初のトランスジェンダー選手、記録なしで姿消す 最後は感謝の言葉
「五輪史上初」の瞬間を見届けようと、多くの報道陣が集まった。東京オリンピック(五輪)第11日の2日に行われた重量挙げ女子87キロ超級に、男性から女性への性別変更を公表したローレル・ハバード(ニュージーランド)が出場した。
チーム関係者やボランティアが観客席に座り、「無観客開催」とは思えない雰囲気になった。
選手紹介で選手10人が壇上で紹介されたとき、1978年生まれのハバードは最年長。2番目の年長者も10歳下の米国選手だった。
スナッチの1、2回目を失敗して、後がなくなった3回目。しかし、125キロを上げられず、記録なしに終わった。笑顔を浮かべ、胸の前でハートマークを手で作り、引きあげた。
取材ゾーンでハバードは記者の質問には応じなかったが、自分の考えを語った。「期待には応えられなかったが、ニュージーランドで応援してくれた人々に多くの愛、勇気をもらえて感謝している。重量挙げは個人競技という誤解があるけれど、多くの人に支えられているから」
さらに、感謝を続けた。まずは開催国に対し、「日本の人々、政府はこのような困難な状況で開催にこぎ着け、とてつもなくすごいこと。五輪で競う機会を与えてくれてありがとう」。
さらに国際オリンピック委員会(IOC)には「世界のすべての人々がスポーツを楽しめるよう、包摂的で身近なものにする五輪精神を示してくれた」とし、国際重量挙げ連盟、ニュージーランド五輪委員会への支援にも感謝した。
誰もが差別なく参加できる機会の保障か、それとも、競技の公平性か。仮に彼女が表彰台に上がれば、さらに議論が過熱したかもしれないが、会場でメダルをかけた戦いが続く中、注目の人は早々に舞台を去った。(稲垣康介)
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