愛する人を失って以後人間不信を抱えていた流浪のハンター。クールそうに見えるが、本当は陽気な男性だ。
歴史のチグハグや人々の交流の影から引き起こされた舞台裏の大戦争・レグジェ戦争。彼は父の後を引継ぎ、パラレルの捕虜を管理する看守をしていた。
中期はジェネ側が技術の面で段々不利になり、詰まってきた頃。吸収のいい若者を集めて捕虜達から様々な技術を習得していた。彼もそのひとりで、伝授を拒否る捕虜には何らかの処置を与える役目もこなしていた。
ある日父が戦死した事を聞かされ、彼は狂気に振り回される様になった。少年達は正常の心を持てなくなっていたが、彼が特に顕著に現れた。
そんな彼がある日突然黙った。みんな此の変わり様に不信を覚えた。そういえば女子の捕虜の中に彼と同じくらいの年齢の人がいた。偶然其処の担当になった彼は、巧みな言葉遣いで少しずつ彼女を安心させていった。
彼女は勿論不信感を覚える。ところが彼は本気だった。敵に恋い焦がれていたのだ。彼女が余りに美人さんで素直な子であることに、黙り込んでしまっていた。彼は真実を告白し、彼女に何とか受け入れてもらうと・本音を話し出した。

「此の生活正直やってらんない。どこかへ逃げたい…」

ふたりは合致してしまった。タイミングを見て、ある静まった夜にこっそりふたりで逃げ出した。施設は何とか誰にも見つからずに抜け出す事が出来た。あとは行く先である。
どこもかしこも戦争モード、余所者は一切受け入れてくれない。彼は祖国にいた筈なのに、戦争の為に父と遠国へ行ってしまって久しいから、もう祖国に帰っても誰も受け入れてはくれなかった。家族も皆あっちにいる。わざわざ、俺達の為に命が脅かされるところにいた。
ふたりは仕方なく、奥の方で細々と暮らし始めた。戦争から全く隔離された世界ではないのだが、だけどなぜか笑顔が絶えない。特に彼の方は彼女が横にいるだけで幸せだった。
彼女の方も生まれが貧しかった為に、こんな暮らしの方が慣れていたらしい。更にふたりの価値感が同じである事に気付いていく。また笑顔になる。その繰り返しだった。
現実離れした日々が続く。彼らは無収入だったから、全てに制限がかかっていた。更に彼女は何となく解っていた。此の侭では彼は二度と現実に戻れなくなってしまう。もし敵同士だと解ったら。もし此の侭では危ういと解ったら。
彼を覚ます究極の方法 ── 彼女は身を崖から投げた。彼は翌朝其れに気付いた。どうして突然いなくなってしまったんだ!!
彼女が大好きだった巨木の下に遺体を埋葬した。其処までは何とか平常心を保っていたが、彼はまた狂気の頭角を見し始めた。その後は祖国を荒らし周った。此処が故郷という感覚も、"愛の巣"という感覚も無くなっていた。
彼は時流に恐れられた。歴史の舞台裏と言えど戦争の流れに逆らっている事を理由に、時流からドクターストップがかかった。

彼は約7000年後の同国にいた。此処が俺の祖国 辺りはすっかり高層ビルが建ち並び、歴史的な建物と言われてもじぶんがいた時代よりも遥か未来の歴史的建造物が建ち並んでいた。
彼はあの巨木を思い出した。崖を目掛けて一目散に走るが、何処だか分からない。長年の地殻変動で地形も変わってしまっていた。ようやく巨木のあったと思われるところに辿り着けたが、其処にはビルが坐っていた。
彼は時代の壁を痛感した。こんなところでは生きられない・・・だけど・何かが彼に呼応する様な、そんな感触に襲われた。

