出も大きく減少するだろう。これを人間は「老成している」とか「大人びている」と表現する。

 ところがADHDの人間は年齢を重ねても依然として旺盛な意欲や興味を持っていることが多い。40過ぎても新しいゲームにのめり込んだり、飲み会ではしゃいだり、落ち着くということがないようだ。例えばADHDを公表している黒柳徹子は90歳を超えているのに子供のようにエネルギッシュである。

 この特性は高齢化社会において一概に悪いとは言えないだろう。高齢者は次第にものごとへの関心が薄れ、精神的に衰弱してしまうケースが多いからだ。例えばADHD傾向が強いと思われるトランプ前大統領は77歳と高齢であり、バイデンに高齢批判をできる立場ではないのだが、なぜかトランプの年齢問題は取り沙汰されない。理由はトランプのキャラクターがあまり老人らしくないからだろう。

 周囲のADHD傾向の人間を見ている限り、他の問題(ASD・鬱・コミュ障)を併発していない限り、社会的成功度は低いどころか高い傾向すら見える。生きづらさを覚えるのは本人ではなく周囲である。

孤立しやすい

 これは一転、かなりまずい状態である。発達障害の人間はその特性により社会不適合を起こし、孤立してしまうリスクがある。こうなると、通常の人間が積んでいる社会経験を積めないことになるので、深刻な問題が発生するだろう。

 孤立している人間は人並みの社会経験を経ていないので、悪い意味で幼く見えてしまう。単純に未発達なのだ。この状態は何が何でも避けねばならないと思う。

周囲についていけない

 主にASD、特に女性に当てはまる要因だと思う。女性の場合は男性社会よりも遥かに同調圧力が強く、年齢に応じた振る舞いを求められることが多い。例えば「もう〇〇歳なのに結婚しなさい!」といった言説は女性に向けられていることが多いだろう。女性アイドルは25過ぎたらババア扱いされてしまうが、ジャニーズは40代になっても普通に活躍している。

 ASD傾向の人間は周囲の微妙な空気を読むことが出来ないので、周囲の年齢に応じた「あるべき姿」にうまく合わせることができないだろう。例えば小5の時に流行ったキャラクターのリボンを中学生になって好んでいると「ダサい」と思われてしまうだろう。ASDの人間はこうした周囲を風潮に気が付かず、マイペースにリボンを付け続け、子供っぽいと思われてしまうかもしれない。

 なお、超進学校や東大のような場所ではASDっぽい人間が多く、小学生の遊びをそれ以上の年齢の人間がやっていてもあまり問題にはならない。東大レゴ部はいい例だろう。小学生との唯一の違いは異常なまでのレベルの高さである。普通の公立中で「レゴで遊んでいる」と言うと確実にバカにされてしまうと思う。私も面倒な圧力が無くなった超進学校時代は砂場で遊んだり、ビー玉のゲームで遊んだり等して楽しんでいた。

幼く見えるというけれど

 発達障害の人間は実年齢よりも低く見えがちだ。良く言えば若く、悪く言えば幼いと考えることができる。どちらで捉えるべきかは状況によるだろう。人生の中盤以降になると、活動意欲が減退し、不活発になる人間が多い。発達障害傾向の人間はそうした心配とは無縁なので、ある意味で活力を保ちやすいというメリットがあるかもしれない。

 年齢相応の振る舞いができないことが問題となる場所を考えてみると、結局はいわゆる発達障害の人間に向かない環境ということになるだろう。体育会系ガッツが求められる場所や、同調圧力の強い中学校のような場所では、発達障害傾向の人間は快適ではないと思う。逆に自由度がある程度担保されている場所では強みになるケースもあるかもしれない。

 

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