人外れの輝きを持つ種族“チェルカ”の血を引く女性。実は妹の影響で死神に仕えている。
2015年までに先進国の名を挙げる事を目指しているデイジーは、彼女が幼少の頃はまだ戦争でボロボロ、沢山の物資援助を受けていた時代だった。更にはダンサーを狙った魔族の侵入や 其れに呼応して暴れ出す怪盗団など、様々な問題を抱えていた。
時代に逆走している人は沢山いたが、彼女の父は其れの第一人者とも言えよう。貧困極まりないこの国からなんと海外市場を独占するヒット商品を開発してしまった。商品開発に携わるチームの筆頭だった。
此れで父の所属の会社は利益を独占してしまう。貧困下だったデイジーだったからこそ開発できたのですと、父はインタビューに応じている。
家はバブル・彼女と妹は世間体を気にも留めず、困っている人の目の前で札をばら蒔いてみたり、此の頃から問題になっていた魔族襲撃問題にお金で手を出してみたり、子供とは思えない悪知恵を好奇心の儘に働かせた。2人ともチャレンジ精神が強いので、此れには賛否両論があった。
そんな一世帯のバブル全盛期に、エスが倒れ‐異形の者の出入りは激しくなり‐物資援助の契約が終わり‐人々も少しずつ立ち上がり始めた。
父は相変わらず豪遊ぶりを発揮していたが、他の企業が急成長していく様子に とうとう別のプロジェクトを設立する事にした。前回のヒット商品を立ち上げたメンツで・再生の道を歩むデイジーに必要な商品はなんだろう
父はふと、仕事で疲れて魔族に触ってしまった。彼が時の人だと知っていた奴は、此れを利用しようと様々に彼を口説いた。そして父は全く帰って来なくなってしまった。
心配になった母は会社を訪れる。しかし プロジェクトはあれから衰退の道を歩んでいた。更に・お金持ちの娘という事で濡衣を着せられていたローレンも、父と同じ魔物にすがりついていた。
家族が変容しているのを感じた彼女は、何人かの戦える友と妹を連れてそいつのところへ向かい、なんと昏睡状態にまで貶めてしまう。しかし父は帰ることはなく、1枚の書類が渡されただけだった。

『変死』

"死"に反応した妹は父の後をつけると言い出し、その言葉通りに苛めっ子達の目の前で自殺を図ってしまう。事の深刻さを知った彼女は・母に何も起こらぬ様にひたすら祈った。
…其れは通じたのか、母には何の災難も降り懸からずにすんだ。ただひたすら孤独に陥る彼女を宥めてくれた。そして あんなに常識ない事をしたにもかかわらず友が多い自らが解らなくなった。ローレンと対極の立場にいるのだ。
しかし今更自らを打ち明けるのもまるで裏切る様で辛かった。此の痛みは一生ものであると、彼女は初めて運命の偉大さを感じた。
昏睡状態から覚めたヤツは、今度は彼女達に襲いかかってきた。もう既に魔族襲撃問題は解決していたが、こいつだけはどうも様子が違うと判断した彼女は、せめて安らかに父と妹を寝かせてと、無茶ながらヤツに頼みをつけた。勿論こんな依頼を聞き入れる筈もなく、対峙した時に ひとりの男子の戦友がこいつにいきり立って襲いかかった。彼女も此れに参戦し、今度は念願の"消滅"に成功する。
序でに・彼女は此の男子にも襲われた。どうやら前々から想ってくれていたみたいで、取り敢えず彼女は此の少年と交際を始めた。
自身の罪を隠して生きるのがそろそろ困難になり、余りの苦しさを彼にありのままに告げた。勿論驚かれるし、そんな奴かよとも言われる。此処でもし向こうがキモがってきたら一切の終わりだったが、どうだろう キモがるどころか、逆に再び襲われた。
母親以外に、信頼を寄せられる人がいた。安心感を得た彼女は、骨のない父の墓に此れを報告する。精神的に病んでいたのも、彼がいたから少し回復してきたんだよ、と。
その帰りだった。
彼女の背後に急に重みがかかり、何もないのに後ろに転倒してしまいそうになった。人がいないのが唯一の救いであったが、そのまま彼女は何日間か寝込んでしまう。
目を覚ますと、彼女の看病に当たっていたのが何とローレンだった… 感嘆と猜疑を隠しきれないが、その姿は確かに妹で、だけど死神化してしまった様で、背中には生前にはなかった小さな羽があった。
此の理由を改めて聞くと、やっぱり姉が心配で、その一言に尽きると言うだけであった。人間不信を抱えた侭亡くなった妹の表情は確かに固い。だけど死神でも懸命に笑おうとしているのが見て取れた。少なくとも彼女の前では。
病状が回復した後に、彼女は一旦死神界に招待された。勿論契約のためではない。どうやら妹は、生身で精神的疲労に耐えている彼女を少しでも楽にしたかった様だ。その為には転身するしかないと言われていても、彼女を殺す訳にはいかなくて、せめて苦しみを取る秘薬をあげようと妹は必死になっていた。
彼女が精神的疲労を掲げていた理由が自分だと知っていたのだ。
気を張らなくていいんだよ、と声を掛けてみるが、妹はどうも其れだけでは気が済まない様で、試しに秘薬を彼女に飲ませても効果がなかった事を悔やんでいた。
しかし効果は確かにあった。此処に来るには 各地を介するブラックホールを通り抜けた後に生身の人間だけでは絶対通れない小道を抜けて来なければならないが、生身の彼女ひとりでも圧力に潰される事なく通れる様になっていたのだ。其れも一種の"快楽"である。
ローレンは薬を間違っていた。
戻って来てから、彼女は内訳を彼氏に話した。其れも全て受け入れてくれる余りの包容力に、彼女はお礼を言っても足りなかった。
其処で彼氏のお願いを聞いてみる事にした。

