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AIマンガ翻訳「オレンジ」が話題!漫画と翻訳業界の未来を考察

公開日:

2024.5.7

更新日:

2024.5.8

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漫画をAIに翻訳させるスタートアップ「オレンジ」が話題となっています。

2024年5月の情報によると、小学館や政府系ファンドJICなど、10社がオレンジに総額29.2億円を出資するようです。

今なぜオレンジが話題となのか、未来の翻訳業界はどうなるのか、という点について考察していきたいと思います。

1. 「オレンジ」とは?

株式会社オレンジは2021年に創業され、AIを使ってマンガを翻訳するサービスをメインに展開しています。

運営サービスは2つあります。

1つ目は、AI翻訳の「Factory」、2つ目はマンガ専門の電子書籍「emaqi」です。

2024年5月現在は、B向けの「Factory」を中心に展開しているようですが、2024年夏にアメリカからC向けの「emaqi」をリリース予定。

創業者は「白猫プロジェクト」で有名なコロプラの元事業責任者の宇垣承宏氏であり、メンバーは、元住友商事の方や、AI・データサイエンスのバックグラウンドを持った方が中心となっているようです。

ゲーム出身の宇垣承宏氏が、同じエンタメ畑の漫画に着目した点は頷けます。

また、AIやデータサイエンスに強いメンバーを揃えていることから、エンタメの中でもB向けらしい手堅い布陣な印象です。

C向けにキャラクターやストーリーなどのIPを作るのではなく、B向けの翻訳という裏方に特化している点が特徴です。

ただ、C向けの「emaqi」のリリースが控えていることは興味深いですね。

これにより、B向けの「FACTORY」で翻訳したマンガ作品を、そのままC向けの「emaqi」でリリースするということも可能になるでしょう。

日本の作品を海外に一気通貫で届ける考えなのかもしれません。この辺りの戦略にもスマートさを感じます。

ただし、大手出版社はこれから自社で翻訳体制を確立していくでしょうし、海外向けのマンガアプリを内製しているところもたくさんあります。

オレンジが、大手ではなく小規模出版社か、もしくは、個人の漫画家をターゲットにしている場合はうまく住み分けできるでしょうが、大手出版社との関係性が気になるところです。

小学館から出資を受けたということは、大手に食い込むことは当然考えていると思うので、これからオレンジがどの方向に進んでいくのか注目したいところです。

2. AI翻訳「Factory」の特徴は?

翻訳サービスに関しては、オレンジが紹介動画を出しています。

SNSで話題の「ねこに転生したおじさん」とコラボしていて、AI翻訳の未来を感じさせます。

動画を見たところ、オレンジのAIの特徴は以下の4ステップを自動で行うところに強みがあるようです。

  1. AIが漫画の「セリフ」や「効果音」のテキストを自動解析

  2. 日本語の文字を自動削除

  3. テキストがあった部分の背景を自動で補完

  4. 翻訳した言語を自動で再配置

実際どれほどのクオリティなのかは、実物を見ることができないので確認はできませんが、もし実用可能なレベルであれば、翻訳にかかっていた時間の多くを削減することになるかもしれません。

ただし、Factoryの説明を見ると、土台のベースをAIが翻訳した後に、しっかりとプロの翻訳家と写植家が仕上げを行うようです。

やはり、日本語独特のニュアンスやマンガ特有の間をAIに100%任せることはまだ現実的ではないでしょう。

あくまで「AIがこれまでの翻訳プロセスを削減する」という点がこのサービスの強みになるのではないかと思われます。

AIの進化と共に、AIと翻訳家の役割分担がどのように変化していくのか、という点に注目が集まりそうです。

3. マンガ翻訳の未来はどうなる?

オレンジのAIに関して、世間は賛否両論、色々なリアクションがあるようです。

注目を浴びた点ではやはり小学館がAI翻訳に出資したというインパクトは大きかったのでしょう。

ついにエンタメ界でも、AIによる翻訳がついに本格始動したという印象を残しました。

しかし、肯定的な意見だけではなく、懐疑的な意見も多く見受けられました。

主にネガティブな反応は以下2点にまとめられると思います↓

  1. AI翻訳では正確なニュアンスが伝わらない

  2. 翻訳できる人材が育たなくなる

この2点について、少し考察してみようと思います。

①AI翻訳では正確なニュアンスが伝わらない

これは現時点のAIのクオリティでは間違いなく発生する問題でしょう。

マンガのみならず、小説、映画、舞台など様々な作品において、言葉には独特なニュアンスが内包されているものです。

その国の言語、文化、作者の考えなど、全ての要素が組み合わさって、1つの作品は成立しています。

今のAIがこのニュアンスまでを完全に理解できるかという点においては、まだまだ無理があるでしょう。

だからこそ、オレンジの「Factory」も、あくまで土台の翻訳はAIにやらせつつ、最後の仕上げは人間であるプロに任せるという体制をとっているのだと考えられます。

ちなみに、この点について、興味深い指摘があります。

映画の字幕翻訳で有名な戸田奈津子氏がAI翻訳について、「AIは大半の英文化の学生よりはすでに上だ」と認めつつ、次のように語っています。

「コンピューターには感情がない」

「少なくとも私が生きている間には乗っ取られない」

「人間の素晴らしさはイマジネーション」

引用:【AIには感情が無い⁉】映画字幕翻訳者、戸田 奈津子さんに尾河 眞樹(SFGI)が聞く

まさにこれが、今のAI翻訳の現状を表しているでしょう。

試験やテストのようなただの英訳ならAIは得意な一方、感情や空気を読まなければならない翻訳はAIが不得意な分野だ、ということです。

「独特なニュアンス」をAIが読み取れるようになるということは、つまり、AIの感性が人間にまずは追いつく必要があります。

すでに、AIが英語の試験で高得点を叩き出しているというニュースもありますが、言葉に内包される「独特なニュアンス」をAIが読み取れるようになるにはまだまだ時間がかかると思われます。

