パソナが目指す、人が主役のワークとライフと多様性

パソナが目指す、人が主役のワークとライフと多様性

「パソナ」という社名を聞いたとき、みなさんは何を思い浮かべますか。

多くの人はまず「人材派遣会社」をイメージするでしょう。あるいは、淡路島に本社を一部移転したり、2025年大阪万博にパビリオンを出展したりと、人材関連以外のニュースに強い印象をもつ方もいるかもしれません。

省庁の「えるぼし」最高位認定や「なでしこ銘柄」選定などで、女性活躍推進のトップランナーとしての評価を浮かべる人もいるでしょう。レストランやリゾート施設を利用した方、ひとり親支援やキャリアコンサルティング、共創型プログラムなどでパソナのサポートを受けたことがある方もいるのでは?

なぜパソナはこれほどまでに幅広い事業展開をしているのでしょうか。そして、今後の展望はどのような方向に向かっているのでしょうか。ダイバーシティの観点から、その秘密を解き明かしていきたいと思います。

インタビュー対象者略歴

工藤 大(写真・左)
1998年新卒入社。派遣事業のエリア営業と大手法人アカウントチームのマネジメント職を14年務める。その後BPO事業の管理部門責任者や、スタッフHR部門の責任者を経験。現在はグループ企業である株式会社パソナJOB HUBに出向し執行役員を務めながら、個人が自立的なキャリアを育む働き方を拡大すべく、個人事業主の方を対象に支援を行っている。

中村 敦子(写真・右)
1990年、パソナの前身である株式会社テンポラリーセンターに新卒入社。営業や社員教育などを経験し、結婚を機に退職するも、子育てと並行してフリーランスの在宅ワークやOA講師、派遣で秘書等を経験し、退職から13年後の2006年に復職。派遣登録者との面談担当を経験し、キャリアコンサルティング専門部署の立ち上げに携わる。現在はエキスパートスタッフ向けの研修企画や講師、社員向けには国家資格キャリアコンサルタントの育成を担当。

企業情報

■株式会社パソナグループ
■所在地/東京都港区青山3-1-30 PASONA SQUARE
■創業/1976年2月16日
■従業員数/23,488名(連結・契約社員含む)※2022年5月期実績
■事業内容/エキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)、HRコンサルティングなどを中心とした人材サービス業

パソナ工藤大氏のインタビュー

「社会の問題点」を解決するために。働く人に向き合い続けて、もうすぐ50年

――ひとり親、シニア、障害者など様々な属性に特化した人材サービスを提供し、多様な人材の活躍を推進するパソナですが、その原点と、目指している姿を教えてください。

工藤大(以下、工藤):まず、パソナという企業の成り立ちからお話させていただきますと、当社は元々、「働きたい」と願う女性が活躍できる場所を創るために生まれた企業です。1976年の創業当時、大学を卒業した女性の就職率は60%もいかない時代でした。「女性」というだけで、自由に働くことが難しい社会だったんです。

そのような状況の中、創業者である南部靖之代表が学生時代に学習塾を開いた際、生徒の母親たちが結婚・出産後に再就職ができずにいる状況を問題視し、育児を終えてもう一度働きたいと願う主婦の方々に、OL時代の能力や技術を活かすことのできる適切な仕事の場をつくりたい。との想いから生まれたのが、パソナの人材派遣事業の始まりです。

――「女性の就業」が社会問題だった当時から約50年。社会とパソナの在り方に変化はありましたか。

工藤:時代が変わる中で、社会の問題もどんどん変化してきました。人生における就業期間が長期化する中で、病気や年齢といった壁に直面し、働き方に悩む人が増えています。また、2020年には新型コロナウイルスの蔓延により、働きたいのに働けない人が増えるという予期せぬ事態も発生しました。

しかしパソナの姿勢は、50年前から一貫して変わっていません。「社会の問題点を解決する」という明確な企業理念のもと、年齢や性別、障害の有無を問わず誰もが自由に好きな仕事を選択し、イキイキと人生を送れる社会の実現を目指し続けています。ダイバーシティという言葉も、「ダイバーシティを推進し、一人ひとりが夢と誇りをもって活躍できる機会を創造し続ける」という企業理念の一文に含まれています。

