タイプ判別の極意みたいなもの
前回の続きのような話です。
エニアグラムには9タイプありますが、
今回は、どうやって判別するか?という話を書いてみます。
例えば最近読んだ女優・岸恵子さんの文章にはこんな記述がありました。
高校の卒業試験が終わり、大学入試の準備に専念していた時、松竹から映画「我が家は楽し」に女学生役で出演してほしいと申し出があった。
(略)
父親役の笠智衆さん、母親役の山田五十鈴さん、長女役の高峰秀子さんが談笑していた。大学をあきらめきれない私は教科書にのめり込んでいた。
「恵子ちゃん」と高峰さんから声がかかった。「撮影所で読んでいいのは脚本だけよ」「ごめんなさい」と謝りながら私は「怖ーい」と思った。秀子さん恐怖症になった。
ここで気になるのは、他の人が言わない中で高峰さんだけ注意したということ。
こういうときに性格タイプが出ます。
本当の性格というものは、思わずはみ出るものなんです。
この場合、
筆頭に上がるのがタイプ1。あとは、1の隣のタイプ(9か2か)。タイプ8も注意をするけれど、8の場合はもっと威圧口調(ストレートに「読むな!」のような)だから今回は当てはまらないと見ます。
その上で、タイプ9なら他人から恐がられないから、たぶん1か2、といったところになります。
タイプ1なら、やさしく言っても圧があるので「怖い」となるし、
タイプ2ならムカついた気分が言葉の端に出てくるので、そういった意味において「怖い」となります。
こんな感じで、見ていきます。
コツは、「はみ出ているところを見る」です。
例えば誰だって、自分は正しくありたいと思っていたりして、タイプ1な面を持っていたりはします。
でも、あえて注意までするのかとなると、そこで違いが出てきます。
ですから、そこを見るのです。
タイプ1は「べき」の人です。なので、言うべきことは言います。
エニアグラムで他人(自分も)の性格タイプに気付くためには、
他の人よりもはみ出た行動が表れたときに、それをとらえて見ていく必要があります。大きな差分に注目するんです(小さな差分は無視)。
ただし、なんらかのはみ出た行動があったとしても、その裏の動機を知るのは難しいものがあります。
先ほどの例で言えば、タイプ1なら「べき」から来る注意でしょうし、タイプ2なら「一人だけ会話に加わらないで感じが悪いと思って見ていたら、仕事の場で、受験のお勉強だなんてふざけたことしやがって」という感情のほうが勝った気持ちから注意をしているはずです。
どちらも表面的には注意という形で同じです。
もしかしたら、当人に理由を聞いても、より皆の賛同が得られるタイプ1的理由を無意識に前面に出す可能性すらあります。
だから、一つだけでの判断はできず、他にも何かその人がはみ出た行動をしていないか探して、その理由も探して、それで総合判断をすることになります。
この総合判断はかなり難しいです。
ですけど、9つある性格タイプを2つか3つに絞り込めたら、それだけで上出来です。
他に例を出すなら、
私なら昼食によく一人メシに出る人なら、ホーナイの遊離型(タイプ4・5・9)の内、タイプ4とタイプ9を疑います。これもタイプ6日本社会では、はみ出た行為とみなします。ちなみにタイプ5もどちらかというと一人メシではありますが、外には出ずに簡単に済ませる傾向があります。
他にも、
誰だって、『考える人』のタイプ5な面はもっています。
ただ、それだけなら、そこまではみ出ていないので、いくら当人が「考えている」「本を読んでいる」「情報を集めている」と言っても、無視してかまいません。日本社会において、「考える」「本を読む」「情報を集める」は、とくにはみ出た行為ではなく、そんな人いくらでもいますから。
ところが、当人が何か新しい「概念」を提示したとしたら、これは、はみ出た行為です。タイプ5は、リソ&ハドソンによればレベル5(レベルのちょうど真ん中)において概念を形成するとされています。なので、こういったはみ出た行為があった場合には、タイプ5の可能性が強くなってきます。
レベル2の「当を得た基本的な疑問を提起」なんてしてたら、さらにタイプ5の可能性が強くなります。
こういった難易度の高い「はみ出た行為」だと判別もしやすくなります。
ただし、世の中はストレスに満ちたレベル6社会なので、レベルの高いタイプの動きで判別する機会はまずないでしょう。
成功を目指すタイプ3だって、誰だって失敗よりは成功を望んでいるものです。ですから、これを言っているだけでは、タイプ3かどうか分かりません。
何かはみ出たタイプらしさがあるかどうか? で見ていくのです。
相手の自己申告を鵜呑みにするのではなく、また、自分の相手に対する第一印象を信じるのでもなく、それらはあくまでも参考程度にとどめて、本当に、そのタイプらしさ(もしくは、いやらしさ)がはみ出て表れているのか? を見ていってください。
あとは、相手の文化や所属するものの性格タイプを加味する必要があります。ドイツはタイプ1文化ですしアメリカはタイプ3文化です。学術の世界ならタイプ5文化、起業であればホーナイのアグレッシブ系(タイプ3、タイプ7、タイプ8)の文化でしょう。そういったときは、その文化からはみ出ているものを見ます。
これが、「タイプ判別の極意みたいなもの」となります。
これは自分を判別するときも同様です。
(ここまで読んで前回の話を読んでみるのもいいかも)
次回、今回の話とちょっとだけ重なる話を、もう一つ書いてみます。
※ タイプ2が属する「ハートセンター」、レベル5やレベル6の「レベル」、「ホーナイの三つ組み」などのエニアグラムの基本用語が分らないかたは、こちらをお読みください→マガジン『エニアグラムの基本用語』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?
コメント