「結婚したい」

そう言われた。まだ若いが、こんなに愛しているならきっと大丈夫。母も妹も大いに祝福してくれ、ふたりは正式な夫婦になった。互いが味わった苦しみは作らない事を高らかに誓い合って。
息子も生まれ、普通の家庭でありながらも幸せいっぱいの生活を送っていた。母も妹も、まさに此れを望んでいたのだ。かつての父があんなに頑張ってお金を作ってくれたのも嬉しいし望みではあったが、やはり普通に暮らせる幸せに代える事は難しかった。
父が勤めていた会社は既に倒産していた。ところが其処の元社長がまた新たなビジネスに着手しだして、夫を此れに誘おうとした。彼女は昔から此の社長を快く思っていなかったので、此れは断ってと夫に頼んだ。
だが夫は其れを聞かずに元社長の側近になってしまう。父を過労死させた張本人であろう人物にまたも呪われるのか、息子を抱いて不安に溺れる。
しかも恐ろしいのは、其れが見事に的中するところだ。悪夢で止どまって欲しかったのに現実になってしまい、状況を飲み込めていない息子にどう説明すればいいのか分からなくなった。此処でもう一度、発病してしまう。
息子を母に預け、精神療養の為に長期休暇が欲しいと言い出した彼女。同じく外界の知識に乏しい妹を連れ、デイジーを後にした。夫には、世界を旅するという夢があった。
アウトサイドの中界は、まだまだ文明未発達な事で有名だが、其れ故に学ぶ事も多いと・他惑星から注目されている。彼女も其れに憧れて流れ着いたのがネーデルランドという都市。アウトサイドの中でも有数の世界的な大都市だった。そして先進国だった。
偶然にも、彼女と同国出身のバージュという女性と親しくなる。デイジーの名門ダンサーで名が知られていたのは昔の話だが、彼女は何となく名を聞いたことがあった。話は意外にも其処から始まり、今に至るまでをざっと話せる程にもなっていた。彼女は此処に落ち着く事も考えた。
ところがローレンがそわそわしている。何かあるのか尋ねたら、「尊敬するミオ様が…」とだけ言う。
ちょうど此の頃、ミオ討伐に向けて動いていた頃だったのだ。妹を暫く自由にして、彼女は此の地で療養を決めた。
帰らない妹を思いながらもゆっくりしている間に、12魔獣が襲って来ると言う事件が発生し、街に現れた奴等を払う為に彼女達も出動した。黒星を飾ったが、其れでも帰らないローレンを思うと・心配の方がどんどん募っていく。連絡は着かない。
其れで死神界に動き出すが、いないと言われて其処で発途、再び働きながらネーデルでの療養に戻る。
ローレンが戻って来たのは実に漆黒封印も終わってからの事だった。②年近く待たされてなかなか苦痛だった彼女は、全てを話す様妹に求めた。話せるだけを話して 後はあたしを忘れた方がいいよ、と付け足された。其れに悲しくなった彼女は一旦故郷に帰ろうとした。
だけど・次々に行動を起こすネーデルの仲間達をみて、彼女も段々帰れなくなった。そしてとうとう息子を呼び寄せ、こちらで市民権申請をして 軸をこちらに移す事にした。面白くない顔をした息子だが、もう少し大きくなったら地元の友に自由に会いに行ってもいいよと言われ、その日をずっと待ち構えている。
ところで記念祭以降、ずっと妹に逢っていなかった。また死神界を訪ねてみるが、どうも帰っていないらしい。其処で息子を連れてデイジーに帰ると、落ち込んだ表情の間に嬉しさを混ぜる母がいた。孫の顔に見入るその背後に、妹が死神としての契約を切った事を示す書類があったことを、今でも彼女は覚えている。








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