【復活のルルーシュ】ルルーシュはナナリーの提案を何らかの形で聞き入れている可能性があるという話
初めまして。三部作⇒復活のルルーシュの順に観ました。TV版は昔観たっきりですが、考察するにあたり一通り見直しました。
考察文書き込むなんて初めてなので文章が拙いです。ご容赦ください。
違和感を覚えたきっかけは、ナナリーとの別れ方があっさりしすぎていたこと。ナナリーが「一緒に暮らそう」と言ってルルーシュが「俺がいても邪魔になるだけ」と断るのみ。本編における二人のすれ違いって、そんな軽く済ませていいものだったか?と。
言葉にできない不満を抱えながら観返している内に意図の読めない描写を幾つか発見し、本編におけるルルーシュとナナリーの関係性も併せて自分なりに整理していった結果、描かれなかったナナリースザクとの別れの際に、実はナナリーの提案を聞き入れているのではないかという結論に行きつきました。
■ナナリーへの心残りの存在
「ナナリーを置いていくのはC.C.との約束以外に未練が残ってないから」とよく言われてますが…『復活』におけるルルーシュはナナリーに何か未練を残しています。作中での描写を見る限りそう判断せざるを得ません。
物語冒頭、「C.C.がシャーリーと通話しているシーン」で最初にナナリー拉致の速報が流れた際、虚ろのルルーシュがテレビに反応しています。
このときテレビは車の荷台に積まれており、ルルーシュが画面に映りこんだ段階ではテレビの方を向いていたんです。その後C.C.が音量を下げたことでテレビから関心を無くします。「ナナリー」の音声に反応していたということです。
それと「C.C.が料理してるシーン」でも、横になった虚ろのルルーシュはテレビを見ています。ルルーシュの顔がアップで映っているとき、よくみると瞳孔の位置が上瞼の方に寄っている=目だけが上を向いており、そして実際にテレビの位置もルルーシュの顔の角度から見て上方に位置してます。上目遣いでテレビを見ていたわけです。
C.C.が話しかけても動きが無かったのにチャンネルを変えた途端動き出したのも、ルルーシュがニュースに集中していたためでしょう。
そもそもC.C.がテレビの音量を下げたりチャンネルを変えたりして虚ろルルーシュをナナリーから遠ざけようとしていたこと自体が、ナナリーに反応している素振りを普段から見せていたことを仄めかしています。
虚ろのルルーシュは「心残りの成れの果て」であり、心残り以外の記憶が残っていないと考えるべきです。生前の記憶が残っているならカレンの顔を見て怯えるのも変ですし。
つまり、虚ろのルルーシュがナナリーに反応できてる時点で、ナナリーに何か心残りがあることが確定します。
■ルルーシュの選択はルルーシュナナリー間のすれ違いの物語を否定する
本編中における二人の関係性についておさらいしてみます。
ナナリー「この鶴を千羽折るとね、願いが叶うんですって。もしお兄様に叶えたい事があるのなら・・・」
ルルーシュ「いや、俺は・・・ナナリーは?何かないのかい?」
ナナリー「うーん・・・優しい世界でありますように」
ルルーシュ「お前の目が見えるようになる頃にはきっとそうなってるよ」
ナナリー「本当に?」ルルーシュ「約束する」
ルルーシュは上記の約束と共に、「ナナリーが幸せに過ごせる世界」を作るために行動を始めます。(ナナリーとの約束が原動力の一つとなっていることは、『R2』11話のシャーリーとの通話で示唆されています。)
『R1』17話の時点で「いずれナナリーの傍にいられなくなる」と考えているあたり、ルルーシュに目的とは文字通り世界を作り替えることだけで、ナナリーと共に居ることは特別考慮してません。しかし『R1』22話、ルルーシュと共にいることこそが一番の望みであることをユフィから知らされ、同時に、ルルーシュがやっているのは本人の意思を顧みない一方的な押し付けであることが示されます。
加えて、ナナリーの言う優しい世界とは「他人に優しくなれる世界」「皆で明日を迎えるための世界」であり、「自分が幸せに過ごせる世界」ではありません。
ナナリーの未来を優先するあまり、本当の願いも、「優しい世界」がどういう意味なのかも理解できていない。(少なくとも初めのうちは)ルルーシュはナナリーの意思が全然見えていなかったわけです。
とはいえ、ナナリーの想いに気づけなかった原因はルルーシュだけでなく、ナナリー本人にもあります。