当社では人材派遣事業のほかBPO事業(業務プロセスの委託・請負サービス)も展開していますが、この事業の成り立ちも根本は派遣事業と同様です。時短勤務しかできなかったり、年齢が高くなかなか採用されづらかったり、そういった就業に困難を抱えている人たちを当社で契約社員として受け入れ、顧客企業から請け負った業務を担当して頂くことで、多くの方に柔軟に働ける場を提供できると考えました。

実際にBPO事業では、40~50代の方が多く活躍されています。また、パソナマスターズ(豊富な経験をもったシニア人材の活躍機会を創出する事業)では、60代以上の方にも活躍いただいており、平均年齢は66.7歳、登録者は5,600名にも上っています。

――約50年も前、まだ「DEI」といった言葉が無かった頃から、多様な働き方ができる社会を目指し続けてきたのですね。

工藤:はい。ですから、私たちは「DEI」「SDGs」といったトレンドを意識しているわけではないんです。そうした言葉があるから取り組みを行っているのではなく、元々やってきたことを新しい言葉に当てはめることで、パソナの理念を表現しているというかたちになります。

言葉に踊らされるのではなく、根本は「社会問題の解決」。それが私たちの変わらない、ただ1つの軸なのです。

パソナ中村敦子氏のインタビュー

「ワーク」と「ライフ」は別々じゃない。「人生」という1つの線上で、働く人の幸せを叶えていく

――「すべての人に、働くことを通してイキイキとしてほしい」。その想いを胸に、具体的にどのような取り組みを行っているのですか。

中村敦子(以下、中村):まず前提として、多様な働き方を通して誰もが心豊かな生活を実現するためには、「ワークとライフは、合わせて人生である」と考えることが重要です。要は、「仕事は仕事」「生活は生活」と切り分けるのではなく、仕事・生活の両面から豊かな人生を目指す考え方です。

その考え方のもと派遣事業では、2014年にエキスパートスタッフのキャリア構築を「キャリア」「ライフ」の両面から支援する、キャリアコンサルティング専門の部署を新設しました。現在は就業中の方向けに『キャリアコーチ』として長期的な伴走を行っています。

登録をする際の面談を担当する『マイコーチ』、派遣先企業とのマッチングを行う『コーディネーター』や、就業先でのフォローを行う『営業担当』とは役割が異なり、今後のマネープランや介護問題など人生に関わるあらゆる相談に応じながら、キャリアコンサルティングを行います。

――就業までのフローにおいてすでに様々な人が関わっているにも関わらず、なぜ新しいキャリアコンサルタントを設置したのですか?

中村:先ほど述べたように、職業人生が長期化する現代において、一人ひとりが多様な働き方や生き方を選択していかねばなりません。この時代のなかでは、キャリア構築に悩み、ライフイベントにおける課題に直面する機会は自ずと増えていきます。

そうすると、キャリアに関する悩みだけを聞いていては、その人の人生に対し寄り添い、サポートをしているとは言えなくなるんです。どんなことでも「誰に相談したらいいだろう」と悩む時に、思い浮かぶ人がいると安心ですよね。

そこでパソナでは、『キャリアコーチ』のみならず、総合的なサポートができる人材を育てるために『ワークライフファシリテーター』を新設したんです。この資格は、キャリア支援に加えて、マネー、健康、育児、介護等のライフイベントに関わる幅広い相談に対応することを可能にします。社内の国家資格キャリアコンサルタント保有者の中から、6カ月間の養成期間で専門知識を学んだ『ワークライフファシリテーター』が、派遣事業以外にも様々な部門で活躍の場を広げています。

工藤:本来ならどの会社にも、ワークとライフを一直線に考えられる存在が必要だと思うんです。エキスパートスタッフに対して、仕事だけでなくライフプランを設計するためのアドバイスができる人を増やしていかないと、働くことを通してイキイキと活躍できる人は増えていきませんからね。

そのため、現在は社内だけの制度に留まらず、『ワークライフファシリテーター協会』という民間資格の創設により、この取り組みを社外に広めていく活動も行っています。

――「ワーク」と「ライフ」を密接に捉えているパソナだからこその取り組みですね。

中村:「プライベートのことを含めていつでも相談できる存在がいる」ということが、スタッフさんが自分らしく働く上でのひとつの支えになればと思います。教育制度や福利厚生内容も、「ワーク」と「ライフ」が一体となったプログラムになっているんですよ。

――具体的に、どのような内容ですか?

