(1)前置き
以下で出てくる日付は、すべて平成29年のことである。
私に対する懲戒処分手続の過程で、山口県行政書士会において、いくつも書類が作成された。その中に「諮問に対する答申書」というものがある。以下、単に「答申書」と呼ぶ。
9月5日、私は山口県セミナーパークに呼び出されて、綱紀委員会から事情聴取を受けた。9月11日付で、この答申書は作成されている。
作成名義は「本会綱紀委員会 委員長C」であり、山口県行政書士会綱紀委員長の印が押されている。宛名は「山口県行政書士会 会長A殿」となっている。
(2)内容
答申書に次の記載がある。
『預かっている貴重品の返却について本会より立ち会いを求めていたにも関わらず、なぜその場へ行かずにレターパックで郵送したのかと聞くと「自分は病院から嫌われていてアウェイ。いろんな人から責められたらいやだから行きたくなかった」との回答。』
この記載を、以下「当該記載」と呼ぶ。
当該記載によると、9月5日の事情聴取の場で、私は「自分は病院から嫌われていてアウェイ。いろんな人から責められたらいやだから行きたくなかった」と発言したことになっている。
(3)内容の検討
9月5日の事情聴取の場で、綱紀委員長は「やむを得ない事情があったとかではなくて、自分が責められたりしたらつらいから行かなかった」と発言している。その少し後に、綱紀委員長は「あの、まぁ、その、成年後見終わった後、そういう風に引き渡す時に、やっぱり責められることがあります」とも発言している。
9月5日の事情聴取の場で「責められ」という言葉が出てくるのは、この2ヵ所のみである。
綱紀委員長の実際の発言の内、「自分が責められたりしたらつらいから行かなかった」の部分は、当該記載で私の発言とされているものの内「いろんな人から責められたらいやだから行きたくなかった」の部分とほぼ一致している。
それに対して、当日の私の発言の中に、その部分と一致するところは、発見できない。
以上の事実から、綱紀委員長は、自分自身の発言を中村の発言として答申書に記載したことが分かる。
(4)まとめ
綱紀委員長の権威からして、綱紀委員長が証拠を偽造したことの社会的影響は、極めて大きい。なぜなら、綱紀委員長の行動は、すべての行政書士の手本であり、綱紀委員長がやったことは、すべての行政書士がしてもいいということになるからである。
行政書士は現在、「行政書士は法律家である」と宣伝している。それは、信用性が高いという意味だろう。しかし、実態は裏腹である。
全国の公務所の皆様、一般の国民の皆様、行政書士の中にはこのようなことをする者もおりますので、十分気を付けていただきたい。