(1)前置き
以下の日付は、すべて平成29年のことである。
私に対する懲戒処分手続の過程で、9月19日付で一通の書類が作成され、私宛に送付された。その題名は「会員の処分手続に関する取扱規則第3条第1項による期日の通知」である。以下単に「期日通知書」と呼ぶ。
これは、「山口県行政書士会の嘘 その3」で取り上げた答申書の次に位置する書類である。
答申書を受けて、理事会で懲戒処分をしようということになると、会員を呼び出して「弁明の機会の付与」という手続を行なう。これは、会員の言い分を聞く手続ということになっている。そのための呼び出し状が期日通知書である。
期日通知書には、次の記載がある。
「これに対し、同綱紀委員会は、平成29年9月11日、本会に対し、上記事実のうち、上記8については、行政書士法第10条違反とすることはできないとしましたが、その他の事実については概ね認め、訓告処分が相当との答申をしました。」
この記載を、以下「当該記載」と呼ぶ。
(2)内容
(ア)当該記載に「上記8」とあるのは、私が法務局に相談に行った事実を指している。当該記載によると、綱紀委員会は答申書で、それ以外の事実については行政書士法第10条違反とすることができるとしたことになる。
しかし、懲戒処分が出た後に開示された答申書を確認したところ、そうではなかった。
(イ)「上記8」以外の事実には、私が依頼者に報酬を返還しなかった事実も含まれている。
答申書では、報酬を返還しなかった事実について、「これについては委員会で意見が二つに割れた。」と記した上で、二つの対立する意見が並べて記載されている。
すなわち、意見(1)として「・・・部分的に返金すべきである」という意見が、意見(2)として「・・・調査対象者の主張に問題はなく・・・」という意見が記されている。
これは両論併記であり、結論を出せなかったことを意味する。
それなのに、当該記載はこの事実についても行政書士法第10条違反という結論を出したかのように偽っている。
(3)まとめ
①概括
期日通知書の作成名義は「山口県行政書士会 会長A」と記されており、山口県行政書士会会長の印が押されている。
B副会長も作成に深く関与していると思われる。
A会長とB副会長にとって、自分たちが罰すべきだとする事実のすべてについて行政書士法第10条違反が認定された方がいい。認定されなかった事実がある場合、少ない方がいい。
そこで、両論併記の部分も、行政書士法第10条違反と「概ね認め」た方に入れたのだろう。
そうすることによって中村の心を挫き、A会長及びB副会長の決めたストーリを受け容れさせ、重い処分にはめこもうとしたと見るのが自然である。
②属性とその帰結
(ア)A会長及びB副会長の属性
(ⅰ)A会長は平成9年に行政書士になった。行政書士になってからの年月が20年を超えている。
A会長は、山口県行政書士会副会長を経由して、山口県行政書士会会長3期目である。しかも、現在、日本行政書士会連合会の法務業務部長である。
B副会長は昭和56年に行政書士になった。行政書士になってからの年月は35年を超えている。
B副会長は山口県行政書士会総務部長を経由して、山口県行政書士会副会長3期目である。
(ⅱ)ここで日本行政書士会連合会の法務業務部長の地位の性格について、言及しておきたい。
法務業務部は「権利義務、事実証明に関する業務全般(実地調査に基づく図面類を含む。)についての調査、研究及び指導に関すること並びに新たな業務の開拓に関すること」を担当する。「権利義務、事実証明に関する業務全般(実地調査に基づく図面類を含む。)」は、行政書士の主要な業務である。その主要な業務についての「調査、研究及び指導」を行なうということは、行政書士が何をやってよくて、何をやってはいけないかについての法的な判断を下すことができるということだろう。
(イ)属性の帰結
A会長及びB副会長が、行政書士になってそれほど年月が経っていなかったり、役員でない行政書士(こういう行政書士を平社員に準じて、ヒラ行政書士と呼んでもいいかもしれない。)であるならば、A会長及びB副会長の行動に問題があっても、A会長及びB副会長の個人の問題であるということに通常はなるだろう。
しかし、現実は、(ア)で述べたように、いずれも行政書士になってからの年月も長く、その上、極めて枢要な地位にある。
ということは、A会長及びB副会長の行動は、行政書士全体の実態・傾向を示していると見るのが自然である。
以上のことから、A会長及びB副会長の行動は、国民が行政書士とは何者なのかを判断する上で、重要な判断材料になることになる。