チリちゃんの宝物【後編】
こんばんは、睡蓮です。
ようやく完結できました。拙い作品にも関わらず、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!
ブクマやいいね、コメント、スタンプ等もありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです♪
※アオチリ妊娠ネタ
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飛行機に乗り、アオキはジョウト地方に降り立った。出張で来たことはあるが、私用で訪れるのは初めてだ。だが遊びに来たわけではない。土産物屋やジョウト料理を出す飲食店、観光案内所などはすべて目もくれずに通り過ぎ、出口の前でスマホロトムを開く。
チリを探すに当たり、オモダカから提供された情報は「ジョウト地方」というだけだった。人探しをするには範囲が広すぎる。そのため事前にさまざまなSNSを駆使してチリの目撃情報を集めていたのだ。
幸運なことに、チリはただ存在するだけでも非常に目立つ。外見がまれに見る美人であるだけでなく、人を惹きつける魅力というのだろうか。立っているだけで周囲の空気が光輝いて見えるような、独特のオーラがある。アオキは一切持ち合わせないたぐいのものだ。その上パルデアポケモンリーグの四天王として、全国的にも知名度は高い。
案の定「ジョウト チリ」「ジョウト 美人」といったそれらしいワードを打ち込んだだけで、簡単にいくつかの目撃情報がヒットした。位置は分散していたが、中でもチリが多く目撃されているのはキキョウシティ近くの谷だ。
「なぜ谷に?」という疑問の答えを探すべく、スマホロトムに検索を頼む。
「ドンファンの谷……」
チリの目撃情報が集中している場所は、正式名称ではないものの、一般的にはドンファンの谷と呼ばれているらしい。「ドンファンの谷」とは、まさにチリが興味を惹かれそうな地名である。アオキは、おそらくチリがいるのはここだろうと当たりを付けた。
心が決まると、アオキは相棒のモンスターボールを宙に放り、ビジネスバッグからわざマシンを取り出す。
「ムクホーク、すみませんが新しいわざを覚えてください」
わざマシンの中身は「そらをとぶ」だ。パルデアではそらとぶタクシーが広く普及しているが、ジョウトにはタクシー移動の習慣がない。おまけに交通機関の便も悪く、長距離を移動したいときは、ひこうタイプのポケモンに覚えさせた「そらをとぶ」を使うことが多いらしい。
「ではムクホーク、お願いします」
アオキの賢い相棒は、一声かんだかい鳴き声を上げると、初めて飛ぶジョウトの空へ舞い上がった。