中村:就業中スタッフの教育制度においては、eラーニングを常時1600種類以上、自由に受講することができます。Excelの上級講座や英語・貿易・経理などのビジネススキル講座はプロから直接学べるのに加え、ヘルスケアプログラムとしてヨガや歯の健康など、日常に役立つ講座を受講することも可能です。ヨガ講座は開催する度に約300名以上の方が参加してくれており、特に人気のプログラムです。
仕事に関するスキルアップだけでなく、生活の質の向上も叶えられることが、パソナの教育制度と福利厚生における特徴です。

ダイバーシティを活かすパソナの共同体

「向こう三軒両隣」の心で互いに支え合える共同体を目指して

――こうした「ライフ」に関するサポートや取り組みは、企業視点からするとどのようなメリットがあるのでしょうか。

工藤:パソナというブランドに対する「ファン」になって頂くことでしょうか。福利厚生の話の続きになりますが、私たちは、働くことを通じて、パソナに集う多くの方との接点を持つことも、「ワーク」と「ライフ」を考える上で重要なことと位置づけています。

そこでエキスパートスタッフへの福利厚生の一貫として、誕生月に兵庫県の淡路島(※)にある当社保有の観光施設を巡るバスツアーへ無料で御招待したり、新規登録の方を対象に各拠点でウェルカムパーティーを開催したり、納涼祭やクリスマスなど季節ごとのイベントを開催するといった、エキスパートスタッフ同士の交流機会を提供しています。

派遣先の職場も多様ですから、「ちょっとした悩みを気軽に相談できる相手がいない」「なかなか仲間の存在を感じられない」といったケースもありますが、交流機会をもつことで「他の派遣会社にはない取り組みなので今後も続けてほしい」「同期と出会えたことで、これからもパソナでがんばろうと思えた」といった嬉しい声も寄せられました。

こうしたパソナならではのイベントを楽しんでいただけた方が、ご自身の知り合いをパソナに紹介し、さらにその方がまた知り合いを紹介して…という良い循環が発生し、企業そのものに共感してくださる方がパソナに集まってくださるようになりました。

※兵庫県淡路島…2008年より、人材誘致による独自の地域活性化事業を行う拠点。2次元コンテンツをテーマにしたエンターテインメントパークやリゾート施設を展開しているほか、パソナの本社機能の一部も移転している。

――人のつながりが、事業にとってもいい影響を及ぼす、すばらしいですね。

中村:ワークの面もライフの面も、互いに支え合えるコミュニティをつくりたいんですよ。よく社内で使われる言葉で、『パソナファミリー』という言葉があるのですが、これは雇用する側かされる側か、社員かエキスパートスタッフか、どこに住んでいるか…といった枠組みを全て取り払い、同じパソナの仲間として、家族のようにお互いに助け合うことを表しています。

年に1回『パソナグループファミリーデー』というイベントがあるのですが、そこではグループ全社員、エキスパートスタッフだけではなく、その家族の方々もみんな参加することができます。お子様も一緒でOKであれば、参加できる人はぐっと増えますし、子どもと楽しめるイベントって実は貴重だったりしますよね。

他にも、グループの中には単身者や核家族家庭の社員やスタッフも少なくないことから、2008年には『パソナファミリータウン』という専用のプラットフォームを開設し、お互いが手を貸し合える環境も作りました。今後は、メタバース空間を活用したプラットフォームとして利用者が自由に参加できるコミュニティを展開していく予定です。パソナに関わる全ての人同士の絆を深めるために、できることはまだまだあると感じています。

工藤:そうですね。よく言うのは、困ったことがあれば「向こう三軒両隣」の精神で手を取り合う世界を目指すということ。Mutual(おたがいさま)という言葉もよく使うのですが、助け合いの気持ちは人を幸福にします。

