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ひとでなしこそ最高の美徳。

父の介護に悩む独身の女性K様にお会いした。高齢の父を、高齢の母と一緒に自宅介護していたが、献身的に尽くす母を見て「なんだ、母も父を愛していたんじゃないか」と思っていたが違った。献身的に尽くすのは、借金取りが愛を取り立てているようなもので、母は報われることを願っていた。だが、一向に改心しない旦那(K様の父)を見て、いよいよ母は父を捨てる決意をした。自宅介護をやめて、施設に預けることにしたのだ。母は言う。父からは、若い頃から散々な目に遭わされた。もうあの人の世話をするのは嫌になった。それを聞いたK様は、母親をひとでなしだと思った。自分は父親の介護を続けたい。だが、自分も父親と仲が良い訳ではない。K様は、そのようなことを話した。

私の実家では、昔、父の弟を世話したことがある。私の母は、父の弟の世話をすることを嫌がった。病院には行きたがらないし、世話になっている癖に我儘を言う。だが、父から世話を頼まれたため、仕方なく世話をしていた。誰かが倒れた場合、できることならば力になりたいと思う。だが、場合によっては「私の言うことを聞け。わたしの言うことを聞けないなら死ね」くらいのことを言ってもいいような気がした。そのことを、以前、記事に書いた。K様は、それを読み「めちゃめちゃ救われました」と連絡をくれた。K様も、父親の介護に疲れていた。

K様の父は歩くのもやっとの状態で、トイレの失敗も多く、毎日「死にたい。殺してくれ。もうすぐお迎えが来るはずや」と言う。K様は、その言葉を聞くたびに悲しくなり、自分が死にたくなる。国の支援制度を利用するには主治医の診断書が必要なため、お願いだから病院に行ってと頼んでも、絶対に病院には行かないと言い張る。そして「できるだけ早く帰ってくれ」と言われながら、K様は仕事に出て、どこにも寄らず家に戻り、ご飯を作るなどの家事をしたら、あとは寝るだけの生活を過ごした。元気だった母が三週間前に倒れ、それからこの生活が始まったが、たった三週間でもう死にたいのだから、長年介護をしている人の心労はそれはすごいものだろうなと想像した。母は右足に激痛が走り立てなくなって入院したが、検査しても原因はわからない。父と母は長年不仲で、母は父のことを「はよ死んでほしい」と言いながら世話をしている。そんな母の言葉が嫌でたまらなかったが、今、その言葉を自分が心の中で言っている。K様は、そのようなことを言った。

私は、K様と父と母の三人を見て「幸せな個体がいないまま、幸せな共同体を築こうとしている」と思った。これはもう、お互い様である。K様も父も母も「人を使って幸せになろうとしている」点において、同じだと思った。母は、そこから抜けた。父を捨てた母を見て、K様は「ひとでなし」だと思った。だが、私から見ると、K様の母親が一番幸せな個体に近いと思った。K様の母親は、やり切ったのだ。父を捨てたのではなく、母は自立をしたのだ。自立した母に向かって、父は、キツく当たることをやめた。K様には引き続き罵声を浴びせ続けるが、母にはご機嫌を伺うような言葉遣いをするようになった。当然のことだ。自立した人間を、怒りや暴力でコントロールすることはできない。何かをして欲しいなら、何かをして欲しいと、真面目に、誠実に、心を込めて頼むしかない。

私は「あなたのお母様は、やり切ったのだと思います」と言った。その言葉を聞いて、K様は涙を流した。そして「救われた気がします」と言った。心理学の本を読んでも、父親との関係に問題があると言われる。言いたいことは言った方がいいと言われるが、痴呆がはじまっている父に「本当はあの時こうして欲しかった」みたいなことを言っても、父からは「そんなことあったっけ」と言われるばかりで、何も手応えがない。自分は永遠に救われないのかと思っていたが、今、目から鱗が落ちた。母を幸せだと言ってもらえたことが、こんなに救われた気持ちにさせてくれることに驚いている。K様は、そのようなことを言った。ひとでなしだと思っていた母は、実は、誰よりも自立をしていた。実は、誰よりも幸せな個体になっていた。あっぱれである。人にはそれぞれのペースがある。死ぬことも含めて「マイペースを許せないと、争いになる」のだと思う。自分のマイペースを許せるようになると、相手のマイペースも許せるようになる。相手のペースを奪ってまで自分の介護を要求する人には「お前はそのまま死になさい」と言っていいのだと思う。たとえ、そのことで周囲からひとでなしだと思われることがあったとしても、それが自立になる。それこそが、幸せな個体になる道になるのだと思う。

坂爪さん

何度もすいません、京都の○○○○です!ブログに私との話を書いてくれてありがとうございました♪

勝手に見なくていいものを見て不機嫌になるのは格好悪いなあと思い出しました。「何歳であれ最後まで生き切るってすごいことだ」と確信をもって言い続ければよかったです。

私は、昏いほうに目を向ければどこまでも闇しか見えなくなる質なのだと思います。そんな時に、ほんの少しでも光のある方に目を向けさせてくれるものがあれば救われます。気持ち悪いですが、私は坂爪さんに救われたのだと思います。坂爪さんに会ってから実体のない「世間」への不満がなくなりました!

やった方がいいこととか、やらない方がいいこととかはすぐ無数に思いつくけれど、私を動かすのは強烈な生と瞬だけであって、それが君でした!いつか体ごとください。

どうかよき夜を♪

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おおまかな予定

5月11日(土)京都府京都市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!

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