「お兄様の迷惑になるくらいならわがままは言わない」と言ったり、ルルーシュではなくユフィに自分の願望を明かすあたり、ナナリーはルルーシュの負担になるのを怖れて自分の願いを伝えきれずにいます。
迷惑をかけたくないがための善意と言えば聞こえはいいのですが、初期のルルーシュはナナリーこそが全てと考えており、何を願われようと迷惑に思いはしないでしょう。結果としてルルーシュはナナリーの意思を見誤ります。ルルーシュと同じ、相手の意思を見ない「善意の押し付け」です。
結局この二人はちゃんと話し合わなかったためにすれ違い、ナナリーはルルーシュの死の間際に全てを悟ります。
ナナリー「ずるいです。私はお兄様だけでよかったのに。お兄様がいない明日なんて、そんなの」
折り鶴への願いを行動原理の一つにしていたことを悟ったのでしょう。既にルルーシュと一緒にいられているから優しい世界を願っただけでしかないし、ルルーシュに叶えて欲しいわけでもなかった。にもかかわらず願いを都合のいいように解釈したのが「ずるい」と。
ダモクレスの戦いではナナリーもルルーシュと同じく身を捧げて憎しみの連鎖を断つつもりでおり、それを知ったルルーシュからしてみれば、自分が犠牲にならないとナナリーが役割を引き受けかねず、かつ真実を伝えることができない(=話し合うことができない)という状況。
ルルーシュはギアスのかかったナナリー相手にしか思いを伝えることができず、ナナリーからの告白も僅差で届かなかった…という悲劇的なすれ違いが二人の物語として成立していました。
カレン「スザク、決着をつける時が来たようね。私達のすれ違いに」
ニーナ「ロイド先生とラクシャータさんって、昔何かあったんですか?」
セシル「些細なことよ。後から考えてみたらなんてことはない、出発点ってだけ」
この「すれ違い」はコードギアスにおけるテーマの一つとなっています。ルルーシュとスザクの関係然り、スザクとカレンの関係然り、根っこのところで目的は共通しているのに何かが噛み合わないせいで対立してしまう。
最終話におけるナナリーの「お兄様だけでよかったのに」というセリフは、二者のすれ違いを端的に表しています。原因となったのは「一緒に暮らせるだけでいいとナナリーが思っていることにルルーシュが気づかなかったこと」と「ナナリーがルルーシュとの暮らしを本人に望まなかったこと」。そこがすれ違いの切欠であり、ゼロレク遂行直前でのニーナとセシルの会話が暗に示す「些細なすれ違いからきた出発点」なのでしょう。
再会したナナリーは「昔のような」一緒の暮らしを望みます。かつての願いそのままの形をルルーシュに伝えており、これこそまさに二人のすれ違いがナナリーの本心を基として起きていたことの裏付け・・・になるはずだったんですが。
すれ違う切欠となっていたはずの願いを、しかも物語の締め括りに入ってる場面で断ってしまったら、それはもう初めからナナリーの意向次第で行動を変えるつもりが無かったことを示唆してしまいます。
すれ違いとは何かが一つ違えば別の運命になるからこそのすれ違いです。そこを改めてもルルーシュの行動に変化が生じないなら、そもそもすれ違ってすらいません。
でもナナリーの本当の願いをユフィから知らされた際に、決して呑めない提案であるはずの特区日本設立を受け入れようとしてましたよね。
それに、あれだけ拘ってきたナナリーの意志を尊重する気が初めから無かった…というのはルルーシュのキャラ像に合いません。ルルーシュは人の意志・願いを重要視してるはずなのに。
「最初は本気でナナリーの意志に沿って行動してるつもりだったが、ユフィとの対話を通じて過ちに気づかされ、やり方を改めようとする。しかし直後に大惨事を招いてしまい、ナナリーを言い訳にして進まざるを得なくなった」、と考える方が自然です。
そもそもあれだけ悲劇的なすれ違いを描いておきながら、和解しただけで何もなく終わり・・・という話運び自体がすれ違いを否定してる気はしますが。
本編ではルルーシュとスザクの共闘が実現されてますし、『復活』においてもスザクとカレンが同陣営下で戦えていることについて「君とこんな話ができる日が来るとは」なんて言わせているあたり、ギアスではすれ違いを正せたら相応の結果が実ることを作り手も意識しているはず。
作中最大と言っていいすれ違いを解決したというのに、その結末を肩透かしに終わらせるのは何故なんです?
