炎症性腸疾患の道標/高橋涼介[特別編]

潰瘍性大腸炎、クローン病の病態と治療法から最適な献立・一品料理を掲載。

食事のたいせつさはわかっていても…

2010-01-30 13:58:04 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
食事のたいせつさはわかっていても…
食事療法がたいせつだとわかっていても、めんどうくさい、手を抜きたいと思ってしまうものです。食事は毎日のことなのでたいへんですが、簡単に、おいしく作れるのがいちばん!です。
そこで、手抜きのテクニック&メニューをお教えしましょう。いわゆる、正しい治療法からはかけ離れますが、ご了承願います。
①干し魚(アジやサケなど)は、オー ブントースターの天板にアルミ箔を敷いた上で焼くと洗う手間が省けます。オーブントースターがない場合は、フッ素樹脂加工のフライパンで、中~弱火で焼きます。干し魚は焼いても日もちがするので、まとめて焼いて、混ぜごはんやチャーハン、お茶づけなどの具にする、おろし大根であえて食べるのも美味です。
②魚の塩焼きや照り焼きも同様に、フッ素樹脂加工のフライパンで焼きます。みそ漬けや粕漬けにした魚は、みそや粕を洗い流してペーパータオルで水けをふきとり、耐熱皿に並べてラップをし、電子レンジで加熱すればでき上がりです。
③じゃが芋はきれいに洗って皮ごとラップに包み、電子レンジでチン。塩をかけるだけでおいしく食べられますし、ポテトサラダやいため物などにも使えます。
④ほうれん草、ブロッコリー、カリフラワー、さやいんげん、かぼちゃなども電子レンジで加熱できます。

食品を無駄なく使いきるコツ
「ひとり暮らしで材料を余らせてしまい、不経済に感じる」という声も耳にします。食品の正しい保存方法を知れば、材料をむだにすることはなくなるでしょう。
①ごはんやパンなどの最も適した保存方法は、冷凍です。ごはんは時間があるときにたくさん炊き、1食分ずつ小分けにして冷凍保存し、食べるときに電子レンジで解凍しましょう。
パンも、冷凍しても劣化が少ない食品です。食パンなどは袋のまま冷凍し、自然解凍するか、凍ったままオーブントースターで焼いてもOK。冷凍保存で1ヵ月はもちます。
ゆでめんも袋のまま冷凍できます。また、乾めんは常温で長期保存が可能なので、ぜひ常備したい食品です。
②肉や魚などは、使いきれなかった分は50~70gに小分けしてラップに包み、冷凍しましょう。
刺し身が余った場合は、白身魚ならばこんぶではさんでラップに包み、白身魚以外はしょうゆに漬けるなどします。翌日、軽く焼くだけで立派な主菜になります。
納豆は、パックごと冷凍保存が可能です。
卵は、保存する場所の温度や日数によって鮮度が違ってきます。10度以下で冷蔵保存しましょう。賞味期限は生で食べることを保証するもので、期限が過ぎても、ゆでたり焼いたりすれば食べてもだいじょうぶです。温泉卵の賞味期限は2週間以内です。
③野菜は、野菜専用の保存袋に入れておくと日もちがします。きゅうりや大根などは横にしないで、ちるや葉を上にして立てて保存すると、さらに日もちがします。
それでも食べきれない分は下ゆでをし、ほかの料理に使うか、小分けして冷凍しましょう。
市販の冷凍野菜は、切ったり皮を除いたりする手間もかからず、必要な量だけ出して使うことができるので便利です。品質や価格も安定していて、ストックしておきたい食品です。調理に使うときは、自然解凍をするて品質が落ちるので、凍ったまま加熱調理します。

外食アドバイス

2010-01-30 13:23:30 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
外食アドバイス
食事療法を続けるうえで、外食は避けては通れない、むずかしい問題です。なぜなら、まったく外食をしないということは無理でしょうし、一般的なやな外食は、肉や乳製品など、IBDにあまりよくないとされる高脂肪の食品を使ったメニューや、油をたくさん使った調理法が多いからです。体調が悪いときは、外食は原則として控えましょう。体調がいいときも、外食は一日1食程度にするほうがいいでしょう。