――助け合える、手を貸し合える、という関係性の広がりはとても魅力的に感じます。そういう関係が実際に生まれている例はありますか。

工藤:例えば、2020年から開始したひとり親家庭に対する就業支援活動は、特にその精神が表れた取り組みとなっています。

『ひとり親 未経験からのおしごと応援プロジェクト』は、キャリアカウンセリングからリスキリング、就労機会の提供までをセットにした長期的なプロジェクトで、これまで 延べ1,515名のシングルマザーの方々にご参加いただきました。実はこのプログラムのキャリアコンサルタントは、全員ボランティア。困ったことがあれば手を上げてくれる、そういう人がパソナにはたくさんいるんです。

この3年間の間に、元プロサッカー選手やパソナグループで働くアスリート社員と一緒に『親子サッカー教室』を開催したり、お子さまの七五三のための『着付教室』を開いたり、東日本大震災発生が発生した3.11に合わせ『東北のよさこい総踊り体験会』を実施したりするなど、様々なジャンルの親子イベントも行ってきましたが、ここでの講師役もすべて、パソナ社員のボランティアです。

中村:サッカー教室に参加いただいた保護者の方には「同じ境遇の方と会話することができ、勇気をもらえた」「今後も継続して参加し、コミュニティを広げていきたい」といった声をいただくことができました。

2022年には『ひとり親キャリア支援協会』を立ち上げ、相談窓口の設置や子育てサロンの展開をしています。こうした取り組みを通じて、子どもに特別な体験の機会を提供すると同時に、ひとり親家庭の保護者同士や親子の絆を大切にする共同体の形成を推進しています。

パソナ工藤大氏のインタビュー 全社員で社会問題に向き合う

「ダイバーシティ推進部」は存在しない。全社員で社会問題に向き合う

――これまで数々の施策をご紹介いただきましたが、こうした取り組みのアイデアはどのように生まれているのでしょうか。

工藤:2007年から、『シャドーキャビネット』と呼ばれる社内組織活動を通じて、社員同士が様々な立場や角度から社会問題について議論し、新しいアイデアを提案しています。この組織は直訳すると『影の内閣』なのですが、さながら本物の国会のような形でテーマごとに「省庁」を設置し、社員が各チームに分かれ議論を重ねてきました。

あとは、『チャレンジの日』ですね。毎年パソナの創業日に、全社員から新規事業提案を募集する社内ベンチャー制度があります。実際に、この『チャレンジの日』で社員から提案されたアイデアが事業化されグループ会社の株式会社ベネフィットワンなどは上場もしています。
全社員が一丸となって企業理念を確認し合い、社会の問題点について考える。だからこそ、様々なアイデアが社内で生まれ育ってきたのだと思います。

創業時の話に戻りますが、パソナは働きたいと願う方に手を差し伸べたい。多様な働き方が叶わない問題があるのであればそれを解決し、誰もが自由に輝ける社会を作りたいのです。

そのため、社会が変わり、問題が変われば、その度にパソナが生むサービスも変わっていきます。

――アイデアをビジネスとして実現するにあたり、困難に直面することもあるのではないでしょうか。

工藤壁と思っていることのほとんどは、実は心の壁だと思っています。制度の壁があるのなら、シャドーキャビネットを通じて、どこにどう働きかければ変わるのかを考えればいい。問題があれば、解決する。企業理念にも通じますが、その精神が根本にあるからこそ、「やることが多くて大変」とも「スピードが早い」ともあまり思っていません。

ただ、パソナがアイデアを形にできている理由の1つに、トライ&エラーの回数が圧倒的に多いことは挙げられると思います。社会に問題があれば迅速に対応していかなければならないので、実は構想の段階でじっくり形を整えている暇はないのです。早く手を打たないと、問題を抱えている人たちにとっては遅いサービスになってしまいますから。

新規事業企画や戦略推進に取り組む中で、毎月役員陣との振り返りを行っていますが、次に何のアクションを行うのか?と行動することを優先しています。短いスパンで振り返りを行い、試行錯誤を繰り返すことが、ビジネスとして形にできる要因なのだと思います。

パソナ中村敦子氏のインタビュー パソナだからできること

業界全体で社会問題を解決したい。パソナだからできることを、今後も続けていく

――これまでのお話から、社会問題を解決するための事業や企画を動かすことに長けた印象がありますが、例えば中心事業の人材派遣では、多様な属性のエキスパートスタッフを派遣することに対し、派遣先企業からの理解を得られないこともあるのではないでしょうか。