ほかにも、小説界の翻訳では村上春樹氏が有名ですが、彼のような文豪でさえ、様々な著書でその翻訳の難しさについて、文化的側面から語っています。

全ての作品の翻訳をAIが担うには、まずは世界中の文化や風習を理解する膨大なパラメータが必要になります。

これが現実となるまでは、当分の間、「人がAI翻訳をサポートツールとして使う」ことを前提として続いていくでしょう。

翻訳できる人材が育たなくなる

2点目は、「翻訳できる人材が育たなくなる」という懸念ですが、これは「翻訳を目指す人が減る」というほうが正しいと思います。

1点目で述べたように、これから当分の間、作品分野において人間の翻訳家の需要が急減するということはまだまだ考えにくいです。ですので、需要がある限り、その分野のスキルを学ぶ機会はまだまだ残るでしょう。

一方、プロの翻訳家を目指す人は減るでしょう。

なぜなら、「AIに仕事を奪われることが怖いから」です。

実際に奪われるか奪われないかではなく、「奪われるかもしれない」という不安を抱いたままその分野を進むのは非常に勇気がいることです。

本人がプロの翻訳家に憧れ、志したとしても、家族や学校の先生から「やめておけ」と止められてしまうかもしれません。

将来の道を決めるのは、おそらく10代でしょうから、日々スマホから得る情報や、周りの大人の声は絶大な影響力を持ちます。

これだけ「AIに仕事を奪われる」という恐怖喚起が行われている現代で、不安を抱かないほうがむしろ難しいでしょう。ですので、「翻訳スキルを学ぶ環境は残るが、そもそも翻訳家を目指す人が減る」ということを懸念すべきではないでしょうか。

しかし、これは逆にチャンスとも言えるかもしれません。

なぜなら、翻訳家のニーズは思ったよりも残り続けるにもかかわらず、ライバルは減るわけです。

当然、AIの進展が想像以上に進むリスクは残りますが、勇気を持ってチャレンジした人が最後は報われる可能性も十分あるというわけです。

もし、「翻訳家を目指したいけどAIが不安」という方がいれば、周りは素直に応援すべきではないでしょうか。

将来需要があるかないかで仕事を決めるよりも、「やりたいかどうか」で決めるべきだと考えます。

将来需要が増えると思われる仕事はみんなが目指し、いずれ供給過剰で競争が激化します。

今のエンジニア業界を見ているとそれは明らかです。あれだけ必要と言われていた職種にも関わらず、すでに飽和気味どころか、自身がAIに奪われる危険性さえ出てきているわけです。

一方、将来需要が減ると思われる仕事は誰も目指さないので、いずれ供給不足になり競争が緩和します。

このように資本主義というのはよくできているので、まずは「自分が本当にそれをやりたいのか」で仕事を決めるべきです。

周りの声に流されて好きでもない仕事に就き、不幸になるケースも多々あります。

もし、この記事の読者の中に翻訳家を目指している方がいらっしゃれば、まずはぜひ、「"自分の好き"を大切にしてください」とお伝えしたいです。

4. まとめ

マンガに特化したAI翻訳企業「オレンジ」に着目しました。

B向けのAI翻訳「Factory」を展開し、その出口としてC向けの電子書籍サイト「emaqi」を展開するなど、その戦略は非常にスマートです。

今は小学館などから調達していますが、今後は他の大手出版である、集英社や講談社がどう出てくるかに注目したいところです。

集英社などは自社で海外向けアプリも展開しているため、翻訳部分を自社で内製化するのか、オレンジのような企業にアウトソースするのか気になります。

一方、AIがどれだけ進化しても、作品のオリジナル言語のニュアンスを感じ取り、違う言語のニュアンスに置き換えるという技術はそう簡単にできるものではありません。

まだまだ、翻訳業界においてもAIと人間の協業は続いていくでしょう。

大切なことは、AIが人を置き換えるかどうか考察することではありません。本当に大切なのは、AIや人間に関係なく、「どれだけ最終アウトプットのクオリティが上がるのか」という点です。

AIが人の仕事を100%置き換えたところで、アウトプットのクオリティが下がってしまうのであれば意味がありません。

人がやっていた翻訳クオリティが100だったものが、AIを使うことによって200になることが理想です。

エンタメ業界のAI活用は今後ますます進んでいくでしょう。よりエンタメ業界が発展し、大勢の人々に感動が届けられるようになることを願っています。

参考文献

株式会社オレンジ

AI翻訳で漫画5万点輸出へ 小学館やJIC、新興に29億円

漫画特化の深層学習モデル開発を手掛ける Orange 約2.5億円の資金調達を実施

数学が1点では…ChatGPT、英語8割超も「東大不合格」

【AIには感情が無い⁉】映画字幕翻訳者、戸田 奈津子さんに尾河 眞樹(SFGI)が聞く

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