レストランでは
近ごろは、ファミリーレストランのメニューやコンビニのお弁当などに栄養価が表示してあることが多いので、ぜひ参考にしてください。クローン病の人の場合、一日あたりの脂質の摂取量は30gを超えないようにしたいので、1食の脂質は10g前後のものを選び、肉の脂身は残す、揚げ物の衣は残すなどすれば、さらに低脂肪になります。
レストランでは、ちょっと勇気を出して「油を控えてもらえますか」と頼むのも名案です。調理師はプロですし、サービスの一環として、たいていの店では応じてくれるでしょう。
外食でちょっと食べすぎたと感じたら、そのあとの食事は脂質5g前後の低脂肪の献立にするなどして調整するといいでしょう。

コンビニでは
ひとり暮らしの人や働く人にとってコンビニはとても心強い味方です。しかし、コンビニはの食品には添加物(PH調整剤、保存料、化学調味料など)が多種類添加されていることが多いので、利用回数は減らしましょう。
どうしてもというときに選択する食品ですが、おにぎり、ゆでうどん、そばなどのめん類(天ぷらなどの揚げ物は除く)、巻きずし、たらしずし、サケ弁当、幕の内弁当(フライやから揚げが主菜でないもの)などが無難でしょう。サンドイッチはパンに水分がしみ込まないようにマーガリンなどがたっぷり塗ってあり、具も揚げ物やマヨネーズであえたものが多いので、要注意です。また、パスタ類も脂質の多い食品ですし、マヨネーズをたくさん使ったサラダにも注意しましょう。
コンビニの食品も、外食同様に、栄養成分を表示した食品が多くなりました。一日30g以下になるように、1食の脂質は10g前後を目安にし、食物繊維が多いものを除くなどすればいいでしょう。
まれにコンビニのおにぎりで体調を悪くなる人がいます。これは、ごはんの温度によるものと考えられます。ごはんなどの炭水化物は、温度によって消化の仕方が違います。温かいごはんのでんぷんはα化されていて消化がいいのですが、ごはんが冷たくなるに従ってβ化ででんぷんになって消化が悪くなります。コンビニのおにぎりは温めてから食べたほうが消化がよく、おなかにやさしいのです。

不足しがちな栄養素

2010-01-30 11:56:13 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
不足しがちな栄養素

IBDの人は、食事の制限や吸収不良などによって栄養素の不足が起こります。また、腸管のどこに病変があるかによっても、栄養素の体内への吸収は低下します。
IBDの人に不足しがちな水分や塩分のほかに、不足が考えられる栄養素を次にまとめました。

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK

これらの油溶ビタミンは、脂質といっしょに体内に吸収されるため、脂質ね吸収障害やきびしい制限によって不足が起こることがあります。
ビタミンAは欠乏すると、皮膚や粘膜上皮が乾燥したり角化したりする、免疫機能が低下する、細菌に感染しやすくなるなどの症状が起こります。ビタミンAを多く含む食品は、レバー、魚の肝などです。
また、βカロテン(体内でビタミンAにかわる)は、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれます。
サプリメントもありますが、ビタミンAの過剰摂取は、たとえば妊娠前後の6ヵ月間は奇形児の確率が高くなるなど、特に注意が必要です。
ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。ステロイドを長期間服用している人はカルシウムの吸収障害が起こるので、意識して摂取しましょう。ビタミンDを多く含む食品は、イワシやブリ、サバなどの青魚、マグロやカツオなどです。
ビタミンKは腸内細菌(乳酸菌やビフィズス菌)の減少によって欠乏症を起こしやすくなります。それらには、ビタミンKを生成する働きがあるからです。欠乏すると、出血しやすくなったり、血液がかたまりにくくなったりします。ビタミンKは、緑黄色野菜や納豆に多く含まれます。

ビタミンB12、葉酸

水溶性ビタミンで特に欠乏が見られるのは、ビタミンB12と葉酸です。
ビタミンB12は、骨髄での細胞の分化、中枢神経機能の維持、脂肪の代謝に重要です。欠乏すると、貧血や倦怠感、疲労感が起こります。
クローン病の人がビタミンB12欠乏症を起こす原因は、小腸に病変があったり、切除による吸収障害、あるいは、ビタミンB12は動物性食品に多く含まれるので、それらをきびしく制限する食事療法にあります。ビタミンB12はレバー、カキ、イワシ、ニシン、サケなどに多く含まれます。
葉酸は血液を作るのに重要な働きを持ち、成長や妊娠の維持にも必要です。不足すると、貧血を起こしたり、妊娠中なら胎児の発育不良を起こしたりします。IBDの人では、サラゾスルファピリジン[製品名サラゾピリン]による吸収障害も考えられるので、葉酸を含む食品(レバー、カキ、納豆、きな粉、ほうれん草、小麦胚芽など)を積極的に食べるようにしましょう。

