水俣「3分でマイクオフ」進行表に明記 再懇談は「十分な時間で」
水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相の懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、伊藤氏は10日の閣議後会見で、改めて設定する懇談の場では「発言の時間も十分に確保する」と述べた。また、問題を起こした特殊疾病対策室の態勢を強化するが、現時点で室長らは変更しないとした。
伊藤氏は8日に団体側に謝罪した際に懇談の場のあり方を再考するよう求められたことや、岸田文雄首相から9日に丁寧な運営を指示されたことを挙げ、再設定する懇談は「十分な時間を取れる日時でやりたい」と述べた。時期は「できるだけ早く」とした。今後は毎年5月にある慰霊式に限らず、大臣や省幹部らが現地を訪問し、懇談する機会を多くつくっていくという。
懇談の時期については、環境省幹部によると7月ごろで調整を始めている。
マイクオフの運用、「気が動転して」伝えず
また、環境省の水俣病対応の態勢を強化すると説明。担当審議官を置き、現在12人の特殊疾病対策室の人員を増やす。ただ、問題を起こした室長や、現地にいた環境保健部長は続投させる。部長や室長への処分は、現時点では口頭で注意したのみだという。
一方で、環境省は9日夜、1日にあった懇談の場で使った進行表を明らかにした。
そこには「(団体の)持ち時間が近づいた場合」に、「お話し中申し訳ありませんが、他の団体のお時間もありますので手短にお願いいたします(3分でマイクオフ)」と、マイクオフの運用を明示する記載があった。
また、団体側から「時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合」に、「進行上、時間を見つつ対応させてください」と返すともあった。団体側の発言を踏まえた大臣のあいさつは「※最低でも3分は欲しいところ」とし、進行表上は8分間が割り当てられていた。
環境省はこうした運用について、少なくとも昨年から引き継いでいると説明している。3分の時間制限は団体側にも伝えていたが、マイクオフの運用は当日司会をした室長が「急いでいて気が動転していた」ため、伝えなかった。伊藤氏もこの運用を「知らなかった」と説明している。(市野塊)
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