<重要指名手配犯が死亡>「人に迷惑をかけ続けた」”前歯のない男”が逃亡の末、石川の山中で死亡「とにかく働くことが大嫌いで自分の金では絶対に酒を飲まない」「ヤクザ映画にでてくるような人で怖かった」と近隣の声も
仕事は長続きせず、知人の家に転がり込んでは金をせびる……そんな”迷惑男”は、同居人の命を奪った末、人知れず、石川県の山中で自らの命を絶っていた――。警視庁捜査一課は、殺人容疑で平成17年(2005)から重要指名手配中だった上地恵栄容疑者=(犯行当時49)=の死亡が確認されたと発表した。事件後まもなく見つかった変死者と、犯行現場に残されていた血痕を照合し、同容疑者のDNA型と指紋が一致したことから特定したという。 〈“おぬし”が口癖だった〉2024年1月に自ら名乗りでた後死亡、“うーやん”と呼ばれ近隣から慕われていた桐島聡容疑者の近影と2月に逮捕された金成行容疑者
「なかなか部屋を出ていかず、金をせびられ、電気代や食事代がかさむ」
「ようやくホッとしたというか、一区切りついた気分ですよ……」 19年前、悲惨な事件が起きた現場の”跡地”を見つめながら、一人の男性はそう胸をなで下ろした――。 事件が起きたのは、東京都三鷹市の今はなき木造アパートの一室。2005年11月25日午後11時ごろに、居酒屋チェーン店で副店長をつとめていた永野和男さん=(当時53)=が顔や胸を刺されて死亡しているのが発見された。台所には血のついた包丁が置かれていて、永野さんの財布からは現金が盗まれていた。全国紙社会部記者はこう語る。 「事件後、すぐに捜査線上に浮上したのが、指定暴力団山口組系の元組員・上地恵栄容疑者でした。同容疑者はかつて永野さんと同じ右翼団体に所属し、その繋がりで事件が起きる数か月前から永野さんの部屋に転がり込んでいた。永野さんは『(上地容疑者が)なかなか部屋を出ていかず、金をせびられ、電気代や食事代がかさむ』と周囲にもらしていた。さらに現場に血痕が付着した上地容疑者の着衣が残っており、犯行当日も金を無心したが永野さんに断られて、逆上して殺害した可能性が高い」 警視庁は事件翌月の12月14日、行方がわからなくなっていた上地容疑者を殺人容疑で指名手配するとともに、公開手配に踏み切った。これにより全国の警察署や交番、公共交通機関に上地容疑者の「指名手配ポスター」が貼られることになったが、有力な情報はなく、2007年からは事件の解決に結びつく情報を提供した人に最高300万円の懸賞金を支払う「捜査特別報奨金制度」の対象となった。しかし今月26日、事件は思わぬ結末を迎えることになった。 「警視庁捜査1課は、上地容疑者が事件直後の2005年~2006年2月ごろに死亡していたことを明らかにしました。石川県加賀市の山中で2006年3月8日、旅行客の男性が首を吊っている遺体を発見。当時は身元不明の自殺者と思われていましたが、警察の鑑定技術の向上により、犯行現場に残っていた下着と、遺体のデータベースを照合したところ、上地容疑者のDNA型と一致したわけです。さらに指紋も一致したため、山中で見つかった遺体を上地容疑者だと特定しました」(同)