消化管と栄養素の吸収

空腸
たんぱく質、脂質、炭水化物、脂溶性ビタミン、ビタミンB12は除く
水溶性ビタミン

回腸
ビタミンB12、葉酸

十二指腸
カルシウム、鉄、セレン

上行結腸
ナトリウム、カリウム、マグネシウム

※大腸とは、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸の部分のこと。また小腸とは、空腸と回腸の部分のこと。

ナトリウム、カリウム、マグネシウム
ミネラルの中では、ナトリウム、カリウム、マグネシウムが不足しがちです。下痢をくり返したり発熱したりして、体内の水分が多く排泄されたときなどは特に不足しやすいので、注意が必要です。
ナトリウム(=塩分)が不足すると、倦怠感、食欲不振、のどが渇く、塩けがほしくなる、筋力低下などが見られます。腎疾患や心疾患がないなら、塩分の制限はありません。

カリウムが不足すると、脱力感、筋力の低下、筋肉痛、しびれ、けいれん、不整脈、頻脈、消化管運動の低下によるイレウス(腸管内に通過障害をきたした状態)などが起こります。カリウムは、納豆や緑黄色野菜、くだものに多く含まれます。
マグネシウムが不足すると、疲労感、食欲不振、吐きけ、嘔吐、動悸、不整脈、手足の震えなどがみられます。マグネシウムが多い食品は、玄米、カキ、納豆、豆腐、きな粉、ほうれん草などです。

カルシウム、鉄、亜鉛

そのほかのミネラルで不足がみられるのは、次の3つです。
カルシウムは骨の形成に重要で、摂取不足や、腸管からの吸収が阻害されると不足します。カルシウムは乳・乳製品、小魚、大豆製品に多く含まれます。サプリメントを利用するのもいいでしょう。
鉄は不足すると貧血を起こし、疲れやすくなったり、忘れっぽくなったり。IBDの人の人は、鉄の摂取量の不足、出血などによる喪失、炎症による吸収障害などが原因で、貧血になりやすくなります。鉄は、レバー、マグロ、魚の血合い、卵、カキなどの動物性食品と、ほうれん草などの植物性食品に多く含まれます。動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収率がいいので、おすすめします。また、サプリメントを利用するのもよい方法です。
亜鉛は、腸管の慢性的な炎症による消耗や下痢による喪失、腸管からの吸収が障害されることなどから、不足しやすくなります。欠乏すると、味覚や食欲が低下して低栄養状態になる、皮膚炎や傷が治りにくくなる、免疫機能が低下するなどがみられます。 亜鉛を含む食品は、カキ、大豆製品、レバー、鶏肉など。これらから充分に補給しましょう。

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こんな症状はありませんか…?
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無気力、体力の消耗、唇の乾燥→脱水のおそれがあります
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摂取したい栄養素
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水分、ナトリウム、カリウム、マギネシウム
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顔色が悪い、動悸、息切れ、頭痛、めまい、さじ状の爪→貧血のおそれがあります
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摂取したい栄養素
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鉄、ビタミンB12、葉酸、たんぱく質、銅
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栄養療法について

2010-01-30 11:55:17 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事
栄養療法について

どのようなときに栄養療法を行なうのか

栄養療法には、大きく分けて2つの方法があります。腸を使わずに点滴で栄養補給をする「静脈栄養法」と、腸を使った「経腸栄養法」です。腸管の炎症の状態に合わせて、どちらかを選択します。
広い範囲に炎症がある、小腸が短い、下痢が頻繁にある、栄養状態が悪い、瘻孔、出血、狭窄、肛門病変などといった重い合併症がある場合は、絶食にして4週間から6週間、中心静脈栄養法を行ないます。
腸管の炎症が改善されたら、少しずつ、経腸栄養法や食事療法を実施します。経腸栄養法には、成分栄養剤であるエレンタールや、消化態栄養剤であるエンテルード、ツインラインなどを用います。ここでは、成分栄養剤について解説します。