■ナナリーの提案の意図
ナナリー「お兄様だけが罪を背負うことはありません。私も、同罪なのですから!」
ルルーシュが旅立つ直前、「ローデュスの民家でナナリーが思いを伝えるシーン」では、まるでナナリー自身がルルーシュとの暮らしを求めているかのような描かれ方をしていましたが、ナナリーは自分のわがままを第一に何かを願ったりしないはずです。
C.C.やスザクも言えますが、ギアスにおける善性のキャラクターは自分のためだけに他者に何かを求めることをしませんし、したとしても因果応報として返り、過ちとして本人に受け入れられます。逆にシャルルやマリアンヌなどは、自分のことしか考えない身勝手な願いを持つ人物として描かれています。
『R1』5話でルルーシュとC.C.が婚約関係にあると思い込んだ際、自分の傍からいなくなってしまうことを残念に思いながらも受け入れようとし、『R1』12話では「今だけは手を握っていて欲しい」とも言っており、いずれは共に暮らせなくなると考えていた節はあります。
『R2』6話では「ずっと兄に守られてきた」「兄に見られても恥ずかしくない選択をしたい」と言っており、この時点で既に願いを諦めているように見えます。その上『復活』時点で責任の重い立場にいて、フレイヤ関連で罪を背負っていて・・・正直な話、いまさらナナリーがルルーシュと昔のような暮らしを求め出すのは不自然です。そりゃまあ共に望んだ世界の中を過ごせるものならそうしたいという願い自体はあるでしょうけども。
上記の台詞を言う直前に、ルルーシュは「ここ(表の世界)には居られない」と言い、ギアスのかけら回収の旅に出て行きます。つまりルルーシュはギアス回収のために危険な世界に身を置き続けるつもりでおり、ナナリーが昔のような平穏な暮らしを求めた一番の理由はそこにあるのでしょう。
「罪が平穏に生きることを許さないなら自分もすべてを捨てて共に罪を背負い続ける。だからもう危険なことはやめて安全な世界で生きてほしい」という意味に解釈しています。
■スザクの提案の真意
ルルーシュ「じゃあな、スザク。それ(ゼロの衣装)返すから」
スザク「しかし・・・」
ルルーシュ「言っただろ、俺は仮初めだと。ここにはいられない」
スザクは作中で二度、ゼロをルルーシュに返そうとします。
結団式中と、上記台詞、ナナリーがルルーシュに願いを伝える直前。
結団式でゼロの役目を返そうとしたのはルルーシュの方が適材だからってことで納得できます。しかしゼロをやれない理由を説明されていたにもかかわらず再度、それも「しかし」と食い下がってまで返そうとするのはおかしい。何か他の事情があることになります。
と言っても他人本位の塊みたいなスザクが「ゼロをやりたくない」だとか「自分の傍にいてほしい」なんて自分本位な理由でせがむとは思えません。願い自体は持ってるかもしれませんが。
ゼロに戻すことでルルーシュをナナリーの傍にいさせようとしたんだと思います。仮初めでいつ消滅するかもわからないんだったら尚更ナナリーの傍にいてあげてほしい、とスザクなら思うはずです。何せルルーシュの亡骸の前で泣き崩れているところを一番近くで見てたわけですから。
つまりナナリーとスザクの提案の意図とは、それぞれ「ルルーシュに安心して過ごせる世界で生きてもらう」「ルルーシュをナナリーの傍にいさせる」だったわけで・・・。
気づいた人もいるでしょうが、この二つはかつてのルルーシュが二人に対して一方的に仕向けた、そして最終的にちゃっかり叶えてる「ナナリーに安心して過ごせる世界で生きてもらう」「スザクをナナリーの傍に置く」の対象を入れ替えたものです。
■ローデュスの民家での三者の立ち位置がユフィの願いとゼロレクイエムの状況の再現
ナナリー「一緒に暮らしましょう、昔みたいにまた。お兄様だけが罪を背負うことはありません。私も、同罪なのですから!」
ルルーシュ「ありがとう、ナナリー」
ルルーシュが旅立つ直前のやりとりは、特区日本設立時のユフィの願いを彷彿させる場面になっています。
前述のとおり、スザクはゼロをさせることでルルーシュをナナリーの傍に置こうとしています。つまりルルーシュがゼロに戻った場合、結果としてスザクは自分の地位を捨てることになります。