「ナティア 俺 生きれると思う」

答えは「うん」・其れだけだったが、
彼は出来るだけ人と接触しない様に歩いた。巷で聞こえる噂と言えば、漆黒封印について。どうやら此の時代の人間を中心に完了したみたいだが、それにしても当時は其処まで手が回らなかった。もっと早くから施していれば、歴史は変わっていたのかもしれない。此処でいう早くとは、レグジェ戦以前の事である。
徘徊をしている間、沢山の奇妙な目線が注がれた。その中で彼はある少女達に話しかけられる。「アンタの身体から時流に関する邪気が流れ込んでいるんだけど あたしの妹に何をしてくれる気!?」「はぁ 意味が解んねぇよ。」
確かに彼は何も解らないのだが、少女のうち姉の方がしつこい。彼は其れを何とか振り払い、再び時流の信頼を取り戻そうと決心した。そう猜疑されるのは、多分 かつて時流から切り離されたからだ。
ところが実行に移そうとした前にまたこの前の少女に呼ばれた。今度は妹の方だった。
姉が寝静まった頃に、妹が誤解を生んで申し分けない事を謝った。本当の事であるが、ブラッキーは其れを全て時流の責任、つまり時流を乗り越えて来た人へ責任転嫁しているだけです、と説明した。彼は納得はしなかったが、レイラの必死の訴えだけは受け止めた。
今度こそは実行に移そうと、郊外の地下大聖堂に入る。其処で彼は、同じくレグジェ戦期から飛んで来たと言うグラズンと逢う。
この男性はなんと愛犬を連れて此処で浄化の術を習っていた。彼は愛犬も時を飛んだのか聞いてしまった。其れはなかったみたいだが、彼は何故かこの男性に今までよりも深い親近感を覚えた。半年程、此処で共に浄化の術を学ぶ。
その間に彼は、少しずつではあるが隣りの男性を信じるようになっていた。今迄人を信じられなかったのも、必ず最後にはじぶんに不幸が回ってくるからだった。しかしよく考えたら、不幸を呼ぶ行為をしているのはじぶんだった。其れで人を妬むのはおかしい。彼はグラズンの助けで、考えを少しずつ変えていくことが出来た。
再び地上で本格始動する頃には、ある程度気持ちが晴れやかになっていた。間もなく彼は再びあの姉妹に逢う。こいつら確か、時流の力がどうとか言っていたよな 彼は浄化中に知り合った男性を紹介する。
ブラッキーには何だか不快な顔をされたが、レイラには華やかな顔をされた。一度逢ったことがあったらしいが ふたりで反応が違う事に戸惑いながら、彼女達の抱える問題を解決出来たらと、4人で行動を進める。
暫くすると、ブランが此処を抜けてしまった。何か手掛かりを見つけに行ったのだろうが、仲が悪いと言えど流石に彼も心配になってくる。レイラに本当のところを窺ってみた。

「大切にされているんだな」「有り難いけど・みんなのことも大切にして欲しいな」

彼女は寂しそうだった。
グラズンの紹介で 同じくレグジェ戦期から流れ着いたジャフという少年も仲間に入れる。4人で姉の帰りを待つも、戻って来たのはレグジェが開放されてからだった。此処ではレグにのめり込むか込まないかで口論になっていたが、3人とも恐れていたので結局否決された。
姉が帰って来たが、今度は自らオーブの根源を探しに行くなど言われてしまった。じぶんの罪を浄化したい、と。4人の中でもレイラが特に反対したが、姉は右から左へ受け流して出かけてしまった。
そんな彼女をいちばん宥めていたのは彼だった。毎晩彼女の話を聞いてあげた。寂しい日は一緒にいてあげた。其れはちょっぴり危険な恋愛感情に乗り移りかけていた。今度は自ら不幸を招く行為をしない様に心掛ける。
しかし悲しい知らせが入る。ブランは・みんなに宛てた手紙と研究結果を纏めたメールを残してこの世から身を引き上げてしまった。しかも気付いたのはかなり遅かった。平和がもたらしたジンクス…誰も気付きはしなかったらしい。
泣き崩れるレイラをいちばん支えたのはやはり彼だった。あの時に似ている。いちばん最初に恋したあの頃の感触。多分もう一度覚ませって言っているのではないか。
勝手に考える。








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