成分栄養剤を使うと、どんな利点があるのか
成分栄養剤を摂取すると、栄養状態がよくなります。体重が増え、血清たんぱく質やアルプミンなどが正常化します。栄養状態がよくなるとともに、クローン病の諸症状が改善します。
成分栄養剤を使った栄養療法の有効性については、極度に栄養状態が悪い場合や、狭窄などの合併症がない場合で、ほぼ100%が緩解(病状がおちつくこと)になり、厚生労働省の研究班でも第一選択の治療法として推奨しています。
また、緩解の状態を長続きさせる効果もあります。

どのようにして摂取するか

飲む方法(経口法)と、鼻からチューブを入れてとり入れてとり入れる経鼻経管栄養法(経鼻法)とがあります。
経口法の場合は、下痢を防ぐために、時間をかけてゆっくり飲んでください。フレーバーは8種類あるので、好みのものを選ぶことができます。ゼリーミックスやムースベースもあり、固形化することができます。
経鼻法は「鼻からチューブを入れる」ので拒否する人が多いのですが、外径1.65mmの細いチューブなので、慣れると違和感はなくなります。このチューブを、胃または十二指腸に入れられるようにトレーニングを行ない、夜間にポンプを使って一定の濃度と速度で成分栄養剤を摂取できるようにします。経鼻法を試みると、飲むよりもとても楽だという人が多くみられます。
成分栄養剤はけっしておいしいものではないので、経口法でがまんして飲んでいる人や、飲むと下痢になるという人は、試してみてください。経口法と経鼻法は、併用してもかまいません。

副作用はあるのか
副作用としては、下痢、腹痛、腹部膨満などがあります。一時的に、肝機能障害を起こすこともあります。
下痢や腹部膨満を引き起こす原因は、栄養素が消化された形になっている分、浸透圧が非常に高くなっているからです。高浸透圧のものは腸内の水分量を増やすので、下痢などになりやすくなります。こうした高浸透圧性の下痢を予防するには、経口法の場合は時間をかけてゆっくり飲むといいでしょう。経鼻法の場合は、速度を遅くする、水でうすめて浸透圧を下げるなどが有効です。
また、成分栄養剤には食物繊維が含まれないので、便がかたまりにくくなるということもあります。主治医や栄養士に相談して、食物繊維を成分栄養剤に加えることをおすすめします。
さらに、長期にわかって成分栄養剤だけを摂取すると、必須脂肪酸(人間の体内で作ることができない脂肪で、食事から摂取する必要がある)や、微量栄養素(特にセレン)が不足してしまいます。この場合は主治医や栄養士に相談し、サプリメントなどで補う必要があります。

どのくらいの量を摂取する必要があるか

一日に必要なエネルギー量の半分量(900~1200kcal)を成分栄養剤で、残り半分を食事で摂取すると、再燃(病状が再び悪化すること)をおさえることが明らかになっています。成分栄養剤と食事とのエネルギー比を、病状に応じて変更するスライディング法をとり入れるとよいでしょう。この方式は、病状が悪いときは成分栄養剤の量を増やして食事を少なくし、病状が改善すれば食事を元に戻して、成分栄養剤を900~1200kcalという方法です。
なお、成分栄養剤は医師の処方箋が必要となります。成分栄養剤が処方されていない場合は、医師や薬剤師と相談し、処方してもらってください。

退院後も栄養療法を続けたほうがいいか

退院後も在宅で成分栄養剤を継続した人のほうが、継続しなかった人に比べて、長期間よい状態を保つことができた、あるいは、再び入院する確率が低かったなど、その効果がわかっています。
ただ、これは小腸に病変がある人で、大腸(特に左側)だけな病変がある人では、このような治療効果は少ないようです。小腸に病変がある人は、退院後も成分栄養剤を続けたほうがいいでしょう。

ハイチ地震義援金のお願い

2010-01-25 01:27:46 | 日記
2010年1月12日午後4時53分(現地時間)、ハイチ首都近郊でM7.0の地震が発生。多数の 死傷者が出ている。

Yahoo!ボランティア ハイチ地震 義援金受け付け
volunteer.yahoo.

日本赤十字社モバイル

国際連合世界食糧計画 (WFP)

「one for all,all for one」
(一人はみんなのために、みんなは一人のために)