これはかつてのユフィが取った行動に重なります。ユフィが自分の皇位を捨てたのは、特区日本にゼロを受け入れ、ゼロの務めとナナリーの傍に置くことを両立させるためだったので。
ナナリーの台詞の「一緒に暮らしましょう、昔みたいにまた」も、明らかに『R1』20話でのユフィの「ルルーシュ、また昔みたいに(ナナリーと居てあげて)」を意識してますし、ユフィの願いが再度ルルーシュに伝えられている構図になってるわけです。
そしてもう一つ、このシーンはゼロレクイエム周りの構図も再現されています。(「片膝をついて『ありがとう、ナナリー』と伝えるルルーシュ」、「両手でルルーシュの手をとるナナリー」、「二人を傍で見ているゼロ服を手に掛けたスザク」など)
ナナリーが伝えられなかったことを伝えている場面なのは間違いないのですが、ゼロレクイエム周りの状況を再現することで演出を強めているわけですね。
思いを伝えるためのシチュエーションをここまで整えておきながら、何一つ願いが聞き入れない展開になるのはあまりに不自然です。
■ナナリーを置いてきた理由の説明をしているときにC.C.の顔を見てない
ルルーシュ「俺も、行く」
C.C.「はあ?ナナリーは!?」
ルルーシュ「ナナリーは・・・ナナリーは、もう一人でも立派に生きられる。俺がいても、邪魔になるだけだ」
ラストでルルーシュがC.C.を追いかけてきたときのセリフ。これはもう「ナナリーの提案は断わられた」という意味にしか取れません。断るのは不自然極まりないのに、断れたようにしか見えない。
この矛盾を解決するとなると、ルルーシュが嘘をついていると考えるしかないでしょう。言葉のどこかに嘘が含まれていたとなれば、嘘をついた意図がなんであろうと完全な否定材料として機能しなくなるので。
そして実際に、このときのルルーシュはC.C.の顔を見て話していないという、嘘をついていると判断でき得る描写があります。息を切らせているせいで終始わかりづらいですが。
ルルーシュは後ろめたさのある嘘をつくとき、相手の顔を見ないで話すことが多いんです。『R2』の土下座回がわかりやすいですね。
「ナナリーは・・・」と息を整えているところまではC.C.を見ているはずですが、その後「ナナリーはもう立派に~」と話し出す際に頭が少し下がったことで、顔が微妙に下を向きます。
そして「ナナリーはもう立派に生きられる」と「そこに俺がいても邪魔になるだけだ」というセリフ時の二つの絵。
これらは、一息つくモーションを挟んで存在します。私は最初、前者と後者でまったく同じ絵を使いまわしていると思っていたんですが、よくみると新規に描き直されていて完全に同じではない。そして前者と後者で視線の向きだけが明確に違う。後者では上目遣いになっています。
以上を踏まえると、「ナナリーはもう一人でも立派に生きられる」と言っている間はC.C.の顔より下を見ており、「そこに俺がいても邪魔になるだけだ」の間は、顔を見てはいるが上目遣いで見ていたことになります。
ようするに説明の間C.C.の顔をまともに見てなかったってことです。
■C.C.が不機嫌になった訳
ルルーシュ「ナナリーは・・・ナナリーは、もう一人でも立派に生きられる。俺がいても、邪魔になるだけだ」
C.C.「だったら、他にもあるだろ。シャーリーや神楽耶のところに、顔を見せに行ったらいいじゃないか」
ルルーシュ「シャーリーには・・・いずれ連絡を取るつもりだが、今行くと大騒ぎになる」
C.C.「ふん、身の回りを世話する奴が必要なら他を当たれ」
ナナリーと別れた理由を説明をした後、C.C.の機嫌はどんどん悪くなっていきます。(両腕で押しつぶされて怒り顔に歪んでいくもこちーがC.C.の心情を表している)
ただこれ…よくよく考えると、怒る理由がわからない。ルルーシュは聞かれたことに答えただけです。これが例えば、「なぜ私について来ようとするのか」って問いに対し、ナナリーやらシャーリーやらの話を持ち出されたのなら怒るのもわかりますが。
来るのが遅かったから不貞腐れたのか?とも考えましたが、直前まで自分のところには来ないと思っていたのだから、やはりそこは嬉しそうにするか照れ隠しするのが普通のはず。
