「コンセプト模倣」「CD大量購入」「奴隷契約」…HYBE、ミン・ヒジン氏“お家騒動”で露呈したK-POP「共倒れ」のリスク
韓国のグループ「BTS(防弾少年団)」を生み出した大手芸能事務所HYBE(ハイブ)と、子会社ADOR(アドア)との間で起きたお家騒動が、所属アーティストも巻き込んだトラブルへと拡大している。 【画像】記者会見でのファッションも話題になったミン氏。涙を流しながら訴える場面も。 経営権奪取を試みたなどとしてHYBEから刑事告発されたのは、ADOR代表のミン・ヒジン氏だ。韓国の5人組女性アイドルグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」の総合プロデュサーであり、韓流アイドルのヒットメーカーとして高い実績を誇る。対立の渦中で記者会見したミン氏は、K-POPアイドル間の「パクリ」「CD大量購入」「奴隷契約」など、韓流の暗部を白日のもとにさらした。 2022年にデビューしたNewJeansはY2K(2000年代)ファッションなどのレトロブームと、イージーリスニングのような親しみやすいメロディーラインをコンセプトに世界的な人気を獲得。新人にも関わらず、短期間でK-POPガールズグループの中でも1、2を争う地位にまで上り詰めた。 競争の激しい韓国社会では誰もがチャンスを逃すまいと必死で、成功事例には模倣がつきものだ。K-POPもその例外ではない。似たようなグループが乱立した結果、画一化が進み、個性が感じられないとの批判を招いてきた。特に女性アイドルグループにはその傾向が強かった。ミン氏はまず、この画一化問題に一石を投じた。
子会社間のコピーで似たようなグループが乱立
HYBE傘下のレーベル「BELIFT LAB(ビリーフラボ)」が最近立ち上げたガールズグループ「アイリット(ILLIT)」。ミン氏は「アイリットはヘア、メイクアップ、衣装、振り付けなど芸能活動のすべての領域でNewJeansをコピーしている」「アイリットはミン・ヒジン風、NewJeansの亜流などと評価されている。亜流の登場でNewJeansのイメージが消耗され、これによる被害をそのままADORやNewJeansがこうむっている」と批判し、トラブルの本質が「子会社間のガールグループのコピー」にあると主張した。 確かに、アイリットのアルバムアートの構図・演出、長いストレートヘア、清純さを前面に押し出したコンセプトはNewJeansと重なるものがある。振り付け映像の印象も重なる。 「アイリットがNewJeansのパクリだと批判し、これを内部告発したところ、逆に監査対象にされた」というのがミン氏の言い分だが、HYBE側はこれを否定している。 もっとも、アイドルの個性を印象づけるためのコンセプトに、著作権の概念を適用することが果たして可能なのか。韓国著作権委員会の見解によると、アイデアやノウハウなどは、それ自体が著作物として認められない。また、ファッションやダンスが単純に似ているというだけでは著作権侵害を主張することは困難とされている。 そもそもNewJeansでさえ、かつて日本で人気を博した女性4人組グループ「SPEED(スピード)」のデビューシングル「Body & Soul」のミュージックビデオのコンセプト――フランス・ドイツ・トルコ合作のドラマ映画「裸足の季節」(2015年)の場面――をまねているのではないかという指摘も相次ぎ、「ミン氏もパクリ議論から自由ではない」との見方が持ち上がっている。 NewJeansのようにY2Kの感性とイージーリスニングをコンセプトにしたグループはアイリットだけではない。似たようなグループの乱立は「共倒れ」のリスクもはらむ。