中村:おっしゃる通りです。「年齢や性別を問わず誰もが自由に好きな仕事を選択し、イキイキと人生を送れる社会」を目指す中で、ミドル~シニア層の活躍の場については、特に課題を感じています。

かねてより、この世代の就業支援に力を入れているものの、派遣先企業からすると、企業の若返りを図りたい意図や指揮命令しやすいという観点から若い人材を求められることが多く、難しい問題です。

――そのギャップを、どう埋めていくのでしょうか。

中村:まず、派遣先企業と直接やり取りを行う営業メンバーに対しては「なぜ若い人である必要があるのか?」「企業の課題解決のために、若い人という条件は本当に必要不可欠なのか?」といった視点を持って、派遣先企業の課題や要求の本質をヒアリングし、条件の緩和を提案するよう指導しています。

同時に、「定着率の高さ」「経験の豊富さ」といった、ベテラン人材だからこその価値も伝えて、ミドル・シニア層が活躍できる場を増やしていくことを目指します。

ただ、これは派遣先企業だけの問題ではありません。働きたいと願うミドル・シニア層に対しても、企業から求められる立場になるために何ができるのかを考え、活躍し続けるために新たなスキルを身につける等、これまでの「当たり前」を変える柔軟さを持ってほしいと思います。40代向け、50代向けといった世代別セミナーの開講や教育制度の改善にも取り組んでいる最中です。

また、私たち社員の中にも先入観やバイアスを未だ持っているメンバーがいるでしょう。先ほどの「社内全体で考える」という話にも繋がりますが、役職者だけでなく、すべてのメンバーに対して、パソナが目指す姿勢を継続的に啓蒙していくことも必要だと考えています。

工藤:私たちパソナにしかできないことがたくさんあると思っていますし、派遣会社の役割は、仕事のご案内だけではないと思っています。パソナはこれからも働く人の人生そのものに向き合い、考え続け、社会の問題を解決していきます。

パソナのDEIインタビュー

派遣の進化系~インタビューを終えて~

パソナグループが毎年発行する冊子『Social Activist PASONA 2022』には、文字通りパソナのソーシャル・アクション事例が数多く紹介されています。事例は5つのカテゴリに分けられているのですが、「ダイバーシティ」26施策、「人材育成」12施策、「ウェルネスライフ」3施策、「地方創成」210事業、「社会と共に」国内外活動数492件。驚くべき数字です。

パソナといえば、ベンチャー三銃士とも呼ばれた創業者の南部靖之氏が多くの経営者から尊敬されていることでも有名です。しかしこれらの取り組みは、一人の創業者のアイデアを積み重ねてきた成果ではなく、ましてや過去の遺産でもなく、グループ社員全体の成果です。「社会の問題点を解決する」ためのすべての施策がどれほどの数になるのかはわかりません。

近年の資料を見ると、「人を活かす制度・仕組み」「多様なライフスタイルに合わせた働き方の支援」の施策数は、2000年からの10年間で13施策、2010年からの10年間で25施策。2010年以降のほうが圧倒的に施策数が多いことが分かります。「社会の問題点」を議論し、具体的な方策を社会に提言する社内組織『シャドーキャビネット』ができたのが2007年。社会が変化を求めるのと同じスピードで、あるいは問題を先取りして、パソナが加速度的に変化を早めていることが伺えます。

人材派遣といえば、さまざまな背景があり日本ではあまりいいイメージを持たれません。働き方の一つの選択肢といいながら孤立や貧困・格差を生む新自由主義的の負のイメージをもつ人もいます。

しかしパソナが目指しているのは、人と人とが繋がり助け合うヨーロッパの共同体主義的な世界観です。経済的な格差が生まれるのは資本主義では必然ですが、その差があっても豊かに生活するための人間関係や共同の場、困った時に助けてくれるという安心感や信頼感。そういうものを一つの会社で生み出そうとしているのがパソナです。

人と人とが繋がれる派遣会社、どこにいても人と人とがつながりながら仕事ができる社会。そんな世界への道筋が垣間見られた気がします。

※インタビュー内容は、2023年6月時点のものです。

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