ひょっとして嘘をついていることに気づいたから怒ったのでは?そうだとしたら色々合点がいきます。後述しますが、C.C.はルルーシュがナナリーの願いを聞き入れたと確信できるほどの何かを目撃しています。そんなC.C.がルルーシュのあの説明だけで納得できるとは思えません。
二つ目に、ルルーシュがナナリーの提案を受け入れたことを隠していると仮定した場合、嘘をつかれたことにC.C.が気づいてなければラストのC.C.の笑顔のシーンが茶番になりかねないこと。
三つ目に、ルルーシュの目を逸らす嘘はバレるまでがセットであること。
スザク「ホテルジャックから、生徒会のみんなを救ったのは!?」
ルルーシュ「黒の騎士団のデビューに、利用できると思ったからだ」
スザク「(中略)嘘だな」
シャーリー「ねえルル、どうして私にキスしたの?」
ルルーシュ「そ、それは・・・好きだから」
シャーリー「嘘、本気じゃないくせに」
であるなら「身の回りを世話する奴が必要なら他を当たれ」というC.C.のセリフは、嘘をついて自分について来ようとするルルーシュの裏を読もうとしたための発言ということになります。
■C.C.がルルーシュの元を去ろうとするタイミング
C.C.はそれ以前にも不自然な挙動を見せています。
民家でナナリーとルルーシュが話し合い、スザクの微笑むカットが挟まれた直後、「俯瞰視点でC.C.が民家からゆっくり去っていくカット」での話。
ルルーシュのことを想って自ら身を引くC.C.を表現している場面と取れるわけですが、このときのC.C.の目の前にある家はルルーシュたちのいる建物。そしてC.C.が向いている方向は建物の開口部分。つまりC.C.は二人のやりとりを遠目にずっと見ています。
方向転換して去り始める直前に、前のめりになって何かを注視する奇妙な動きをとったりもしているので、間違いないはず。(本当にC.C.からルルーシュたちが見える位置関係かどうか一応検証しましたが、ナナリーが「一緒に暮らしましょう、昔みたいに」と言ったときのカットがそのまま見えている感じの位置取りになってました。横向きになったナナリーとルルーシュが互いに向き合っている絵です)
このカットが入るタイミングは二人が話し合ったシーンの直後ですから、もしもこのときルルーシュが誘いを断るような絵面になっていたなら、C.C.はその場に残る方が自然なはず。
にもかかわらず、座ってルルーシュ達を見ているC.C.がゆっくり立ち上がり、後ずさりし、しまいには去っていく・・・という真逆の流れになってしまう。
つまり少なくとも、C.C.が去り始めるまでの間、特にルルーシュがナナリーの元から離れるようには見えないやりとりが続いていたことになります。
また、何かを注視した動きの直後に去るということは、「そのとき見た何かが決定打となって去ることを決めた」と取れます。それも加味すると、C.C.から見て「ルルーシュはナナリーのところに残るのだ」と思えるやりとりが行われていた、と考えるのが自然です。
■ルルーシュから呼び止められたC.C.の反応の仕方がおかしい
その可能性を後押しする奇妙な点が、ルルーシュがC.C.を追いかけてきた際になぜ追ってきたのかをまったく理解できてなかったこと。
ルルーシュ「C.C.!待て、C.C.!」
C.C.「・・・え?」
C.C.「そういうところは変わらないな」
ルルーシュ「違、お前が、勝手に・・・」
C.C.「で、なんだ。忘れ物か?」
ルルーシュ「俺も、行く」
C.C.「はあ?ナナリーは!?」
二人とも表に出られない存在なのだから、ルルーシュがC.C.と共に行動しようとする可能性は客観的に見ても十分あります。ましてやC.C.は作中で「ルルーシュが公に救助されるわけにはいかないだろう」「私は表だったグループに入れないしな」と発言しています。約束のこともありますし、ルルーシュが実際に追ってきたというなら、自分と共に行こうとしていることに感づかないはずがありません。
というかルルーシュが「お前が勝手に」と言っているあたり、C.C.と待ち合わせしていた可能性もあります。
「ルルーシュが来てくれることは決して無い」とC.C.が判断するだけの理由があったことになります。
ルルーシュにナナリーのことをどうするのか聞いてきたのは、ナナリーのところに残ると確信できるほどのやりとりを目撃したから、ではないでしょうか。
■現にナナリーを置いてC.C.についていったが?
