中田宏がやった
横浜市の財政改革

日本一の借金返済政治家が行なった1兆円の純減

中田宏がやった横浜市の財政改革

 中田宏は2002(平成14)年から横浜市長を2期務め、この間に横浜市の財政改革に取り組みました。横浜市の借入金残高を2001(同13)年の6兆2213億円から2009(同21)年には5兆2524億円と約1兆円減らしましたが、これは政治史上最大の純減額です。

就任当初、横浜市が公表していた借金は2兆3571億円でしたが、これには特別会計などが含まれておらず、実際の総額は約2.6倍であることが分かりました。そこでまず、市の一般会計の単年度収支を黒字化し、国より厳しい「横浜式プライマリーバランス目標」を設定。行政改革や事業の見直し、借り入れ抑制などを行い、5年目にプライマリーバランスの黒字化を実現しました。

中田宏は改革にあたり、まず市長交際費を90%、市長ボーナスを40%削減。その上で市役所職員数を20%減らし(160億円の削減)、特殊勤務手当の見直しで30億円を削減しました。この間、市営バスは22年ぶりの、市営地下鉄は25年ぶりの、水道事業は10年ぶりの黒字をそれぞれ達成しています。市民の協力によりそれまで無料だった市営バス乗車証「敬老パス」を一部有料にして市税負担を80億円軽減し、ごみの分別を進めることで焼却炉を減らし、年30億円のコスト削減につなげました。これは決して容易なことではありません。市民は、借金は将来世代へのツケ送りであることを頭では理解していても痛みは感じないためです。市議会や市職員、既得権益を失いたくない方面からの反発も大きく、複数回にわたり脅迫電話も受けました。

自治体は一度財政破綻すれば、再建は険しい道のりとなります。2006(平成18)年に財政破綻した北海道夕張市は、いまだ国内唯一の「財政再生団体」として国の管理下にあります。市職員の大幅なリストラや自治体で最も高い水準の課税、全国最低レベルの行政サービスなども影響して人口が流出し、高齢化率は全国トップクラスとなりました。2026(令和8)年度まで毎年約26億円の借金を返済していかなければなりません。夕張市の破綻は、少子高齢化で人口減が続く日本への警告ともとれます。

求められているのは、将来世代の負担を少しでも軽くするための改革を断行します。