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西田拓也五段の石田流組み換え 対 伊藤匠五段の居飛車持久戦

三間飛車戦法とは ~変幻自在の振り飛車戦法~

三間飛車

変幻自在の振り飛車戦法「三間飛車」

「三間飛車戦法」とは、飛車を居飛車の位置から左辺に振って戦う、振り飛車戦法のうちのひとつです。先手なら7筋(第1図)、後手なら3筋(第2図)に飛車を振ります。

【第1図は3手目▲7八飛まで】
  
【第2図は6手目△3二飛まで】
  

数字が小さいほうがわかりやすいからでしょうか、「七間飛車」とは呼ばれず、後手番のときの筋をとって「三間飛車」と呼ばれています。

以下、基本的に先手番を例にとって説明します。

三間飛車の特徴

振り飛車戦法のひとつである四間飛車との違いに触れつつ、三間飛車の特徴を挙げると、以下の通りです。

POINT
  • 派生する戦術が豊富
  • ▲6八銀型、▲5七銀型に手損なく組める
  • 7筋からの仕掛けに強い
  • 6筋からの仕掛けにやや弱い
  • おまけ:雁木との二刀流も可能

それぞれについて説明していきます。

派生する戦術が豊富

言わずと知れた石田流をはじめ、真部流、コーヤン流、4→3戦法、トマホーク(第3図)、三間飛車穴熊、三間飛車藤井システムなどなど、派生する戦術が非常に多いのが三間飛車の特徴です。

【第3図は▲6五歩まで】
  

石田流はさらに石田流本組み(第4図。▲9七角型の石田流)や升田式石田流、楠本式石田流、立石式石田流(立石流四間飛車)などに分かれます。

【第4図は31手目▲5八金左まで】
  

鬼殺し(第5図)や早石田などの奇襲戦法もあります。

【第5図は5手目▲7八飛まで】
  

2010年ごろからは、初手▲7八飛戦法(猫だまし戦法)、2手目△3二飛戦法(後手番猫だまし戦法)、うっかり三間飛車(第6図。誤植ではありません)など、低い陣形で駒組みを進める角道オープン三間飛車が新たに指され始めました。

【第6図は3手目▲7八飛まで】
  

これらの角道オープン三間飛車は、石田流狙いというよりも、角道を開けたままとすることで居飛車の駒組みを牽制する狙いの方が大きく、角交換三間飛車となることも苦にしません。三間飛車のバリエーションの拡大に大きく貢献しました。

▲6八銀型、▲5七銀型に手損なく組める

四間飛車では飛車が6八にいるため、左銀が6八→5七と進出することができません。一方の三間飛車ではこれが可能です。このメリットを最大限に活かした陣形のひとつが、対居飛車穴熊の真部流で現れる4筋位取り美濃囲いです(第7図)。

【第7図は33手目▲4六銀まで】
  

玉が堅く、広く、そして▲5五歩や▲3五歩からの攻め味もあり、非常に美しく優秀な陣形です。

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VS居飛車穴熊の基礎知識 真部流とは 対居飛車穴熊の作戦の中で最も美しい布陣、それが「真部流」です。故・真部一男九段が愛用していたためこの名が付いた、とされています。居飛車側が四枚穴熊に組むのをあえて阻止せず、目一杯穴熊囲いに手数をかけさせます。その代わりに、三間飛車側は4筋の位をとって▲5七銀型から▲4六銀と上がり、4筋位取り「四枚」美濃囲いを目指す構想です。

また、角交換三間飛車でも左銀が6八に移動できるメリットは大きく、例えば2017年7月に行われた第58期王位戦七番勝負第2局、菅井竜也七段 対 羽生善治王位(いずれも段位は当時)戦では、うっかり三間飛車からの巧みな角使い(角交換後、▲7七角打〜▲6六角)と6八〜5七〜5六という銀の盛り上がりで振り飛車ペースとなりました(第8図。王位戦中継サイトで棋譜と詳しい解説を観ることができます(2018年6月時点))。

【第8図は43手目▲5六銀まで】
  

7筋からの仕掛けに強い

三間飛車は、もともと7筋に飛車がいるため、棒銀や斜め棒銀(第9図)などの7筋からの攻めに強いという特徴があります。四間飛車の場合は仕掛けの周辺で6八から7八へ飛車を振り直すことが多いですが、三間飛車の場合はその1手が不要です。

【第9図は28手目△7五歩まで】
  

6筋からの仕掛けにやや弱い

一方で、6筋からの仕掛けに弱いという弱点もあります。例えば第10図は先手居飛車急戦 対 後手三間飛車の、昭和の代表的な急戦定跡のひとつです(居飛車が先手のため4筋からの攻め)。

【第10図は▲4五歩まで】
  
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それでも正確に指せば互角以上に戦えるというのが定跡です。

最近では5筋の歩を突かず、腰掛け銀にして6筋から仕掛けてくる形が流行している傾向があります。例えば第11図は第3期叡王戦段位別予選、▲藤井聡太四段(当時)対△杉本和陽四段戦です(叡王戦Webサイトで棋譜を観ることができます(2018年6月時点))。

【第11図は25手目▲4五歩まで】
  

これらについてはまだ定跡が確立されていません。今後の動向が注目されます。

おまけ:雁木との二刀流も可能

「居飛車穴熊にされるのがいやで三間飛車は指せない・・・」という方には、最近流行の雁木との二刀流で相手の居飛車穴熊狙いを牽制することも可能です。これは最近橋本崇載八段(ハッシー)が得意としている作戦で、△4三銀型にしてから早めに端歩を突いて相手の出方をうかがいます(第12図)。

【第12図は12手目△3二飛まで】
  

相手も端歩を突いてくれば、三間側が一方的に端歩を詰めるのに比べ2手分得するので、石田流へ組み替えや、高美濃から銀冠への囲いの進展がしやすくなります。また、対急戦でも端歩の付き合いは三間側に優位に働きやすいといえます(「コーヤン流三間飛車の極意 急戦編」参照)。もし相手が端歩を突いてこなければ、雁木にしてその後端歩の位を取ることを視野に駒組みを進めます。

雁木の流行は、「なんちゃって三間飛車」を指しやすくした効果があり、三間飛車党にとってはうれしい傾向といえるでしょう。

自分の色を出せる三間飛車戦法

将棋を覚え始めたばかりだけど強い相手にとにかく早く一発入れたい、という方には、鬼殺しなどの奇襲戦法があります。

着実に力を付けたい方はノーマル三間飛車+美濃囲い→高美濃→銀冠を。基本を卒業したかなという方や攻撃的な方は、3手目▲7五歩からの石田流に挑戦してみてください。

さらなる発展形として角交換三間飛車があります。

一通り指したら、あとは自分に合うと思った、自分好みの三間飛車を連採すればよいでしょう。もちろん気分やローテーションで切り替えるもよし。

三間飛車戦法で、自分らしい将棋が盤上に表現できるはずです。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • お世話になります。とにかく三間何が何でも三間大好きおやじです。改めて初めから三間勉強しなおしてまいりますので、色々と投稿お願いいたします。

    • trombone8さん

      コメントありがとうございます。

      これまでに三間飛車のさまざまなバリエーションを紹介・解説してきていますので、まとめ記事やサイトマップをご覧ください。

      今後もマイペースで更新していきますのでよろしくお願いします。

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