実際に去って行ってるわけですから、その上で聞き入れているとなると、最低でも「いずれ一緒に暮らすつもりでいる」と考えなければなりません。
とはいえ一緒に暮らすと言っても本当に昔のような、学園生活をおくっていた頃のような状態には戻れないはずなので、二人とも歩みを止めることなく一緒に居られる方法となると、スザクの言うようにルルーシュがゼロに戻るしかないと思うんですが。
結論を言うとルルーシュとスザクが二人ともゼロになり、交代でナナリーの傍にいるよう取り決めたのではないかと私は思ってます。説明は省きますが、C.C.ナナリースザク三人との関係性を尊重する選択となるとこれくらいしか思いつかないので。
■最後に
ルルーシュがスザクの頼みを聞かずナナリーを置いていくのは、一見すると「ルルーシュにはC.C.との約束以外に思い残すことがなく、スザクもナナリーも言ってることがわがままで、不老不死になったルルーシュには生者の世界に手を出す資格が無く、いつ消えてしまうかもわからないのにゼロに戻るわけにはいかず、いまさら元の平穏な暮らしに戻るのは無責任だから」…と思えます。
しかし実際にはルルーシュはナナリーに心残りを持っており、スザクはナナリーのために、ナナリーはルルーシュのために頼み込んでます。
その頼みはスザクナナリーに求めた願いが自分に跳ね返ってきたものであり、ルルーシュが台無しにしたユフィの願いでもあり、ナナリーが一緒の暮らしを求めるのは本編における二人のすれ違いを裏付ける選択で、そんな行動がゼロレクイエムに倣ったシチュエーションで行われている。
ルルーシュは「世界に手を出すべきではない」と言ってましたが、実際にスザクとナナリーを助けるために介入しているので説得力が無く、スザクとルルーシュ二人でゼロを担うのであれば、仮にルルーシュが突如消滅してしまったとしてもスザクがフォローできます。
そしてゼロとして傍に居るなら、ルルーシュもナナリーも罪に対する責任を放棄することにはなりません。
また、スザクがゼロを返そうとした理由がルルーシュをナナリーの傍に置くことであった場合、スザクが最後に見せた意味ありげな笑みは、「ルルーシュがナナリーの願いを聞き入れたことへの確信・安堵」としか捉えられなくなります。あの表情は、スザクの頼みが直前に断られているのを踏まえたものなので。
ルルーシュがナナリーの願いを受け入れるのはまったく不自然ではないんです。断ったことだけが不自然なんです。
『R1』が『R2』の話の流れに倣っているように、『復活』は本編での話運びを所々でセルフオマージュしてます。
「(ルルーシュが生存し)C.C.の願いを叶えた可能性を隠していたこと」「C.C.との関係性よりスザク・ナナリーとの関係性を引き立てたこと」、これらの逆を『復活』はやっているんじゃないかと思うんです。
話を綺麗に纏めないためにわざわざそんなことをしたのではないか、見る側に心残りを作らせるために敢えてナナリーとスザクをぞんざいに扱ったのではないか、と。
コードギアスはそういうことする気がします。『R1』も『R2』も見終えた側にダメージを残す作りになってましたからね。
他にも、
・L.L.を名乗ることは過去を捨てるどころか過去を捨ててないことを意味する
・ナナリーはコードギアスにおけるもう一人のヒロイン的立ち位置
・心残りがあったのは最終話のナナリーの慟哭が聞こえてたから
とか色々書きたいことがあるんですが、記事が膨れすぎるのでこの辺にしときます。
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